NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ

令和3年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問1

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問1 社内システムの更改に関する次の記述を読んで,設問1~6に答えよ。 G社は,都内に本社を構える従業員600名の建設会社である。G社の従業員は,情報システム部が管理する社内システムを業務に利用している。情報システム部は,残り1年でリース期間の満了を迎える,サーバ,ネットワーク機器及びPCの更改を検討している。 〔社内システムの概要〕 G社の社内システムの構成を図1に示す。 図1 G社の社内システムの構成(抜粋) G社の社内システムの概要は,次のとおりである。 ・外部DNSサーバは,DMZのドメインに関するゾーンファイルを管理する権威サーバであり,インターネットから受信する名前解決要求に応答する。 ・内部DNSサーバは,社内システムのドメインに関するゾーンファイルを管理する権威サーバであり,PC及びサーバから送信された名前解決要求に応答する。 ・内部DNSサーバは,DNS[a]であり,PC及びサーバから送信された社外のドメインに関する名前解決要求を,ISPが提供するフルサービスリゾルバに転送する。 ・全てのサーバに二つのNICを実装し,アクティブ/スタンバイのチーミングを設定している。 ・L3SW1及びL3SW2でVRRPを構成し,L3SW1の[b]を大きく設定して,マスタルータにしている。 ・L3SW1とL3SW2間のポートを,VLAN10,VLAN11及びVLAN101~VLAN103を通すトランクポートにしている。 ・L2SW3~L2SW20とL3SW間のポートを,VLAN101~VLAN103を通すトランクポートにしている。 ・内部NWのスイッチは,IEEE 802.1Dで規定されているSTP(Spanning Tree Protocol)を用いて,経路を冗長化している。 ・内部DNSサーバはDHCPサーバ機能をもち,PCに割り当てるIPアドレス,サブネットマスク,デフォルトゲートウェイのIPアドレス,及び①名前解決要求先のIPアドレスの情報を,PCに通知している。 ・FW1及びFW2は,アクティブ/スタンバイのクラスタ構成である。 ・FW1及びFW2に静的NATを設定し,インターネットから受信したパケットの宛先IPアドレスを,公開Webサーバ及び外部DNSサーバのプライベートIPアドレスに変換している。 ・FW1及びFW2にNAPTを設定し,サーバ及びPCからインターネット向けに送信されるパケットの送信元IPアドレス及び送信元ポート番号を,それぞれ変換している。 G社のサーバ及びPCの設定を表1に,G社のネットワーク機器に設定する静的経路情報を表2に,それぞれ示す。 表1 G社のサーバ及びPCの設定(抜粋) 表2 G社のネットワーク機器に設定する静的経路情報(抜粋) 情報システム部のJ主任が社内システムの更改と移行を担当することになった。更改と移行に当たって,上司であるM課長から指示された内容は,次のとおりである。 (1) 内部NWを見直して,障害発生時の業務への影響の更なる低減を図ること (2) 業務への影響を極力少なくした移行計画を立案すること 〔現行の内部NW調査〕 J主任は,まず,現行の内部NWの設計について再確認した。内部NWのスイッチは,一つのツリー型トポロジをSTPによって構成し,全てのVLANのループを防止している。②L3SW1に最も小さいブリッジプライオリティ値を,L3SW2に2番目に小さいブリッジプライオリティ値を設定し,L3SW1をルートブリッジにしている。 ルートブリッジに選出されたL3SW1は,STPによって構成されるツリー型トポロジの最上位のスイッチである。L3SW1はパスコストを0に設定したBPDU(Bridge Protocol Data Unit)を,接続先機器に送信する。BPDUを受信したL3SW2及びL2SW3~L2SW20(以下,L3SW2及びL2SW3~L2SW20を非ルートブリッジという)は,設定されたパスコストを加算したBPDUを,受信したポート以外のポートから送信する。非ルートブリッジのL3SW及びL2SWの全てのポートのパスコストに,同じ値を設定している。 STPを設定したスイッチは,各ポートに,ルートポート,指定ポート及び非指定ポートのいずれかの役割を決定する。ルートブリッジであるL3SW1では,全てのポートが[c]ポートとなる。非ルートブリッジでは,パスコストやブリッジプライオリティ値に基づきポートの役割を決定する。例えば,L2SW3において,L3SW2に接続するポートは,[d]ポートである。 STPのネットワークでトポロジの変更が必要になると,スイッチはポートの状態遷移を開始し,[e]テーブルをクリアする。 ポートをフォワーディングの状態にするときの,スイッチが行うポートの状態遷移は,次のとおりである。 (1) リスニングの状態に遷移させる。 (2) 転送遅延に設定した待ち時間が経過したら,ラーニングの状態に遷移させる。 (3) 転送遅延に設定した待ち時間が経過したら,フォワーディングの状態に遷移させる。 J主任は,内部NWのSTPを用いているネットワークに障害が発生したときの復旧を早くするために,IEEE 802.1D-2004で規定されているRSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)を用いる方式と,スイッチのスタック機能を用いる方式を検討することにした。 〔RSTPを用いる方式〕 J主任は,トポロジの再構成に掛かる時間を短縮したプロトコルであるRSTPについて調査した。RSTPでは,STPの非指定ポートの代わりに,代替ポートとバックアップポートの二つの役割が追加されている。RSTPで追加されたポートの役割を,表3に示す。 表3 RSTPで追加されたポートの役割 RSTPでは,プロポーザルフラグをセットしたBPDU(以下,プロポーザルという)及びアグリーメントフラグをセットしたBPDU(以下,アグリーメントという)を使って,ポートの役割決定と状態遷移を行う。 調査のために,J主任が作成したRSTPのネットワーク図を図2に示す。 図2 J主任が作成したRSTPのネットワーク図 スイッチAにおいて,スイッチRに接続するポートのダウンを検知したときに,スイッチAとスイッチBが行うポートの状態遷移は,次のとおりである。 (1) スイッチAは,トポロジチェンジフラグをセットしたBPDUをスイッチBに送信する。 (2) スイッチBは,スイッチAにプロポーザルを送信する。 (3) スイッチAは,受信したプロポーザル内のブリッジプライオリティ値やパスコストと,自身がもつブリッジプライオリティ値やパスコストを比較する。比較結果から,スイッチAは,スイッチBがRSTPによって構成されるトポロジにおいて[f]であると判定し,スイッチBにアグリーメントを送信し,指定ポートをルートポートにする。 (4) アグリーメントを受信したスイッチBは,代替ポートを指定ポートとして,フォワーディングの状態に遷移させる。 J主任は,調査結果から,STPをRSTPに変更することで,③内部NWに障害が発生したときの,トポロジの再構成に掛かる時間を短縮できることを確認した。 〔スイッチのスタック機能を用いる方式〕 次に,J主任は,ベンダから紹介された,新たな機器が実装するスタック機能を用いる方式を検討した。新たな機器を用いた社内システム(以下,新社内システムという)の内部NWに関して,J主任が検討した内容は次のとおりである。 ・新L3SW1と新L3SW2をスタック用ケーブルで接続し,1台の論理スイッチ(以下,スタックL3SWという)として動作させる。 ・スタックL3SWと新L2SW3~新L2SW20の間を,リンクアグリゲーションを用いて接続する。 ・新ディレクトリサーバ及び新内部DNSサーバに実装される二つのNICに,アクティブ/アクティブのチーミングを設定し,スタックL3SWに接続する。 検討の内容を基に,J主任は,スタック機能を用いることで,障害発生時の復旧を早く行えるだけでなく,④スイッチの情報収集や構成管理などの維持管理に係る運用負荷の軽減や,⑤回線帯域の有効利用を期待できると考えた。 〔新社内システムの構成設計〕 J主任は,スイッチのスタック機能を用いる方式を採用し,STP及びRSTPを用いない構成にすることにした。J主任が設計した新社内システムの構成を,図3に示す。 図3 新社内システムの構成(抜粋) 〔新社内システムへの移行の検討〕 J主任は,現行の社内システムから新社内システムへの移行に当たって,五つの作業ステップを設けることにした。移行における作業ステップを表4に,ステップ1完了時のネットワーク構成を図4に示す。ステップ1では,現行の社内システムと新社内システムの共存環境を構築する。 表4 移行における作業ステップ(抜粋) ・図4中の新社内システムを構築し,現行の社内システムと接続する。 ・⑥現行のディレクトリサーバから新ディレクトリサーバへデータを移行する。 ・⑦現行の社内システムに接続されたPCから,新公開Webサーバの動作確認を行う。 ・現行の社内システムから,新社内システムに切り替える。(表8参照) ・新社内システムの安定稼働を確認し,新サーバに不具合が見つかった場合には,速やかに現行のサーバに切り戻す。 ・現行の社内システムを切り離す。 図4 ステップ1完了時のネットワーク構成(抜粋) ステップ1完了時のネットワーク構成の概要は,次のとおりである。 ・新ディレクトリサーバ及び新内部DNSサーバに,172.17.11.0/24のIPアドレスブロックから未使用のIPアドレスを割り当てる。 ・⑧新公開Webサーバ及び新外部DNSサーバには,172.16.254.0/24のIPアドレスブロックから未使用のIPアドレスを割り当てる。 ・現行のL3SW1と新L3SW1間を接続し,接続ポートをVLAN11のアクセスポートにする。 ・スタックL3SWのVLAN11のVLANインタフェースに,未使用のIPアドレスである172.17.11.101を,一時的に割り当てる。 ・全ての新サーバについて,デフォルトゲートウェイのIPアドレスは,現行のサーバと同じIPアドレスにする。 ・新社内システムのインターネット接続用サブネットには,現行の社内システムと同じグローバルIPアドレスを使うので,新外部DNSサーバのゾーンファイルに,現行の外部DNSサーバと同じゾーン情報を登録する。 ・現行の内部DNSサーバ及び新内部DNSサーバのゾーンファイルに,新サーバに関するゾーン情報を登録する。 ・新FW1及び新FW2は,アクティブ/スタンバイのクラスタ構成にする。 ・新FW1及び新FW2には,インターネットから受信したパケットの宛先IPアドレスを,新公開Webサーバ及び新外部DNSサーバのプライベートIPアドレスに変換する静的NATを設定する。 ・新FW1及び新FW2にNAPTを設定する。 ・新サーバの設定を表5に,新FW及びスタックL3SWに設定する静的経路情報を表6に,FW及びL3SWに追加する静的経路情報を表7に示す。 表5 新サーバの設定(抜粋) 表6 新FW及びスタックL3SWに設定する静的経路情報(抜粋) 表7 FW及びL3SWに追加する静的経路情報(抜粋) 次に,J主任は,ステップ3の現行の社内システムから新社内システムへの切替作業について検討した。J主任が作成したステップ3の作業手順を,表8に示す。 表8 ステップ3の作業手順(抜粋) ・現行のルータ1に接続されているインターネット接続回線を,新ルータ1に接続する。 ・新FW1及び新FW2に設定されているデフォルトルートのネクストホップを,新ルータ1のIPアドレスに変更する。 ・⑨現行のFW1とL2SW1間,及び現行のFW2とL2SW2間を接続しているLANケーブルを抜く。 ・⑩ステップ4で,新サーバに不具合が見つかったときの切戻しに掛かる作業量を減らすために,現行のL2SW1と新L2SW1間を接続する。 ・⑪インターネットから新公開Webサーバに接続できることを確認する。 ・現行のL3SW1及びL3SW2のVLANインタフェースに設定されている全てのIPアドレス,並びに静的経路情報を削除する。 ・スタックL3SWのVLAN11のVLANインタフェースに設定されているIPアドレスを,[g]に変更する。 ・スタックL3SWに設定されているデフォルトルートのネクストホップを新FW1と新FW2が共有する仮想IPアドレスに変更する。 ・スタックL3SWに設定されている宛先ネットワークアドレスが172.16.254.128/25の静的経路情報を削除する。 ・新ディレクトリサーバをマスタとして稼働させる。 ・現行の内部DNSサーバのDHCPサーバ機能を停止する。 ・新内部DNSサーバのDHCPサーバ機能を開始する。 ・⑫スタックL3SWにDHCPリレーエージェントを設定する。 ・スタックL3SWに,VLAN101~VLAN103のVLANインタフェースを作成し,IPアドレスを設定する。 ・新L2SW3~新L2SW20と新L3SW1,新L3SW2に,VLAN101~VLAN103を通すトランクポートを設定し,接続する。 ・新PCから新ディレクトリサーバに接続できることを確認する。 J主任が作成した移行計画はM課長に承認され,J主任は更改の準備に着手した。 設問1 〔社内システムの概要〕について,(1),(2)に答えよ。 (1) 本文中の[a],[b]に入れる適切な字句を答えよ。 (2) 本文中の下線①の名前解決要求先を,図1中の機器名で答えよ。 設問2 〔現行の内部NW調査〕について,(1),(2)に答えよ。 (1) 本文中の下線②の設定を行わず,内部NWのL2SW及びL3SWに同じブリッジプライオリティ値を設定した場合に,L2SW及びL3SWはブリッジIDの何を比較してルートブリッジを決定するか。適切な字句を答えよ。また,L2SW3がルートブリッジに選出された場合に,L3SW1とL3SW2がVRRPの情報を交換できなくなるサブネットを,図1中のサブネット名を用いて全て答えよ。 (2) 本文中の[c]~[e]に入れる適切な字句を答えよ。 設問3 〔RSTPを用いる方式〕について,(1),(2)に答えよ。 (1) 本文中の[f]に入れる適切な字句を答えよ。 (2) 本文中の下線③について,トポロジの再構成に掛かる時間を短縮できる理由を二つ挙げ,それぞれ30字以内で述べよ。 設問4 〔スイッチのスタック機能を用いる方式〕について,(1),(2)に答えよ。 (1) 本文中の下線④について,運用負荷を軽減できる理由を,30字以内で述べよ。 (2) 本文中の下線⑤について,内部NWで,スタックL3SW~新L2SW以外に回線帯域を有効利用できるようになる区間が二つある。二つの区間のうち一つの区間を,図3中の字句を用いて答えよ。 設問5 図3の構成について,STP及びRSTPを不要にしている技術を二つ答えよ。 また,STP及びRSTPが不要になる理由を,15字以内で述べよ。 設問6 〔新社内システムへの移行の検討〕について,(1)~(8)に答えよ。 (1) 表4中の下線⑥によって発生する現行のディレクトリサーバから新ディレクトリサーバ宛ての通信について,現行のL3SW1とスタックL3SW間を流れるイーサネットフレームをキャプチャしたときに確認できる送信元MACアドレス及び宛先MACアドレスをもつ機器をそれぞれ答えよ。 (2) 表4中の下線⑦によって発生する現行のPCから新公開Webサーバ宛ての通信について,現行のL3SW1とスタックL3SW間を流れるイーサネットフレームをキャプチャしたときに確認できる送信元MACアドレス及び宛先MACアドレスをもつ機器をそれぞれ答えよ。 (3) 本文中の下線⑧について,新公開Webサーバに割り当てることができるIPアドレスの範囲を,表1及び表5~7の設定内容を踏まえて答えよ。 (4) 表8中の下線⑨を行わないときに発生する問題を,30字以内で述べよ。 (5) 表8中の下線⑩の作業後に,新公開Webサーバに不具合が見つかり,現行の公開Webサーバに切り替えるときには,新FW1及び新FW2の設定を変更する。変更内容を,70字以内で述べよ。また,インターネットから現行の公開Webサーバに接続するときに経由する機器名を,【転送経路】の表記法に従い,経由する順に全て列挙せよ。 【転送経路】 インターネット → [経由する順に全て列挙] → 公開Webサーバ (6) 表8中の下線⑪によって発生する通信について,新FWの通信ログで確認できる通信を二つ答えよ。ここで,新公開Webサーバに接続するためのIPアドレスは,接続元が利用するフルサービスリゾルバのキャッシュに記録されていないものとする。 (7) 表8中の[g]に入れる適切なIPアドレスを答えよ。 (8) 表8中の下線⑫について,スタックL3SWは,PCから受信したDHCPDISCOVERメッセージのgiaddrフィールドに,受信したインタフェースのIPアドレスを設定して,新内部DNSサーバに転送する。DHCPサーバ機能を提供している新内部DNSサーバは,giaddrフィールドの値を何のために使用するか。60字以内で述べよ。
図1 G社の社内システムの構成(抜粋)。ルータ1,FW1・FW2,内部NW及びDMZの接続構成。冗長化したスイッチとサーバ,三つのPC収容サブネット,各サブネットのIPアドレスとVLAN,凡例及び注記を示す。
図1 G社の社内システムの構成(抜粋)。ルータ1,FW1・FW2,内部NW及びDMZの接続構成。冗長化したスイッチとサーバ,三つのPC収容サブネット,各サブネットのIPアドレスとVLAN,凡例及び注記を示す。
表1 G社のサーバ及びPCの設定(抜粋)。公開Webサーバ,外部DNSサーバ,ディレクトリサーバ,内部DNSサーバ及びPCについて,IPアドレスの割当範囲,デフォルトゲートウェイ,所属VLANを示す。
表1 G社のサーバ及びPCの設定(抜粋)。公開Webサーバ,外部DNSサーバ,ディレクトリサーバ,内部DNSサーバ及びPCについて,IPアドレスの割当範囲,デフォルトゲートウェイ,所属VLANを示す。
表2 G社のネットワーク機器に設定する静的経路情報(抜粋)。FW1・FW2及びL3SW1・L3SW2に設定する静的経路を示す。宛先ネットワークアドレス,サブネットマスク,ネクストホップの機器名とIPアドレス,仮想IPアドレスの注を含む。
表2 G社のネットワーク機器に設定する静的経路情報(抜粋)。FW1・FW2及びL3SW1・L3SW2に設定する静的経路を示す。宛先ネットワークアドレス,サブネットマスク,ネクストホップの機器名とIPアドレス,仮想IPアドレスの注を含む。
表3 RSTPで追加されたポートの役割。代替ポートとバックアップポートについて,通常の状態と障害検知後の役割及び状態の変化を説明する。ディスカーディングではMACアドレスを学習せずフレームを破棄する注記を含む。
表3 RSTPで追加されたポートの役割。代替ポートとバックアップポートについて,通常の状態と障害検知後の役割及び状態の変化を説明する。ディスカーディングではMACアドレスを学習せずフレームを破棄する注記を含む。
図2 J主任が作成したRSTPのネットワーク図。スイッチR,スイッチA,スイッチBを三角形に接続したRSTPのネットワーク。AとBを結ぶ回線のB側に代替ポートを示し,Rをルートブリッジとする注記を含む。
図2 J主任が作成したRSTPのネットワーク図。スイッチR,スイッチA,スイッチBを三角形に接続したRSTPのネットワーク。AとBを結ぶ回線のB側に代替ポートを示し,Rをルートブリッジとする注記を含む。
図3 新社内システムの構成(抜粋)。新ルータ1と新FWを介して内部NW及びDMZを接続する構成。スタックL3SW・L2SW,新PCと新サーバ,スタック用ケーブル及びリンクアグリゲーションの回線と注記を示す。
図3 新社内システムの構成(抜粋)。新ルータ1と新FWを介して内部NW及びDMZを接続する構成。スタックL3SW・L2SW,新PCと新サーバ,スタック用ケーブル及びリンクアグリゲーションの回線と注記を示す。
表4 移行における作業ステップ(抜粋)。五つの移行ステップの作業期間と説明を示す。共存環境の構築,データ移行と動作確認,切替え,安定稼働確認と切戻し,現行システムの切離しを順に記載する。
表4 移行における作業ステップ(抜粋)。五つの移行ステップの作業期間と説明を示す。共存環境の構築,データ移行と動作確認,切替え,安定稼働確認と切戻し,現行システムの切離しを順に記載する。
図4 ステップ1完了時のネットワーク構成(抜粋)。現行のL3SW1と新L3SW1をVLAN11で接続した共存環境。新サーバとスタック構成を示し,新L2SW3~新L2SW20の未接続及びVLAN101~VLAN103の未設定を注記する。
図4 ステップ1完了時のネットワーク構成(抜粋)。現行のL3SW1と新L3SW1をVLAN11で接続した共存環境。新サーバとスタック構成を示し,新L2SW3~新L2SW20の未接続及びVLAN101~VLAN103の未設定を注記する。
表5 新サーバの設定(抜粋)。四つの新サーバについて,IPアドレスの割当範囲,デフォルトゲートウェイの機器名とIPアドレス,所属VLANを示す。割当範囲の省略表示と仮想IPアドレスの注を含む。
表5 新サーバの設定(抜粋)。四つの新サーバについて,IPアドレスの割当範囲,デフォルトゲートウェイの機器名とIPアドレス,所属VLANを示す。割当範囲の省略表示と仮想IPアドレスの注を含む。
表6 新FW及びスタックL3SWに設定する静的経路情報(抜粋)。新FW1・新FW2とスタックL3SWに設定する静的経路。内部サブネット,172.16.254.128の経路及びデフォルトルートの宛先,マスク,ネクストホップを示す。
表6 新FW及びスタックL3SWに設定する静的経路情報(抜粋)。新FW1・新FW2とスタックL3SWに設定する静的経路。内部サブネット,172.16.254.128の経路及びデフォルトルートの宛先,マスク,ネクストホップを示す。
表7 FW及びL3SWに追加する静的経路情報(抜粋)。現行のFW1・FW2及びL3SW1・L3SW2に追加する172.16.254.128宛ての静的経路。サブネットマスク,ネクストホップの機器名とIPアドレス,仮想IPアドレスの注を示す。
表7 FW及びL3SWに追加する静的経路情報(抜粋)。現行のFW1・FW2及びL3SW1・L3SW2に追加する172.16.254.128宛ての静的経路。サブネットマスク,ネクストホップの機器名とIPアドレス,仮想IPアドレスの注を示す。
表8 ステップ3の作業手順(抜粋)。インターネット接続回線,DMZ,内部NW,ディレクトリサーバ,DHCPサーバ及び新PCの切替作業名と手順を示す。下線⑨~⑫の作業及びIPアドレスの空欄gを含む。
表8 ステップ3の作業手順(抜粋)。インターネット接続回線,DMZ,内部NW,ディレクトリサーバ,DHCPサーバ及び新PCの切替作業名と手順を示す。下線⑨~⑫の作業及びIPアドレスの空欄gを含む。
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検討の前提をそろえて考える

社内ネットワークに関する検討では、判断の途中で前提条件が変わっていないかに注目しましょう。与えられた条件と、自分が補って考えた条件を分け、同じ前提の下で考えられているかを確かめることが出発点になります。

この問題で問われていること

この問題では、結論を急ぐ前に、考える際に置いている前提が与えられた条件に沿っているかを確認しましょう。知っている事例の条件をそのまま持ち込まず、判断の根拠として使える範囲を意識して整理してください。

視点

前提条件とは、判断の土台として置く条件です。明示された条件と自分の仮定を混ぜると、考えの筋道を確かめにくくなります。いま使っている前提がどこから来たものかを意識しましょう。

確認ポイント

  • 与えられた条件と自分の仮定を区別しているか
  • 知っている事例の前提を持ち込んでいないか
  • 考える途中で前提を無意識に変えていないか
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解説

本問は、STPからRSTP又はスタック構成への変更による可用性向上と、現行・新システムを共存させた段階的移行を扱います。VLANの通過範囲、経路選択、MACアドレスの変化、NAT、DHCPを構成図と設定表に対応付けて判断することが要点です。

問題の全体像

G社はリース満了に伴い、サーバ、ネットワーク機器及びPCを更改します。課題は、障害時の業務への影響を減らすことと、業務への影響を抑えて移行することです。前半では現行STP構成を調べ、RSTPとスタック構成の復旧時間、運用負荷、帯域利用を比較します。後半では新旧システムの共存、切替、切戻しについて、図と設定表から通信経路や必要な変更を判断します。公式解答例の出題趣旨では、技術と経験をネットワークの設計・構築・移行の実務に活用できるかを問うとされています。採点講評では、STPとVRRPの構成や、移行期間中の構成・経路情報・作業手順を正しく把握することが重視されています。

設問1(1)(a)

「社外のドメインに関する名前解決要求を、ISPが提供するフルサービスリゾルバに転送する」という説明に着目します。受信した名前解決要求を別のDNSサーバへ転送する機能を表しているので、公式解答例では「フォワーダ」です。内部DNSサーバは、社内ドメインの権威サーバとしての役割に加え、社外ドメインの問い合わせを転送する役割も担っています。

設問1(1)(b)

VRRPでL3SW1をマスタルータにするため、「大きく設定する」値を問うています。公式解答例では「プライオリティ値」です。VRRPでは優先度の高いルータをマスタとして選ぶため、L3SW1の値を大きくします。後に登場するSTPのルートブリッジ選出では小さいブリッジプライオリティ値が優先されるので、両者の選出規則を区別して理解します。

設問1(2)

本文では、内部DNSサーバがPC及びサーバからの名前解決要求に応答し、社外ドメインの要求はISPのフルサービスリゾルバへ転送すると説明されています。したがって、DHCPでPCに通知する名前解決要求先は、公式解答例では「内部DNSサーバ」です。PCが最初に問い合わせる相手と、内部DNSサーバが転送する先を分けて考えることがポイントです。

設問2(1)(a)

STPのルートブリッジは、ブリッジIDを比較して決定します。設問では全スイッチのブリッジプライオリティ値を同じにするため、その値だけでは選出できません。残る比較対象は、公式解答例では「MACアドレス」です。同じプライオリティ値の条件では、MACアドレスの小さいスイッチがルートブリッジになります。

設問2(1)(b)

L2SW3がルートになると、L3SW1とL3SW2はそれぞれL2SW3への直接接続をルートポートとして使います。両者のルートまでのパスコストは等しいため、L3SW間の接続ではブリッジIDの比較により一方のポートが非指定ポートとなり、転送が遮断されます。ここで、L2SW3とL3SW間のトランクが通すのはVLAN101~VLAN103だけです。VLAN10とVLAN11はL2SW3経由で迂回できないため、公式解答例では「FW-L3SW間サブネット、内部サーバ収容サブネット」です。採点講評でも、STPとVRRPの構成を正しく把握して設計上の問題を見つけることが重視されています。

設問2(2)(c)

L3SW1がルートブリッジであり、ルートまでのパスコストが0であることに着目します。各接続先に対して、ルートへ向かう経路を提供する側になるので、公式解答例では「指定」です。本文の空欄には「指定」を入れ、「指定ポート」とします。ルートポートは非ルートブリッジがルートへ向かうために選ぶポートです。

設問2(2)(d)

L2SW3は、ルートであるL3SW1への直接接続をルートポートにします。L3SW2とL2SW3はルートまでのパスコストが等しく、両者の接続ではブリッジプライオリティ値を比較します。本文ではL3SW2の値を2番目に小さくしているので、L3SW2側が指定ポートとなり、L2SW3側は転送を遮断する非指定ポートになります。公式解答例では「非指定」です。

設問2(2)(e)

トポロジが変わると、以前の経路で学習したMACアドレスと出力ポートの対応が、新しい経路では適切でなくなる場合があります。その対応を更新するためにクリアする表は、公式解答例では「MACアドレス」テーブルです。スイッチが学習するL2の転送情報に着目し、IP経路を管理するルーティングテーブルと区別します。

設問3(1)

図2ではスイッチRがルートであり、AとR間の接続が切れても、BとR間の接続は残っています。AはBからのプロポーザルを比較し、B経由でルートへ到達できると判断します。このためAはBへのポートをルートポートに変更し、BがAよりルートに近い側になります。公式解答例では「上位のスイッチ」です。B自身がルートブリッジになるという意味ではありません。

設問3(2)(a)

一つ目の理由は、表3で示された代替ポートの役割から考えます。RSTPでは、ルートポートがダウンしたときに使う代替ポートをあらかじめ決めているため、障害後の切替を速く行えます。公式解答例では、この事前決定を理由として挙げています。30字以内の答案では「ポート故障時の代替ポートを事前に決定しているから」とまとめます。

設問3(2)(b)

二つ目の理由は、STPの状態遷移とRSTPのプロポーザル・アグリーメントによる状態遷移を比較します。STPではリスニングとラーニングの各段階で転送遅延の待ち時間が必要ですが、本文のRSTPの手順では合意後に速やかにフォワーディングへ遷移します。公式解答例では、転送遅延なしで状態遷移することを挙げています。30字以内では「転送遅延がなく、ポートの状態遷移を行うから」とまとめます。採点講評でも、追加されたポートの役割と状態遷移の違いを読み取ることが求められています。

設問4(1)

本文の「新L3SW1と新L3SW2を、1台の論理スイッチとして動作させる」という説明に着目します。情報収集や構成管理を、個々のスイッチごとに行う負担が減ることが理由です。公式解答例では、2台のL3SWを1台のスイッチとして管理できることを挙げています。30字以内の答案では「2台のL3SWを1台のスイッチとして管理できるから」とまとめます。

設問4(2)

設問で除外されたスタックL3SWと新L2SW間以外では、内部サーバへの接続に着目します。現行サーバのNICはアクティブ/スタンバイですが、新ディレクトリサーバと新内部DNSサーバはアクティブ/アクティブになります。図3では両方の回線を利用できる構成なので、公式解答例では「スタックL3SW~新ディレクトリサーバ」又は「スタックL3SW~新内部DNSサーバ」です。答案では、このうち一つの区間を図3の名称で示します。

設問5(技術①)

公式解答例の一つ目の技術は「スタック」です。図3では、新L3SW1と新L3SW2、新L2SW1と新L2SW2を、それぞれ1台の論理スイッチとして扱います。複数の物理スイッチを一つの論理的な接続先にまとめることが、リンクアグリゲーションを用いてループのない構成にするための前提になります。

設問5(技術②)

公式解答例の二つ目の技術は「リンクアグリゲーション」です。複数の物理回線を1本の論理回線として扱うため、図3の並列接続を、独立した複数のL2経路として扱わずに済みます。スタックによって接続先を1台の論理スイッチにまとめ、リンクアグリゲーションによって回線も論理的にまとめるという組合せがポイントです。

設問5(理由)

STP及びRSTPは、L2のループを防ぐために転送経路を制御します。図3では、スタックとリンクアグリゲーションによって論理的なループがない構成になるので、その制御が不要です。公式解答例では「ループがない構成だから」です。この表現は15字以内に収まり、不要になる理由を直接示しています。

設問6(1)(a)

図4と本文から、現行・新ディレクトリサーバはともに172.17.11.0/24に属し、VLAN11のアクセスポートで新旧のネットワークが接続されています。同一サブネット内の通信なので、この区間ではルーティングによるフレームの作り直しがありません。したがって送信元MACアドレスをもつ機器は、公式解答例では「現行のディレクトリサーバ」です。途中にL3SWがあっても、この通信ではL2転送を行う点を押さえます。

設問6(1)(b)

現行・新ディレクトリサーバは同一サブネットにあり、現行サーバは新サーバ自身のMACアドレスを宛先として通信します。L3SW1とスタックL3SWを通過しても、同じVLAN内の転送では宛先MACアドレスは維持されます。公式解答例では「新ディレクトリサーバ」です。デフォルトゲートウェイを経由する通信かどうかを、サーバのIPアドレスとサブネットから判断します。

設問6(2)(a)

現行PCはVLAN101~VLAN103に属し、新公開Webサーバは172.16.254.0/24に属するため、サブネットをまたぐ通信です。表7では、現行L3SWから172.16.254.128/25へのネクストホップをスタックL3SWの172.17.11.101としています。L3SW1はPCから受けたパケットをルーティングし、この区間用のフレームを作るので、送信元MACアドレスをもつ機器は、公式解答例では「現行のL3SW1」です。

設問6(2)(b)

表7の経路設定により、現行L3SW1から見た次の転送先はスタックL3SWです。したがって、L3SW1とスタックL3SW間のフレームの宛先MACアドレスは、最終宛先のWebサーバではなく、このネクストホップのMACアドレスになります。公式解答例では「スタックL3SW」です。IPパケットの宛先と、観測区間のイーサネットフレームの宛先を分けて考えます。

設問6(3)

表6と表7では、新DMZ向けの経路として172.16.254.128/25を設定しているため、新公開Webサーバはこの経路に一致する範囲に置く必要があります。表1の現行サーバの割当範囲は172.16.254.10~172.16.254.100であり、この範囲とは重なりません。一方、サーバが属するサブネット自体は172.16.254.0/24なので、172.16.254.128はホストに使用できます。/25はここでは経路を分けるためのプレフィックスです。/24のブロードキャストアドレスである172.16.254.255を除き、公式解答例では「172.16.254.128~172.16.254.254」です。実際の割当てでは未使用のアドレスを選びます。

設問6(4)

表1と表5では、現行FWと新FWがDMZ側で共有する仮想IPアドレスを、どちらも172.16.254.1としています。下線⑩で現行L2SW1と新L2SW1を接続する際、下線⑨の切離しをしていなければ、両方のFWが同じL2ネットワークに残ります。その結果、仮想IPアドレスが重複します。公式解答例に沿った30字以内の答案は「現行のFWと新FWの仮想IPアドレスが重複する。」です。

設問6(5)(a)

下線⑩によって新旧のDMZが接続されるため、新FWから現行の公開Webサーバへ到達できます。インターネット側の公開IPアドレスを維持しながら接続先だけを現行サーバへ戻すには、受信パケットの宛先を変換する静的NATの設定を変更します。公式解答例では、変換後のIPアドレスを現行の公開WebサーバのIPアドレスに変更します。70字以内では「静的NATの変換後のIPアドレスを、新公開Webサーバから現行の公開WebサーバのIPアドレスに変更する。」とまとめます。

設問6(5)(b)

インターネット接続回線は新ルータ1へ切替済みなので、通信は新ルータ1、新L2SW0、新FWを通ります。新FWで宛先を現行の公開Webサーバへ変換した後、新L2SW1から下線⑩で接続した現行L2SW1へ転送します。公式解答例の経路は「インターネット→新ルータ1→新L2SW0→新FW1→新L2SW1→L2SW1→公開Webサーバ」です。切離した現行FWを経由せず、新旧DMZ間の接続を利用することを図と作業手順から確認します。

設問6(6)(a)

下線⑪は、インターネットから新公開Webサーバへ接続できることを確認する作業です。この接続では、新FWの静的NATを通って新公開WebサーバへWeb通信が転送されます。公式解答例の一つ目は「新公開Webサーバ宛てのWeb通信」です。確認作業の目的に対応する通信として、通信先と通信の種類を示します。

設問6(6)(b)

設問には、接続先IPアドレスがフルサービスリゾルバのキャッシュにないという条件があります。そのためWeb接続の前に名前解決が必要となり、DMZのドメインの権威サーバである新外部DNSサーバへのDNS通信が発生します。この通信も新FWを通るので、公式解答例の二つ目は「新外部DNSサーバ宛てのDNS通信」です。Web接続元からの通信だけでなく、名前解決に伴うリゾルバからの通信も確認対象になります。

設問6(7)

共存中のスタックL3SWのVLAN11インタフェースには、一時的に172.17.11.101を設定しています。一方、表1と表5では内部サーバのデフォルトゲートウェイを172.17.11.1としています。表8で現行L3SWのIPアドレスを削除した後、スタックL3SWが従来のゲートウェイアドレスを引き継げば、サーバ側の設定を変えずに通信を継続できます。公式解答例では「172.17.11.1」です。

設問6(8)

PCは複数のサブネットに分かれ、新内部DNSサーバのDHCPサーバ機能を利用します。リレーエージェントがgiaddrに設定する受信インタフェースのIPアドレスから、DHCPサーバはPCがどのサブネットに属するかを判断できます。そのサブネットに対応するスコープを選び、適切なIPアドレスを割り当てるために使用します。公式解答例でも、サブネットの識別と対応するスコープからの割当てを要点としています。60字以内では「PCが収容されているサブネットを識別し、対応するDHCPのスコープからIPアドレスを割り当てるため」とまとめます。

学習のポイント

STPとVRRPの関係、RSTPの復旧を速める仕組み、スタックとリンクアグリゲーションの効果を理解し、移行段階ごとにL2転送とL3転送を区別して経路を追う練習を重点にします。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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