NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
平成26年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題









解き方のヒントを見る
対策を検討する前提条件の確認
対策を検討するときは、その判断がどのような前提条件に基づくかに注目しましょう。与えられた情報と自分が補った想定を分け、書かれていない条件を知らずに追加していないかを確かめることが大切です。
この問題で問われていること
判断の前提として使う条件が、与えられた情報から確認できるかを意識してください。明示された条件と、一般的な知識から補いたくなる想定を区別し、結論を急ぐ前に、その想定を置いてよい根拠があるかを振り返りましょう。
視点
前提条件とは、検討の出発点として置く条件です。与えられた情報に含まれる条件と、自分の経験から補った想定は区別して扱います。
確認ポイント
- 判断の前提にしている条件を意識できているか
- 明示された条件と自分が補った想定を区別しているか
- 補った想定を置いてよい根拠を確認しているか
正解と解説を見る
解説
Y社の通信経路を基に、SPFによるなりすまし検知、認証・復号機能を備えたプロキシによる通信検査、セグメント間の通信制限を組み合わせます。さらに、不審メールへの対応規程とログ検査によって、侵入防止と侵入後の活動発見を補います。
問題の全体像
Y社は、本社・工場・営業所を広域イーサ網で接続し、メールやWebアクセスを業務に利用しています。標的型メール攻撃への対策として、SPFによる入口対策と、プロキシの認証・復号、L3SW1のパケットフィルタリングによる出口対策を検討する事例です。公式の出題趣旨では、セキュリティ担当者とネットワーク担当者が協力して実施策を立案する過程を通じ、ネットワーク設計・構築とセキュリティ対策の理解を問うとされています。機能名を覚えるだけでなく、どの通信をどこで検査・制御するのかを図表から説明することが中心です。
設問1(a)
着目するのは「Webサイトへのリンク先を示す」という記述です。リンク先の場所を表す字句なので、公式解答例では「URL」又は「統一資源位置指定子」とされています。メール本文に書かれたURLが、受信者をマルウェアの仕込まれたWebサイトへ誘導します。
設問1(b)
「HTMLで作成されたコンテンツの送受信用プロトコル」という説明から、公式解答例では「HTTP」とされています。本文では、バックドアも業務のWebアクセスと同じプロトコルを利用すると、通信の区別が難しくなることを説明しています。HTMLはコンテンツの記述言語であり、送受信のプロトコルであるHTTPと区別します。
設問1(c)
送信者がメールアドレスを詐称できる一方、送信元のサーバやPCに設定された通信上の情報は容易に変更できない、という対比に着目します。公式解答例では「IPアドレス」です。メールに記載する送信者情報と、実際の送信元を示すネットワーク上の情報を区別することが要点です。採点講評でも、この空欄はTCP/IP通信の基本動作に関する問いとされています。
設問1(d)
「受信したデータ中に不適切な言葉や文字列などが含まれていたとき、その通信を遮断する」という処理内容に着目します。公式解答例では「コンテンツフィルタリング」です。SSL通信を復号すると内容を検査できるため、本文にある文字列による遮断や、ダウンロードファイルのウイルスチェックが可能になります。
設問1(e)
既設のプロキシは、CONNECT要求に応じて接続先とのTCPコネクションを確立し、その後のTCPデータをそのまま転送します。この処理について、公式解答例では「トンネリング」とされています。プロキシが暗号化されたデータを中継する仕組みであり、この場合はプロキシ自身がSSL通信の内容を復号しません。
設問2(1)
下線(ア)の直後に、悪意のあるファイルの添付と、マルウェアを仕込んだWebサイトへのリンクが示されています。関係者を装う目的は、受信者にこれらを利用させることです。公式解答例では、添付ファイルを開くことと、記載されたリンク先にアクセスすることを挙げています。40字以内なら「添付ファイルを開いたり、本文のリンク先にアクセスしたりする。」のように、誘導される行動を具体的に示します。
設問2(2)
下線(イ)の前にある、メールアドレスは詐称しやすいが送信元IPアドレスの変更は困難という説明を受けて考えます。公式解答例では、メール送信元のMTAのIPアドレスが所属するドメインと、送信者のメールアドレスのドメインを比較します。50字以内では「送信元MTAのIPアドレスが所属するドメインと、送信者メールアドレスのドメイン」と整理できます。採点講評でも、SMTPで詐称可能な情報と詐称困難な情報の理解が課題として挙げられています。
設問2(3)
表1で、社外宛てメールの転送経路を確認します。本社・営業所からのメールも、工場からのメールも、最後にメール中継サーバを経由して社外へ送られます。そのため、社外の受信サーバが確認する送信元IPアドレスはメール中継サーバのものになります。公式解答例もこの点を理由としており、30字以内なら「社外宛てメールの送信元IPアドレスになるから」とまとめます。
設問2(4)(a)
図2では、送信元サーバからメールを受け取ったサーバが、DNSへのSPFレコードの問合せと正当性の検査を行います。表1を見ると、社外からY社宛てのメールを最初に受信するのはメール中継サーバです。したがって、公式解答例のサーバ名は、図1中の名称である「メール中継サーバ」です。SPFレコードを公開するDNSサーバと、受信メールを認証するメールサーバを区別します。
設問2(4)(b)
SPFでは、受信時に確認できる接続元IPアドレスと、送信ドメインのSPFレコードを照合します。本社メールサーバで検査すると、直前の接続元は社内のメール中継サーバとなり、社外の送信元を直接確認できません。公式解答例では「社外からY社宛てに送信されたメールを直接受信するから」とされています。30字以内の答案では、社外からのメールを直接受信するという実施位置の理由を押さえます。
設問3(1)
既設のプロキシは復号機能をもたず、CONNECT応答後はTCPデータをそのまま転送すると説明されています。このため、SSLの暗号化・復号を行う両端はプロキシではなく、公式解答例の「PCとWebサーバの間」です。図3の交換後の構成ではSSLセッションが二つに分かれますが、この設問が尋ねているのは既設のプロキシの場合です。
設問3(2)
PCが受け取るサーバ証明書2は、プロキシが生成した証明書です。CNにWebサーバと同じ情報があっても、それだけでは証明書の正当性を検証できません。公式解答例では、PCに保有させる情報を「プロキシサーバのルート証明書」としています。この語句は20字以内で収まります。PCがプロキシによる証明書の発行を信頼できるよう、検証の基点となる証明書を用意することが要点です。
設問3(3)
本問で説明されている鍵共有の手順では、PCはサーバ証明書1の公開鍵を用いてプリマスタシークレットを暗号化します。これを復号するには対応する秘密鍵が必要ですが、プロキシはWebサーバの秘密鍵をもっていません。そのため、証明書1を転送するだけでは鍵共有に失敗します。公式解答例に沿う40字以内の表現は「プロキシが暗号化されたプリマスタシークレットを復号できないから」です。採点講評でも、設問の趣旨に沿った説明の必要性が指摘されています。
設問4(1)(a)
表4では、許可・禁止する通信の送信元IPアドレスが192.168.1.0/24となっています。図1でこのネットワークは本社部署1セグメントであり、L3SW1への接続ポートはP3です。したがって、公式解答例ではポートAのポートIDを「P3」としています。まずアドレスからセグメントを特定し、接続線をたどってポートを決めます。
設問4(1)(b)
表4のパケットは、本社部署1セグメントを送信元として他のセグメントへ向かいます。P3では、部署1からL3SW1へ入ってくる段階で適用するので、公式解答例では「IN」です。IN・OUTはL3SW1のポートを基準に判断し、PCにとっての送信・受信と混同しないようにします。
設問4(1)(c)
表5の宛先には、工場サーバセグメントの192.168.51.128/25や、工場・営業所のアドレスを含む192.168.48.0/21が並んでいます。図1で工場・営業所方面へ向かう接続は、広域イーサ網につながるL3SWへのポートP5です。したがって、公式解答例ではポートBのポートIDを「P5」としています。
設問4(1)(d)
表5は、管理セグメント、本社サーバセグメント、DMZなどから、工場・営業所方面へ向かうパケットを制御しています。これらはL3SW1からP5を通って外へ出るため、公式解答例では「OUT」です。宛先ネットワークの位置と、L3SW1からの出口を対応付けて判断します。
設問4(2)
表4の項番2は、本社部署1の192.168.1.0/24から本社サーバセグメントの192.168.11.0/24へのICMP通信を許可します。図4のポリシ②は、業務用通信区間の疎通テストを許可すると定めているので、このルールはその実現です。公式解答例では「部署1と本社サーバセグメント間の疎通テスト」とされています。25字以内では、疎通テストの対象となる両セグメントを明示します。
設問4(3)
表3では、全社のPCが本社サーバセグメントの社内向けDNSサーバへ名前解決を要求するとされています。しかし、表4はTCPとICMPを許可する一方、UDPのDNS問合せを許可していません。公式解答例の追加ルールは「動作:許可、送信元IPアドレス:192.168.1.0/24、宛先IPアドレス:192.168.11.0/24、プロトコル:UDP、送信元ポート番号:any、宛先ポート番号:53、TCP制御ビット:any」です。問合せなので53は宛先ポートです。表5の項番4はDNS応答側の通信で送信元ポートが53となっており、両者を区別します。
設問4(4)
表4は項番の小さい順に適用されます。項番3は、部署1から管理セグメントへのTCP接続開始パケットであるSYN=1・ACK=0を禁止し、項番4はそれ以外のTCPパケットを許可します。これにより、部署1から接続を開始することは禁止し、管理PCが開始した接続への応答は通せます。公式解答例に沿う70字以内の表現は「部署1のPCから管理PCへのTCPコネクション確立は禁止し、管理PCから部署1のPCへの確立は許可する。」です。採点講評でも、制御内容を適切に説明できていない答案が指摘されています。
設問5(1)
交換で追加される認証機能と復号機能を、それぞれログの情報に対応付けます。公式解答例では、SSL通信でも認証された利用者と通信内容を取得できること、認証の連続失敗の記録からマルウェアの活動と推測できる情報を得られることが示されています。60字以内の答案としては「SSL通信でも認証された利用者と通信内容を取得できる。」とまとめられます。単にログが増えると書くのではなく、新たに記録できる情報を具体化することが要点です。
設問5(2)(a)
本文では、マルウェアを埋め込んだファイルを添付する攻撃が説明されています。不審メールを発見した際は、そのファイルを開かせない規程が必要です。公式解答例に沿い、30字以内で「不審なメールに添付されたファイルを開かない。」と示します。利用者が実行する行動として具体的に定めます。
設問5(2)(b)
もう一つの侵入経路は、メール本文に記載されたURLから、マルウェアが仕込まれたWebサイトへアクセスすることです。公式解答例では、本文のリンク先へアクセスしないことが挙げられています。30字以内なら「不審なメール本文のリンク先にアクセスしない。」とします。添付ファイルへの対応とは別の行動として示すことができます。
設問5(2)(c)
不審メールを利用者だけで処理すると、組織として状況を把握しにくくなります。公式解答例には、正しい送信者か確認すること、セキュリティ担当者への報告、全社での情報共有が挙げられています。ここでは三つ目として、30字以内の「不審なメールの内容をセキュリティ担当者に報告する。」を選びます。前二つの危険な操作を避ける規程に、組織へ知らせる行動を組み合わせます。
設問5(3)
下線(ク)は、ログの検査間隔を可能な限り短くする対策です。通信や認証失敗の記録を早く確認できれば、侵入したマルウェアの活動に早い段階で気付けます。公式解答例では、マルウェアの社内での活動を早期に発見できることが示されています。30字以内の答案は「マルウェアの社内での活動を早期に発見できる。」です。検査間隔の短縮と発見の早期化を結び付けて説明します。
学習のポイント
SPFを実施する位置、SSLの証明書と鍵の役割、フィルタリングの方向・適用順序を、図表の具体的な通信と結び付けて説明する力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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