NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
平成26年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




![図5 アクティブ方式による動作シーケンスの概要。UA-A,SRC,UA-B,SRSによる概念シーケンスと,図1の機器に対応するシーケンスを並べる。通話用・録音用セッションの生成と切断を示し,機器名[e][f]と処理(C)を空欄とする。](/figures/4230b81515d92dc78e32fa48f7f8ecd865d114f556d0f12d75a5359403b0c38f.webp)

![表1 フィルタリングルール(許可条件)。FWの物理ポート1と2に適用する許可条件を,送信元・宛先IPアドレス,ポート番号,プロトコル番号で示す。UDP,ESPの条件と空欄[ア]~[エ],anyの注記を含む。](/figures/0b0473b0ac686f37b5729c49f174ed5e8721ecc8d1552bbae64df023fb8e44df.webp)
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記述が成り立つ範囲を確かめる
この分野を学ぶ際は、記述がどの範囲を前提としているかに注目しましょう。用語の印象だけで判断せず、扱っている対象や条件を整理し、同じ範囲の話として捉えられるかを確かめることが大切です。
この問題で問われていること
考える焦点は、扱う対象や条件の範囲が途中で変わっていないか、という点です。判断の根拠となる情報を追う際には、ある範囲での記述を別の範囲へそのまま広げて受け取っていないかを意識してください。
視点
同じ用語が使われていても、扱う範囲まで同じとは限りません。理解した内容を当てはめる前に、その記述が対象とする範囲を短い言葉で整理してみましょう。
確認ポイント
- 記述が対象としている範囲を捉えたか
- 前提となる条件を範囲と併せて整理したか
- 整理した範囲を越えて内容を広げていないか
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解説
本問は、SIPを利用する電話サービスを仮想環境に構築する際の課題を扱います。SIPメッセージ内のアドレス変換、ミラーフレームとMACアドレス学習の関係、録音用セッションの構成、VPNの許可条件、仮想化による冗長化コストの低減を、本文と図の具体的な動作から説明することが要点です。
問題の全体像
A社は、販売していたIPTシステムを自社センタに集約し、利用企業へ電話サービスとして提供しようとしています。IP-PBXと企業別のロガーを仮想サーバで動作させ、拠点やモバイルPCをVPNで接続する構成です。公式の出題趣旨では、仮想環境で発生する課題に対して、基礎的な動作原理を理解し、状況を把握して既存技術を応用する力を問うとされています。呼制御、音声転送、フレーム収集、外部接続をそれぞれ具体的な経路に沿って読み解くことが重要です。
設問1(1)(a)
空欄直前の「テキストだけなら」に着目します。SIPはセッションで扱うデータそのものを限定しないため、音声以外の通信にも利用できます。公式解答例では「インスタントメッセージ」又は「チャット」です。ここでは、テキストをやり取りするアプリケーションの例を答えます。
設問1(1)(b)
「音声データを転送する」「RFC 3550」という記述が手掛かりです。公式解答例では「RTP」又は「RTPとRTCP」です。図5でも音声の送受信がRTPとして描かれています。セッションの生成や切断を行うSIPと、音声データを運ぶRTPの役割を区別して押さえます。
設問1(1)(c)
「トランスポート層」「リアルタイム性を重視」「再送制御を行わない」という条件に着目します。公式解答例は「UDP」です。図3のVia行にもSIP/2.0/UDPという表記がありますが、この空欄では音声転送に使うRTPの下位プロトコルを問われています。
設問1(1)(d)
「判読しやすい」という説明と、図3に文字で示されたINVITEリクエストを対応させます。先頭行、SIPヘッダ、SDPのボディが文字列として記述されているので、公式解答例は「テキスト」です。SIPメッセージの記述形式を答える空欄です。
設問1(2)
下線①の「セッションの生成を仲介する」を、相手の特定と接続要求の送信に分けて具体化します。本文にはUAをURIで識別することが書かれ、図2では接続開始にINVITEが使われています。公式解答例では、URIから相手のIPアドレスを求め、相手へINVITEを送る動作です。40字以内なら「URIから相手のIPアドレスを求め、INVITEを送る。」と、二つの動作を押さえます。
設問2(1)
本文の「両方のSIPネットワークに対してUAとして振る舞う」と、UAは起動後にSIPサーバへ初期登録するという説明を結び付けます。図2でVoIP-GWの両側に位置するSIPサーバは、公衆IP電話網のSIPサーバと、社内側でSIPサーバの役割を担うIP-PBXです。公式解答例も「公衆IP電話網のSIPサーバ、IP-PBX」であり、登録先を両方答える必要があります。
設問2(2)
図3では、Via、Contact、SDPのo行やc行など、SIPメッセージの内容に発信元のIPアドレスが含まれています。標準的なNATの変換対象外であるこの情報にプライベートIPアドレスが残ることが、公式解答例の示す原因です。50字以内なら「NATの変換対象外のSIPメッセージ内に送信者のプライベートIPアドレスが残るため。」とまとめられます。採点講評では、メッセージ内の情報がセッション生成にどう使われるかの理解が求められています。
設問2(3)
設問2(2)で問題となった、SIPメッセージ内のIPアドレス情報を書き換えることが対応の中心です。図2では、両側のSIPネットワークを接続するVoIP-GWがSBCとして動作します。公式解答例では、メッセージ内のIPアドレス情報を、送信元となるVoIP-GWのグローバルアドレスに変更します。60字以内の答案では「SIPメッセージ内のIPアドレス情報を、送信元のVoIP-GWのグローバルアドレスに書き換える。」と、変換対象と変換後のアドレスを示します。
設問3(1)
ミラーフレームは通話中の端末間のフレームを複製したもので、宛先MACアドレスがロガーのものとは限りません。また、本文の仮想スイッチは仮想サーバのMACアドレスを把握しています。したがって、通常の宛先による選別では録音対象を取り込めません。公式解答例では、該当VLANの全フレームを仮想スイッチのポートから出力し、仮想NICでも全て取り込みます。60字以内なら「仮想スイッチは該当VLANの全フレームを出力し、仮想NICは全て取り込む。」と、両側の動作を記述します。
設問3(2)(a)
図4では、ポート1を通過した双方向のフレームがポート2から出力され、ポート3へ流入します。ある方向のフレームで送信元として学習したMACアドレスは、逆方向のフレームでは宛先になります。そのため、宛先が入力ポート3側にあると判断され、転送されない状態が生じます。公式解答例の要点は「流入フレームの宛先MACアドレスがポート3側として登録されている。」です。採点講評では、ミラーフレームの送信元をミラーポート自身のMACアドレスと誤解しないよう指摘されています。
設問3(2)(b)
原因は、録音用VLANへ流入するミラーフレームからポート3でMACアドレスを学習してしまうことです。本文ではMACアドレステーブルがVLANごとに独立しているため、元の通信用VLANと同じアドレスが存在すること自体は問題ではありません。公式解答例では、学習を抑止できるスイッチを使い、ポート3で学習を抑止します。50字以内なら「MACアドレス学習を抑止できるSWを用い、ポート3で学習を抑止する。」と、必要な機能と適用箇所を示します。
設問4(1)
SRCの条件は、音声パケットを中継し、そのパケットをコピーしてSRSへ転送できることです。IP-PBXはSIPによる呼制御を担いますが、この構成では音声パケットを中継しません。公式解答例の「音声パケットを中継しないから」が20字以内の答案になります。呼制御に関与することだけでは、SRCの条件を満たしません。
設問4(2)(e)
図5(b)のeは、VoIP対応電話機からINVITEを受け、ロガーとの録音用セッションも生成する機器です。本文でSBCとしてセッション生成の仲介とRTPパケットの中継を行うのはVoIP-GWです。公式解答例も「VoIP-GW」であり、図5(a)のSRCに対応します。
設問4(2)(f)
図5(b)のfは、eからのINVITEをIPTELへ送り、IPTELからの応答をeへ返す呼制御側の機器です。本文ではIP-PBXがSIPサーバの役割を担うため、公式解答例は「IP-PBX」です。eのVoIP-GWが音声を中継する役割と、fのIP-PBXが接続を制御する役割を区別して読みます。
設問4(3)
図5(a)では、SRCとUA-Bの間でRTPを双方向に送受信し、SRCからSRSへコピーしたRTPを送っています。これを図5(b)に対応させます。公式解答例の図では、(C)内に「e(VoIP-GW)↔IPTEL」の双方向RTP矢印と、その下に「e(VoIP-GW)→ロガー」の一方向RTP矢印を追加しています。f(IP-PBX)は音声を中継しないため、RTP矢印の端点にはなりません。
設問4(4)
本文には、図5(a)のSRCが音声中継だけでなく通話用セッションの生成にも関与するとあります。SRCとなるVoIP-GWには、音声とともに呼制御に関するSIPセッション情報も届くため、呼情報を録音用セッションで通知できます。公式解答例の要点は「VoIP-GWには呼制御に関するSIPセッション情報も送られてくるから」で、40字以内に収まります。採点講評では、通話用と録音用のSIPメッセージを同一と考える誤りが指摘されており、SRCが把握した情報を別のセッションで通知する点を押さえます。
設問4(5)
パッシブ方式では、ミラーフレームをロガーへ届けるためのVLAN、トランク接続、学習抑止などの設定が必要でした。アクティブ方式では、SRCが録音用セッションを生成してコピーした音声を送るので、この転送用設定が不要になります。公式解答例に沿う30字以内の答案は「ミラーポート出力フレームの転送用設定が不要だから」です。本文で問題となったネットワーク構成作業の負担に対応させて答えます。
設問5(1)(ア)
表1のFWポート1は、図6の拠点側IPsec-VPN装置からA社側IPsec-VPN装置へ向かう通信を許可する箇所です。送信元となる拠点側IPsec-VPN装置のアドレスはIP01、宛先は表に記載されたIP03です。公式解答例は「IP01」です。図中のIP02は拠点側FWのアドレスなので、通信の発信元となる装置を確認します。
設問5(1)(イ)
FWポート2の先にはSSL-VPN装置があり、モバイル環境のPCがHTTPSでアクセスします。拠点外のPCは接続元IPアドレスが一定ではないため、送信元を特定の固定アドレスに限定しません。公式解答例は「Any」です。表の注記に従い、送信元IPアドレスをフィルタリング条件としてチェックしないことを表します。
設問5(1)(ウ)
空欄ウの行は、プロトコル番号50のESPを許可する条件です。直上のUDPの行ではIKE用にポート番号500を指定していますが、ESPにはTCPやUDPのようなポート番号がありません。したがって、ポート番号をチェックしない「Any」が公式解答例です。プロトコル番号50とポート番号を混同しないことが要点です。
設問5(1)(エ)
本文には、モバイル環境のPCがA社センタへの接続にHTTPSを使用すると明記されています。その接続先であるSSL-VPN装置への許可条件なので、HTTPSのポート番号を入れます。公式解答例は「443」です。図6の装置やFWの物理ポート番号と、表1で問われる通信のポート番号を区別します。
設問5(2)
下線⑧では、認証後に仮想NICを作り、レイヤ2のトンネルを通してサービス提供用内部LANと通信するとあります。この仮想NICは内部LANへ接続するインタフェースなので、そのネットワークに属するアドレスが必要です。公式解答例に沿う35字以内の答案は「サービス提供用内部LANのネットワークに属するIPアドレス」です。モバイルPCが外部接続に使うアドレスと、トンネル内で使う仮想NICのアドレスを区別します。
設問5(3)
下線⑨は、ハードウェア障害に備えた冗長化のコストを問うています。FWやVPNの機能を仮想サーバ上のソフトウェアとして実現すれば、機器ごとに異なるハードウェアをそろえる必要がなくなります。公式解答例もこの点を理由としています。40字以内なら「機器ごとに異なる冗長化用ハードウェアを用意せずに済むから。」と記述できます。採点講評では、一般的な仮想化の利点ではなく、冗長化構成のコストに結び付けた説明が求められています。
学習のポイント
SIPとRTPの役割分担、NATが変換する範囲、スイッチの送信元MACアドレス学習と転送判断を重点的に学び、図から通信経路と必要な設定を説明できるようにします。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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