NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
令和5年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
条件と判断の対応を整理する
ネットワークの設計や運用を考えるときは、判断の前提となる条件に注目しましょう。条件と判断を対応付けて整理し、明示されている内容と自分で補った想定を分けると、検討の筋道を保ちやすくなります。
この問題で問われていること
この問題では、扱われている条件が、考えようとしている判断の前提になっているかに意識を向けましょう。馴染みのある言葉から結論を急がず、条件と判断のつながりを自分の言葉で整理することが手掛かりとなります。
視点
判断の前提とは、考えを進める際の出発点となる条件です。検討中の内容について、どの条件に基づく考えなのかを整理し、与えられた条件と自分の想定が混ざっていないか確かめましょう。
確認ポイント
- 判断の前提として、どの条件を使っているか
- その条件は明示されたものか、自分で補った想定か
- 条件と判断のつながりを、自分の言葉で整理できるか
正解と解説を見る
解説
20台のIPカメラによる映像配信を題材に、マルチキャストの帯域効率、IGMPv3とSSMによるソース指定、配信ツリーとIGMPスヌーピング、PC追加時の設定変更を学ぶ問題です。L2SW91からFW01への区間には全20台分が集約され、最大伝送レートは160Mビット/秒になります。
問題の全体像
K市が水害への対策として河川・沿岸にIPカメラ20台を設置し、庁舎のレシーバやPCへ高解像度映像をリアルタイム配信する事例です。出題趣旨では、IPマルチキャストによる通信帯域の効率的な使用と、設計・運用の柔軟性の確保が示されています。本文と図を対応付け、PIM-SM、SSM、IGMPv3の役割、伝送レート、アドレス設計、受信端末追加時の変更を説明できることが狙いです。
設問1(ア)
「受信インタフェース以外の全てのインタフェースへ」という転送動作に着目します。受信したフレームを同一セグメント内へ広く転送する動作なので、公式解答例では「フラッディング」です。受信を必要としない機器にも届くため、通信帯域や接続先の処理能力を無駄に消費します。
設問1(イ)
レシーバが送信するJoinやLeaveをL2SWが監視し、配信先の決定に必要な情報を収集する点に着目します。本文では配信要求プロトコルとしてIGMPv3を使用しているので、公式解答例では「IGMP」です。IGMPスヌーピングによって、受信を要求する端末が接続されたインタフェースを把握し、不要な配信を抑えます。
設問1(ウ)
図2の説明(c)では、レシーバ11がIGMPv3メンバーシップレポートを、IGMP用に割り当てられたIPアドレス宛てに送信します。この送信先のアドレス種別を問う空欄なので、公式解答例では「マルチキャスト」です。映像データのグループアドレスと、IGMPの制御パケットの送信先は区別して読み取ります。
設問1(エ)
図2の説明(d)では、L3SW11が受信要求に基づいてソース方向のFW01へPIMの(S、G) Joinを送信します。これにより、ソースから受信側へパケットを届ける配信経路が作られるので、公式解答例では「ツリー」です。採点講評では、ディストリビューションツリーがIPマルチキャストの重要な用語として挙げられています。
設問1(オ)
図2の説明(b)に「PIM-SMが有効化されたインタフェースでは、定期的にPIM helloが送信される」とあります。FW01と各L3SWがPIMネイバーを発見するための設定に対応するので、公式解答例では「PIM-SM」です。マルチキャストルーティングの有効化に加え、各インタフェースで使用するプロトコルの設定を読み取ります。
設問1(カ)
レシーバがソースのIPアドレスとグループアドレスを指定し、L3SWが(S、G)エントリを作成する点に着目します。このソースを指定した配信に対応するマルチキャストルーティングの方式なので、公式解答例では「SSM」です。本文でもSSMはPIM-SMの派生型として示されており、受信要求にはIGMPv3を使用します。
設問1(キ)
IPカメラは撮影した映像をH.264で符号化し、受信側は映像データを映像へ戻して表示します。本文のレシーバについても「映像へ復号」と記載されているので、公式解答例では「復号」です。PCに導入するソフトウェアにも、この映像データを表示可能な映像へ戻す機能が必要です。
設問2(1)
ユニキャストでは、ソースが配信先のレシーバごとに映像データを送信するため、同じ映像でも配信先が増えるほどソースの通信量が増えます。公式解答例では「配信先のレシーバの数に応じてソースの通信量が増加する。」です。35字以内の答案では、指定語句の「ソース」「レシーバ」を用い、配信先の数と送信量の関係を示します。
設問2(2)
本文の「IPカメラは合計20台」「1台当たり8Mビット/秒」と、図1の集約経路に着目します。L2SW91からFW01へ向かう区間には、L2SW91に直接接続されたカメラだけでなく、下流のL2SW92~L2SW95に接続されたカメラを含む全20台分の通信が集約されます。レシーバ6台には合計24個の映像受信枠があり、20台全ての映像を受信する構成が可能です。同じ映像を複数のレシーバが要求しても、この区間ではレシーバごとの複製は不要なので、最大値は20台×8Mビット/秒=160Mビット/秒です。公式解答例も「160」です。
設問2(3)
本文では、IGMPv2はグループアドレスだけを指定し、IGMPv3はソースのIPアドレスも指定できると説明されています。IGMPv2で全カメラに同じグループアドレスを使用すると、配信要求でカメラを個別に選択できません。したがって、公式解答例では「全てのIPカメラに個別のIPアドレス及び個別のグループアドレスを使用する。」です。45字以内では、IPアドレスとグループアドレスをともに個別に割り当てることを示します。採点講評でも、下線部だけでなく本文全体から両バージョンの違いを読み取るよう求めています。
設問3(1)
IGMPv3では(S、G)、すなわちソースのIPアドレスとグループアドレスの組で映像を指定できます。このため、異なるカメラが同じグループアドレスを使用しても、ソースを指定して映像を選択できます。カメラごとに異なるグループアドレスを割り当てる必要がなくなるので、公式解答例では「グループアドレスの設計が容易になる。」です。25字以内では、指定語句を含めてアドレス設計上の利点を示します。
設問3(2)
IGMPスヌーピングでは、どのグループの映像を、どの接続先へ配信するかを把握する必要があります。JoinやLeaveから受信要求の対象となるグループを確認し、それを受信したインタフェースと対応付けます。公式解答例では「グループアドレス」「インタフェース」です。設問が本文中の字句を求めているため、この二つの語で答えます。
設問3(3)(Ⅰ)
本文では、カメラ管理サーバがIPカメラの死活監視・遠隔制御を行い、PCとはHTTPSで通信するとされています。表1の項番1ではサーバ室からIPカメラへ通信する送信元、項番2ではPCからHTTPSでアクセスする宛先が同じ機器になります。したがって、公式解答例では「カメラ管理サーバ」です。図1に記載された機器名で答えます。
設問3(3)(Ⅱ)
表1の項番2は、PCからカメラ管理サーバへの通信です。本文に「PCとはHTTPSで」とあるため、許可するTCPの宛先ポートはHTTPSのウェルノウンポートになります。公式解答例では「443」です。映像データのマルチキャスト配信ではなく、カメラ管理サーバへのWebアクセスに対応する番号を答えます。
設問4(1)(a)
追加前は、レシーバが接続されたL2SWにつながるL3SWのインタフェースでIGMPv3を有効化しています。PCを受信端末に加える際には、PC側のセグメントでも受信要求を扱う必要があります。その設定を追加する機器なので、公式解答例では「L3SW11、L3SW21」です。既に有効化されているマルチキャストルーティングと、受信端末側で追加する設定を対応付けて考えます。
設問4(1)(b)
図1では、レシーバはL2SW12とL2SW22に接続され、これらにつながるL3SWのインタフェースにはIGMPv3を設定済みです。一方、PCはL2SW11とL2SW21にも接続されています。このため、追加対象はL3SW11のL2SW11接続側と、L3SW21のL2SW21接続側です。公式解答例では、接続先機器名として「L2SW11、L2SW21」です。
設問4(1)(c)
PCへ導入するソフトウェアはIGMPv3に対応し、PCが映像の受信要求を送信します。この要求をPC側セグメントのL3SWで扱えるようにする必要があるため、公式解答例では「IGMPv3」です。採点講評では、ネットワーク構成と通信プロトコルの関係を理解して必要な変更作業を導くことが求められています。
設問4(2)
デスクトップアプリケーション方式では、各PCのソフトウェアへIPカメラを登録します。Webブラウザ方式では、カメラ管理サーバに登録されたカメラをWebページから選択するので、カメラの追加や更新への対応をサーバ側にまとめられます。公式解答例では「Webページを改修するだけで対応完了できる。」です。25字以内では、Webページの改修だけで対応できるという管理上の利点を示します。
学習のポイント
図の通信経路から集約される通信量を求め、IGMPとPIMの役割、ソース指定によるアドレス設計、受信端末追加時の設定範囲を理解しましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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