PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
平成29年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
判断の前提をそろえて整理する
計画を検討するときは、判断の前提がどこに置かれているかに注目しましょう。与えられた条件と、自分で補った想定を区別して整理すると、知識や経験だけで結論を急がず、検討の土台を確かめられます。
この問題で問われていること
この話題では、結論そのものよりも、どの条件を前提に考えているかを意識してみましょう。検討の途中で別の想定を持ち込んでいないかを振り返り、最初に与えられた条件とのつながりを確認することが学習の手掛かりになります。
視点
前提は、考察の出発点となる条件です。与えられた条件と、自分の経験から補った想定を分けて捉えましょう。両者を混同していないかを確かめることが、判断の根拠を整理する助けになります。
確認ポイント
- 与えられた条件を前提として捉えているか
- 自分で補った想定を条件と混同していないか
- 検討の途中で前提が変わっていないか
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解説
輸出開始の期限を守るため、認証済みパッケージの適用、顧客の投入工数に応じたスコープ確定、増設工事との同期、分析機能の先送りを判断する問題です。本文の制約から各提案の理由とリスク源を導きます。
問題の全体像
食品メーカのK社は、来年6月の海外輸出開始に向け、製造装置の増設とMES導入を並行して進めます。来年4月の商用運転開始までにMESのテストを終える必要があり、両方の作業期間に余裕はありません。一方、K社作業員の参加には制約があり、分析機能に必要な基準や履歴データも整っていません。公式の出題趣旨では、スコープ、ステークホルダ、リスク、スケジュールのトレードオフと外部との依存関係を把握し、計画策定と合意形成を行う能力を問うとされています。各設問では、U課長の提案を、期限や作業条件と結び付けて説明します。
設問1
着目するのは、海外輸出開始が最重要課題であることと、W社パッケージをそのまま適用すればMESについて改めてGMP認証を受ける必要がないという記述です。機能変更や独自構築では再認証の期間が加わり、必達のスケジュールを脅かします。公式解答例では、認証に要するスケジュールリスクの軽減、又は認証が不要になることによる期間短縮を挙げています。30字以内では「GMPの認証が不要で、期間を短縮できるから」とまとめられます。ここで不要になるのはMESの再認証であり、製造プロセス全体の認証が不要になるという意味ではありません。
設問2
ワークショップでは、W社パッケージの標準プロセスと現在の業務手順との差異を確認します。その結果を基にパラメタを設計するため、複雑な製造プロセスを理解する作業員の参加が、確認の精度を左右します。差異を見落とすと、後工程で運用上の問題が判明して手戻りが生じ、予定期間内の完了が難しくなります。公式解答例では、現状の製造プロセスをMESで正しく運用できることの確認を要点としています。採点講評では、確認精度を高めて後工程の手戻りを防ぐ意図の理解が求められています。40字以内では「現状の製造プロセスがMESで正しく運用できることを確認する必要があるから」とまとめます。
設問3(1)
着目するのは、差異確認にはK社の主体的な参加が不可欠であり、T社が増員してもK社の役割を代替できないという記述です。K社の投入工数はT社だけでは調整できず、その見通しが不明なままでは実施可能なスコープを確定できません。そこで、投入可能な工数を把握してスコープを決めようとしています。公式解答例では、T社で調整できない要因によってスコープが確定できないリスクの回避を挙げています。40字以内では「T社で調整できない要因でスコープが確定できないリスクを回避したいから」とまとめます。採点講評では、単に『投入工数によってスコープが変わる』と設問を言い換えるだけでは、外部リスクを事前に排除する意図を説明できないと指摘されています。
設問3(2)(リソース)
L部長は、作業員全員が既存の製造プロセスを担当しており、ワークショップに集中させることは難しいと回答しています。しかし、業務手順との差異確認はK社の参加を前提とし、T社の増員では代替できません。したがって、リスク源はK社作業員がどの程度参加できるかという不確実性です。公式解答例では「ワークショップへのK社作業員の参加の程度」と示されており、25字以内に収まります。T社の要員不足という一般的な表現にせず、必要な参加者と参加する作業を具体的に示します。
設問3(2)(スケジュール)
図2では、増設工事の終了とMESの全体テスト開始が破線矢印で同期しています。全体テストには実際の製造装置が必要であり、増設工事が遅れるとテスト開始も遅れ、4月の商用運転開始に影響します。したがって、リスク源はMESプロジェクトが依存する増設工事の完了時期です。公式解答例では「増設工事が予定どおり8か月で終わるかどうか」と示されており、25字以内に収まります。『スケジュールに余裕がない』という状況だけでなく、遅延を引き起こす外部作業の不確実性を答えます。
設問4①
分析機能の説明では、履歴データのどの項目を使い、どのような分析をするかという生産計画最適化の基準が明確であることを、AI活用の前提としています。これに対し、L部長は基準となるKPIについて検討の方向性がまだ決まっていないと回答しています。分析の目的や基準が定まっていないため、分析機能の利用条件が整っていません。公式解答例では、この基準の検討方向が未定であることを理由に挙げています。35字以内では「生産計画最適化の基準について検討の方向性が決まっていないから」とまとめます。
設問4②
もう一つの前提は、一定期間の履歴データがそろっていることです。L部長は、今回増設する製造装置から履歴データの収集を開始すると説明しているため、分析に必要な期間のデータはまだ蓄積されていません。基本機能と履歴管理機能を先に導入してデータを蓄積し、分析機能のリリースを先送りする判断につながります。公式解答例では、分析に必要な期間の履歴データが未蓄積であることを理由に挙げています。35字以内では「分析するために必要な期間の履歴データが蓄積されていないから」とまとめます。①の基準未確定とは別の前提条件として説明します。
学習のポイント
提案と制約の因果関係を読み取り、後工程の手戻り、外部リスク、機能利用の前提条件を区別して説明する力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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