PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
平成26年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
判断の前提をそろえて考える
プロジェクトに関する判断を考えるときは、まず、その判断がどのような前提に基づいているかに注目しましょう。条件として示されていることと、自分で補っていることを分けて捉えると、検討の土台を整理できます。
この問題で問われていること
判断の根拠にしようとしている情報について、どこまでが与えられた条件で、どこからが自分の想定なのかを確かめてください。気になる点があってもすぐに結論へ進まず、前提が明確になっているかという一点に立ち戻りましょう。
視点
前提とは、考えを進める際に土台として置く事柄です。自分には自然に思えることでも、与えられた条件とは限りません。判断を支える前提を短く言葉にし、その出所を確かめてみましょう。
確認ポイント
- 判断に使う前提を言葉にできているか
- 与えられた条件と自分の想定を分けているか
- 想定を確定した条件として扱っていないか
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解説
進捗を適切に管理するには、標準プロセスを定着させる進め方、計画工数による進捗率の集約、進捗表示の前提を理解する必要がある。さらに、特定担当者への負荷集中や仕様の散在が、納期と品質に及ぼす影響を判断することが問われている。
問題の全体像
P社から出向したQ課長が、E社のプロジェクトマネジメントを改善する事例です。E社は少人数でノウハウを共有しているが、明確なプロセスがなく、進捗や品質に問題が生じている。Q課長は、最終的にP社の標準体系に合わせることを目指し、F課長のプロジェクトで進捗率の計算、リソース割当て、遅延対策を確認する。公式の出題趣旨では、進捗管理計画の立案、進捗状況の評価、問題発生時の対応に関する実践的な能力を問うとしている。各設問では、本文の具体的な事実から、問題の原因とプロジェクトへの影響を結び付けることが重要になる。
設問1
着目するのは、2人の課長が過去の成功体験に自信を持ち、統制されたプロセスよりもノウハウ共有による迅速な対応を好んでいる点です。必要性を納得していない状態でP社のプロセスに統一すると、形式的な導入にとどまり、適切な運用や定着につながらないおそれがある。そのためQ課長は、具体的な問題への気付きを与え、少しずつ必要性を理解してもらう方針を選んだ。公式解答例では「プロセス導入の効果が十分に得られないこと」又は「プロセスが正しく定着しないこと」を挙げている。25字以内では、例えば「プロセスが正しく定着しないこと」とまとめる。採点講評では、最終的に標準のプロジェクトマネジメント体系に合わせるという目的を意識した解答を求めており、単に課長の反発を述べるだけでは、導入目的への影響が十分に表れない。
設問2(1)
着目するのは、親アクティビティの進捗率を加重平均するとき、重みであるXᵢに所要日数を用いている点です。所要日数は作業期間を示し、投入する人数を反映した作業量とは異なる。図1でも、A-1機能は5日で5.0人日、A-3機能は10日で20.0人日となっており、期間の比率と工数の比率は一致しない。親の進捗率では、各作業が全体に占める計画工数の割合で子の進捗率を重み付けする。公式解答例では、Xᵢに所要日数ではなく計画工数を用いるとしている。25字以内の答案例は「所要日数ではなく計画工数で加重平均する。」です。採点講評でも、単純平均では親の進捗率を正確に算出できないことが指摘されている。
設問2(2)
着目するのは、成果物を作成するアクティビティについて、進捗率に従って実績線を描き、評価対象日の進み・遅れを表示している点です。作業期間上の位置に進捗率を対応させるには、計画上の成果が日ごとに一定の割合で増えるという前提が必要になる。例えば期間の半分が経過した時点では、計画上の成果も半分に達する想定です。成果が終盤に集中する計画であれば、この表示だけでは実際の計画に対する遅れを判断できない。公式解答例では「アクティビティの成果が、日ごとに一定に増加すること」としている。30字以内では「アクティビティの成果が日ごとに一定に増加すること」とまとめる。問われているのは成果の増え方の前提であり、単に毎日作業することではありません。
設問3(下線②)
着目するのは、G主任がクリティカルパス上のアクティビティの約7割を担当し、長時間の残業を前提としているうえ、既に遅れが発生している点です。G主任には遅れを吸収する余裕がなく、担当するクリティカルパス上の作業が遅れると、プロジェクト全体の完了も遅れる。過去にリカバリできた実績だけでは、今回のスケジュールの安全性は判断できない。公式解答例では、クリティカルパス上のアクティビティの遅れによってプロジェクト全体が遅れることを挙げている。40字以内の答案例は「クリティカルパス上の作業が遅れ、プロジェクト全体が遅れる。」です。理由となる作業の位置付けと、全体への影響を一組で示す。
設問3(下線③)
着目するのは、G主任がレビューの約7割を担当していることと、F課長がレビューの丁寧さに欠けていると認めている点です。作業の集中によってレビューが不十分になると、他の作業者の成果物に含まれる問題を十分に検出できず、多くの成果物の品質低下につながる。ここでは、G主任自身が作成する成果物だけでなく、レビュー対象となる他の作業者の成果物への影響を捉える。公式解答例でも、レビュー不足による他の作業者の成果物の品質低下を挙げている。40字以内の答案例は「レビュー不足により、他の作業者の成果物の品質が低下する。」です。レビュー不足という理由と、品質低下という結果を明確にする。
設問4
着目するのは、細かな仕様が多数のQ&A表に散在し、F課長が設計書への反映を後回しにしようとしている点です。後の工程で設計書と複数のQ&A表を見比べる必要があると、仕様の把握に時間が掛かり、生産性が低下する。また、散在する仕様を見落とせば、実装漏れなどによって品質が低下し、手戻りにもつながる。公式解答例では、仕様の見落としと把握に時間が掛かること、又は仕様の見落としと手戻りが発生することを挙げている。40字以内の答案例は「Q&A表に散在する仕様を見落としたり、把握に時間が掛かること。」です。設問が求めるのは設計書への反映を省略する問題であり、本文末尾のクラッシングに伴うコミュニケーションパス増加とは分けて考える。
学習のポイント
所要日数と計画工数の違い、クリティカルパスの遅延の影響、レビュー不足と仕様の見落としが品質に及ぼす影響を学ぶ。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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