PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
平成24年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
判断に用いる情報の前提を確認する
進捗やコストについて考えるときは、判断に使う情報の前提がそろっているかに着目しましょう。情報の意味をすぐに決めつけず、何を対象に、どの条件で扱う情報なのかを整理することから始めます。
この問題で問われていること
今回の検討では、情報がどのような前提に基づいているかという一点に集中しましょう。用語の印象だけで判断せず、示された条件を手掛かりに、それぞれの情報を同じ前提で扱ってよいかを確認してみてください。
視点
情報を判断に用いる前に、その情報が成り立つ前提を確かめることが大切です。前提が明示されている部分と、自分で補っている部分を分けて整理すると、条件の読み違いに気付きやすくなります。
確認ポイント
- 判断に用いる情報の前提を確認したか
- 示された前提と自分の推測を区別したか
- 判断の途中で前提を置き換えていないか
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解説
本問は、EVMによる客観的な進捗管理を成立させるためのWBS、週次測定に適したタスク分割、完了確認、実コスト集計を問う問題です。SPIとCPIの悪化を各チームの状況から説明し、納期とコストを管理する具体的な指示につなげることが要点です。
問題の全体像
L社は販売管理システムを1年間で再構築し、翌年4月1日の稼働開始を目指しています。過去には主観的な進捗率による管理と利用部門の参加不足があり、納期遅延やテスト段階での仕様変更が繰り返されていました。M課長はEVMとプロトタイピングを導入し、WBS、完了判定、作業時間集計を整備します。公式の出題趣旨では、EVMの基本知識に加え、その前提となるWBSの作り方や実績集計の必要要件を理解し、管理方針を実行できる形で適用する実務能力を問うとされています。後半では、数値の悪化と現場の状況を結び付け、適切な対応策を判断することが求められます。
設問1(1)
経営層の指示のうち、「完了予定日が目標とする稼働開始日に対して遅れていないことを常に確認する」に着目します。EVMで計画と実績を継続的に比較することで、進捗の遅れを早く把握し、完了予定日の見通しを確認できます。公式解答例では「完了予定日を明確に把握して進められるから」または「早い段階で進捗の遅れを把握できるから」が示されています。30字以内では、例えば「早い段階で進捗の遅れを把握できるから」とまとめます。単に客観的な管理ができると述べるだけでなく、経営層が求める納期の確認につなげることが要点です。
設問1(2)
利用部門の参加意識が低く、成果物の確認が確実に行われず、テスト段階で仕様変更が多発していたことが根拠です。プロトタイプを使えば、利用部門が具体的な動作や画面を確認しながら要望を伝えられ、早い段階でニーズを的確に把握できます。また、要件定義から関わってもらうことは、プロジェクトへの参加意識を高めることにもつながります。公式解答例はこの二つの目的を示しています。25字以内では「利用部門のニーズを早く的確に把握するため」など、いずれかの要点を明確に表します。仕様変更の多発は問題の背景であり、答案では早期参加によって実現する目的を書くことが大切です。
設問2(1)
EVMのためにWBSを活用する理由なので、作業を「漏れなく、重複なく」洗い出せるという一般的な特徴から、EVMでの使い方まで踏み込みます。本文では、最下位の成果物をWPに設定し、WPごとにタスクを洗い出して予算とスケジュールを定めています。これにより、共通の管理単位でコストとスケジュールを設定し、計画や予想と実績を比較できます。公式解答例では、WBSまたはWP単位でのコスト・スケジュールの設定、実績と予想の比較が示されています。30字以内の表現例は「WP単位でコストとスケジュールを設定できるから」です。採点講評でも、WBSの一般的な特徴だけを答えるのではなく、WPごとの計画設定と実績との対比がEVMの前提であることを理解するよう求めています。
設問2(2)
空欄aは、直接的な開発作業ではないものの、プロジェクトを成功させるために必要となる「一連の業務」を表します。図1では、要件定義、設計、製造、テスト、移行と並ぶレベル1の項目です。この位置には、プロジェクトを管理する業務全体を表す名称が入ります。公式解答例では「プロジェクト管理」または「プロジェクトマネジメント」が示されています。採点講評では「進捗管理」という個別の管理項目を答えた例に触れ、プロジェクト管理に関する全ての作業をWBSに含めることが重要だと説明しています。
設問3(1)
「計画と実績の対比を週次で行う」と「EVは途中計上せず、タスクの完了時に全て計上する」を結び付けます。タスクが長期間に及ぶと、作業が進んでいても完了までEVが計上されず、週次の進捗を捉えにくくなります。所要期間を1週間以内に細分化すれば、タスクが完了したかどうかを使って週次の進捗を把握できます。公式解答例もこの点を理由としています。30字以内では「タスクの完了有無で週次の進捗を把握できるから」とまとめられます。測定周期とEVの計上方法に合うタスクの大きさを設定することが要点です。
設問3(2)
従来の進捗管理が、開発担当者自身の見積もった進捗率に依存していた点に着目します。本問では完了したタスクにだけEVを計上するため、完了の判断が曖昧だとEVMでも進捗を客観的に把握できません。明確な判定基準と第三者による確認を設けることで、担当者の主観に依存しない完了判定を確実に行います。公式解答例は「客観的な進捗管理を確実に行うため」で、20字以内に収まります。成果物の品質確認という面だけでなく、EVの計上根拠を客観的にするという目的を押さえます。
設問3(3)
現行システムは工程単位でしか作業時間を管理できない一方、PVはWPごとのタスクに予算とスケジュールを設定して定めています。開発コストは社員の人件費なので、対応するACを把握するには、作業時間も計画と比較できる単位で記録・集計する必要があります。公式解答例では、工程別の管理からタスク、WBSまたはWP単位の管理に変更すると示されています。25字以内では「工程別からタスク単位の作業時間管理に変更する」とまとめられます。既に日次で集計しているため、ここで修正すべき中心は集計頻度ではなく管理単位です。
設問4(1)
SPIはEV÷PV、CPIはEV÷ACなので、各チームについてEVの不足とACの発生を分けて考えます。帳票チームの対象WPは要員が着任できず着手が遅れ、第1週に予定したタスクのEVが計上されません。このためSPIを悪化させますが、着手していない対象作業のACも発生していないため、CPI悪化の原因にはなりません。DBチームは設計作業を進めてACが発生していますが、第三者の確認が終わらずタスクが未完了なのでEVを計上できず、SPIとCPIの両方を悪化させます。内部処理チームは予定どおり完了しており、原因ではありません。公式解答例では、SPIは「帳票チーム、DBチーム」、CPIは「DBチーム」です。設計作業が終わっていることと、EVを計上できる完了状態であることを区別するのが要点です。
設問4(2)
帳票チームには「作業時間管理の観点」から指示します。同じ単価のサポート要員を追加しても、WPを予定どおり完了し、総時間を予定範囲内に収めれば、完了時のコストは予算範囲内に収まります。公式解答例の指示は「総時間が予定範囲を超えないようにする。」です。採点講評でも、要員管理や着任時期の管理を答えるのではなく、総時間が予定範囲内に収まることを押さえるよう説明しています。DBチームには「タスク進捗面の対応策の観点」から、確認待ちによる遅れが後続作業や他チームに与える影響を調べ、回復計画を立てるよう指示します。公式解答例は「遅れの影響を調査しリカバリプランを策定する。」です。各25字以内では、この二つの指示をチーム別に記述します。
学習のポイント
WBSとEVMの関係、完了時にEVを計上する方式、SPIとCPIの違いを理解し、本文の事実から原因と対応策を導く練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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