PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
平成29年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
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判断の対象と根拠を対応させる
システム開発の委託を考える際は、ある判断が何を対象とし、どの情報を根拠としているかに注目しましょう。用語の印象だけで捉えず、与えられた情報と判断の対象との対応を丁寧に整理することが大切です。
この問題で問われていること
この分野では、判断に使う情報が、その判断の対象に関係しているかという一点を意識してください。情報が詳しいかどうかだけで捉えず、何についての判断を支える情報なのかを確かめながら考えましょう。
視点
判断の対象と、その根拠にする情報を分けて整理すると、情報が何について述べているのかを捉えやすくなります。対象と根拠の対応という一つの視点を保って考えましょう。
確認ポイント
- 何について判断する場面かを確認する
- その判断の根拠となる情報を確認する
- 判断の対象と根拠の対応を確認する
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解説
本問は、派遣契約で評価の高いサプライヤへの請負委託を題材に、完成責任、手戻りを許さない制約、契約上の依頼方法、品質管理プロセスの履行を問う。成果物が良好でも、合意したレビュー記録や管理が実施されているかを確認することが要点です。
問題の全体像
X社は、提供時期が決まったCCシステムの改修案件で、従来は派遣契約で高く評価していたA社に、内部設計から単体テストまでを請負契約で委託しようとしている。A社の実作業能力は確認できているが、X社との請負契約での遂行能力は未確認であり、大きな手戻りを防ぐために進捗・品質管理の条件を具体化する必要がある。公式資料の出題趣旨では、契約形態を意識した契約交渉と、開始後の契約に沿ったサプライヤ管理が問われている。後半では、成果物の品質が良好でもレビュー記録が不十分という状況から、品質管理プロセスの問題を読み取る。
設問1
着目するのは、今後の委託を派遣契約から請負契約中心に変えるという下線①です。派遣契約ではX社が作業を指揮して完成させるのに対し、請負契約ではA社が委託範囲の完成責任を負う。そのため、公式解答例では「X社の完成責任の負荷が軽減されること」としている。25字以内の答案では、軽減される対象を「完成責任の負荷」と明示する。X社が保険会社に対して負う新案件全体の完成責任までなくなるという意味ではありません。
設問2(1)
冒頭の新案件の条件に着目する。予算には不足がない一方、新機能の提供時期が決まっており、スケジュール上、大きな手戻りを許す余裕がない。このため、進捗や品質の問題を早期に把握できる開発条件が必要になる。公式解答例では「スケジュールに大きな手戻りを許す余裕がないこと」としている。30字以内の答案では、単に開発期間が6か月であると述べるより、手戻りを許容できない制約を押さえる。
設問2(2)
A社との過去の五つの案件が、いずれも派遣契約だった点に着目する。実作業能力や成果物の品質が高くても、A社が自ら進捗・品質を管理して完成責任を果たせるかは、それだけでは確認できない。他社での請負実績は役員から聞いているが、調達部もその遂行能力を把握したいとしている。公式解答例では「A社の請負契約の遂行能力が把握できていないこと」としている。25字以内では、未確認なのが請負契約の遂行能力であることを明示する。
設問3(1)
RFPのソースコードの品質確認条件に着目する。A社メンバによるレビューに加え、静的解析ツールで診断し、製造及び単体テストの工程完了時点までに、修正が必要とされた問題点を全て対処する条件がある。したがって、診断の実施だけでなく、その結果に基づく対処もアクティビティとして把握する必要がある。公式解答例は、この問題点への対処を挙げている。30字以内では「静的解析ツールで修正が必要とされた問題点への対処」とまとめられる。
設問3(2)
RFPに瑕疵担保責任が明記され、請負契約の対象が内部設計から単体テストまでである点に着目する。結合テスト期間中に、その請負範囲の成果物にA社の瑕疵が見つかれば、請負契約に基づく修復が必要になる。公式解答例では「A社の瑕疵に対する修復」としており、15字以内に収まる。採点講評では、結合テストで摘出された欠陥の全てに無償で対応するという解答が見られたと指摘し、対象は請負契約で委託した範囲の成果物であると説明している。
設問3(3)
Z主任には派遣契約でA社のエンジニアと働いた経験があるが、今回は内部設計以降が請負契約になっている点に着目する。以前の関係のまま、A社メンバに直接作業を指示しないよう注意が必要です。公式解答例では「直接に依頼をできるのは、B主任に対してだけであること」としている。30字以内の答案では、直接依頼する窓口がB主任に限られることを示します。採点講評では、請負契約及び準委任契約では発注側に指揮命令権がなく、委託先の責任者に対しても指揮命令してよいわけではないと指摘している。
設問4(1)
サプライヤ選定時に確認した、過去のレビュー結果に着目する。A社が担当した機能は標準的な難易度で、成果物の品質は良好だったが、レビューで摘出された欠陥の件数と内容の定性分析結果も各工程の品質目標に対して妥当だった。今回の難易度も同等なので、「優秀なメンバが担当したため指摘が少ない」という説明には確認の余地がある。公式解答例では、A社担当機能のレビューで適切な量と内容の欠陥が摘出されていた事実を挙げている。45字以内では「A社が担当した機能のレビューでは、適切な量と内容の欠陥が摘出されていたこと」と表せる。
設問4(2)
開発条件の調整時には、自席で随時行う対面レビューも含めて記録するプロセスに合意していた。しかし、実際には対面レビューのごく一部しか記録されず、B主任も当初は現場の実態を把握せずに説明していた。成果物の品質は妥当でも、合意したプロセスが現場で守られるように管理されていないことが問題です。公式解答例では「合意したプロセスにのっとるようにマネジメントされていないこと」としている。35字以内の答案では、この管理上の問題を押さえ、記録漏れという個別の現象だけで終わらせない。
学習のポイント
派遣・請負・準委任の違いを事例に結び付け、修復責任の対象範囲と、品質管理プロセスを確認する視点を学ぶ。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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