PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和3年度秋期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
判断の前提をそろえて考える
関係者が複数いる場面を考えるときは、判断の前提に注目しましょう。示されている条件と、自分が経験や印象から補っている想定を分けると、知らないうちに条件を追加していないかを確認できます。
この問題で問われていること
検討した内容が、どの条件を根拠にしているかを確かめてください。明示された条件だけで考えた部分と、追加の想定に依存する部分を区別し、その想定を置く理由があるかという一つの観点で振り返りましょう。
視点
同じ内容でも、置いた前提によって受け取り方は変わります。示された条件と、自分が補った想定を区別することが、考えを整理する手掛かりになります。
確認ポイント
- 示された条件と自分の想定を区別できているか
- 判断の根拠として使った条件を説明できるか
- 明示されていない条件を無意識に追加していないか
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解説
本問では、マルチベンダ開発で生じた過去の問題を原因まで分析し、指示ルートの一本化、責任者の関与向上、工程の同期、共同レビュー、変更影響の確認、想定外のリスクに備える予算確保へ結び付けることが要点です。
問題の全体像
金融機関のA社が、X社とY社の構築・保守する基幹システムを改修する事例です。過去の構築では、経営陣からの要求や指示、ベンダ間の調整不足、工程のずれ、詳細設計の不整合、変更の影響の見落とし、追加予算の調整が問題になりました。出題趣旨では、過去の問題と原因を深掘りし、再発を回避する計画を作成するPMの問題分析力と対応力を問うとされています。各設問は、本文の問題と下線部の対策を対応付け、その効果や具体的な活動を記述する問題です。
設問1(1)
経営陣にX社派とY社派がいて、それぞれのベンダに配慮した要求や指示がプロジェクト推進を妨げた点に着目します。下線①では、要求や指示を経営会議で決定し、CIOからB課長へ伝える経路にそろえています。このため、公式解答例では、経営陣からの指示ルートが一本化されることを効果としています。35字以内の答案では「経営陣からプロジェクトへの指示ルートを一本化する。」のように、指示の発信元と経路の一本化を押さえます。
設問1(2)
両社の責任者が自社の作業だけを管理し、共通課題への対応に積極的でなかった点が根拠です。下線②の合同会議では、両社の責任者が共通課題の検討に参加する機会を設けています。公式解答例では、X社とY社の責任者の改修プロジェクトへの関与度を高めることが示されています。採点講評では、スケジュール調整や仕様の認識相違の防止を挙げた解答が見られたとし、ステークホルダマネジメントの観点に沿うよう求めています。35字以内では「X社とY社の責任者の改修プロジェクトへの関与度を高める。」と、責任者の関与に焦点を当てます。
設問2(1)
各社が別々のスケジュールで実装したため、詳細設計の疑問をすぐに確認できず、後から仕様が定まって製造済みの作業に手戻りが生じた点に着目します。表1の注記では、実装は詳細設計、製造、各システム内の結合テストに分かれています。公式解答例では、両社の実装の各工程の開始・終了を同日とする工夫を示しています。25字以内の答案では「両社の実装の各工程の開始・終了を同日とする。」と、工程の開始と終了をそろえることを具体的に述べます。採点講評では、早期着手などの一般的な対策にとどまらず、各工程のマイルストーンを意識した解答が求められています。
設問2(2)
掲示板はA社のメンバだけでなく、委託先のX社とY社のメンバも参照する点と、表1の契約形態に着目します。情報共有のために周知事項を掲載することと、委託先要員に直接作業を指示することは区別する必要があります。公式解答例では、委託先要員に対する直接の作業指示はできないから、と示されています。30字以内では「委託先要員に対する直接の作業指示はできないから」と、直接指示ができないことを理由として述べます。各社の責任者から自社のメンバへ伝達する経路が、本文のルールです。
設問2(3)
接続機能の不具合が両社の詳細設計の不整合に起因し、各社の作業やA社の検収では発見が難しかった点が根拠です。片方の設計だけを確認しても、システム間の整合性は十分に確認できません。公式解答例では、接続機能の詳細設計に対するX社とY社の技術者による共同レビューを示しています。35字以内では「接続機能の詳細設計をX社とY社の技術者で共同レビューする。」と、対象、参加者、活動を押さえます。詳細設計の完了時と完了後の変更時に実施することで、不整合を後工程へ持ち越すことを防ぎます。
設問3(1)
Y社が接続機能以外の設計変更はXシステムに影響しないと判断したものの、実際には連携処理に影響して不具合が生じた点に着目します。変更管理委員会に3社が出席すれば、変更を実施しない側のベンダも、自社システムへの影響を確認できます。公式解答例では、設計変更が他方のシステムに影響を与えるか否かを確認内容としています。25字以内では「設計変更が他方のシステムに影響を与えるか否か」と、変更の影響先を明確にします。接続機能の仕様だけに確認範囲を限定しないことが重要です。
設問3(2)
下線⑦の直前で、過去の問題から想定されるリスクとは別に、相互連携には想定外に発生するリスクがあると述べている点が決め手です。公式解答例では、その対応資金として「マネジメント予備費の確保」が示されています。15字以内の答案もこの表現で収まります。採点講評では、コンティンジェンシ予備費の増額とした解答が多かったとし、想定外のリスクへの対応であることと、CIOに相談していることを踏まえるよう求めています。想定したリスクへの備えと、想定外のリスクへの備えを区別しましょう。
学習のポイント
問題の原因と対策の対応を読み取り、ステークホルダの関与、契約上の指示経路、工程の節目、予備費の種類を区別して学びましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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