NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
令和6年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題







解き方のヒントを見る
記述が成り立つ範囲を意識して整理
この分野を学ぶときは、記述がどの範囲を対象としているかに注目しましょう。与えられた情報に沿って、明示された条件と自分で補った前提を区別し、対象の範囲を広げずに整理することが大切です。
この問題で問われていること
検討するときは、ある対象について述べられた内容を、別の対象にも当てはめていないかを確認しましょう。各記述の対象と条件を与えられた情報の中で確かめ、明示されていない範囲まで一般化していないかを振り返ります。
視点
記述には、それが対象とする範囲があります。範囲を定める条件を外して受け取ると、情報の意味が変わることがあります。知っている用語から内容を補う前に、その記述がどこまでを対象としているかを整理しましょう。
確認ポイント
- 記述の対象となる範囲を確かめたか
- 範囲を限定する条件を読み落としていないか
- 明示された範囲を自分の推測で広げていないか
正解と解説を見る
解説
VXLANのカプセル化とVTEPの学習情報を理解し、図表からレイヤー2の通信範囲とARPの転送先を読み取る問題です。さらに、OSPFの経路計算と冗長性、EVPNによる情報の事前学習、ルートリフレクタ、リンクアグリゲーションの効果を説明する。
問題の全体像
K社は、データセンターで利用中のVXLANにEVPNを適用し、ネットワークの拡張性を高めようとしている。現行構成では受信したVXLANパケットから転送情報を学習し、BUMフレームにはIPマルチキャストを使用する。新構成ではMP-BGPによる事前学習、BUMフレームのIPユニキャスト転送、サーバ接続のリンクアグリゲーションを導入する。公式の出題趣旨では、レイヤー2とレイヤー3の技術を正しく理解し、VXLANとEVPNの導入・運用に活用できるかを問うとしている。
設問1(1)(a)
本文の「約1、677万個のレイヤー2のオーバーレイネットワーク」に着目する。VNIはネットワークを識別する値であり、24ビットなら2の24乗、すなわち16、777、216通りを表現できる。本文の規模と対応するため、公式解答例では「24」となる。
設問1(1)(b)
本文では、イーサネットフレームをIPv4パケットにカプセル化し、VTEPのIPアドレスを使って転送している。したがって、レイヤー2のオーバーレイネットワークを載せる基盤はレイヤー3のネットワークです。図1の中央のネットワークもこの基盤を示しており、公式解答例では「3」となる。
設問1(1)(c)
図2の構造は、外側からIPv4ヘッダー、空欄cのヘッダー、VXLANヘッダー、イーサネットフレームの順です。VXLANのカプセル化ではUDPを使用するため、公式解答例では「UDP」となる。採点講評では、この空欄の正答率が低かったことと、カプセル化がVXLANを理解する上で重要であることを指摘している。
設問1(2)(①)
下線①は、リモートVTEPに接続されたサーバのMACアドレスです。これは外側のIP通信の情報ではなく、カプセル化された元のフレームに含まれる情報です。受信時には内側の送信元MACアドレスから学習するので、図2の字句を使い、公式解答例では「イーサネットフレーム」となる。
設問1(2)(②)
下線②はVXLANトンネルのVNIです。本文冒頭に「VXLANヘッダー内の[a]ビットのVNI」と明記されているため、格納場所をその記述から判断できる。公式解答例では、図2の表記どおり「VXLANヘッダー」となる。
設問1(2)(③)
下線③はリモートVTEPのIPアドレスです。本文では、VXLANパケットの送信元と宛先に各VTEPのIPアドレスを使うとしている。受信したパケットの外側の送信元IPアドレスが送信側VTEPを示すため、公式解答例では「IPv4ヘッダー」となる。
設問1(3)
下線④のBUMフレームは、特定の学習済み宛先だけに送ればよいフレームではありません。本文のARP要求の動作では、グループに参加する全てのリモートVTEPへ転送している。同じレイヤー2のネットワーク全体へ届ける目的を答える。公式解答例では「同じレイヤー2のネットワークをもつ全てのリモートVTEPに転送するため」としており、45字以内では転送対象と目的を押さえる。
設問2(1)(d)
空欄dは、OSPFで交換するLSAの情報から作成され、経路計算の基になるデータベースです。LSAによるリンク状態の情報を保持するLSDBを指すため、公式解答例では「LSDB」となる。LSAという交換情報と、それを集めたデータベースを区別する。
設問2(1)(e)
本文は、LSDBを基に各L3SWを根とするツリーを作り、その結果をルーティングテーブルに登録する流れを示している。OSPFが求めるのは各宛先までの最短経路であり、公式解答例では「最短経路」となる。空欄の後ろに「ツリー」があるので、その語まで重ねて書かない。採点講評でも、この空欄の正答率が低かったと指摘されている。
設問2(2)
下線⑤では、各L3SWのループバックIPアドレスをルータIDとして使用している。ただし、問われているのは使用する値ではなく、識別する対象です。公式解答例では「OSPFが動作する各L3SW」となる。20字以内で対象を示し、インタフェースやネットワークを識別すると取り違えない。採点講評では、この設問の正答率が低かったとしている。
設問2(3)
下線⑥のECMPは、等しいコストの複数経路を利用する仕組みです。図3に複数の物理経路があるだけでは条件を満たさず、同じ宛先へ至る各経路のコスト合計をそろえる必要がある。公式解答例では「複数ある経路のそれぞれの経路について,コストの合計値を同じ値にする。」としている。45字以内で、指定語の「経路」「コスト」と合計値が等しいことを含める。
設問2(4)
図3では各VTEPを設定するL3SWが、上位の2台のL3SWへ接続されている。VTEPのアドレスを特定の物理インタフェースに依存させなければ、一つの物理インタフェースに障害が起きても、別の経路で通信を継続できる。公式解答例では「一つの物理インタフェースに障害があってもVTEPとして動作できるから」となる。45字以内では、障害の対象とVTEPの動作継続を結び付ける。
設問2(5)(ア)
アはVM23からVM11への通信可否です。図4の対応表では、VM23のVLAN 230はVNI 10040、VM11のVLAN 110はVNI 10010に対応する。所属するレイヤー2のネットワークが異なるため、公式解答例では「×」となる。IPアドレスのプレフィックスが同じでも、VNIによる分離を確認する必要がある。
設問2(5)(イ)
イはVM23からVM12への通信可否です。VM23はVLAN 230からVNI 10040に、VM12はVLAN 120からVNI 10020に対応する。図4で異なるVNIに所属しているので、レイヤー2では通信できず、公式解答例では「×」となる。
設問2(5)(ウ)
ウはVM23からVM13への通信可否です。図4では、VM23のVNIは10040、VM13のVLAN 130に対応するVNIは10030です。同じレイヤー2のネットワークに属さないため、公式解答例では「×」となる。物理ネットワーク上で接続されていることと、論理的な通信範囲を区別する。
設問2(5)(エ)
エはVM23からVM31への通信可否です。VM31のVLAN 310はVNI 10010に対応し、VM23のVNI 10040とは異なる。両者が異なるレイヤー2のネットワークに属するため、公式解答例では「×」となる。VM31がVM11と通信できることを、VM23との通信可否に混同しない。
設問2(5)(オ)
オはVM23からVM32への通信可否です。図4では、VM23のVLAN 230とVM32のVLAN 320が、どちらもVNI 10040に対応する。各拠点のVLAN IDは異なっていても、同じVNIによって同じレイヤー2のネットワークを構成するため、公式解答例では「○」となる。
設問2(5)(カ)
カはVM23からVM33への通信可否です。VM23はVNI 10040、VM33のVLAN 330はVNI 10030に対応する。VM32とVM33は同じ物理サーバ上にあるが、所属する論理ネットワークは異なるため、公式解答例では「×」となる。
設問3(1)
下線⑧のARP要求はブロードキャストであり、現行構成ではIPマルチキャストで転送する。図4の対応表で、送信元VM11のVLAN 110をたどると、VNI 10010とグループアドレス239.0.0.1に対応する。したがって、公式解答例では「239.0.0.1」となる。問い合わせ先VM31のIPアドレスやVTEPのユニキャストアドレスを答える設問ではありません。
設問3(2)
本文の下線①~③で示した学習情報を、ARP要求の送信元に当てはめる。L3SW31は、内側の送信元であるVM11のMACアドレス、VXLANヘッダーのVNI、外側の送信元であるL3SW11のVTEPのIPアドレスを対応付けて学習する。公式解答例では「VM11のMACアドレス,VNI及びL3SW11のVTEPのIPアドレス」となる。45字以内でも、この三つの情報をそろえる。
設問3(3)(キ)
キは、L3SW11がVM31のMACアドレスに対応付けて学習したVNIです。図4では、VM31のVLAN 310とVM11のVLAN 110がともにVNI 10010に対応する。ARP応答もこのVNIを使って転送されるので、公式解答例では「10010」となる。
設問3(3)(ク)
クは、L3SW11から見たVM31側のリモートVTEPのIPアドレスです。ARP応答をカプセル化して送るのはL3SW31であり、図3のループバックアドレスは10.0.0.31です。公式解答例では「10.0.0.31」となる。採点講評では、クとコの逆転やVMのIPアドレスを答える誤りが指摘されている。
設問3(3)(ケ)
ケは、L3SW31がVM11のMACアドレスに対応付けて学習したVNIです。L3SW11から届いたARP要求は、図4のVLAN 110に対応するVNI 10010でカプセル化されている。したがって、公式解答例では「10010」となる。表2の両行とも同じレイヤー2のネットワークについての学習結果です。
設問3(3)(コ)
コは、L3SW31から見たVM11側のリモートVTEPのIPアドレスです。ARP要求を送ったVTEPはL3SW11であり、図3のループバックアドレスは10.0.0.11です。公式解答例では「10.0.0.11」となる。表の機器自身のアドレスではなく、その行のVMへ転送するときの相手側VTEPのアドレスを入れる。
設問4(1)(利点)
新構成では、各クライアントがL3SW01とL3SW02のルートリフレクタとiBGPピアリングを行う。ルートリフレクタが経路情報を反映することで、各装置間に個別のiBGPピアを設ける数を減らせる。公式解答例では「iBGPピアの数を減らすことができる。」となる。25字以内では指定語のiBGPとピア数の削減を明記する。採点講評では、設問4(1)の正答率が低かったとしている。
設問4(1)(ID名称)
問われているのは、2台のルートリフレクタを冗長化するときに、経路情報の反映によるループを防止するためのID名称です。公式解答例では「クラスターID」となる。OSPFで各L3SWを識別するルータIDや、サーバ接続を識別するESIと区別して覚える。
設問4(2)(f)
EVPNの機能2では、VMのMACアドレス、VNI、リモートVTEPのIPアドレスをあらかじめ学習する。その結果、宛先MACアドレスに対応する転送先を知らないために起きるフラッディングを減らせる。本文のBUMの表記から選び、公式解答例では「Unknown Unicast」となる。機能2の説明だけから、全てのブロードキャストがなくなるとは判断しない。
設問4(2)(g)
機能3の説明では、同じESIを設定した論理インタフェースをもつ複数のVTEPが、サーバとの接続にリンクアグリゲーションを利用できるとしている。会話中の空欄gも、2台のL3SWが同一の物理サーバに接続していることを識別する値です。公式解答例では「ESI」となる。
設問4(3)
現行構成のNICはアクティブ/スタンバイであり、新構成ではアクティブ/アクティブとリンクアグリゲーションへ変更する。比較すべき点は、通常時に二つの回線の帯域を利用できることです。公式解答例では「二つの回線の帯域を有効に利用できる。」となる。25字以内で帯域の有効利用を示し、現行構成にもある冗長性だけを述べない。
設問4(4)
下線⑫は新検証NWのテストであるため、現行構成の受信パケットによる学習ではなく、EVPNの機能1を参照する。機能1では、MP-BGPでリモートVTEPのIPアドレスやVNIをあらかじめ学習すると明記されている。公式解答例では「MP-BGPを用いて学習する。」となり、20字以内で学習に使う方式を答える。
設問4(5)
会話では、受信したBUMフレームのVLAN IDに対応するVNIをもつ各リモートVTEPへ転送すると説明している。ARP要求もこの対象なので、ネットワーク内の全VTEPではなく、該当するVNIをもつ全てのリモートVTEPを選ぶ。公式解答例では「VLAN IDに対応するVNIをもつ全てのリモートVTEP」となる。40字以内で指定語のVNI、VLAN IDとの対応、対象全体を含める。
学習のポイント
内側のVMのMAC・IPアドレスと外側のVTEPのIPアドレスを区別し、VNIによる通信範囲、OSPFの最短経路、EVPN適用前後の学習方法を重点的に学ぶ。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和6年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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