PMプロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ

令和3年度秋期 プロジェクトマネージャ 午前Ⅱ 問21

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

常時10名以上の従業員を有するソフトウェア開発会社が,社内の情報セキュリティ管理を強化するために,秘密情報を扱う担当従業員の扱いを見直すこととした。労働法に照らし,適切な行為はどれか。

選択肢

  1. ア
    就業規則に業務上知り得た秘密の漏えい禁止の一般的な規定があるときに,担当従業員の職務に即して秘密の内容を特定する個別合意を行う。
  2. イ
    就業規則には業務上知り得た秘密の漏えい禁止の規定がないときに,漏えい禁止と処分の規定を従業員の意見を聴かずに就業規則に追加する。
  3. ウ
    情報セキュリティ事故を起こした場合の懲戒処分について,担当従業員との間で,就業規則の規定よりも重くした個別合意を行う。
  4. エ
    情報セキュリティに関連する規定は就業規則に記載してはいけないので,就業規則に規定を設けずに,各従業員と個別合意を行う。
解き方のヒントを見る

判断の前提となる事実を整理する

この分野を検討するときは、判断の前提となる事実の範囲に注目しましょう。示されている条件と、自分が補っている想定を区別し、一般的なイメージだけで結論へ進んでいないかを確かめることが大切です。

この問題で問われていること

確認する観点は、考えようとしている結論が、どの事実を前提としているかです。与えられた条件に立ち返り、その前提が実際に示された内容に基づくのか、読み手の推測によって付け加わったものなのかを整理しましょう。

視点

判断には前提が伴います。扱う情報に関する印象から事情を補わず、示された事実と仮定を分けて整理すると、検討の出発点が明確になります。

確認ポイント

  • 判断の前提にしている事実を言葉にできるか
  • その事実は与えられた条件に示されているか
  • 示されていない事情を前提に加えていないか
正解と解説を見る

正解

ア

解説

正解はアです。就業規則の一般的な秘密保持義務と矛盾せず、職務に即して対象を具体化する個別合意は適切です。一方、就業規則より重い懲戒を定める合意には、労働契約法12条の最低基準効が働きます。

個別合意と就業規則の最低基準効

アの個別合意は、就業規則にある一般的な秘密保持義務について、担当従業員の職務に即して秘密の内容を特定するものです。一般規定と矛盾せず、その内容を具体化するため適切です。これに対し、労働契約法12条は、就業規則の基準に達しない労働条件を定めた労働契約について、その部分を無効とし、就業規則の基準を適用すると定めています。これが最低基準効です。就業規則より重い懲戒を定めるウの合意は従業員に不利な条件なので、本人の合意があっても、その部分は無効となります。

各行為の違いと不適切な理由

アは既存の秘密保持義務を具体化する合意です。ウは就業規則より重い懲戒を個別に定める合意であり、最低基準効によって重くした部分が無効となる点で異なります。イは規定の追加自体ではなく、意見聴取を省く点が不適切です。労働基準法90条により、就業規則の作成・変更では過半数労働組合、又はそれがない場合は従業員の過半数を代表する者の意見を聴く必要があります。エは、情報セキュリティに関連する規定を就業規則に記載できないという前提が誤りです。秘密保持義務や懲戒に関する規定は就業規則に設けられます。

選択肢ア(正解)

これは正解だよ。就業規則にある一般的な秘密保持義務を、担当従業員の職務に即して具体化する合意です。秘密の内容を特定しても、就業規則の基準に反したり、従業員に不利な労働条件へ変更したりするものではありません。一般規定と矛盾しない具体化なので、適切です。

選択肢イ

これは不正解だよ。漏えい禁止と処分の規定を追加すること自体は可能ですが、従業員の意見を聴かずに変更する点が不適切です。労働基準法90条では、就業規則の作成・変更に際し、過半数労働組合、又はそれがない場合は従業員の過半数を代表する者の意見を聴く必要があります。必要なのは意見聴取であり、同意ではありません。

選択肢ウ

これは不正解だよ。就業規則より重い懲戒処分を定める個別合意は、従業員に不利な労働条件を定めるものです。労働契約法12条の最低基準効により、就業規則の基準に達しない労働条件を定めた合意は、その部分が無効となります。無効となった部分には就業規則の基準が適用されるため、本人が合意しても重い処分の根拠にはできません。

選択肢エ

これは不正解だよ。情報セキュリティに関連する規定を就業規則に記載してはいけないという前提が誤りです。業務上の秘密保持義務や、違反した場合の懲戒に関する規定は就業規則に設けられます。したがって、記載が禁止されていることを理由に、就業規則に規定を設けず個別合意だけで対応するという判断は不適切です。

学習のポイント

就業規則の義務を具体化する合意と、就業規則より不利な条件を定める合意を区別し、変更時の意見聴取も理解しましょう。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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