PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和3年度秋期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
判断の前提となる条件をそろえる
業務システムの改善を検討するときは、判断の前提となる条件に注目しましょう。ある考え方が妥当かをすぐに決めず、何を前提にしているのかを確かめ、条件が異なる話を混ぜて捉えていないか整理することが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、判断に用いる前提条件がそろっているかという一点に注目してください。示された情報に基づく条件と、自分で補った想定を区別し、知らずに前提を置き換えて考えていないかを確認しましょう。
視点
前提条件は、判断を進める際に土台として扱う情報です。記載された条件と、自分が便宜的に置いた想定を分けて整理すると、同じ条件のもとで考え続けているかを確かめやすくなります。
確認ポイント
- 判断の前提を、示された情報から確認できているか
- 明示された条件と、自分で補った想定を区別できているか
- 考える途中で、前提条件を置き換えていないか
正解と解説を見る
解説
顧客満足度向上を目的とする改善プロジェクトに合わせて、過去の構築プロジェクトのマネジメントプロセスを修整する問題です。予算内でのスコープ決定、変化への迅速な対応、既存品質の維持、顧客の体験価値の評価を結び付けて理解します。
問題の全体像
L社は競争力を強化するため、CS調査で高評価の顧客の割合を約60%から80%以上へ、2年以内に引き上げようとしています。改善プロジェクトは、その活動の一環として業務管理システムを改善し、顧客の体験価値を高めます。表1では、従来の構築プロジェクトが正確性・処理性能の向上と所定のリリース時期を重視したのに対し、改善プロジェクトは既存品質を維持し、限られた予算で要件ごとに迅速にリリースすると整理されています。公式の出題趣旨では、事業部門と目標を共有し、プロジェクトの特徴に合わせてマネジメントプロセスを修整する実践的な能力を問うとしています。各設問では、この違いが具体的な計画や判断にどう反映されるかを読み取ります。
設問1
下線①の直前にある、構築プロジェクトの計画を参照してマネジメントプロセスを「修整し、適用する」という記述に着目します。過去の計画は高く評価されていますが、今回は目的やQCDの考え方が異なるため、どの部分を修整すべきか検討する必要があります。公式解答例では「違いに基づきマネジメントプロセスの修整内容を検討するから」としています。35字以内の答案では「両プロジェクトの違いに基づく修整内容の検討」を中心にまとめます。採点講評では、体制整備や変更への柔軟な対応だけを述べた解答が挙げられ、過去の計画を参照して適用する意味に着目するよう求めています。
設問2(1)
要求事項の一覧に情報を追加した後、その情報も踏まえてCSWGが優先度を決定する流れに着目します。CS向上の効果は既にCSWGが予測し、技術的な実現性と影響範囲も改善プロジェクトが確認済みです。追加するのは、効果と実現に必要な負担を比較するための開発側の見積情報です。公式解答例では「要求事項の開発に必要な期間とコスト」としています。20字以内の答案でも「開発に必要な期間」と「コスト」の両方を押さえます。採点講評では「CS向上の効果」や「優先度付けの情報」という解答が挙げられ、CSWGと改善プロジェクトの役割、追加情報の利用目的を区別する必要があるとしています。
設問2(2)
表1の改善プロジェクトのコスト欄にある「CSWGの活動予算の一部として予算が制約されている」という記述が直接の根拠です。優先度の高い要求事項から要件定義を進めても、全てを無制限に開発できるわけではありません。開発コストを踏まえ、与えられた予算に収まるようにスコープを決定します。公式解答例では「予算の範囲内に収まっていること」としています。20字以内の答案では、予算内に収めるという制約を明確に示します。要件ごとに迅速にリリースする方針や最長2年間という条件もありますが、この設問の公式解答例が示す要点は予算の制約です。
設問2(3)
M氏の要望にある「状況の変化に適応して施策を見直し、新たな施策を速やかに展開することが必要」という記述に着目します。CSWGが要求事項を更新したときに開発側も速やかにスコープ変更を検討すれば、見直された施策をシステム面から実現し、展開を支えられます。公式解答例では「状況の変化に適応し,新たな施策を速やかに展開すること」としています。30字以内の答案では「状況の変化への適応」と「新たな施策の迅速な展開」を結び付けます。単にスコープを変更することを繰り返すのではなく、その変更がCSWGの活動にどのように役立つかを述べる設問です。
設問3(1)
一つの要件を実現するために、販売管理・顧客管理・顧客チャネルの全機能を同時に改修する可能性がある点に着目します。要件ごとのチームで迅速に開発するには、複数機能をまたぐシステムと業務を理解しているメンバが必要です。本文には、リリース後の保守をローテーションで担当し、全体を理解したメンバが育っているという記述があります。公式解答例では「L社業務管理システム及び業務の全体を理解したメンバ」としています。30字以内の答案では「システム」と「業務」の両方について、全体を理解していることを押さえます。
設問3(2)
表1の改善プロジェクトの品質欄にある「現状の正確性と処理性能を維持した上で、顧客の体験価値を高める」という記述が根拠です。改修によって既存機能に不具合や性能低下が生じれば、この品質方針を満たせません。そのため、リグレッションテストで改修後も既存の品質が維持されているかを確認します。公式解答例では「現状の正確性と処理性能が維持されていること」としています。25字以内の答案では「正確性」「処理性能」「維持」の三点を押さえます。「既存機能が動くこと」だけでは、確認対象である処理性能まで明確に示せません。
設問3(3)
改善プロジェクトの目的が、システム改善によって顧客の体験価値を高め、CS向上につなげることにある点に着目します。CSWGはCSと施策の効果を分析・評価する一方、改善プロジェクトのチームは、自らリリースした要件が顧客の体験価値をどの程度高めたかを重点的に評価して共有します。公式解答例では「リリースした要件による顧客の体験価値向上の度合い」としています。30字以内の答案では、効果の原因となる「リリースした要件」と、評価対象である「顧客の体験価値向上の度合い」を結び付けます。正確性や処理性能の維持は設問3(2)の確認観点であり、ここでは改善によって得られた効果を述べます。
学習のポイント
目的とQCDの違いから計画の修整内容を導き、CSWGと開発側の役割を区別して設問に対応する根拠を選ぶ力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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