NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
平成25年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
与えられた条件と推測を分ける
端末管理やネットワークの状況を考える際は、与えられた条件と自分が補った推測を区別しましょう。なじみのある構成を思い浮かべても、その前提が今回の情報に含まれているかを確かめることが大切です。
この問題で問われていること
考えを進めるときは、判断のよりどころが、与えられた情報なのか、自分の想定なのかに注目してください。経験や知識から補った条件を事実として扱っていないか、根拠をたどって点検してみましょう。
視点
知識は理解を助けますが、一般にあり得る状況が、そのまま今回の条件になるわけではありません。考えに使った前提を振り返り、与えられた情報から確認できることと、まだ想定にとどまることを分けて整理しましょう。
確認ポイント
- 判断の前提は、与えられた情報に基づいているか
- いつもの構成を、今回も同じだと想定していないか
- 確認できる事実と、自分が補った条件を分けているか
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解説
DHCPによる端末管理を題材に、リレーやMACアドレスの基礎、固定割当てと暫定運用の機能、SWの不具合によるブロードキャストの循環を読み解く問題です。最後はSW単位のVLAN分割と、VLAN間経路制御・DHCPリレーを組み合わせた構成を具体的に説明します。
問題の全体像
Z社は、手作業によるIPアドレス管理の負担と重複割当てを避けるため、DHCPによる自動割当てへ移行しました。しかし、端末の特定に手間が掛かり、BBルータ内蔵のDHCPサーバによる誤った割当ても発生しました。そこで端末登録システムとDHCPスヌーピングを導入しますが、SW増設時に機器の不具合と設定誤りが重なって通信障害が起きます。出題趣旨では、DHCPメッセージの交換、レイヤ2・レイヤ3スイッチの機能、障害の調査と分析を問うとしています。基礎用語を押さえた上で、図1の接続関係と本文に示された不具合から障害の仕組みを説明することが中心です。
設問1(ア)
着目するのは、DHCPサーバが本社にある一方、商品本部の割当てにはルータ2で動作する機能を使うという記述です。端末が送るDHCPのブロードキャストは、そのままではルータを越えません。商品本部の要求を本社のDHCPサーバへ中継する役割が必要なので、公式解答例では「リレーエージェント」としています。採点講評でも、この用語は基本として把握しておくべきものとされています。
設問1(イ)
本文では、ルータ又はWebサーバのテーブルから「IPアドレスとMACアドレスの対応」を調べるとあります。この対応を保持するのがARPテーブルなので、公式解答例では「ARP」としています。その後、MACアドレスからSWの接続ポートを調べる段階とは区別して読みます。IPアドレスからMACアドレス、MACアドレスからポートという二段階で端末の位置を絞り込んでいます。
設問1(ウ)
着目するのは、MACアドレスの上位部分にあるOUIが誰に固有の値かという点です。公式解答例では「製造者」としています。本文では、OUIだけでなく端末の機種名も登録して特定を容易にするよう指示しています。製造者を識別する情報と機種名を区別すれば、空欄には機種や使用者ではなく製造者が入ると判断できます。
設問1(エ)
U君は、L2SW1にトラフィックモニタを接続し、障害時のフレームをキャプチャしています。監視対象の通信を複製してモニタへ送るために設定するのがミラーポートなので、公式解答例では「ミラー」としています。通常の宛先への転送だけではモニタに届かない通信も観測するための機能と捉えます。
設問1(オ)
空欄の直前に「DHCPサーバを見つけるためのメッセージ」と明記されています。公式解答例では「DHCPDISCOVER」としています。基本の交換順序は、DHCPDISCOVER、DHCPOFFER、DHCPREQUEST、DHCPACKです。本文のPC2はDHCPDISCOVERとDHCPREQUESTでフラグビットを立て、サーバの応答をブロードキャストにするよう要求しています。この条件が、後のSWの折り返し動作につながります。
設問2(1)(a)
本文で指定されている無線LAN規格はIEEE 802.11aです。この規格が使用するのは5GHz帯なので、公式解答例では「5」としています。空欄の後ろにGHzという単位が既にあるため、答案には数値だけを入れます。
設問2(2)
下線①は、固定割当てを行っていた時期に、情報管理課の許可なくPCのIPアドレスを設定し、他のPCに通信障害を起こした場面です。管理外の設定によって既存のPCと同じIPアドレスが割り当てられたことが原因と読み取れます。公式解答例では「IPアドレスの重複割当て」としています。15字以内の答案では、無許可という手続上の問題よりも、通信障害を生んだ重複割当てを明示します。
設問2(3)
原因として、BBルータ内蔵のDHCPサーバから商品本部のPCへIPアドレスが割り当てられたことが示されています。これは、内蔵DHCPサーバが端末にアドレスを配るLAN側のポートをSWに接続したためです。設問はポートの名称ではなく、本来何を接続するポートかを尋ねています。公式解答例では「PCを接続すべきポート」とし、15字以内でその用途を答えています。採点講評では、一般的なBBルータの構成の知識から導ける設問とされています。
設問3(1)(b)
本文は、MACアドレスの上位何ビットにOUIがあるかを問うています。上位24ビットがOUIに当たるので、公式解答例では「24」としています。設問1(ウ)の製造者という答えと関連付けて、識別情報の意味とビット数をセットで理解します。採点講評でも、MACアドレスの構成の基本とされています。
設問3(1)(c)
ここではSW5を切り離し、PC1とPC2を同じSWに接続する作業2の構成を再現しています。例えば両PCがSW1に接続されている場合、PC2向けのDHCPOFFERとDHCPACKはブロードキャストなのでSW2にも届きます。SW2にはPC2が接続されていないため、不具合によって各応答をL2SW1へ折り返します。そのフレームがSW1へ転送され、PC2はDHCPOFFERとDHCPACKをそれぞれ二度受信します。一方、PC2が接続されているSW1では、この不具合による折り返しは起きません。DHCPDISCOVERとDHCPREQUESTの送信が各1回、DHCPOFFERとDHCPACKの受信が各2回で、合計は6メッセージです。公式解答例でも「6」としています。
設問3(2)(固定IPアドレスの割当て)
O主任の指示は、特定の端末に「DHCPサーバから常に決まったIPアドレス」を割り当てることです。端末側で手動設定するのではなく、サーバが端末を識別して同じアドレスを返す機能を説明します。公式解答例では「MACアドレスに対応付けたIPアドレスを割り当てる。」としています。30字以内の答案では、識別に使うMACアドレスと、対応するIPアドレスを割り当てる動作を押さえます。
設問3(2)(暫定運用中の対処)
当初の案では、MACアドレスを登録済みの端末からの要求にだけ応答します。しかし、導入後に全端末の登録が完了するまでこの制限を適用すると、未登録の端末が利用できず、使用者の利便性を損ないます。暫定運用では未登録端末にも割当てを行う必要があるため、公式解答例では「MACアドレスが未登録でもIPアドレスを割り当てる。」としています。30字以内で、未登録でも割り当てるという条件と動作を明示します。
設問3(3)
作業3ではPC2をSW5に接続するため、SW1とSW2のどちらにもPC2は接続されていません。両SWは、PC2向けのブロードキャストのDHCPOFFERとDHCPACKを受けると、不具合によって受信ポートから折り返します。L2SW1のDHCPスヌーピングが動作していないため、そのフレームはもう一方のSWへ転送され、そこで再び折り返されて循環します。これが大量のフレームを生み、通信障害につながりました。公式解答例では「SW1とSW2の間でのブロードキャストフレームの折り返し」としています。35字以内の答案には、図1の機器名であるSW1・SW2と、障害を生んだ折り返し動作を含めます。
設問3(4)
下線③の目的は、今回のようなブロードキャストによる障害の影響を、他のSWに広げない構成にすることです。公式解答例では「SW単位にVLANを設定し、VLAN間経路制御とDHCPリレーを行う構成」としています。各SWを別のVLANに分け、VLAN間の通信はレイヤ3スイッチの経路制御で行います。分割後もDHCPサーバによる一元管理を続けるため、DHCPリレーも必要です。40字以内の答案では、SW単位のVLAN設定、VLAN間経路制御、DHCPリレーの三つを具体的に書きます。採点講評では、目的だけの説明や曖昧な構成記述が多かったとされています。また、各SWに複数のVLANを設定して上位とのリンクをタグVLANで共有する構成では、一つのVLANの大量のブロードキャストが共有リンクを飽和させ、他のVLANにも影響するため、適切な構成とはいえないと指摘しています。
学習のポイント
DHCPの4メッセージを機器間の転送経路に沿って追い、折り返しによる重複受信と循環を区別することが重点です。VLAN分割では、ブロードキャストの範囲だけでなく、SWとレイヤ3スイッチの間のリンクを共有することによる影響にも着目します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成25年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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