PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ

平成29年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅱ 問1

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問1 システム開発プロジェクトにおける信頼関係の構築・維持について プロジェクトマネージャ(PM)には、ステークホルダとの信頼関係を構築し、維持することによってプロジェクトを円滑に遂行し、プロジェクト目標を達成することが求められる。 例えば、プロジェクトが山場に近づくにつれ、現場では解決を迫られる問題が山積し、プロジェクトメンバの負荷も増えていく。時間的なプレッシャーの中で、必要に応じてステークホルダの協力を得ながら問題を解決しなければならない状況になる。このような状況を乗り切るには、問題を解決する能力や知識などに加え、ステークホルダとの信頼関係が重要となる。信頼関係が損なわれていると、問題解決へ向けて積極的に協力し合うことが難しくなり、迅速な問題解決ができない事態となる。 PMは、このような事態に陥らないように、ステークホルダとの信頼関係を構築しておくことが重要であり、このため、行動面、コミュニケーション面、情報共有面など、様々な切り口での取組みが必要となる。また、構築した信頼関係を維持していく取組みも大切である。 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア〜ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴、信頼関係を構築したステークホルダ、及びステークホルダとの信頼関係の構築が重要と考えた理由について、800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べたステークホルダとの信頼関係を構築するための取組み、及び信頼関係を維持していくための取組みはそれぞれ、どのようなものであったか。工夫した点を含めて、800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問アで述べたプロジェクトにおいて、ステークホルダとの信頼関係が解決に貢献した問題、その解決において信頼関係が果たした役割、及び今後に向けて改善が必要と考えた点について、600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
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信頼関係を見極める基本視点

関係者との信頼を考えるときは、個別の施策名や表現に引きずられず、相手との関わり方が継続的な理解と協力につながるか、長期的な関係の観点から全体を丁寧に整理します。

この問題で問われていること

一つの観点として、関係者の期待や懸念を把握し、対話や対応を通じて相互理解を保つ流れになっているかを、問題文にある記述同士の関係に照らして丁寧に確認してください。

視点

信頼は単発の対応だけでなく、相手の立場を捉え、認識をすり合わせ、必要に応じて関わり方を調整する一連の考え方として整理すると、各記述の意味を比較しやすくなります。

確認ポイント

  • 関係者の期待や懸念を把握する視点が含まれているか。
  • 認識のずれを対話や共有によって調整する流れがあるか。
  • 一時的な対応ではなく、継続的な関係維持につながるか。
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解説

本問は、システム開発プロジェクトの具体的な経験を基に、ステークホルダとの信頼関係を構築・維持する取組みと、それが問題解決や目標達成に果たした役割を一貫して論述する問題です。

問題の全体像

プロジェクト終盤など、問題が増え、メンバの負荷や時間的なプレッシャーが高まる状況では、PMが必要に応じてステークホルダの協力を得て迅速に問題を解決する必要がある。そのため、問題解決能力だけでなく、平常時から信頼関係を構築し、状況が厳しくなっても維持する取組みが問われている。設問アでは対象プロジェクトとステークホルダ、重要性を示し、設問イでは構築・維持の取組みと工夫を、設問ウでは信頼関係が問題解決に貢献した具体例、果たした役割、改善点を述べる。公式の出題趣旨でも、これらを通じてステークホルダ管理に関するPMの知識、経験、実践能力を評価すると説明されている。

設問ア

まず、後続の設問イ、ウと同じプロジェクトを前提に、システム開発の特徴を800字以内で絞って示す。例えば、関係者の多さ、納期の厳しさ、業務影響の大きさ、技術的な難しさなど、そのプロジェクトで信頼関係が必要になった背景を明確にする。次に、信頼関係を構築したステークホルダを具体化し、顧客、利用部門、他部署、協力会社などから、誰との関係を論じるのかを明示する。最後に、問題発生時に協力や迅速な意思決定が必要だったことなど、なぜその相手との信頼関係が重要だったのかを、プロジェクトの特徴と結び付けて述べる。

設問イ

800字以上1、600字以内で、信頼関係を構築する取組みと、構築後に維持する取組みを分けて書く。構築では、相手の期待や懸念を把握する対話、約束を守る行動、課題やリスクの早期共有、判断材料の提示など、信頼を得るために実施した行動を具体化する。維持では、定期的な報告、状況変化の継続的な共有、問題発生時の隠さない説明、合意事項の確認など、関係を損なわないための継続的な活動を示します。さらに、相手ごとに情報の粒度や伝達方法を変えた、悪い情報も早期に伝えた、会議だけでなく個別対話を使ったなど、自分が工夫した点を加える。採点講評では、信頼関係の構築には様々な切り口の取組みが必要とされているため、単なる『丁寧に対応した』という一般論ではなく、対象、行動、工夫、効果を具体的に記述することが重要です。

設問ウ

600字以上1、200字以内で、信頼関係が実際の問題解決に結び付いた場面を一つ具体的に選ぶ。まず、納期遅延、要件変更、障害、品質問題など、そのプロジェクトで発生した問題と影響を示します。次に、信頼関係があったことで、ステークホルダが早期に情報を提供した、優先順位の調整に応じた、必要な要員や判断を提供したなど、解決にどのような役割を果たしたかを説明する。単に『協力を得られた』とせず、信頼関係がなければ何が遅れ、信頼関係によってどの対応が可能になったかまで書くと、貢献が明確になる。最後に、情報共有の範囲、関係者の巻き込み時期、属人的な関係への依存など、経験から見えた改善点を、今後の具体的な取組みとして述べる。採点講評が求めるのは、問題文の事例やPM一般論の引用ではなく、論述したプロジェクトの特徴を踏まえた経験と考えです。

学習のポイント

一般論ではなく、プロジェクトの特徴、相手、行動、結果を具体的に結び付けて書く力が重要です。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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