NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
令和5年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
判断の前提となる条件をそろえる
技術の名称や印象から結論を急がず、判断がどのような前提条件の下で成り立つのかに注目しましょう。与えられた条件と、自分が補っている条件を分けて整理すると、検討の出発点を確かめやすくなります。
この問題で問われていること
考える際は、注目している性質について、成立の前提がどこまで明示されているかを確認しましょう。普段の経験や知識から条件を補っていないかを振り返り、示された範囲に沿って考えることが大切です。
視点
前提条件とは、ある判断を考えるときに土台として置く条件です。明示された条件と、自分の想定による条件を区別して整理しましょう。
確認ポイント
- 判断の前提として明示されている条件を確認する
- 自分の経験から補っている条件がないか確かめる
- 考えている内容が、示された条件の範囲に収まっているか確認する
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解説
Wi-Fi 6の技術を、新校舎の動画配信・認証・監視の要件に結び付ける問題です。周波数帯の使い分けとDFSの影響、800MbpsとなるAP接続区間の帯域計算、リンクアグリゲーションによる帯域活用、保守時のループ発生要因を押さえます。
問題の全体像
A専門学校の新校舎に、15教室で各50台のノートPCが動画を同時再生できるLANを導入する事例です。Wi-Fi 6対応APの選定に加え、認証、監視、電力供給、有線区間の帯域、冗長化、保守時のループ対策まで検討します。公式の出題趣旨では、無線LANの知識とLAN全体の設計能力を実務で活用できるかを問うとされています。無線側の最大通信速度だけで判断せず、端末から動画コンテンツサーバまでの経路全体を見ることが重要です。
設問1(a)
「5GHz帯を二つに区別し、2.4GHz帯と合わせて計三つの周波数帯を同時に利用できる」という説明に着目します。公式解答例では「トライバンド」です。本問では、2.4GHz帯と二つに分けた5GHz帯を利用する構成を指します。採点講評では、この空欄の正答率が特に低かったとされており、名称と利用する周波数帯を対応させて覚えることが大切です。
設問1(b)
「送受信側それぞれ複数のものを用いて複数のストリームを生成する」というMIMOの説明に着目します。公式解答例では「アンテナ」です。複数のアンテナを使って空間的に複数のストリームを扱い、MU-MIMOでは複数のWLAN端末との同時通信を可能にします。サブキャリアを端末間で共有するOFDMAの説明と区別しましょう。
設問1(c)
WPA3-PersonalでSAEを採用し、「利用者が指定したもの」の解読を試みる辞書攻撃への耐性を強化するという文脈に着目します。公式解答例では「パスワード」です。ここで問われているのは利用者が設定する秘密の文字列であり、暗号化された通信データそのものではありません。SAEの採用とパスワードへの辞書攻撃に対する耐性を結び付けます。
設問1(d)
「20MHz帯域幅チャネルを二つ束ねた40MHz帯域幅チャネル」という説明が手掛かりです。公式解答例では「チャネルボンディング」です。複数のチャネルを束ねて使用する帯域幅を広げる技術であり、複数のアンテナによってストリームを扱うMIMOとは仕組みが異なります。
設問1(e)
PoE+に当たるIEEE802.3atの最大30Wでは電力不足のリスクがあるため、IEEE802.3btを採用するという会話に着目します。公式解答例では「PoE++」です。LANケーブルでAPへ電力を供給するという要件を、採用するAPの消費電力と対応する給電規格に結び付けて読み取ります。
設問1(f)
APの故障時に隣接教室の端末も接続すると、1Gbpsを超える可能性があるという指摘に続いて、2.5GBASE-Tと5GBASE-Tが示されています。公式解答例では、これらを指す名称は「マルチギガビットイーサネット」です。採点講評では、この空欄も正答率が特に低かったとされています。無線側の性能に見合う有線接続速度を選ぶための技術として押さえましょう。
設問1(g)
「それぞれ2台を接続して論理的に1台とする」という説明に着目します。公式解答例では「スタック」です。基幹L3SW同士、サーバL2SW同士をそれぞれ論理的に一つのスイッチとして扱うことで、物理的に異なるスイッチへ接続したリンクを、スイッチをまたいだリンクアグリゲーションとして利用する構成につながります。
設問1(h)
WLAN端末のIPアドレスをマシン室のDHCPサーバから配布し、そのための機能を基幹L3SWに設定するという記述に着目します。公式解答例では「DHCPリレーエージェント」です。端末からのDHCP要求はブロードキャストで始まるため、ルータを越えてそのまま届きません。基幹L3SWが要求をDHCPサーバへ中継することで、異なるネットワークの端末にもアドレスを配布できます。
設問2(1)周波数帯
表1には、5GHz帯の区分としてW52、W53、W56が示されています。公式解答例では、二つに分けた帯域は「W52/W53」と「W56」です。W52とW53を一つの側にまとめ、W56をもう一つの側として答えます。「二つ答える」という指示から、W52とW53だけを選ばないように注意してください。
設問2(1)利点
二つの5GHz帯に異なるESSIDを付与し、ノートPCを半数ずつ接続するという会話が具体的な手掛かりです。端末を分散させて混雑を軽減できるため、公式解答例では「より多くのWLAN端末が安定して通信できる。」としています。30字以内では「より多くの端末」と「安定した通信」を押さえます。採点講評でもトライバンドの利点への理解不足が指摘されており、単に最大速度が上がると説明するのではなく、多数の端末を収容する効果を示すことが重要です。
設問2(2)周波数帯
表1に示された5GHz帯の区分のうち、レーダーとの干渉を避けるためにDFSを使用する帯域を答えます。公式解答例では「W53」と「W56」です。設問2(1)のトライバンドにおける分け方とは問われている観点が異なるため、「W52/W53」をそのまま流用しないようにします。
設問2(2)動作
DFSは、レーダーを検知したチャネルでの送信を続けず、使用するチャネルを変更して干渉を回避する機能です。公式解答例では、検知したチャネルの電波を停止し、他のチャネルに遷移して再開するとしています。40字以内の答案では「検知したチャネルの電波を停止し、他のチャネルで再開する。」のように、停止・変更・再開の流れを押さえます。単にレーダーを検知するという説明だけでは、APの動作を示せません。
設問2(2)影響
APが使用中のチャネルで電波を停止して別のチャネルへ移るため、そのAPを利用していたWLAN端末では接続や通信が一時的に途切れます。公式解答例では「APとの接続断や通信断が不定期に発生する。」です。25字以内では、接続断・通信断という現象と、レーダー検知に伴って不定期に生じる点を押さえます。APのチャネル変更動作と端末側の影響を分けて説明しましょう。
設問3(1)
1台のノートPCが必要とする通信速度は、7.2Gバイトをビットに換算し、1時間の3、600秒で割って求めます。7.2×10^9×8÷3、600=16×10^6ビット/秒なので、1台当たり16Mbpsです。1教室の50台が同時再生するため、16×50=800Mbpsとなり、公式解答例も「800」です。二つの5GHz帯に25台ずつ分散しても、APとフロアL2SWの間には50台分が流れます。採点講評では桁の誤りが指摘されているため、バイトからビットへの8倍と、時間から秒への換算を明示して計算しましょう。
設問3(2)区間
図1の(ii)は、サーバL2SWと基幹L3SWの間です。動画コンテンツサーバから各教室へ向かう通信がこの区間に集まるため、公式解答例では「(ii)」です。全15教室が同時再生すると、動画だけで800Mbps×15=12、000Mbpsになります。スパニングツリーではループ回避のため一部のリンクが転送に使われず、全リンクの帯域を同時に活用できないため、10GbEリンクへの負荷集中が問題になります。また、認証後の端末通信はWLCを経由しないと明記されているので、動画配信の集中箇所として(v)を選ばないようにします。
設問3(2)理由
スタックしたスイッチ間でリンクアグリゲーションを構成すると、複数の物理リンクを平常時から通信に利用でき、トラフィックを分散できます。公式解答例では「平常時にリンク本数分の帯域を同時に利用できるから」です。この表現は30字以内で、リンクを予備として待機させるだけでなく、平常時にも複数本の帯域を活用する点を示しています。複数端末の通信を分散する効果であり、一つの通信が必ず合計帯域で流れるという意味ではありません。
設問3(3)機器
RFPではフロアL2SWとAPについて、A専門学校の職員が保守を行うと明記されています。さらに、動画コンテンツサーバは学校が保有し、学校が保守を行っているとあります。したがって、公式解答例の3種類は「AP」「フロアL2SW」「動画コンテンツサーバ」です。基幹L3SW、サーバL2SW、認証システム、DHCPサーバ、FWの保守は提案要件に含まれているため、学校側の保守対象との分担を区別して読み取ります。
設問3(3)作業ミス
故障交換や設定復旧に伴って、ケーブルの誤接続や設定ミスによりレイヤー2のループができると、ブロードキャストフレームが循環・増加し、ブロードキャストストームにつながります。公式解答例では「ループ状態になるような誤接続や設定ミス」です。この表現は25字以内で、作業ミスの種類だけでなく、ループを形成することが原因だと示しています。単なる接続間違いではなく、ループが生じる誤りである点を押さえましょう。
学習のポイント
無線LANの技術名称だけでなく、端末数からの帯域計算、通信経路上の負荷集中、冗長化方式と保守分担を関連付けて学習しましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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