PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和2年度10月 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
DX推進体制を考える視点
DX推進の立ち上げでは、目的や対象範囲を起点に、関係者の役割、意思決定の流れ、必要な協力関係を整理し、実行時に迷いが生じない構造かを確認します。関係者間で認識をそろえ、継続的に見直せる余地も意識します。
この問題で問われていること
一つの観点に絞るなら、掲げた目的を実行へ移すために、誰が何を担い、どの場で判断や調整を行う設計になっているかを丁寧に見極めてください。役割の明確さと連携のしやすさを、問題文の記述に照らして考えます。
視点
体制を検討するときは、理想的な名称や形式よりも、目的達成に必要な責任と協働のつながりが明確かという視点で整理します。担当範囲の重なりや空白、判断が滞る箇所にも目を向けます。
確認ポイント
- 目的と体制の役割が結び付いているか
- 担当範囲に重複や抜けがないか
- 判断や調整が円滑に進む構造か
正解と解説を見る
解説
G社のDXプロジェクトについて、プロジェクト憲章で全社的な承認と協力を得て、専任体制と工場横断の人材を整え、IT専門家の支援とITSへの技術移転によって遅延回復・本番運用準備を図る問題です。
問題の全体像
G社は、温度や湿度で投入量が変わる化学製品の生産コストを削減するため、L工場でDX検討システムを使った最適化を進め、その後に自動化システムを開発して全国展開しようとしている。しかし、DX検討チームは現業との兼務で時間が不足し、ITに不慣れなため分析・評価が遅れている。また、L工場のITSは高負荷で、重要な生産システムを自力で復旧できる技術も必要です。設問は、これらの課題を解消するプロジェクト憲章、チーム編成、進め方の狙いを問う。
設問1(1)
プロジェクト憲章をCDOから全社へ発表するのは、プロジェクトが全社的に承認された重要案件であることを明確にし、各部門から協力を得るためです。単に内容を周知するのではなく、全社の協力体制を確立する狙いまで書く。公式解答例も「プロジェクトの承認を全社に伝え協力体制を確立するため」としている。
設問1(2)
プロジェクトの背景には、既に役員会で決定された「工場の生産プロセスDXを今期の最優先案件としたこと」を明記する。これは、プロジェクトの優先度や全社的な位置付けを示し、必要な協力や資源配分の根拠となる重要事項です。
設問2(1)
CDOの直下にプロジェクトチームを置くことで、特定部門の制約に左右されず、全社から必要な人材が参加できる体制を作る。公式解答例の「全社からプロジェクトへ参加できる体制とするため」は、DXを全社横断で進める必要性に対応している。
設問2(2)
DX検討チームは現業部門と兼務しており、工場長から現業を優先するよう求められている。そのため兼務を解き専任化し、最適化の案を検討する時間を確保することが狙いです。単に負荷を下げるだけでなく、遅れている検討作業を進める時間の確保を示します。
設問2(3)
来期にはL工場で完成した自動化システムをN工場へ展開する計画です。N工場のメンバを早期に参加させ、L工場での検討や自動化の進め方を経験させることで、横展開に必要な手順を習得してもらう狙いがある。
設問3(1)
DX検討チームはIT活用に不慣れで、データ分析・評価や最適化案の検討に進めず遅延している。IT統括部のメンバを支援に加えることで、ITと生産プロセス分析の専門知識を補い、遅れを回復することが狙いです。採点講評でも、単に状況を説明するのではなく、スキルのあるメンバによる遅延回避を示すことが求められている。
設問3(2)
自動運転のパラメタ変更やAIへの学習は、異常時にも対応できるITSの重要な業務になる。外部ベンダの協力を得ながらITSメンバが技術を習得し、本番運用では自分たちだけで迅速に復旧・対応できるようにする狙いです。公式解答例は、システム異常時にITSが自力で迅速に対応できるようにする点を示している。
学習のポイント
提案の背景にある課題を特定し、目的と期待効果を字数内で表現する力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和2年度10月 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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