PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
平成22年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
移行計画を読む一つの視点
内部統制に関わる移行計画を検討するときは、作業の順序だけでなく、変更による影響を誰が把握し、どの時点で確認し、問題発生時にどう連携するかという管理のつながりに注目します。
この問題で問われていること
ここでは、関係者間の役割分担と情報共有が、移行の各段階で途切れずに機能するかを確認する視点に絞ります。担当、承認、記録、報告の関係を問題文に沿って丁寧に整理してください。
視点
移行に伴う統制上の論点は、個別の作業内容だけでなく、関係者が同じ前提で状況を把握し、判断や対応の責任が適切につながる設計になっているかという観点から整理します。
確認ポイント
- 関係者ごとの担当範囲と、判断・承認を担う立場が区別されているか。
- 移行の進み具合や変更点を共有する時点と方法が、関係者間で一貫しているか。
- 想定外の事象が起きた場合に、記録・報告・対応判断の流れを追える状態か。
正解と解説を見る
解説
EUCの統制上のリスクを解消するため、Webアプリケーションへ移行するプロジェクトです。短い納期、広い移行対象、業務効率向上要求、利用者の抵抗がある中、PMが目的を明確にし、優先順位と合意形成を進める点が中心となる。
問題の全体像
J社では、EUCのマクロや計算式が担当者によって直接変更され、承認なしの変更や改ざんが財務諸表へ影響するリスクが残っていた。そこでEUCをWebアプリケーションへ移行するが、今年度中の完了、全業務の移行、業務効率向上という要求が対立している。本文は、PMが経営層の支援体制を整え、影響度・開発期間・工数を踏まえて範囲を決め、利用者合意と変更管理を進める過程を問うている。
設問1
着目するのは、専用ファイルサーバに移した後も、業務担当者がマクロや計算式を直接修正している点です。アクセス制限だけではプログラム内容の変更を統制できないため、承認なしの変更や改ざんが行われるリスクが残る。公式解答例も、この二つの要素を示している。30字以内なので、行為と主体を簡潔に書く。
設問2(1)
①のプロジェクト憲章とキックオフ、②の委員会が必要になった背景に着目する。情報システム部は全件移行が難しいと考える一方、経理部は業務効率向上のため全件移行を要求しており、部門間で目的意識が一致していない。公式解答例では、情報システム部と経理部の意識、または各部の目的意識が合っていないことを挙げている。
設問2(2)
委員会の構成に管理部門担当役員を加え、経営会議の配下に置いた点に着目する。単なる情報共有ではなく、部門間の調整が必要な場面で判断・指示を行い、役員の支援を得てプロジェクトを進めるためです。公式解答例も、調整権限をもつ機関とすること、役員の支援を受けることを要点としている。
設問2(3)
経営会議の指示は、今年度中に移行を完了し、来年度からWebアプリケーションで業務処理を行うことです。20字以内では、プロジェクトの期限に対応する「今年度中に移行を完了すること」とまとめればよい。
設問3(1)
業務監査室長の条件は、業務担当者への教育を徹底し、ある範囲のEUC業務をすべて含めることです。昨年の分類では財務諸表への影響度が「大」のものを緊急改善対象としていたため、該当する範囲は影響度の「大」のEUC業務です。
設問3(2)
本文では、影響度だけでなく、それぞれのEUC業務の移行に必要な[a]を考慮して、今年度中に開発可能な範囲へ絞り込んでいる。限られた残期間で実現可能性を判断する要素なので、公式解答例の「開発期間」または「開発工数」が入る。
設問4(1)
業務担当者は、従来のやり方を変えると正確性を保証できないと主張し、細かな変更も受け入れなかった。したがって、S氏が考慮した姿勢は、従来の業務手順を変えたくないという姿勢です。抵抗の背景には、会計業務への自負とWeb化への不安がある。
設問4(2)
利用者レビューを待たずに次工程へ進むと、後から利用者が設計を承認せず、修正や再作業が発生する可能性がある。その結果、手戻りによってスケジュールが遅れる。30字以内では、利用者承認を得られず手戻りになる点、または手戻りによる遅延を押さえる。
設問5(1)
委員会では、利用者側の合意を得て次工程へ進むため、外部設計工程を完了する期限をトップダウンで定める必要がある。したがって[b]は「外部設計書承認の最終期限」です。単なるレビュー期限ではなく、承認を完了させる最終期限である点が重要です。
設問5(2)
追加要求を採用するかどうかは、業務効率向上への効果と、追加開発に必要な工数を比較して判断する。したがって[c]は「業務効率向上による効果」です。ここでは、変更管理プロセスでスコープ拡大の価値と負担を調整する観点が問われている。
学習のポイント
目的を軸に、スコープ・スケジュール・品質・利害調整を結び付けて考える。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成22年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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