NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ

令和5年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問1

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問1 マルチクラウド利用による可用性向上に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。 A社は,従業員500人のシステム開発会社である。A社では,IaaSを積極的に活用して開発業務を行ってきたが,利用しているIaaS事業者であるB社で大規模な障害が発生し,開発業務に多大な影響を受けた。A社のシステム部では,利用するIaaS事業者をもう1社追加してマルチクラウド環境にし,本社を中心にネットワーク環境も含めた可用性向上に取り組むことになり,Eさんを担当者として任命した。 現在のA社のネットワーク構成を図1に示す。 図1 現在のA社のネットワーク構成(抜粋) 図1の概要を次に示す。 ・A社は本社と2か所の営業所で構成されている。 ・D社閉域NWを利用して,本社と2か所の営業所を接続している。R11及びR20といったA社とD社閉域NWとを接続するルータは,D社からネットワークサービスとして提供されている。 ・D社閉域NWとB社IaaSは相互接続しており,A社はD社閉域NW経由でB社IaaSを利用している。 ・A社ネットワークでは静的経路制御を利用している。 ・B社からは,Webブラウザを利用した画面操作によって,IaaS上に仮想ネットワーク,仮想サーバを簡単に構築できる管理コンソールが提供されている。 ・A社のシステム部は,受託した開発業務ごとに開発サーバBを構築し,A社の担当部門に引き渡している。開発サーバBの運用管理は担当部門で実施する。 ・システム部は,共用のファイルサーバBを構築し,A社の全部門に提供している。 ・A社の全部門で利用する電子メールやチャット,スケジューラーなどのオフィスアプリケーションソフトウェアはインターネット上のSaaSを利用している。これらのSaaSはHTTPS通信を用いている。 ・A社の一部の部門では,担当する業務に応じてインターネット上のSaaSを独自に契約し,利用している。これらのSaaSでは送信元IPアドレスによってアクセス制限をしているものもある。これらのSaaSもHTTPS通信を用いている。 ・プロキシサーバAは,従業員が利用するPCやサーバからインターネット向けのHTTP通信,HTTPS通信をそれぞれ中継する。従業員はプロキシサーバとしてproxy.a-sha.co.jpをPCのWebブラウザやサーバに指定している。 ・A社は,本社設置のR10を経由してインターネットに接続している。FW10にはグローバルIPアドレスを付与しており,FW10を経由するインターネット宛ての通信はNAPT機能によってIPアドレスとポート番号の変換が行われる。 ・キャッシュDNSサーバは,PCやサーバからの問合せを受け,ほかのDNSサーバへ問い合わせた結果を応答する。キャッシュDNSサーバは複数台設置されている。 ・コンテンツDNSサーバは,PCやサーバのホスト名などを管理し,PCやサーバなどに関する情報を応答する。コンテンツDNSサーバは複数台設置されている。 ・監視サーバは,ICMPを利用する死活監視(以下,ping監視という)を用いてDMZやIaaSにあるサーバの監視を行っている。監視サーバで検知された異常はシステム部の担当者に通知され,復旧作業などの必要な対応が行われる。 システム部では,ネットワーク環境の可用性向上の要件を次のとおりまとめた。 ・新規にC社のIaaSを契約し,B社IaaSと併せたマルチクラウド環境にし,D社閉域NW経由で利用する。 ・A社本社とD社閉域NWとの接続回線を追加し,マルチホーム接続とする。 ・インターネット接続を本社経由からD社閉域NW経由に切り替える。 可用性向上後のA社のネットワーク構成を図2に示す。 図2 可用性向上後のA社のネットワーク構成(抜粋) 【B社とC社のIaaS利用】 C社からも,B社と同様に管理コンソールが提供されている。B社IaaSに構築された仮想ネットワーク,仮想サーバとC社IaaSに構築された仮想ネットワーク,仮想サーバはD社閉域NWを経由して相互に通信できる。 Eさんは,B社とC社のIaaS利用方針を次のとおり策定した。 ・C社IaaSにファイルサーバCを新たに構築し,ファイルサーバBと常に同期をとるように設定する。A社従業員はファイルサーバB又はファイルサーバCを利用する。 ・B社IaaSにプロキシサーバBを,C社IaaSにプロキシサーバCを新たに構築し,プロキシサーバAから切り替える。 ・B社IaaSを利用して開発サーバBを,C社IaaSを利用して開発サーバCを構築し,A社の担当部門に引き渡す。 〔プロキシサーバの利用方法の検討〕 Eさんは,IaaSに構築するプロキシサーバBとプロキシサーバCの利用方法を検討した。プロキシサーバの利用方法の案を表1に示す。 表1 プロキシサーバの利用方法の案 Eさんは,従業員が利用するプロキシサーバを,DNSの機能を利用して制御することを考えた。プロキシサーバに障害が発生した際には,DNSの機能を利用して切り替える。 プロキシサーバに関するDNSゾーンファイルの記述内容を表2に示す。 表2 プロキシサーバに関するDNSゾーンファイルの記述内容 Eさんは,プロキシサーバの監視運用について検討した。監視サーバで利用できる①ping監視では不十分だと考え,新たにTCP監視機能を追加し,プロキシサーバのアプリケーションプロセスが動作するポート番号にTCP接続可能か監視することにした。また,監視対象として,従業員がプロキシサーバとして指定するホストに加えて,プロキシサーバA,プロキシサーバB,プロキシサーバCのホストを設定することにした。 次に,監視サーバでプロキシサーバBの異常を検知した際に,従業員がプロキシサーバの利用を再開できるようにするための復旧方法として,②DNSゾーンファイルの変更内容を案1,案2それぞれについて検討した。また,③平常時からproxy.a-sha.co.jpに関するリソースレコードのTTLの値を小さくすることにした。 これらの検討の結果,プロキシサーバの負荷分散ができること,及びプロキシサーバの有効活用ができることから案2の方が優れていると考え,Eさんは案2を採用することにした。 さらに,Eさんは,自動でプロキシサーバを切り替えるために,④DNSとは異なる方法で従業員が利用するプロキシサーバを切り替える方法も検討した。プロキシサーバを利用する側の環境に依存することから,DNSゾーンファイルの書換えによる切替えと併用することにした。 〔マルチホーム接続〕 次に,EさんはD社閉域NWとのマルチホーム接続について検討した。A社本社に増設するルータ及び回線はD社からネットワークサービスとして提供される。マルチホーム接続の設計についてD社担当者から説明を受けた。 D社担当者から説明を受けたマルチホーム接続構成を図3に示す。 図3 D社担当者から説明を受けたマルチホーム接続構成(抜粋) 図3の概要は次のとおりである。 ・本社とD社閉域NWとの間で,新たにR13と専用線がD社からネットワークサービスとして提供される。R11とR13とを併せてマルチホーム接続とする。 ・増設する専用線の契約帯域幅は既設の専用線と同じにし,平常時は既設の専用線を利用し,障害発生時には増設する専用線を利用する。 ・既存のR11とR12は,静的経路制御からBGPによる動的経路制御に変更する。 ・R11とR12との間,R13とR14との間はeBGPで接続する。⑤R11とR13との間はiBGPで接続し,あわせてnext-hop-self設定を行う。 ・R11とR13との間ではVRRPを利用する。FW10はVRRPで定義する仮想IPアドレスをネクストホップとして静的経路設定を行う。 D社担当者からの説明を受けたEさんは,BGPについて調査した。 RFC 4271で規定されているBGPは,[a]間の経路交換のために作られたプロトコルで,TCPポート179番を利用して接続し,経路交換を行う。経路交換を行う隣接のルータを[b]と呼ぶ。BGPで交換されるメッセージは4タイプあり,表3に示す。 表3 BGPで交換されるメッセージ 経路制御は,[c]メッセージに含まれるBGPパスアトリビュートの一つであるLOCAL_PREFを利用して行うとの説明をD社担当者から受けた。LOCAL_PREFは,iBGPピアに対して通知する,外部のASに存在する宛先ネットワークアドレスの優先度を定義する。BGPでは,ピアリングで受信した経路情報をBGPテーブルとして構成し,最適経路選択アルゴリズムによって経路情報を一つだけ選択し,ルータの[e]に反映する。LOCAL_PREFの場合では,最も[f]値をもつ経路情報が選択される。 また,Eさんは,D社担当者から静的経路制御からBGPによる動的経路制御に構成変更する手順の説明を受けた。この時,⑥BGPの導入を行った後にVRRPの導入を行う必要があるとの説明だった。Eさんが説明を受けた手順を表4に示す。 表4 Eさんが説明を受けた手順 Eさんは,設計どおりにマルチホームによる可用性向上が実現できたかどうかを確認するための障害試験を行うことにし,⑨想定する障害の発生箇所と内容を障害一覧としてまとめた。 〔インターネット接続の切替え〕 次に,Eさんはインターネット接続を本社経由からD社閉域NW経由へ切り替えることについて検討した。 インターネット接続の切替え期間中の構成を図4に示す。 図4 インターネット接続の切替え期間中の構成(抜粋) FW40を使ってインターネット接続する。FW40はD社からネットワークサービスとして提供される。FW40には新たにグローバルIPアドレスが割り当てられる。FW40を経由するインターネット宛ての通信はNAPT機能によってIPアドレスとポート番号の変換が行われる。A社とインターネットとの通信を,R10経由からFW40経由になるようにインターネット接続を切り替える。 Eさんは,設定変更の作業影響による通信断時間を極力短くするために,⑩FW10の設定変更はD社閉域NWの設定変更とタイミングを合わせて実施する必要があると考えた。 Eさんは,⑪インターネット接続の切替えを行うと一部の部門で業務に影響があると考えた。対策として,全てのインターネット宛ての通信はFW40経由へと切り替えるが,⑫一定期間,プロキシサーバAからのインターネット宛ての通信だけは既存のR10経由になるようにする。あわせて,Eさんは,業務に影響がある一部の部門には切替え期間中はプロキシサーバAが利用可能なことを案内するとともに,⑬恒久対応として設定変更の依頼を事前に行うことにした。 Eさんは,プロキシサーバAのログを定期的に調査し,利用がなくなったことを確認した後に,プロキシサーバAを廃止することにした。 Eさんが検討した可用性向上の検討案は承認され,システム部では可用性向上プロジェクトを開始した。 設問1 〔プロキシサーバの利用方法の検討〕について答えよ。 (1) 表2中の案2の初期設定について,負荷分散を目的として一つのドメイン名に対して複数のIPアドレスを割り当てる方式名を答えよ。 (2) 本文中の下線①について,ping監視では不十分な理由を40字以内で答えよ。 (3) 本文中の下線②について,表2の案1の初期設定を対象に,ドメイン名proxy.a-sha.co.jp.の書換え後のIPアドレスを答えよ。 (4) 本文中の下線③について,TTLの値を小さくする目的を40字以内で答えよ。 (5) 本文中の下線④について,DNSとは異なる方法を20字以内で答えよ。また,その方法の制限事項を,プロキシサーバを利用する側の環境に着目して25字以内で答えよ。 設問2 〔マルチホーム接続〕について答えよ。 (1) 本文中及び表3中の[a]~[f]に入れる適切な字句を答えよ。 (2) 本文中の下線⑤について,next-hop-self設定を行うと,iBGPで広告する経路情報のネクストホップのIPアドレスには何が設定されるか。15字以内で答えよ。 (3) 表3について,BGPピア間で定期的にやり取りされるメッセージを一つ選び,タイプで答えよ。また,そのメッセージが一定時間受信できなくなるとどのような動作をするか。30字以内で答えよ。 (4) 本文中の下線⑥について,BGPの導入を行った後にVRRPの導入を行うべき理由を,R13が何らかの理由でVRRPマスターになったときのR13の経路情報の状態を想定し,50字以内で答えよ。 (5) 表4中の下線⑦について,pingコマンドの試験で確認すべき内容を20字以内で答えよ。また,pingコマンドの試験で確認すべき送信元と宛先の組合せを二つ挙げ,図3中の機器名で答えよ。 (6) 表4中の下線⑧について,R11及びR12では静的経路制御の経路情報を削除することで同じ宛先ネットワークのBGPの経路情報が有効になる。その理由を40字以内で答えよ。 (7) 本文中の下線⑨について,想定する障害を挙げ,それぞれの障害発生箇所を答えよ。ただし,R12とR14についてはD社で障害試験実施済みとする。 設問3 〔インターネット接続の切替え〕について答えよ。 (1) 本文中の下線⑩について,D社閉域NWの設定変更より前にFW10のデフォルトルートの設定変更を行うとどのような状況になるか。25字以内で答えよ。 (2) 本文中の下線⑪について,業務に影響が発生する理由を20字以内で答えよ。 (3) 本文中の下線⑫について,FW10にどのようなポリシーベースルーティング設定が必要か。70字以内で答えよ。 (4) 本文中の下線⑬について,どのような設定変更を依頼すればよいか。40字以内で答えよ。
図1 現在のA社のネットワーク構成(抜粋)。A社本社、営業所、DMZ、インターネット、B社IaaS及びD社閉域NWを接続する現在のネットワーク構成図。
図1 現在のA社のネットワーク構成(抜粋)。A社本社、営業所、DMZ、インターネット、B社IaaS及びD社閉域NWを接続する現在のネットワーク構成図。
図2 可用性向上後のA社のネットワーク構成(抜粋)。C社IaaSと冗長化されたルータ及び回線を追加した、可用性向上後のA社ネットワーク構成図。
図2 可用性向上後のA社のネットワーク構成(抜粋)。C社IaaSと冗長化されたルータ及び回線を追加した、可用性向上後のA社ネットワーク構成図。
表1 プロキシサーバの利用方法の案。プロキシサーバBを平常時に単独利用する案1と、B及びCを平常時から利用する案2を比較した表。
表1 プロキシサーバの利用方法の案。プロキシサーバBを平常時に単独利用する案1と、B及びCを平常時から利用する案2を比較した表。
表2 プロキシサーバに関するDNSゾーンファイルの記述内容。現在の設定、案1の初期設定、案2の初期設定におけるプロキシサーバのDNSレコードを示す表。
表2 プロキシサーバに関するDNSゾーンファイルの記述内容。現在の設定、案1の初期設定、案2の初期設定におけるプロキシサーバのDNSレコードを示す表。
図3 D社担当者から説明を受けたマルチホーム接続構成(抜粋)。R11及びR13を用い、eBGP、iBGP、VRRPでD社閉域NWへ冗長接続するマルチホーム構成図。
図3 D社担当者から説明を受けたマルチホーム接続構成(抜粋)。R11及びR13を用い、eBGP、iBGP、VRRPでD社閉域NWへ冗長接続するマルチホーム構成図。
表3 BGPで交換されるメッセージ。BGPのOPEN、UPDATE、NOTIFICATION、KEEPALIVE各メッセージのタイプと用途を示す表。
表3 BGPで交換されるメッセージ。BGPのOPEN、UPDATE、NOTIFICATION、KEEPALIVE各メッセージのタイプと用途を示す表。
表4 Eさんが説明を受けた手順。ルータ及び回線の増設、BGP設定、静的経路削除、VRRP設定を行う移行手順の表。
表4 Eさんが説明を受けた手順。ルータ及び回線の増設、BGP設定、静的経路削除、VRRP設定を行う移行手順の表。
図4 インターネット接続の切替え期間中の構成(抜粋)。切替え期間中にFW40経由へ移行しつつ、プロキシサーバAの通信をR10経由に残す構成図。
図4 インターネット接続の切替え期間中の構成(抜粋)。切替え期間中にFW40経由へ移行しつつ、プロキシサーバAの通信をR10経由に残す構成図。
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与えられた条件と推測を分ける

設計や移行について考える際は、判断の前提が与えられた条件に基づくものか、自分で補った推測なのかを区別しましょう。一般的な印象だけで結論を急がず、根拠として使える範囲を確かめることが大切です。

この問題で問われていること

この問題では、検討に用いる前提の出所に注目してください。扱う情報から直接確認できる条件と、経験や知識から補っている条件を分け、後者を確定事項として扱っていないかを振り返りながら考えましょう。

視点

条件を整理する際は、その内容だけでなく、何を根拠に条件として扱っているかを意識します。明示された情報と自分の推測との境界を保つと、考えの前提を点検しやすくなります。

確認ポイント

  • 前提にした条件の根拠を確認できるか
  • 明示されていない条件を自分で補っていないか
  • 推測を確定した条件として扱っていないか
正解と解説を見る

解説

本問は、複数のIaaSと接続回線を利用する可用性向上を扱います。DNSによるプロキシ切替え、BGPとVRRPを組み合わせる際の経路情報、インターネット接続変更に伴うループと送信元IPアドレスの変化を具体的に説明することが要点です。

問題の全体像

A社は、B社IaaSの大規模障害を受け、C社IaaSの追加、本社とD社閉域NWとの接続回線の冗長化、インターネット接続経路の変更を計画しています。出題趣旨では、マルチクラウドによる可用性向上、BGPとVRRPを組み合わせた構成の考慮点、グローバルIPアドレスの変更による影響と対策を問うとされています。機器を追加するだけでなく、障害時に利用先と通信経路がどう変わるか、移行途中にも通信を維持できるかを読み取る問題です。

設問1(1)

表2の案2では、同じproxy.a-sha.co.jp.に対して、プロキシサーバBの192.168.1.145とプロキシサーバCの192.168.2.145という二つのAレコードが設定されています。一つのドメイン名に複数のIPアドレスを対応させて負荷分散する方式なので、公式解答例では「DNSラウンドロビン」です。

設問1(2)

下線①の直後では、プロキシのアプリケーションプロセスが動作するポートへのTCP接続を監視するとしています。pingへの応答があっても、そのプロセスが停止している可能性があります。公式解答例も、アプリケーションプロセスの停止を検知できない点を挙げています。40字以内では「プロキシのアプリケーションプロセスの停止を検知できないから」とまとめられます。

設問1(3)

本文の復旧条件は、監視サーバがプロキシサーバBの異常を検知した場合です。表1の案1は、平常時にBを利用し、Bの障害時にはCへ切り替えます。したがって、表2の案1の初期設定でproxy.a-sha.co.jp.が指す192.168.1.145を、Cのアドレスへ書き換えます。公式解答例では「192.168.2.145」です。192.168.1.145は平常時のBのアドレスであり、書換え後の値ではありません。

設問1(4)

本文では、キャッシュDNSサーバがほかのDNSサーバへの問合せ結果を応答すると説明されています。ゾーンファイルを書き換えても、変更前の情報がキャッシュに残っている間は、その情報が利用されます。TTLを平常時から小さくすると、古い情報の保持時間を短くできます。公式解答例に沿って、40字以内では「キャッシュDNSサーバがキャッシュを保持する時間を短くするため」と書けます。

設問1(5)(方法)

下線④では、自動切替えが可能で、プロキシを利用する側の環境に依存する方法を問うています。公式解答例では「プロキシ自動設定機能を利用する。」です。20字以内では、この機能名と利用することを示せば足ります。採点講評でも、この設問の正答率が低かったことに触れ、プロキシ自動設定機能の理解を求めています。

設問1(5)(制限事項)

本文の「プロキシサーバを利用する側の環境に依存する」という記述に着目します。プロキシ自動設定機能を使うには、利用側がその機能に対応している必要があります。公式解答例では「対応するPCやサーバでしか利用できない。」です。25字以内では、利用側の対応が必要という制限を明確にします。

設問2(1)(a)

本文は、BGPが何と何の間の経路交換のために作られたかを問うています。図3では、外部との接続にeBGP、内部のR11とR13の接続にiBGPを使っています。公式解答例では「AS」です。ASは自律システムを表し、BGPはAS間の経路交換のためのプロトコルです。

設問2(1)(b)

空欄の直前に「経路交換を行う隣接のルータ」とあります。BGP接続を確立して経路情報を交換する相手の呼称を問うており、公式解答例では「ピア」です。

設問2(1)(c)

表3のタイプ2は、経路情報の交換に利用し、経路の追加や削除が発生した場合に送信すると説明されています。また、本文ではLOCAL_PREFを含むメッセージとされています。これらに該当するため、公式解答例では「UPDATE」です。

設問2(1)(d)

表3のタイプ4は、BGP接続の確立や維持のために交換するメッセージです。公式解答例では「KEEPALIVE」です。経路情報を伝えるUPDATEとは役割が異なり、設問2(3)でもこのメッセージの定期的な交換に着目します。

設問2(1)(e)

本文では、受信した経路情報でBGPテーブルを構成し、最適経路を選択した後にルータの何へ反映するかを問うています。公式解答例では「ルーティングテーブル」です。BGPで受信した候補を管理する段階と、転送に使う経路へ反映する段階を区別します。

設問2(1)(f)

本文は、LOCAL_PREFによる経路の優先度を説明しています。LOCAL_PREFは値が大きい経路を優先するので、公式解答例では「大きい」です。値の大小と優先される方向を対応させて覚えます。

設問2(2)

下線⑤では、R11とR13がiBGPで接続し、next-hop-selfを設定します。この設定では、経路を広告するルータがネクストホップを自身のIPアドレスに書き換えます。公式解答例では、15字以内の「自身のIPアドレス」です。「自身」は広告する側のルータを指します。

設問2(3)(タイプ)

表3で、BGP接続の維持のために交換するメッセージはKEEPALIVEです。設問は名称ではなくタイプを求めているため、公式解答例では「4」と答えています。経路変更時に送信するタイプ2のUPDATEと区別します。

設問2(3)(動作)

接続維持のためのメッセージを一定時間受信できなければ、そのBGP接続を維持できないと判断します。公式解答例では「BGP接続を切断し、経路情報がクリアされる。」です。30字以内では、接続の切断と経路情報の消去という二つの動作を押さえます。

設問2(4)

図3では、FW10がVRRPの仮想IPアドレスをネクストホップにします。VRRPを先に導入してR13がマスターになると、R13に必要な経路情報がない状態でパケットを受信するおそれがあります。公式解答例に沿う50字以内の答案は「VRRPマスターになったR13に経路情報がないと、受信パケットを転送できないから」です。採点講評でも、導入過程でルータの経路情報がどう変わるかを具体的に理解するよう求めています。

設問2(5)(確認内容)

表4の項番4は、増設した機器や回線に故障がないことを確認する試験です。pingの応答が一度得られることだけでなく、試験中に応答が欠落しないことを確認します。公式解答例では「パケットロスが発生しないこと」であり、20字以内に収まります。

設問2(5)(組合せ)

増設されたR13について、本社側の接続と増設専用線側の接続を確認します。公式解答例にある二つの組合せとして「送信元R13・宛先FW10」と「送信元R13・宛先R14」を挙げられます。公式解答例では、前者は逆方向、又はR13とR11の間でもよく、後者もR14からR13の方向を認めています。二つの試験の順序は問いません。

設問2(6)

表4では、BGP接続と交換する経路情報を確認した後に、不要な静的経路を削除します。同じ宛先の静的経路が残っていると、BGPの経路より優先されるためです。公式解答例に沿って、40字以内では「同じ宛先では、BGPより静的経路制御の経路情報が優先されるから」とまとめられます。

設問2(7)

図3の二つの接続経路について、ルータの故障と回線の障害を挙げます。公式解答例の六つの箇所は「R11」「R13」「R11とR12を接続する回線」「R13とR14を接続する回線」「R11とL2SW10を接続する回線」「R13とL2SW10を接続する回線」です。R11とR13は機器故障、各回線は断などの障害として整理します。R12とR14の機器障害は、設問の条件でD社が試験済みとされています。

設問3(1)

FW10だけを先に変更すると、FW10はインターネット宛てのパケットをD社閉域NW側へ送ります。一方、D社側に変更前の本社経由の経路が残っていると、パケットが本社側へ戻され、転送が循環します。公式解答例では、25字以内の「ルーティングのループが発生する。」です。採点講評でも、単にインターネットが利用不可になると書くのではなく、その技術的な原因を答えるよう求めています。

設問3(2)

本文には、一部の部門が利用するSaaSで送信元IPアドレスによるアクセス制限を行っているとあります。接続をFW40経由に変更すると、NAPT後の送信元が新しいグローバルIPアドレスとなり、従来の許可設定に合わなくなる可能性があります。公式解答例では、20字以内の「送信元IPアドレスが変わるから」です。

設問3(3)

下線⑫の条件は、プロキシサーバAからインターネット宛ての通信だけをR10経由にすることです。送信元だけでなく宛先も条件に含め、ネクストホップを指定します。公式解答例に沿う70字以内の答案は「送信元IPアドレスがプロキシサーバAで、宛先がインターネットの場合、ネクストホップをR10とする設定」です。これにより、Aを利用する通信は移行期間中も既存の出口を使えます。

設問3(4)

恒久対応では、接続先SaaSが新しい送信元IPアドレスを許可するように変更する必要があります。本文の送信元IPアドレスによるアクセス制限と、FW40への新しいグローバルIPアドレスの割当てを結び付けます。公式解答例では「SaaSの送信元IPアドレスによるアクセス制限の設定変更」です。40字以内では、この変更対象を明確に示します。

学習のポイント

名前解決、経路選択、ゲートウェイ冗長化、NAPTの役割を区別し、障害時と移行途中の通信経路を追う練習をしましょう。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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