NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
令和5年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題








解き方のヒントを見る
与えられた条件と推測を分ける
設計や移行について考える際は、判断の前提が与えられた条件に基づくものか、自分で補った推測なのかを区別しましょう。一般的な印象だけで結論を急がず、根拠として使える範囲を確かめることが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、検討に用いる前提の出所に注目してください。扱う情報から直接確認できる条件と、経験や知識から補っている条件を分け、後者を確定事項として扱っていないかを振り返りながら考えましょう。
視点
条件を整理する際は、その内容だけでなく、何を根拠に条件として扱っているかを意識します。明示された情報と自分の推測との境界を保つと、考えの前提を点検しやすくなります。
確認ポイント
- 前提にした条件の根拠を確認できるか
- 明示されていない条件を自分で補っていないか
- 推測を確定した条件として扱っていないか
正解と解説を見る
解説
本問は、複数のIaaSと接続回線を利用する可用性向上を扱います。DNSによるプロキシ切替え、BGPとVRRPを組み合わせる際の経路情報、インターネット接続変更に伴うループと送信元IPアドレスの変化を具体的に説明することが要点です。
問題の全体像
A社は、B社IaaSの大規模障害を受け、C社IaaSの追加、本社とD社閉域NWとの接続回線の冗長化、インターネット接続経路の変更を計画しています。出題趣旨では、マルチクラウドによる可用性向上、BGPとVRRPを組み合わせた構成の考慮点、グローバルIPアドレスの変更による影響と対策を問うとされています。機器を追加するだけでなく、障害時に利用先と通信経路がどう変わるか、移行途中にも通信を維持できるかを読み取る問題です。
設問1(1)
表2の案2では、同じproxy.a-sha.co.jp.に対して、プロキシサーバBの192.168.1.145とプロキシサーバCの192.168.2.145という二つのAレコードが設定されています。一つのドメイン名に複数のIPアドレスを対応させて負荷分散する方式なので、公式解答例では「DNSラウンドロビン」です。
設問1(2)
下線①の直後では、プロキシのアプリケーションプロセスが動作するポートへのTCP接続を監視するとしています。pingへの応答があっても、そのプロセスが停止している可能性があります。公式解答例も、アプリケーションプロセスの停止を検知できない点を挙げています。40字以内では「プロキシのアプリケーションプロセスの停止を検知できないから」とまとめられます。
設問1(3)
本文の復旧条件は、監視サーバがプロキシサーバBの異常を検知した場合です。表1の案1は、平常時にBを利用し、Bの障害時にはCへ切り替えます。したがって、表2の案1の初期設定でproxy.a-sha.co.jp.が指す192.168.1.145を、Cのアドレスへ書き換えます。公式解答例では「192.168.2.145」です。192.168.1.145は平常時のBのアドレスであり、書換え後の値ではありません。
設問1(4)
本文では、キャッシュDNSサーバがほかのDNSサーバへの問合せ結果を応答すると説明されています。ゾーンファイルを書き換えても、変更前の情報がキャッシュに残っている間は、その情報が利用されます。TTLを平常時から小さくすると、古い情報の保持時間を短くできます。公式解答例に沿って、40字以内では「キャッシュDNSサーバがキャッシュを保持する時間を短くするため」と書けます。
設問1(5)(方法)
下線④では、自動切替えが可能で、プロキシを利用する側の環境に依存する方法を問うています。公式解答例では「プロキシ自動設定機能を利用する。」です。20字以内では、この機能名と利用することを示せば足ります。採点講評でも、この設問の正答率が低かったことに触れ、プロキシ自動設定機能の理解を求めています。
設問1(5)(制限事項)
本文の「プロキシサーバを利用する側の環境に依存する」という記述に着目します。プロキシ自動設定機能を使うには、利用側がその機能に対応している必要があります。公式解答例では「対応するPCやサーバでしか利用できない。」です。25字以内では、利用側の対応が必要という制限を明確にします。
設問2(1)(a)
本文は、BGPが何と何の間の経路交換のために作られたかを問うています。図3では、外部との接続にeBGP、内部のR11とR13の接続にiBGPを使っています。公式解答例では「AS」です。ASは自律システムを表し、BGPはAS間の経路交換のためのプロトコルです。
設問2(1)(b)
空欄の直前に「経路交換を行う隣接のルータ」とあります。BGP接続を確立して経路情報を交換する相手の呼称を問うており、公式解答例では「ピア」です。
設問2(1)(c)
表3のタイプ2は、経路情報の交換に利用し、経路の追加や削除が発生した場合に送信すると説明されています。また、本文ではLOCAL_PREFを含むメッセージとされています。これらに該当するため、公式解答例では「UPDATE」です。
設問2(1)(d)
表3のタイプ4は、BGP接続の確立や維持のために交換するメッセージです。公式解答例では「KEEPALIVE」です。経路情報を伝えるUPDATEとは役割が異なり、設問2(3)でもこのメッセージの定期的な交換に着目します。
設問2(1)(e)
本文では、受信した経路情報でBGPテーブルを構成し、最適経路を選択した後にルータの何へ反映するかを問うています。公式解答例では「ルーティングテーブル」です。BGPで受信した候補を管理する段階と、転送に使う経路へ反映する段階を区別します。
設問2(1)(f)
本文は、LOCAL_PREFによる経路の優先度を説明しています。LOCAL_PREFは値が大きい経路を優先するので、公式解答例では「大きい」です。値の大小と優先される方向を対応させて覚えます。
設問2(2)
下線⑤では、R11とR13がiBGPで接続し、next-hop-selfを設定します。この設定では、経路を広告するルータがネクストホップを自身のIPアドレスに書き換えます。公式解答例では、15字以内の「自身のIPアドレス」です。「自身」は広告する側のルータを指します。
設問2(3)(タイプ)
表3で、BGP接続の維持のために交換するメッセージはKEEPALIVEです。設問は名称ではなくタイプを求めているため、公式解答例では「4」と答えています。経路変更時に送信するタイプ2のUPDATEと区別します。
設問2(3)(動作)
接続維持のためのメッセージを一定時間受信できなければ、そのBGP接続を維持できないと判断します。公式解答例では「BGP接続を切断し、経路情報がクリアされる。」です。30字以内では、接続の切断と経路情報の消去という二つの動作を押さえます。
設問2(4)
図3では、FW10がVRRPの仮想IPアドレスをネクストホップにします。VRRPを先に導入してR13がマスターになると、R13に必要な経路情報がない状態でパケットを受信するおそれがあります。公式解答例に沿う50字以内の答案は「VRRPマスターになったR13に経路情報がないと、受信パケットを転送できないから」です。採点講評でも、導入過程でルータの経路情報がどう変わるかを具体的に理解するよう求めています。
設問2(5)(確認内容)
表4の項番4は、増設した機器や回線に故障がないことを確認する試験です。pingの応答が一度得られることだけでなく、試験中に応答が欠落しないことを確認します。公式解答例では「パケットロスが発生しないこと」であり、20字以内に収まります。
設問2(5)(組合せ)
増設されたR13について、本社側の接続と増設専用線側の接続を確認します。公式解答例にある二つの組合せとして「送信元R13・宛先FW10」と「送信元R13・宛先R14」を挙げられます。公式解答例では、前者は逆方向、又はR13とR11の間でもよく、後者もR14からR13の方向を認めています。二つの試験の順序は問いません。
設問2(6)
表4では、BGP接続と交換する経路情報を確認した後に、不要な静的経路を削除します。同じ宛先の静的経路が残っていると、BGPの経路より優先されるためです。公式解答例に沿って、40字以内では「同じ宛先では、BGPより静的経路制御の経路情報が優先されるから」とまとめられます。
設問2(7)
図3の二つの接続経路について、ルータの故障と回線の障害を挙げます。公式解答例の六つの箇所は「R11」「R13」「R11とR12を接続する回線」「R13とR14を接続する回線」「R11とL2SW10を接続する回線」「R13とL2SW10を接続する回線」です。R11とR13は機器故障、各回線は断などの障害として整理します。R12とR14の機器障害は、設問の条件でD社が試験済みとされています。
設問3(1)
FW10だけを先に変更すると、FW10はインターネット宛てのパケットをD社閉域NW側へ送ります。一方、D社側に変更前の本社経由の経路が残っていると、パケットが本社側へ戻され、転送が循環します。公式解答例では、25字以内の「ルーティングのループが発生する。」です。採点講評でも、単にインターネットが利用不可になると書くのではなく、その技術的な原因を答えるよう求めています。
設問3(2)
本文には、一部の部門が利用するSaaSで送信元IPアドレスによるアクセス制限を行っているとあります。接続をFW40経由に変更すると、NAPT後の送信元が新しいグローバルIPアドレスとなり、従来の許可設定に合わなくなる可能性があります。公式解答例では、20字以内の「送信元IPアドレスが変わるから」です。
設問3(3)
下線⑫の条件は、プロキシサーバAからインターネット宛ての通信だけをR10経由にすることです。送信元だけでなく宛先も条件に含め、ネクストホップを指定します。公式解答例に沿う70字以内の答案は「送信元IPアドレスがプロキシサーバAで、宛先がインターネットの場合、ネクストホップをR10とする設定」です。これにより、Aを利用する通信は移行期間中も既存の出口を使えます。
設問3(4)
恒久対応では、接続先SaaSが新しい送信元IPアドレスを許可するように変更する必要があります。本文の送信元IPアドレスによるアクセス制限と、FW40への新しいグローバルIPアドレスの割当てを結び付けます。公式解答例では「SaaSの送信元IPアドレスによるアクセス制限の設定変更」です。40字以内では、この変更対象を明確に示します。
学習のポイント
名前解決、経路選択、ゲートウェイ冗長化、NAPTの役割を区別し、障害時と移行途中の通信経路を追う練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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