NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
令和6年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題












解き方のヒントを見る
判断の前提となる範囲を確かめる
判断するときは、扱う内容がどの範囲を前提としているかに注目しましょう。身近な経験や用語の印象から結論を急がず、示された条件の中で考える範囲と、自分が補っている想定の範囲を分けて整理してみてください。
この問題で問われていること
ここでは、考えようとしている判断と、その判断の前提となる範囲が対応しているかを確認しましょう。与えられた情報に含まれる条件を押さえ、書かれていない事情まで広げて考えていないか、立ち止まって見直すことが手掛かりになります。
視点
同じ言葉でも、考える範囲を自分で広げたり狭めたりすると、判断の前提が変わります。情報として示されている範囲と、自分の推測で補った範囲を区別して整理しましょう。
確認ポイント
- 考える範囲を、示された条件に沿って捉えているか
- 明示されていない前提を、自分で付け加えていないか
- 整理の途中で、判断の対象となる範囲を変えていないか
正解と解説を見る
解説
Y社のサポート業務をZ社へ委託する事例を通じて、DNSによる転送先の選択、静的NAT、SPFとDKIMの検証方法を整理する問題です。委託先の送信サーバを認証対象へ追加する方法、鍵の漏えいによる影響の分離、送信ドメイン認証だけでは担当者のなりすましを検知できない理由が要点です。
問題の全体像
Y社は、顧客向けのメールサポートの一部をZ社に委託し、従来のsupport@y-sha.comを継続して使用します。出題趣旨では、この委託に伴うなりすまし防止対策を題材に、ネットワーク技術を送信ドメイン認証の導入検討へ活用できるかを問うとしています。まずDNSとNATによるメール転送の仕組みを読み取り、次にSPFとDKIMの認証方法、委託先への適用、認証の限界を検討します。設問5は、問題冊子と公式解答例の両方に、不備により成立しない旨が示されています。
設問1(1)
社内メールサーバYからY1又はY2へ転送する場面なので、図3の社内向け名前解決に着目します。mail.y-sha.lanには、Y1の192.168.0.1とY2の192.168.0.2に対応する二つのAレコードが登録されています。この共通名を名前解決することで転送先を振り分けるため、公式解答例ではmail.y-sha.lanです。図3でこの名前に設定されているのはAレコードであり、MXレコードではありません。
設問1(2)
図3では、mail.y-sha.lanの二つのAレコードにTTLとして60が指定されています。名前解決結果を長時間キャッシュすると、送信元が社内メールサーバYだけの本構成では、同じ転送先が選ばれ続けて偏りが生じます。採点講評では、キャッシュの生存時間を短くして名前解決要求を頻繁に発生させる必要があると説明しています。公式解答例に沿う25字以内の答案は「TTLを60秒と短い値にしている。」です。
設問1(3)(a)
顧客側からY社への配送では、図2のMXレコードに記載された20と1が選択の基準になります。この数値は配送先の優先順位を表すPreference値で、小さい値の配送先が優先されます。公式解答例では、aはPreferenceです。
設問1(3)(b)
図2では、y-mail1.y-sha.comのPreference値は20、y-mail2.y-sha.comは1です。平常時は小さい値の配送先が優先されるので、公式解答例ではbはy-mail2です。設問はホスト名を求めているため、この回答単位ではFQDNではなくy-mail2を答えます。
設問1(3)(c)
本文は、送信元メールサーバのIPアドレスからFQDNを取得する名前解決を説明しています。IPアドレスから名前を求める処理は逆引きで、本文の続きにはPTRレコードも登場します。公式解答例では、cは「逆引き」です。
設問1(4)(ア)
表1のアは、インターネットからy-mail1.y-sha.comへ到達する通信の、NAT変換前の宛先IPアドレスです。図2のAレコードに、このFQDNのグローバルIPアドレスとして200.a.b.1が記載されています。公式解答例でも、アは200.a.b.1です。
設問1(4)(イ)
表1のイは、静的NATによる変換後の宛先IPアドレスです。図3では、同じホスト名y-mail1の社内向けFQDNに192.168.0.1が登録されています。外部向けの200.a.b.1を、このDMZ内のアドレスへ変換するため、公式解答例ではイは192.168.0.1です。
設問1(5)
図8では、PTRレコードがIPアドレスをホストのFQDNへ対応付けています。攻撃者がそのFQDN欄に詐称したメールアドレスのドメイン名を登録すると、逆引き結果との一致だけで行う検査を欺けます。公式解答例は、このFQDNへの不正登録を挙げています。45字以内の答案では「メールサーバのFQDNに、詐称したメールアドレスのドメイン名を登録する。」と、操作対象と登録内容を示します。
設問2(1)(ウ)
顧客のメールサーバへ実際に接続するのはメール中継サーバY1又はY2なので、SPFには両サーバのグローバルIPアドレスを登録します。図2に示されたY1のアドレスは200.a.b.1です。公式解答例では、ウは200.a.b.1で、ウとエの順序は不問です。
設問2(1)(エ)
図2に示されたメール中継サーバY2のグローバルIPアドレスは200.a.b.2です。Y1とY2のどちらを経由してもSPFの検査を通過できるよう、両方を送信元として許可します。公式解答例では、エは200.a.b.2で、ウとエの順序は不問です。
設問2(2)(d)
本文のSPF認証の流れでは、中継サーバから顧客のメールサーバへのメール転送プロトコルを問うています。このサーバ間の転送に使用するのはSMTPです。公式解答例でも、dはSMTPです。
設問2(2)(e)
SPFレコードを取得する対象は、SMTPで指定された送信元メールアドレスのドメインです。そのアドレスを指定するコマンドがMAIL FROMなので、公式解答例ではeはMAIL FROMです。メール本文側のヘッダーではなく、SMTPのコマンドで指定されるアドレスに着目します。
設問2(2)(f)
サポートメールの送信元アドレスはsupport@y-sha.comです。そのドメイン名はy-sha.comであり、図4のSPFレコードもこの名前に登録されています。公式解答例では、fはy-sha.comです。顧客側は、このドメインのSPFレコードを外部DNSサーバYから取得します。
設問2(3)
本文の下線④は、SPFレコードを取得した後の正当性検査です。顧客側が観測した送信元メールサーバのIPアドレスが、SPFレコードで許可されたアドレスかを確認します。公式解答例も、送信元IPアドレスがSPFレコードに登録されていることを要点としています。50字以内の答案は「送信元メールサーバのIPアドレスがSPFレコードに登録されていることを確認する。」です。
設問3(1)(g)
本文では、電子署名のデータをメールのg及び本文から生成すると説明しています。また、署名データなどはDKIM-Signatureヘッダーへ登録されます。署名の基となるメールの構成要素を答えるので、公式解答例ではgは「ヘッダー」です。
設問3(1)(h)
本文では、DNSをあるトランスポートプロトコルで利用した場合のメッセージ長の制限を問うています。公式解答例では、hはUDPです。ここでは、本文が想定しているUDPを使用したDNSの条件と、続く512バイトという数値を対応付けて読み取ります。
設問3(1)(i)
iは、本文が想定するUDP利用時のDNSメッセージの最大長です。公式解答例では512であり、単位は本文にあるバイトです。この設問では、本文の条件に対応する数値として512を答えます。
設問3(2)(アルゴリズム)
図5のDKIMレコードにはk=rsaと記載されています。表2では、kタグは署名作成に利用する鍵の形式を指定すると説明されています。この指定から、公式解答例ではアルゴリズム名はRSAです。
設問3(2)(オ)
表2では、pタグにBase64でエンコードした鍵のデータを指定するとしています。本文では、DNSを使って電子署名の真正性検証に使用する鍵を公開すると説明しています。受信側が検証に使用する鍵なので、公式解答例ではオは「公開鍵」です。
設問3(3)
本構成では、メール中継サーバY1及びY2がDKIM署名を付与します。顧客側が外部DNSサーバYから取得した公開鍵で署名の真正性を確認できれば、正規のメールサーバから送信されたメールだと判断できます。採点講評も、この構成と署名の真正性を結び付けることを求めています。公式解答例に沿う50字以内の答案は「受信したメールが正規のメールサーバから送信されたものかどうかが分かるから」です。
設問4(1)(DNSサーバ名)
Z社から送信するサポートメールもsupport@y-sha.comを使用するため、顧客側が取得するSPFレコードの対象は引き続きy-sha.comです。このドメインのSPFレコードを管理する外部DNSサーバYへ情報を追加します。公式解答例では「外部DNSサーバY」又はそのホスト名「y-ns1」が示されています。
設問4(1)(登録する情報)
図6では、Z社から顧客へのメールはメール中継サーバZを経由します。その送信元をSPFで許可するため、登録する情報は「メール中継サーバZのIPアドレス」です。公式解答例の「z-mail1のIPアドレス」は、同じサーバをホスト名で表した解答表現であり、別の登録対象ではありません。図7では、このサーバのグローバルIPアドレスが222.c.d.1と示されています。
設問4(2)
本文では、顧客側が外部DNSサーバYを使用してDKIMの検査を行えるようにするとしています。表3のdタグは署名を行ったドメイン名を示し、sタグと組み合わせてDKIMレコードを取得するために使われます。外部DNSサーバYに追加するレコードを参照させるので、公式解答例ではjはy-sha.comです。
設問4(3)
Y社はsel.ysha、Z社はsel.zshaを使い、署名鍵を分けます。Z社の鍵が漏えいしてもY社の鍵は別なので、Y社で実施中のDKIM処理への影響を分離できます。採点講評では、漏えい時の具体的な影響から利点を導くことを求めています。公式解答例に沿う50字以内の答案は「メール中継サーバZから鍵が漏えいしても、Y社で実施中のDKIM処理は影響を受けない。」です。
設問4(4)
Z社の別部署の従業員がsupport@y-sha.comを詐称しても、メールは正規のメール中継サーバZから送信されます。この送信元はSPFで許可され、該当メールには同じサーバでDKIM署名も付与されるため、担当者の違いを検知できません。採点講評も、同じ中継サーバから送信される構成を根拠にするよう求めています。公式解答例に沿う40字以内の答案は「なりすましメールも、メール中継サーバZから社外に転送されるから」です。
設問5(1)
表4の手順2にある電子署名データの作成方法を問う設問ですが、問題冊子には設問5(1)~(3)は不備により成立しないと明記されています。公式解答例も同じ扱いで、作成方法の解答は示していません。この設問の正答として、一般的な署名作成方法を補うことはしません。
設問5(2)
表4の手順4にあるハッシュ値aの取り出し方法を問う設問ですが、問題冊子と公式解答例では、不備により成立しないとされています。20字以内という指定はありますが、この設問に対する解答方法は示されていません。一般的な署名検証の説明を、この設問の正答として扱うことはしません。
設問5(3)
表4の手順6にあるハッシュ値の比較結果を問う設問ですが、設問5(1)~(3)全体が不備により成立しないと明記されています。公式解答例にも比較結果についての解答はありません。そのため、25字以内の答案を補って正答と断定せず、成立しない設問として扱います。
学習のポイント
DNSレコードの種類と役割を区別し、メールの転送経路、認証対象、鍵の管理範囲を結び付けて説明できるようにしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和6年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針