NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
平成24年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題










解き方のヒントを見る
前提と評価の範囲をそろえる
技術上の判断を考えるときは、与えられた条件がどの範囲に適用されるかを意識しましょう。条件と判断の範囲をそろえて捉えることで、部分的な説明を全体の性質へ広げていないかを落ち着いて確認できます。
この問題で問われていること
この問題では、条件が及ぶ範囲と、そこから考えようとしている判断の範囲との対応に注目しましょう。明示された範囲を保ったまま考え、対象の一部についての情報を、根拠なく対象全体へ当てはめていないか点検してください。
視点
ある範囲についての説明と、対象全体についての判断では、扱う範囲が異なります。考察の途中で範囲が広がっていないかを意識し、与えられた条件と対応づけて整理しましょう。
確認ポイント
- 条件が適用される範囲を確認したか
- 考察の途中で対象範囲を広げていないか
- 判断の範囲を与えられた条件とそろえているか
正解と解説を見る
解説
本問は、RBによる複数経路の利用、拡張イーサネットによるロスレス転送、FCoEによるLANとSANの統合を組み合わせる問題です。経路制御とFCFの転送処理を区別し、さらに独立したファブリックによって障害の影響に備える構成を理解することが要点となる。
問題の全体像
C社は事業継続計画の見直しに伴い、被災時のバックアップと通常時のデータ分析に使う新データセンタを構築する。ブレード型サーバの配線を減らしながら、通信帯域、ロスレス転送、信頼性を確保するため、RBによる複数経路制御とFCoEを組み合わせてLANとSANを統合する。出題趣旨では、拡張イーサネット、ルーティングブリッジ、統合ネットワーク基盤の理解と活用を問うとしている。採点講評では、新技術の知識だけでなく、本文を読み、基本技術を組み合わせた動作を理解することを重視している。
設問1(ア)
〔【2】ロスレスイーサネット技術〕の「スイッチ内バッファ」と「データロスを防ぐためのスイッチ間バッファ管理」に着目する。受信データをバッファに収容できなくなると、フレームを保持できずデータロスにつながる。公式解答例では「あふれ」又は「枯渇」としている。バッファ内のデータがあふれること、又は利用できるバッファ領域が枯渇することを指します。
設問1(イ)
空欄は、FCの2Gビット/秒を超えるイーサネットのインタフェース速度を問う。公式解答例では「10」としており、本文には10Gビット/秒を入れる。2を超える任意の数値を選ぶのではなく、SANのトラフィックを収容する拡張イーサネットの採用速度として読み取る。
設問1(ウ)
〔【5】統合ネットワークの高信頼化〕にある「1か所での障害発生時にシステム全体が動作不能になってしまう機器や部位」が定義そのものです。公式解答例では「SPOF」「Single Point of Failure」「単一障害点」を挙げている。経路が複数あっても、全経路が同じ機器に依存すれば、その機器が単一障害点になる。採点講評でも、この用語の正答率が低く、高信頼なネットワーク設計の重要なキーワードであると指摘している。
設問2(1)
図3の注記1によれば、組合せ(x、 y)のxはRB1から出力するファブリックポート番号、yは宛先RBまでのホップ数です。RB2へは、ポート1又は2からRB3を経由する経路と、ポート3からRB4を経由する経路があり、いずれも2ホップとなる。RB3へはポート1と2で直接接続され、いずれも1ホップです。公式解答例では、RB2は「(1、 2)、(2、 2)、(3、 2)」、RB3は「(1、 1)、(2、 1)」としている。並行するリンクも別の出力ポートとして漏れなく列挙する。
設問2(2)(HCの設定)
図3のRB1の経路制御テーブルでは、RB4への直接経路は1ホップだが、最小ホップ数以外の経路は3ホップと示されている。HCは転送に伴って減算され、0になったフレームは廃棄されるため、冗長性を確保するには3ホップの代替経路を利用できる設定が必要となる。公式解答例では「3以上に設定する。」としており、この要点を15字以内で示す。
設問2(2)(目的)
本文の「障害時の代替経路として、残りの正常な経路が使用できる」に着目する。RB4への直接経路が使えなくなっても、RB3とRB2を経由する3ホップの経路を利用できれば転送を継続できる。公式解答例では、最小ホップ数以外の経路を障害時の代替経路として使えるようにすることを目的としている。45字以内の答案では「RB4への最小ホップ数以外の経路を障害時の代替経路として使うため」のように、対象経路と障害時の用途を押さえる。
設問2(3)(ポートの種類)
本文では、ファブリックポートはRB間の接続用、エッジポートはデバイスとの接続用と定義されている。共通のMACアドレステーブルに必要なのは、デバイスがどのRBのどのポートに接続されているかという情報です。そのため、デバイスから入るフレームの送信元MACアドレスを学習する接続用ポートに着目する。公式解答例では「エッジポート」としている。
設問2(3)(ポート規格)
図3のMACアドレステーブルには、MACアドレスだけでなくVLAN IDも登録されている。また、図4の入力フレームには「外部のVLANタグ」がある。このタグに含まれるVLAN IDを識別する規格を答える。公式解答例では「IEEE 802.1Q」としており、答案では規格名を示します。
設問2(4)
図3で各デバイスに付されたVLAN ID、接続先RB、黒丸で示されたエッジポートの番号を対応させる。MA2はVLAN ID 20でRB2のポート3、MA3はVLAN ID 20でRB3のポート4、MA4はVLAN ID 10でRB4のポート3に接続されている。公式解答例の登録内容も「MA2:20、RB2、3」「MA3:20、RB3、4」「MA4:10、RB4、3」です。ここで登録するポート番号は、デバイスにつながるエッジポートの番号です。
設問2(5)
HCには、代替経路の転送を許すことと、ループしたフレームを有限回の転送で廃棄することの両方が求められる。最短経路のホップ数だけでは長い代替経路を利用できず、必要以上に大きな値ではループ時の転送が長く続く。公式解答例では「全ての経路の中での最大ホップ数とする。」としている。25字以内では、この設定基準をそのまま簡潔に示す。ここでいう経路は、代替経路を含む宛先までの経路として捉える。
設問2(6)
本文には、入力フレームの宛先デバイスのMACアドレスで共通のMACアドレステーブルを参照し、出口RBを決めると明記されている。図4のTRヘッダ内で、この結果を格納するフィールドが「ファブリックの出口RB名」であり、公式解答例もこの名称を示している。その出口RBまでの次の転送先は、別途、経路制御テーブルを参照して決定する。
設問3(1)
〔【3】の「ホストはFIPを用いてFCFにログインする」と「FCoEフレームはFCFを経由して転送される」を結び付ける。ストレージに向かうデータであっても、FCファブリックに入力されるFCoEフレームは、まずホストがログインしたFCFへ渡される。公式解答例では「ログインしたFCF」としている。最終的なストレージへの転送と、入力時のFCoEフレームの宛先を区別する。
設問3(2)(a)
図5のaは、FCoE-SWから次のFCoE-SWのFCoE制御部へ転送する区間です。本文では、拡張イーサネット上でFCフレームをカプセル化して転送するフレームをFCoEフレームと呼んでいる。この区間はFCoEによる転送を続けているため、公式解答例では「FCoEフレーム」としている。
設問3(2)(b)
図5のbは、FC接続機能付きFCoE-SWのFCoE制御部に入る区間です。接続先のストレージはFC対応だが、この区間ではまだFCoE制御部へ拡張イーサネットで転送している。公式解答例では「FCoEフレーム」としている。フレーム名は最終的な接続先だけで判断せず、図で示された区間の接続機能から判断する。
設問3(2)(c)
図5のcは、FC接続機能付きFCoE-SWのFC接続部からFC対応ストレージへ向かう区間です。この区間ではFC接続を使うため、FCoEのカプセル化が解除されたFCフレームを転送する。公式解答例では「FCフレーム」としている。bとcの違いは、同じスイッチの前後でも使用する接続機能が変わる点にある。
設問4(1)
図6の案1では、ホストとストレージ1の近くにFCFがなく、FCFは右側の1か所だけにある。本文の「FCoEフレームはFCFを経由して転送される」に従うと、ホストからストレージ1への通信も、右側のFCFまで進んでから戻る必要がある。この迂回でホップ数が増え、性能上の問題が生じる。公式解答例も、両者間のホップ数増大と性能の問題を挙げている。40字以内では「ホストとストレージ1間のホップ数が増大し、性能の問題が発生する。」と因果関係を示します。
設問4(2)(転送先RB名)
図7では、RB1上のFCF1からRB2上のFCF2へ向けたFCoEフレームを、RB1→RB3→RB2の経路で転送している。(E)はTRヘッダであり、その転送先RB名は、今回のカプセル化された転送の到達先を示します。公式解答例では「RB2」としている。途中のRB3は隣接転送先になり得るが、TRヘッダに記録する到達先はRB2です。
設問4(2)(転送元RB名)
図7で、FCF1の処理後にFCF2宛てのFCoEフレームを送り出すRBはRB1です。(E)の転送元RB名は、このカプセル化された転送の出発点を示します。公式解答例では「RB1」としている。途中でRB3を通過しても、転送元RB名はRB1のままであり、各リンクの送信元を示す外側のMACアドレスとは役割が異なる。
設問4(2)(カプセル化とカプセル化の解除)
図7では、FCF1からFCF2へ転送するFCoEフレームにTRヘッダを付け、FCF2のあるRB2に到達するとTRヘッダを外す。このように、TRヘッダはFCF間をRBファブリックで転送する区間ごとに付加・除去される。公式解答例では「FCF間を転送されるごとに行われる。」としており、25字以内でこの単位を示します。採点講評でも、FCF間をルーティングブリッジで接続する論理的な構成の理解が課題だったと指摘している。
設問4(3)
図7のDは「FCoEでカプセル化されたFCフレーム」を示します。FCFはFCSWに相当する機能を持ち、このFCフレームを対象に転送処理を行う。一方、C1~C3はFCoEのイーサネットヘッダ部分、EはRB間転送に使うTRヘッダです。公式解答例では「D」としている。FCFによるFCの転送処理と、RBによるTRヘッダを使った転送処理を分けて捉えることが要点となる。
設問5(1)
図8では、HBA1はFCSW1に、HBA2はFCSW2に接続され、各FCSWからSC1とSC2の両方へ接続できる。さらに両SCから同じLUへアクセスできるので、HBAの2通りとSCの2通りを組み合わせた4経路となる。公式解答例では「HBA1→SC1→LU、HBA1→SC2→LU、HBA2→SC1→LU、HBA2→SC2→LU」を挙げている。設問はHBA→SC→LUの形式を指定しているため、答案ではこの形式で全組合せを示します。
設問5(2)
下線④は、単一のリンクやスイッチだけでなく、一つのFCファブリック全体が機能しなくなる障害を想定している。図8では、HBA1とHBA2が互いに独立したFCファブリックを経由し、それぞれからストレージに接続できる。これにより、一方のファブリックが使えなくなっても、他方の経路を利用できる。公式解答例では、各HBAから独立したFCファブリック経由でストレージへの経路を確保するとしている。45字以内では「各HBAから独立したFCファブリック経由でストレージへの経路を確保する。」と示す。採点講評でも、この設問の正答率が低く、SANに求められる信頼性の理解を重視している。
学習のポイント
図から経路とホップ数を数える力、MACアドレスとTRヘッダの役割の区別、FCF間の論理的な接続、単一障害点を避けるSAN構成を重点的に学ぶ。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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