PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
平成21年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


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判断に用いる前提をそろえる
プロジェクトのリスクを検討するときは、判断に用いる前提がそろっているかに注目しましょう。気になる用語から結論を急がず、与えられた情報の範囲を確かめ、条件を補いすぎていないか振り返ることが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、検討の途中で、与えられた条件とは別の前提を持ち込んでいないかを確認してみましょう。自分が根拠としている情報と、経験や印象から補った内容を区別すると、判断の出発点を落ち着いて整理できます。
視点
判断の根拠を整理するときは、与えられた情報に明示された条件と、自分が補った前提を分けて捉えましょう。一般的な経験が思い浮かんでも、その内容が今回の条件に含まれるかを確認する、という一つの視点に集中します。
確認ポイント
- 判断の根拠は、与えられた条件に含まれているか
- 経験や印象から、条件を付け足していないか
- 検討の途中で、前提が変わっていないか
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解説
本問は、分担開発に伴う技術・管理・意思伝達のリスクと、顧客の合併による中断リスクを扱います。発生確率と影響度に基づく優先順位、予防処置と現実化後の対応、契約による費用回収、予備費の使用権限を結び付けて理解することが要点です。
問題の全体像
C社は、地方の製薬会社K社の生産管理システムを、近隣のL社と協力して構築します。K社は未経験の新バージョンの採用を要求し、L社にはプロジェクト管理や技術移転の課題があります。また、遠隔レビューでの意思伝達や、K社の合併によるプロジェクト中断もリスクです。公式の出題趣旨では、リスクを識別し、発生確率と影響度から優先順位を決め、対応策を計画・予算に組み込む手順と実践力を問うとしています。表1の評価では両者の積が0.20以上なら高優先、0.08以上0.20未満なら中優先、0.08未満なら低優先です。各設問では、この評価と具体的な予防処置、現実化後の対応、費用の扱いを結び付けます。
設問1(a)
着目するのは、C社には現バージョンでの開発経験がある一方、新バージョンでの経験はなく、K社が説明を受けてC社の方針に同意したという記述です。公式解答例では「現バージョンで開発することでK社を説得する」としています。経験のある現バージョンを採用すれば、新バージョンの機能仕様を把握できず設計が進まない原因を避けられます。30字以内の答案では、現バージョンでの開発とK社の説得を押さえます。P社への支援依頼は表2のコンティンジェンシプランであり、ここで問われる予防処置とは区別します。
設問1(b)
本文は、合併による中断の発生確率が低いことから、請負契約部分の費用回収方法に焦点を絞ると述べています。公式解答例では「中断時の費用精算方法を事前に合意して契約に盛り込む」、又は「中止するまでに掛かった費用を支払う旨を契約に明記する」としています。合併自体を防ぐのではなく、中断時の費用回収をあらかじめ契約で確保する処置です。30字以内では、中断時の費用精算と事前の契約明記を中心に書きます。
設問2(1)品質面
着目するのは、新バージョンが先月提供されたばかりであることと、C社がその機能仕様に習熟していないことです。公式解答例では「洗い出されていない初期の不具合が発生する」、又は「機能仕様の理解が不十分で設計不具合が発生する」としています。前者はパッケージに残る初期不具合、後者は仕様理解の不足に起因する設計不具合を指します。30字以内では、いずれかの要因と品質上の問題を具体的に示します。「品質が低下する」だけでは、何が原因かを説明できません。
設問2(1)プロジェクト体制面
C社に新バージョンでの開発経験がないという記述から、必要な経験や知識を備えた要員の確保に着目します。公式解答例では「新バージョンでの開発を経験した要員を確保できない」、又は「新バージョンの機能が分かる要員を確保できない」としています。品質面が不具合の発生を扱うのに対し、体制面では開発を担う人材の不足を説明します。30字以内では、新バージョンの経験又は機能知識を持つ要員を確保できないことを押さえます。
設問2(2)
表2の項番5は、テレビ会議によるレビューの指示が正確に伝わらず、成果物への反映が遅れるリスクです。共通ファイルサーバで成果物を確認できれば、指示後の修正内容を双方で確かめられます。公式解答例では「レビューの指摘が正確に反映されているかを確認するため」としています。30字以内では、指摘の正確な反映を確認する目的を書きます。単に「成果物を共有するため」とすると、実施手段の説明にとどまり、リスク管理上の目的が伝わりません。
設問2(3)
公式解答例では「1と4」です。項番1は、現バージョンで開発することにK社が同意したため、新バージョンの採用を原因とするリスクを回避できます。項番4は、中断時の費用精算を事前に契約へ盛り込むことで、費用回収を中断後に交渉するという対応が不要になります。合併や中断の可能性そのものがなくなったわけではありません。項番2・3・5は、ノウハウ提供、教育、成果物共有を行ってもリスクが残るため、現実化後の対応を用意します。答案は指定どおり項番で答えます。
設問3(1)
現在の遅れが軽微であることと、リスクがもつ影響度は区別して読みます。表2の項番3では、技術移転の遅れの影響度が「大」とされています。発生確率は「普通」で、評価値も0.30×0.80=0.24となり、高優先です。公式解答例では「リスクの影響度が大きいから」としています。20字以内の答案では、現時点の遅れの程度ではなく、リスク評価上の影響度が大きいことを理由として示します。
設問3(2)
表2の項番3のコンティンジェンシプランに着目します。設計・開発段階でL社の生産性が目標に達しない場合、技術移転の専任者を派遣する計画です。公式解答例では「技術移転の専任者をL社へ派遣する」としています。20字以内では、専任者の役割と派遣先を押さえます。プロジェクト初期の教育や期間中のフォローは予防処置であり、この設問では遅れが生じた段階で実行する対応を答えます。
設問3(3)
着目するのは、予備費の区分と使用権限です。想定済みのリスクに対応するコンティンジェンシ予備はプロジェクト予算に含まれ、PMの判断で使用できます。一方、ほかのプロジェクトへの応援に伴う要員交代は計画時に想定していない事態で、早期配置や引継ぎに追加費用が掛かります。公式解答例では「マネジメント予備の使用が必要だから」「計画時に想定していないコストだから」「K社プロジェクトの予算外のコストだから」としています。30字以内では、想定外の費用又はマネジメント予備の使用を理由として書きます。単にコストが増えるからではなく、PMの使用権限を超える費用である点が要点です。
学習のポイント
リスクの原因・影響・予防処置・発動条件・対応策を対応付け、二種類の予備費と使用権限の違いを学びましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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