PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和3年度秋期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
判断の前提をそろえる視点
新しい事業に関わる計画を考えるときは、判断の土台となる前提に注目しましょう。与えられた情報のうち、何が確かな事実で、何がまだ仮定なのかを区別し、その違いを意識しながら検討を進めてください。
この問題で問われていること
この問題では、個々の判断がどのような前提に立っているかを意識して考えてみましょう。自分が当然だと思って補った条件と、実際に与えられた条件を分け、根拠のない思い込みが混ざっていないかを確認することが検討の手掛かりになります。
視点
事実は与えられた情報から確認できる内容、仮定は考えるために補った内容として整理します。仮定を置くこと自体よりも、それを事実と混同していないかに目を向けましょう。
確認ポイント
- 判断の土台としている前提は何か
- その前提には与えられた情報による根拠があるか
- 自分が補った仮定を事実として扱っていないか
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解説
本問では、不確実性の高い新事業に対して、初期投資を抑えるクラウド利用、変化への適応、迅速な技術検証、計画の段階的な詳細化を結び付けます。さらに、多様な知見の活用、リスク対応戦略の選択、部門を横断したチーム編成によって事業戦略を実現する考え方を問います。
問題の全体像
D社は従来の堅実な開発・運用では新商品や新規顧客への対応が遅れるため、子会社G社でデジタル技術を活用した新事業を始めます。ただし、顧客の反応や事業の進展を予測しにくく、投資、システムの柔軟性、技術選定、計画、組織運営を従来とは異なる形で考える必要があります。公式の出題趣旨では、現状を正確に分析し、前例にとらわれず、不確実性の高いプロジェクトの特徴に合った計画とリスク対応を行う能力が問われています。各設問では、本文の課題とH氏の施策を対応させて読み取ります。
設問1(1)
着目するのは、経営企画部が整理した「新事業の運営には大きな不確実性があるので、システム開発に伴う初期投資を抑える必要がある」という課題です。使用するサービスやリソース量に応じた課金は、当初から大きな設備投資を行う負担を抑えることにつながります。公式解答例では「システム開発に伴う初期投資を抑えるため」としています。30字以内の答案では、課金方式の説明を繰り返すよりも、その利用目的である「初期投資の抑制」を明示します。
設問1(2)
経営企画部の課題にある「顧客のニーズや他社動向の急激な変化が予想される」という記述に着目します。サービスやリソースを柔軟に選択できれば、この変化に合わせてシステムの機能やリソースを迅速に適応させられます。ただし、設問が尋ねているのは効果ではなく、適合する環境です。公式解答例では「顧客のニーズや他社動向の急激な変化が予想される環境」としています。30字以内で、変化の対象と急激な変化が予想される点を押さえます。
設問1(3)
技術選定の課題には、「仮説と検証を繰り返して実現性や適合性などを評価すること」と「多くの時間を掛けずに迅速に決定すること」の二つがあります。クラウドに検証環境が備わっていれば、技術を効率良く評価し、この両方を満たせます。公式解答例では「仮説と検証を多くの時間を掛けず繰り返し実施できるから」としています。30字以内の答案では、単に「効率良く評価できる」と下線部を言い換えるだけでなく、仮説と検証の反復を短時間で行えることを示します。
設問2(1)
着目するのは、事業の進展状況に従ってスコープが明確になり、計画に必要な情報も順次明らかになるという記述です。最初から全てを詳細に計画するための情報がそろっていないため、事業の進展に合わせて計画を具体化します。公式解答例では「計画の内容を事業の進展状況に合わせて段階的に詳細化する。」としています。35字以内の答案では、「事業の進展状況に合わせること」と「段階的に詳細化すること」の両方を含めて方法を説明します。
設問2(2)
採用基準は、技術に詳しいことに加えて、多様な価値観を受け入れ、それぞれの知見を生かして議論できることです。狙いは個人の知識を増やすことにとどまらず、異なる経験や知見を組織として活用し、新事業の実現につなげることです。公式解答例では「多様な知見を活用し,新事業を実現するため」としています。採点講評では、G社に足りない技術や知見の獲得だけを狙った解答が散見されたと指摘しています。25字以内で、「多様な知見の活用」と「新事業の実現」を結び付けます。
設問3(1)(a)
表1のaは、脅威への対応戦略で、適用対象は「法令違反など、新事業の存続を揺るがすような脅威」です。事業の存続に関わる脅威には、影響を小さくする軽減や、そのまま引き受ける受容ではなく、脅威を避ける戦略を対応させます。公式解答例では「回避」としています。表の左側が脅威への対応であることと、適用する脅威の重大性を確認して判断します。
設問3(1)(b)
本文では、G社社長が軽減又は受容を選ぶ場合に「組織のリスク許容度に基づいてリスクを適切に評価する」と述べています。表1でも、bを上回る脅威には軽減、bと同等か下回る脅威には受容を適用しており、bはその判断基準です。公式解答例では「リスク許容度」としています。同じbが二つの行に入るため、軽減と受容の両方の説明に整合する語句を選びます。
設問3(1)(c)
表1のcは機会への対応戦略で、「影響度や発生確率を高めることで、事業の実現に効果が高い機会」に適用します。機会がもたらす好ましい影響や、その機会が発生する確率を高める戦略なので、公式解答例では「強化」としています。確実に捉えるべき機会に適用する「活用」、第三者とともに活動する「共有」と区別し、影響度や発生確率を高めるという説明に対応させます。
設問3(1)(d)
表1のdは脅威への対応戦略で、セキュリティの脅威など、外部の専門組織に対応を委託できる脅威に適用します。ここでは、自組織だけで対応するのではなく、外部に対応を担わせる点が手掛かりです。公式解答例では「転嫁 又は 移転」としています。脅威を避ける回避や、影響・発生確率を下げる軽減ではなく、外部の専門組織への委託という特徴から判断します。
設問3(2)
着目するのは、部内では活発に議論できている一方、事業部は要求事項の提示、システム部はその実現だけを自分たちの役割と考えている状況です。この部門ごとの役割認識を改善し、多様な知見を生かして新事業を一体感をもって実現するには、両部のメンバが同じチームに参加する必要があります。公式解答例では「組織横断的に事業部とシステム部のメンバを参加させる。」としています。採点講評でも、両部のメンバを混在させたチーム編成の必要性が示されています。30字以内で、組織横断と両部の参加を明示します。
学習のポイント
本文の課題と対応策を因果関係で整理し、設問が求める内容を字数内で表す練習が重点です。人材の多様性を組織として活用する観点と、脅威・機会それぞれのリスク対応戦略も押さえます。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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