NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
平成26年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
前提条件が当てはまる範囲を確かめる
構成を検討するときは、ある前提条件がどこまで当てはまるかに注目しましょう。用語から結論を急がず、与えられた条件の範囲を確かめ、その範囲を越えた仮定を自分で加えていないか振り返ることが大切です。
この問題で問われていること
この分野では、構成について述べられた条件の適用範囲を意識して考えてみましょう。考察の途中でも同じ範囲を保ち、別の範囲に条件を広げて扱っていないかを点検すると、前提と判断のつながりを整理できます。
視点
条件を整理するときは、その条件が当てはまる範囲を短く書き添えてみましょう。一般的な知識から想像した範囲と、与えられた条件で確かめられる範囲を区別すると、前提を広げすぎていないか点検できます。
確認ポイント
- 条件の適用範囲を、用語の印象だけで決めていないか
- 考察の途中で、条件が当てはまる範囲を広げていないか
- 判断の根拠にした条件と、その適用範囲が対応しているか
正解と解説を見る
解説
本問は、冗長FWの交換事故を通じて、設定同期と通信状態の引継ぎ、レイヤ2とレイヤ3のテーブル更新を理解する問題です。さらに、VLAN構成に応じたスイッチの配置と、部門別の仮想FWを異なる物理FWでActiveにする負荷分散を考えます。
問題の全体像
Z社はFW1を主系、FW2を副系とする冗長構成を運用しています。FW1の交換時にフェールオーバリンクが接続できておらず、代替機がActiveになった後、その初期設定がFW2へ同期されて通信障害が発生しました。設定を復元しても、交換前のMACアドレスが周辺機器のARPテーブルに残っていたため、通信は回復しませんでした。出題趣旨では、通信プロトコル、FWと周辺機器の動作、保守手順、VLAN設計、負荷分散を問うとされています。各層の役割と本文固有の動作仕様を、図や表と結び付けて読むことが重要です。
設問1(ア)
「ネットワークアドレス及びポート番号の変換」に着目します。IPアドレスに加えてポート番号も変換する機能なので、公式解答例では「NAPT」です。アドレスだけの変換と区別し、ポート番号の変換まで含むことを押さえます。
設問1(イ)
フェールオーバ後も通信を継続するため、通信の中継に使う管理情報を自動的に引き継ぐという記述に着目します。公式解答例では「ステートフル」です。フィルタリングルールなどの設定情報だけでなく、継続中の通信状態を引き継ぐ機能であることがポイントです。採点講評でも、冗長化構成における重要な機能として理解しておくよう求めています。
設問1(ウ)
UTPのコネクタを押し込むとリンクLEDが点灯したことに着目します。ケーブルやコネクタによる物理的な接続を確認しているので、公式解答例では「物理」又は「第1」です。リンクLEDの点灯は物理層の接続を示し、設定同期やアプリケーション通信の成功まで示すものではありません。
設問1(エ)
「自ポートに設定されたIPアドレスの解決を要求する」という記述が手掛かりです。公式解答例では「Gratuitous ARP」又は「GARP」です。自分のIPアドレスについてARP要求を送信することで、接続機器にIPアドレスとMACアドレスの対応を知らせます。本問のFWはこの機能によるARPテーブル更新ができないため、交換でMACアドレスが変わった後に手動操作が必要となりました。
設問1(オ)
「1本のリンクに複数のVLANを収容する接続」に着目します。フレームにVLANを識別するタグを付け、同じリンクで複数のVLANを運ぶので、公式解答例では「タグ」又は「Tag」です。仮想FWの仮想ポートに割り当てたVLAN番号と、通信に使用するVLAN番号を合致させる必要があります。
設問2(1)
図1では、SW3にもL3SWにも企画部と営業部のPCが接続されています。SW3側の両部門の通信をL3SWへ運ぶリンクには、二つのVLANを収容する必要があります。したがって、公式解答例では「SW3とL3SWの間」です。採点講評では、FWに着目した解答が多かったと指摘しています。図中のPCがどのVLANに属し、その通信がどのリンクを通るかを追うことが重要です。
設問2(2)
フェールオーバ中にデータが失われても、トランスポート層の機能によって通信を継続できるという説明に着目します。公式解答例では「TCPの再送機能」です。TCPは確認応答などに基づいて未到達のデータを再送するため、一時的な損失を補えます。この表現は10字以内です。採点講評でも、機能を曖昧に説明せず、TCPの信頼性を実現する具体的な機能を答えるよう求めています。
設問2(3)
ケーブル直結では、一方のFWのポートが故障すると対向FWのポートもリンク断となり、どちらに障害があるか判断しにくくなります。SW2を挟むと、各FWとSW2の物理リンクが分かれるので、故障していない側のリンクを維持し、障害側を特定しやすくなります。公式解答例も、この二点を挙げています。50字以内なら「一方のポート故障による対向ポートのリンク断を防ぎ、障害があるFWを特定しやすくする。」とまとめられます。採点講評では、レイヤ2を介してレイヤ1を分離する観点を重視しています。
設問2(4)
新たにActiveになったFWがフレームを送信し、接続スイッチがレイヤ2のテーブルを更新するという記述に着目します。スイッチは受信フレームの送信元MACアドレスと受信ポートの対応を学習するため、公式解答例では「MACアドレステーブル」です。この表現は15字以内です。IPアドレスとMACアドレスを対応付けるARPテーブルとは、管理する情報も役割も異なります。
設問2(5)(a)
FW1の交換でMACアドレスが変わったため、FWのIPアドレスに対応する古いMACアドレスを保持する機器のARPテーブルを初期化します。図1でFWと同じ各ネットワークに接続される機器を確認すると、表に記載済みのL3SWに加え、公式解答例では「ルータ、DNSサーバ、Webサーバ」です。レイヤ2スイッチのMACアドレステーブル更新と、これらの機器のARPテーブル更新を区別します。PCはL3SWを介してFWへ通信するため、ここで挙げる三つの機器には含まれません。
設問2(5)(b)
FW2の交換では、FW1がActiveのまま動作しています。本文の起動時仕様によれば、代替機はフェールオーバリンクでActiveのFW1を認識するとStandbyに入り、自分の設定を無視してFW1から設定情報を同期します。したがって、公式解答例では「FW1から設定情報が同期されたこと」です。この表現は20字以内であり、同期元と確認する情報を明示しています。
設問3(1)
部門間のVLAN間通信を廃止する一方、DNSサーバとWebサーバは変更せず、トランク接続も使わないという条件に着目します。部門側ではレイヤ2スイッチでVLANを分けて仮想FWへ接続できます。DMZ側では、各仮想FWにつながるVLANと、既存サーバのネットワークとの間を接続するためにレイヤ3機能が必要です。そこで、公式解答例では「SW4とL3SWを相互に入れ替える」です。部門側へSW4、DMZ側へL3SWを配置することで、機器を追加せずに条件を満たします。
設問3(2)
企画部用と営業部用の仮想FWを両方の物理FWに定義した上で、各部門のActiveを異なる物理FWに分けると負荷を分散できます。公式解答例では「FW1で企画部用、FW2で営業部用の仮想FWをActiveにする」。又は、その逆に「FW2で企画部用、FW1で営業部用の仮想FWをActiveにする」という二つの配置を示しています。この二つは代替案であり、いずれか一方を選びます。同じ部門用の仮想FWをFW1とFW2の双方で同時にActiveにする意味ではありません。答案には前者など一つの配置を50字以内で具体的に記述します。採点講評では、負荷分散という目的だけを説明し、配置の具体性を欠く解答が指摘されています。
学習のポイント
起動時の冗長化動作、TCPの再送、MAC学習とARPの違い、仮想FWとVLANの対応関係を重点的に学びましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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