PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和2年度10月 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
与えられた情報と推測を分ける
チーム育成や生産性向上を検討するときは、与えられた情報と、自分が経験や印象から補った推測を分けて整理しましょう。もっともらしさだけで判断せず、考えの根拠がどの情報にあるかを確かめることが大切です。
この問題で問われていること
判断の根拠として使おうとしている内容が、与えられた情報なのか、自分で追加した前提なのかに注目してください。現場での経験や一般的な印象を持ち込んでいないか、判断に使う情報の出どころを一つずつ確かめましょう。
視点
明示された内容と、そこから自分が想像した内容は区別して扱います。判断を整理する際は、推測をいつの間にか事実に置き換えていないかを点検しましょう。
確認ポイント
- 判断の根拠にした情報の出どころを確認したか
- 明示された内容と自分の推測を区別したか
- 経験や印象から前提を付け足していないか
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解説
本問は、サービスの提供価値を継続的に高めるために、指示待ちや役割の固定化を改善し、学び続けるチームを育てる問題です。顧客の視点での生産性を軸に、率直なヒアリング、基本原則への合意と共有、役割の見直し、ローテーション、自律的な行動への支援を結び付けて理解する。
問題の全体像
P社は、E社の消費者向けサービスを改善するシステム開発を受託している。E社は、サービスの提供価値を継続的かつ迅速に高めるため、次のプロジェクトでリリース間隔を4か月から最終的に1~2か月へ短縮することを求めている。PMに就任したQ課長は、技術面の改善に加え、指示待ち、役割の固定化、コミュニケーション不足、育成時間の不足を改善しようとする。出題趣旨では、チームの状況を的確に把握し、メンバの能力獲得と成長を促す活動を計画する実践的な能力を問うとしている。各設問は、顧客への価値を起点として、現状把握から自律的に学び続けるチームづくりへ進む考え方を確認している。
設問1(1)(ア)
冒頭のE社の要望にある「時間を含めた投下資源に対して十分な価値を提供できるようにしたい」に着目する。「アに対するイの大きさ」のアは、価値を得るために投入する資源に当たる。顧客は改善の迅速さも求めているので、費用や工数だけでなく時間を含めて捉える必要がある。公式解答例では「時間を含めた投下資源」としている。
設問1(1)(イ)
E社が「サービスの提供価値を継続的かつ迅速に高めていく」ことを求めている点に着目する。イは、投下資源によって得られる成果を顧客の視点で表す部分です。本文は、開発成果物の量による狭義の生産性と区別しているため、作成した機能や成果物の量ではなく、それらが生み出す価値を捉える。公式解答例では「サービスの提供価値」としている。
設問1(2)
Q課長は、自分が観察した状況をメンバがどのように認識しているかを個別に聞こうとしている。ここでQ課長の肯定や否定の考えが伝わると、メンバがPMの意向に合わせて回答し、本来の考えを把握できなくなるおそれがある。そのため、評価を感じさせず、本人の率直な認識を引き出そうとしている。公式解答例では「PMの考えに引きずられないメンバの真の考え」としている。30字以内では、PMの考えに影響されないことと、メンバの真の考えを得ることを押さえる。
設問2(1)
下線③の直前の「顧客の期待に応えるためには」と、E社の「サービスの提供価値を継続的かつ迅速に高めていく」という要望を結び付ける。学習と成長を続けるのは、変化する状況の中でもサービスの価値を高め続けられるチームにするためです。リリース間隔の短縮は、その期待に応えるための手段として位置付けられる。公式解答例では「提供価値を継続的に高めるという期待」としている。25字以内では、提供価値と継続的な向上を中心にまとめる。
設問2(2)(合意)
Q課長が一方的に基本原則を決めるのではなく、全員で議論し、メンバの総意として決定した点に着目する。メンバ自身が考えを出し合って合意することで、原則の必要性を納得して受け止め、実践に移りやすくなる。公式解答例では「メンバ全員が納得した上で行動に移れるようにするため」としている。30字以内では、全員の納得と、それに基づく行動への移行を押さえる。
設問2(2)(明文化・共有)
観察結果にある、行動の基本原則を議論したことがなく、PMやSTリーダが都度判断していたという状況に着目する。合意した原則を明文化して共有すれば、メンバ全員が共通の基準を参照し、自ら考えて判断できるようになる。公式解答例では「メンバ全員が自律的に行動するための基準とするため」としている。30字以内では、自律的な行動のための基準という目的を示します。合意の目的である納得とは区別して答える。
設問3(1)
冒頭に、E社のシステムが「消費者向けのサービスを提供する」とある点に着目する。P社のチームがE社とサービスの提供価値を共創して高めると、その価値は最終的にサービスを利用する人へ届く。したがって、下線④のステークホルダは「消費者」であり、公式解答例も同じ内容です。採点講評では、顧客や自社の経営層と答えた例に触れ、社会に価値を提供するというプロジェクトの本質的な目的を意識することを求めている。
設問3(2)
観察結果にある、役割分担にこだわりすぎて「ST間の稼働が不均衡になる」という記述に着目する。仕様確定が遅れると開発チームが待ち、不具合改修が滞ると仕様管理・検証チームが待つため、一方に仕事が集中しても他方が支援しにくい。活動(ロ)で必要に応じて役割分担を見直すのは、この偏りを解消するためです。公式解答例では「ST間の稼働の不均衡」としている。15字以内では、稼働の不均衡という具体的な課題を端的に示す。
設問3(3)
活動(ハ)の目的である、相互理解の深化、役割の固定化の解消、異なる視点からの改善アイディアの獲得をまとめて満たす施策を考える。メンバがSTを移って別の仕事を経験すれば、他のSTの仕事を理解し、役割の固定化を緩め、これまでと異なる視点で改善を考えられる。公式解答例では「メンバのローテーション」としており、15字以内に収まる。採点講評では、自由なコミュニケーションやタイムリな意見交換という解答が見られたことに触れ、役割の固定化の解消につながる抜本的な施策が必要だとしている。
設問3(4)
従来のPMやSTリーダが、失敗を回避するために詳細かつ具体的な指示を出していた点と、活動(ホ)がメンバの自律的な行動と結果への責任を求めている点を結び付ける。成長を支援するには、メンバ自身の判断と行動を尊重し、その経験から学ぶ機会を与える必要がある。公式解答例では「自律的な判断と行動を尊重して,学びの機会を与える」としている。30字以内では、自律的な判断・行動の尊重と、学びの機会の提供という二つの要素を押さえる。
学習のポイント
本文の課題と施策の目的を対応付け、合意による納得と明文化による判断基準の共有を区別する。顧客の先にいる消費者への価値と、メンバの自律性を育てる支援にも着目する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和2年度10月 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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