NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ

平成24年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問1

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問1 データセンタの分散化に関する次の記述を読んで,設問1~5に答えよ。 C社は,OA製品の製造・販売会社である。C社では,被災しても事業が継続できるように,サーバ及びデータを保存するストレージを堅ろうな既設データセンタに収容していた。しかし,事業継続計画を見直した結果,災害によっては,1か所集中型のデータセンタでは事業継続が困難になることが分かり,データセンタの分散化を行うことになった。 分散化に当たって,新たに構築するデータセンタ(以下,新データセンタという)は,被災時に使用するバックアップセンタとしての役割だけでなく,通常時に,蓄積された各種データの分析にも活用することにした。S主任とN君は,このプロジェクトのネットワーク基盤の検討メンバに選任された。図1は,既設システムと新データセンタのネットワーク構成図である。 図1 既設システムと新データセンタのネットワーク構成図 新データセンタの構築においては,将来のITシステムの技術動向を踏まえて,拡張性に配慮したシステムを目指した。そこで,ブレード型サーバを使用し,その中で仮想化技術を用いて,仮想サーバを動作させることにした。サーバと他の機器との接続には,信頼性,QoS,必要通信帯域など多様な要求に対応するネットワークを実現する必要があった。加えて,ラックに搭載するブレード型サーバの外部接続インタフェース及び配線のための収容スペースが少ないので,配線を減らしたいという要求もあった。 S主任は,SAN(Storage Area Network)のトラフィックを収容することを想定して,次のようなネットワーク設計方針をN君に示した。 (1) 信頼性を高めるための冗長経路を,同時に利用した通信帯域の拡張 (2) SAN用に利用可能な,ロスがなく低遅延のデータ転送 (3) サーバの外部接続インタフェースを簡素化するためのLANとSANの統合 (4) 統合ネットワークの高信頼化 N君が,設計方針を実現するための調査をしていく中で,イーサネットの拡張機能をベースに,複数の技術を組み合わせる必要があることが分かってきた。そこで,N君は,設計方針とその実現技術を関係付けたネットワークの検討を,図2に示す順序で進めることにした。 図2 設計方針とその実現技術を関係付けたネットワークの検討 〔【1】複数経路の同時利用方式〕 イーサネットでは,ループしている経路があると,ブロードキャストフレームが無限にループするので,論理的な接続ではループを作らないように,例えばSTP(Spanning Tree Protocol)の場合には,ポートの閉塞処理が行われる。このため,物理的に冗長な経路を導入しても,同時にはその経路を利用できないという問題がある。 N君が調べたところ,ルーティングを行うブリッジ(以下,RBという)で構成された1組のネットワーク(以下,RBファブリックという)内で,複数経路を同時に利用できる方式(以下,複数経路制御方式という)があることが分かった。 図3は,複数経路制御方式を説明するためのRB構成を示している。“デバイス”は,RBファブリックに接続するホストやストレージを表している。RBファブリックを構成するRBには,2種類のポートがある。一つはRB間の接続用ポート(以下,ファブリックポートという)であり,もう一つは,デバイスとの接続用ポート(以下,エッジポートという)である。各RB内には,イーサネットフレーム(以下,フレームという)の転送制御のための経路制御テーブルが作成される。経路制御テーブルの内容は,宛先RBごとに,出力するファブリックポート番号と宛先RBまでのホップ数の組合せを示したものである。図3では,例としてRB1の経路制御テーブルを示している。 図3 複数経路制御方式を説明するためのRB構成 RBファブリックに入ってきたフレームは,出口となるエッジポートがあるRB(以下,出口RBという)に向かって,経路制御テーブルに従って転送されていく。出口RBまで,最小ホップ数の経路が複数ある場合,同時に複数経路を利用できる。また,ある経路に障害が発生しても,複数ある経路の残りの経路が使える場合は,継続してフレームの転送ができる。 一方,RBファブリックに入ってきたフレームの出口RBと,そのRB内の出力するポートを知るためには,接続されたデバイスのMACアドレスをあらかじめ学習しておく必要がある。①RBファブリックでは,各RBで学習したMACアドレスは,あらかじめ決められたRBに集められた後,各RBで共通に使われるMACアドレステーブルが作られて,全RBに配信される。図3では,配信されたMACアドレステーブルを示している。 次に,RBファブリックのエッジポートに入ってきたフレームが,どのように変換されて転送されるかを説明するために,RBファブリックのフレーム転送を,図4に示す。図4では,デバイス1からデバイス2にフレームを転送する場合を示している。 図4 RBファブリックのフレーム転送 入力フレームは,図4中の(B)に示すヘッダ(以下,TRヘッダという)が付加され,カプセル化されてRB間を転送される。RB間を転送されるフレームのイーサタイプには,TRヘッダをもつフレームであることを示す値(TR)が設定される。出口RBは,図3のMACアドレステーブルを,入力フレームの宛先デバイスのMACアドレスを宛先MAとして参照することで,決定される。次の転送先となるRBは,図3に示した経路制御テーブルを,出口RBを宛先RBとして参照することで,決定される。TRヘッダのHCの値は,RBを通過するたびに減算され,HCの値が0のフレームは廃棄される。出口RBまで転送されてきたフレームは,カプセル化の解除が行われ,TRヘッダが外されて宛先デバイスに送出される。 フレーム送出時に,TRヘッダ中のHCを適切な値にして送信するように設定すると,障害時の代替経路として,残りの正常な経路が使用できる。 〔【2】ロスレスイーサネット技術〕 ストレージのデータ転送のような場合に,大きな通信帯域と信頼性を実現するためにイーサネットを拡張する技術が,IEEE 802.1委員会のDCB(Data Center Bridging)タスクグループで規格化されている。今回の要件を満たすには,ホスト,ストレージ及びRBに,この拡張されたイーサネット(以下,拡張イーサネットという)を使用する必要がある。拡張イーサネットでは,優先度別のキュー制御や,スイッチ内バッファの【ア】によるデータロスを防ぐためのスイッチ間バッファ管理の仕組みが規定されており,従来のイーサネットにはないロスレス転送を実現している。また,インタフェースの速度としては,FC(Fibre Channel)の2Gビット/秒を超える,最低でも【イ】Gビット/秒のイーサネットの採用が必要と考えられる。 ホストに実装するアダプタであるCNA(Converged Network Adapter)は,拡張イーサネットに対応するとともに,HBA(Host Bus Adapter)とNICの両方の機能を備えている。CNAがもつこれらの機能は,OSからはそれぞれ別のインタフェースとして認識され,別のMACアドレスが使われる。CNAを使うことで,ストレージとのI/O用のFCフレームを,イーサネットフレームにカプセル化して転送することができる。 〔【3】イーサネットを使用したSANのデータ転送〕 FCoE(Fibre Channel over Ethernet)は,拡張イーサネットを使用してFCフレームを転送する技術である。FCフレームをカプセル化して転送するフレームのイーサタイプには,FCoEを示す値が設定される。FCoEを使うためには,FCoEに対応したインタフェースを備えたスイッチ(以下,FCoE-SWという)が必要になり,さらに,FCSW(Fibre Channel Switch)に相当する機能を実現するFCF(FCoE Forwarder)をFCoE-SW上に実装する必要がある。FCによるSANは,複数のFCSW及びFCoE-SWによるネットワーク(以下,FCファブリックという)となる。 FCファブリックでは,接続しようとするホストは,最初にログイン処理を行う必要がある。このログイン処理を行うことで,ホストの接続ポートを識別するID(以下,FCIDという)が割り当てられる。FCIDは,ドメイン,エリア及びポートという物理的な接続関係を表すフィールドで構成されている。FCoE対応のホストは,FCファブリックに接続するために,FIP(FCoE Initialization Protocol)を用いてイーサネット経由でFCFにログインする。FIPを用いてFCFにログインすると,FCファブリック側から下位24ビットをFCIDとした,FCファブリック内でユニークなMACアドレスが,CNA中のHBAに当たる部分に割り当てられる(表1)。 表1 CNAに割り当てられるMACアドレスのフォーマット FIPのフレームは,制御を行うためのものであり,データ転送の場合のFCoEのイーサタイプとは別の,FIPを示すイーサタイプが使われる。 FCFを実装したFCoE-SWによるFCoE用のフレーム(以下,FCoEフレームという)及びFCフレームの転送を,図5に示す。 図5 FCoE-SWによるFCoEフレーム及びFCフレームの転送 FCFは,FIPの処理やFCoEフレームの中継処理を行うので,FCoEを使うためにはFCファブリック内にFCFが少なくとも一つは必要である。FCFを実装したFCoE-SWでは,FCoEフレームはFCFを経由して転送される。また,図5に示すように,FCF経由でFC対応のストレージを接続することも可能である。 〔【4】LANとSANのスイッチ統合〕 RBファブリックとFCファブリックを統合したネットワーク(以下,統合ファブリックという)を構築するには,スイッチの共用化を図る必要がある。この手段として,RB上にFCFを実装することが考えられている。FCFへは,拡張イーサネット経由でデバイスを接続するので,FCF機能を実装しないRBを経由してFCF機能付きのRBに接続することもできる。したがって,複数経路制御方式とFCoEを組み合わせて統合ファブリックを構成する場合,FCFを実装したRBをどこに配置するかが課題である。図6は,N君が考えた,FCF機能付きRBの配置構成案である。 図6 FCF機能付きRBの配置構成案 図6の構成案を見たS主任は,②“案1は,FCF機能のない簡素なRBを使って,ホストやストレージを接続できるが,ホストからストレージ1にアクセスする場合に問題がありそうだ”と指摘した。N君は,案1と案2を比較検討し,案2の配置構成を採用することにした。 これまでの検討結果を基にN君が採用した製品による,LANとSANの統合システムのフレーム転送を,図7に示す。 図7 LANとSANの統合システムのフレーム転送 図7では,ホスト1からストレージに向かうデータ転送用のフレームを例に,フレームの構造を示している。統合ファブリックのエッジポートに入ってきたフレームは,統合ファブリック内部を転送するためのTRヘッダが付加され,カプセル化されて,RB1→RB3→RB2へと転送される。ストレージが接続されたRB2に到達すると,カプセル化が解除され,TRヘッダが外されて,ストレージに向けて送出される。 〔【5】統合ネットワークの高信頼化〕 N君は,これまでの調査で,LANとSANを統合するネットワーク技術に見通しがついたので,新データセンタのネットワーク構成を検討するために,SANの可用性の確保について構成要件を検討することにした。まず,サーバからストレージ内の論理的なディスクであるロジカルユニット(以下,LUという)へのアクセス経路について調べた。ストレージシステムは,データベースに高速にアクセスしたり,重要なデータを保存したりするために,高い信頼性・可用性が要求される。要求を実現するには,ホストから目的のLUへのアクセス経路を複数確保する必要がある。このとき,【ウ】と呼ばれる,1か所での障害発生時にシステム全体が動作不能になってしまう機器や部位を作らないことが重要である。 FCSWから構成されるFCファブリックでは,ホストとストレージ間通信のための通信可能なポートの組合せはFCSWが管理している。また,ストレージには,複数経路からLUへのアクセスを可能にするストレージコントローラ(以下,SCという)がある。ホスト側では,LUへの経路について,③HBA→SC→LUという経路の組合せで管理するものが多い。このように,複数のアクセス経路がある場合,どの経路を使うかについては,ホスト側のソフトウェアで制御する。また,④障害によっては,一つのFCファブリックが機能しなくなる可能性もあることから,そのような場合への対応方法も考えておくことが重要である。これらを考慮したホストからストレージ内のLUへのアクセス経路を,図8に示す。 図8 ホストからストレージ内のLUへのアクセス経路 図9は,N君が作成した新データセンタのシステム構成である。サーバは,仮想化技術によって仮想サーバとして構築しておき,状況に応じて,必要な仮想サーバを起動し,関連するストレージ及びネットワークの接続を切り替えて使用する方式とした。 図9 新データセンタのシステム構成 物理サーバ1と物理サーバ2は,通常時はデータ分析のための仮想サーバを動作させ,被災時は,既設データセンタのバックアップのための仮想サーバを動作させる。また,一方に障害が発生しても,相互にバックアップできる構成にしている。 S主任から,ネットワーク基盤の基本方式について了承を得たN君は,詳細なネットワーク設計に取り掛かった。 設問1 本文中の【ア】~【ウ】に入れる適切な字句を答えよ。 設問2 〔【1】複数経路の同時利用方式〕について,(1)~(6)に答えよ。 (1) 図3中のRB1の経路制御テーブルで,宛先がRB2とRB3の場合の最小ホップ数の経路について,RB4の場合の表記を参考に全て挙げ,解答欄の空欄に適切な字句を入れて完成させよ。 (2) 図3の接続構成で,RB1からRB4にフレームを転送する場合に,経路の冗長性を考慮してHCの設定をどのようにすればよいか。また,その目的は何か。それぞれ,15字以内及び45字以内で述べよ。 (3) 図3中で,MACアドレスの学習が必要なポートの種類を答えよ。また,そのポートでVLAN IDを識別するために必要なポート規格を答えよ。 (4) 図3中のMACアドレステーブルについて,MA1の場合の表記を参考に,解答欄の空欄に適切な字句を入れて完成させよ。 (5) 転送経路にループが発生した時に,フレームが流れ続けることを防止することと,冗長化のための複数経路を確保することの両者を考慮した場合に,RBファブリックのHCとしては,どのような値を設定するのが良いと考えられるか。25字以内で述べよ。 (6) 本文中の下線①について,この方法によって得られた共通のMACアドレステーブルは,図4のRB間転送フレームフォーマットのどのフィールドを決めるために使われるか。フィールド名を答えよ。 設問3 〔【3】イーサネットを使用したSANのデータ転送〕について,(1),(2)に答えよ。 (1) 図5中の,FCoE対応ストレージに向けてFCファブリックに入力されるFCoEフレームの宛先MACアドレスは,どこのMACアドレスが使われるか。図5中の機器名又は機能部名を用いて答えよ。 (2) 図5中の【a】~【c】に入れる適切なフレーム名を答えよ。 設問4 〔【4】LANとSANのスイッチ統合〕について,(1)~(3)に答えよ。 (1) 本文中の下線②について,S主任が指摘した問題はどのようなものだったと考えられるか。40字以内で述べよ。 (2) 図7中の(E)におけるファブリック内の転送先RB名と転送元RB名は何か。RB名で答えよ。また,ホスト-ストレージ間の転送では,TRヘッダによるカプセル化とカプセル化の解除は,どのように行われるか。25字以内で述べよ。 (3) 図7中のフレームの内容で,FCFが転送処理の対象とするのは,どのフィールドか。図7中のフィールドを示す記号C1,C2,C3,D又はEのいずれかで答えよ。 設問5 〔【5】統合ネットワークの高信頼化〕について,(1),(2)に答えよ。 (1) 本文中の下線③について,図8の構成で冗長化された経路を全て挙げ,HBAm→SCn→LUの形式で答えよ。ここで,mとnは数字を示す。 (2) 本文中の下線④について,FCファブリックを利用する上で,どのような対処が必要になるか。図8の構成から分かることを45字以内で述べよ。
図1 既設システムと新データセンタのネットワーク構成図。既設データセンタ内で3台のサーバがFCSW2台とL2SW2台に接続され、FCSWはストレージに、L2SWはL3SW2台に接続される。広域イーサネットサービス網で本社・支社・新データセンタ(計画中:被災時はバックアップセンタ、通常時はデータ分析用センタ)と結ばれている。
図1 既設システムと新データセンタのネットワーク構成図。既設データセンタ内で3台のサーバがFCSW2台とL2SW2台に接続され、FCSWはストレージに、L2SWはL3SW2台に接続される。広域イーサネットサービス網で本社・支社・新データセンタ(計画中:被災時はバックアップセンタ、通常時はデータ分析用センタ)と結ばれている。
図2 設計方針とその実現技術を関係付けたネットワークの検討。イーサネットの拡張機能調査(【1】複数経路の同時利用方式、【2】ロスレスイーサネット技術)から、LANとSANのネットワーク統合技術の調査(【3】イーサネットを使用したSANのデータ転送、【4】LANとSANのスイッチ統合)を経て、新データセンタの具体的設計(【5】統合ネットワークの高信頼化)へ進む検討順序と、設計方針(1)~(4)との対応を示す図。
図2 設計方針とその実現技術を関係付けたネットワークの検討。イーサネットの拡張機能調査(【1】複数経路の同時利用方式、【2】ロスレスイーサネット技術)から、LANとSANのネットワーク統合技術の調査(【3】イーサネットを使用したSANのデータ転送、【4】LANとSANのスイッチ統合)を経て、新データセンタの具体的設計(【5】統合ネットワークの高信頼化)へ進む検討順序と、設計方針(1)~(4)との対応を示す図。
図3 複数経路制御方式を説明するためのRB構成。RB1~RB4で構成したRBファブリックに、MA1~MA4のデバイス(VLAN ID 10/20)がエッジポート経由で接続されている。RB1の経路制御テーブル(RB4は最小ホップ(3,1)、それ以外(1,3),(2,3))と、MACアドレステーブル(MA1は10、RB1、ポート4)を示し、他の欄は網掛けで伏せている。
図3 複数経路制御方式を説明するためのRB構成。RB1~RB4で構成したRBファブリックに、MA1~MA4のデバイス(VLAN ID 10/20)がエッジポート経由で接続されている。RB1の経路制御テーブル(RB4は最小ホップ(3,1)、それ以外(1,3),(2,3))と、MACアドレステーブル(MA1は10、RB1、ポート4)を示し、他の欄は網掛けで伏せている。
図4 RBファブリックのフレーム転送。デバイス1からRBファブリック内の3台のRBを経てデバイス2へフレームを転送する図。入力フレーム(A)に、HC・出口RB名・入口RB名からなる(B)と隣接RBのMACアドレス、RB間VLANタグ、イーサタイプ(TR)を付けてRB間で転送し、出口では(A)とFCSに戻す。
図4 RBファブリックのフレーム転送。デバイス1からRBファブリック内の3台のRBを経てデバイス2へフレームを転送する図。入力フレーム(A)に、HC・出口RB名・入口RB名からなる(B)と隣接RBのMACアドレス、RB間VLANタグ、イーサタイプ(TR)を付けてRB間で転送し、出口では(A)とFCSに戻す。
表1 CNAに割り当てられるMACアドレスのフォーマット。用途別のMACアドレス構成を示す表。LAN用は上位24ビットがOUI、下位24ビットが製造者による割当て。FC用は上位24ビットが固定値(例:0E-FC-00)、下位24ビットがFCIDである。
表1 CNAに割り当てられるMACアドレスのフォーマット。用途別のMACアドレス構成を示す表。LAN用は上位24ビットがOUI、下位24ビットが製造者による割当て。FC用は上位24ビットが固定値(例:0E-FC-00)、下位24ビットがFCIDである。
図5 FCoE-SWによるFCoEフレーム及びFCフレームの転送。ホストからのFCoEフレームが、FCF付きFCoE-SWのFCoE制御部を順に経由してFCoE対応ストレージへ届く経路(空欄a)を示す。またFC接続機能付きFCoE-SWを経由してFC対応ストレージへ届く経路(空欄b、c)も示す。
図5 FCoE-SWによるFCoEフレーム及びFCフレームの転送。ホストからのFCoEフレームが、FCF付きFCoE-SWのFCoE制御部を順に経由してFCoE対応ストレージへ届く経路(空欄a)を示す。またFC接続機能付きFCoE-SWを経由してFC対応ストレージへ届く経路(空欄b、c)も示す。
図6 FCF機能付きRBの配置構成案。案1はFCF機能付きRBを1か所だけに置き、ストレージ2の近くに配置した構成。ホストとストレージ1はFCFのない簡素なRBに接続される。案2はFCF機能付きRBを分散配置し、ホスト、ストレージ1、ストレージ2をそれぞれFCF付きRBに接続する構成。
図6 FCF機能付きRBの配置構成案。案1はFCF機能付きRBを1か所だけに置き、ストレージ2の近くに配置した構成。ホストとストレージ1はFCFのない簡素なRBに接続される。案2はFCF機能付きRBを分散配置し、ホスト、ストレージ1、ストレージ2をそれぞれFCF付きRBに接続する構成。
図7 LANとSANの統合システムのフレーム転送。ホスト1から統合ファブリック内のRB1(FCF1)、RB3、RB2(FCF2)を経てFCoE対応ストレージへFCフレームを通す経路図。入力FCoEフレーム(C1,D)、TRヘッダ(E)とC2を持つRB間転送フレーム、出力FCoEフレーム(C3,D)の各フォーマットを示す。
図7 LANとSANの統合システムのフレーム転送。ホスト1から統合ファブリック内のRB1(FCF1)、RB3、RB2(FCF2)を経てFCoE対応ストレージへFCフレームを通す経路図。入力FCoEフレーム(C1,D)、TRヘッダ(E)とC2を持つRB間転送フレーム、出力FCoEフレーム(C3,D)の各フォーマットを示す。
図8 ホストからストレージ内のLUへのアクセス経路。ホストのHBA1はFCSW1、HBA2はFCSW2と接続され、各FCSWは別々のFCファブリックに属している。両FCSWはストレージのSC1とSC2の両方に交差接続され、SC1とSC2はどちらもLUにつながる。注記ではLUを論理的なディスクと説明している。
図8 ホストからストレージ内のLUへのアクセス経路。ホストのHBA1はFCSW1、HBA2はFCSW2と接続され、各FCSWは別々のFCファブリックに属している。両FCSWはストレージのSC1とSC2の両方に交差接続され、SC1とSC2はどちらもLUにつながる。注記ではLUを論理的なディスクと説明している。
図9 新データセンタのシステム構成。物理サーバ1~4は仮想サーバとCNA2枚を持ち、2系統の統合ファブリックに接続されている。統合ファブリックはL3SW2台を経由して広域イーサネットサービス網につながり、SC2台とLUから成るFCoE対応ストレージにも接続される。
図9 新データセンタのシステム構成。物理サーバ1~4は仮想サーバとCNA2枚を持ち、2系統の統合ファブリックに接続されている。統合ファブリックはL3SW2台を経由して広域イーサネットサービス網につながり、SC2台とLUから成るFCoE対応ストレージにも接続される。
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前提と評価の範囲をそろえる

技術上の判断を考えるときは、与えられた条件がどの範囲に適用されるかを意識しましょう。条件と判断の範囲をそろえて捉えることで、部分的な説明を全体の性質へ広げていないかを落ち着いて確認できます。

この問題で問われていること

この問題では、条件が及ぶ範囲と、そこから考えようとしている判断の範囲との対応に注目しましょう。明示された範囲を保ったまま考え、対象の一部についての情報を、根拠なく対象全体へ当てはめていないか点検してください。

視点

ある範囲についての説明と、対象全体についての判断では、扱う範囲が異なります。考察の途中で範囲が広がっていないかを意識し、与えられた条件と対応づけて整理しましょう。

確認ポイント

  • 条件が適用される範囲を確認したか
  • 考察の途中で対象範囲を広げていないか
  • 判断の範囲を与えられた条件とそろえているか
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解説

本問は、RBによる複数経路の利用、拡張イーサネットによるロスレス転送、FCoEによるLANとSANの統合を組み合わせる問題です。経路制御とFCFの転送処理を区別し、さらに独立したファブリックによって障害の影響に備える構成を理解することが要点となる。

問題の全体像

C社は事業継続計画の見直しに伴い、被災時のバックアップと通常時のデータ分析に使う新データセンタを構築する。ブレード型サーバの配線を減らしながら、通信帯域、ロスレス転送、信頼性を確保するため、RBによる複数経路制御とFCoEを組み合わせてLANとSANを統合する。出題趣旨では、拡張イーサネット、ルーティングブリッジ、統合ネットワーク基盤の理解と活用を問うとしている。採点講評では、新技術の知識だけでなく、本文を読み、基本技術を組み合わせた動作を理解することを重視している。

設問1(ア)

〔【2】ロスレスイーサネット技術〕の「スイッチ内バッファ」と「データロスを防ぐためのスイッチ間バッファ管理」に着目する。受信データをバッファに収容できなくなると、フレームを保持できずデータロスにつながる。公式解答例では「あふれ」又は「枯渇」としている。バッファ内のデータがあふれること、又は利用できるバッファ領域が枯渇することを指します。

設問1(イ)

空欄は、FCの2Gビット/秒を超えるイーサネットのインタフェース速度を問う。公式解答例では「10」としており、本文には10Gビット/秒を入れる。2を超える任意の数値を選ぶのではなく、SANのトラフィックを収容する拡張イーサネットの採用速度として読み取る。

設問1(ウ)

〔【5】統合ネットワークの高信頼化〕にある「1か所での障害発生時にシステム全体が動作不能になってしまう機器や部位」が定義そのものです。公式解答例では「SPOF」「Single Point of Failure」「単一障害点」を挙げている。経路が複数あっても、全経路が同じ機器に依存すれば、その機器が単一障害点になる。採点講評でも、この用語の正答率が低く、高信頼なネットワーク設計の重要なキーワードであると指摘している。

設問2(1)

図3の注記1によれば、組合せ(x、 y)のxはRB1から出力するファブリックポート番号、yは宛先RBまでのホップ数です。RB2へは、ポート1又は2からRB3を経由する経路と、ポート3からRB4を経由する経路があり、いずれも2ホップとなる。RB3へはポート1と2で直接接続され、いずれも1ホップです。公式解答例では、RB2は「(1、 2)、(2、 2)、(3、 2)」、RB3は「(1、 1)、(2、 1)」としている。並行するリンクも別の出力ポートとして漏れなく列挙する。

設問2(2)(HCの設定)

図3のRB1の経路制御テーブルでは、RB4への直接経路は1ホップだが、最小ホップ数以外の経路は3ホップと示されている。HCは転送に伴って減算され、0になったフレームは廃棄されるため、冗長性を確保するには3ホップの代替経路を利用できる設定が必要となる。公式解答例では「3以上に設定する。」としており、この要点を15字以内で示す。

設問2(2)(目的)

本文の「障害時の代替経路として、残りの正常な経路が使用できる」に着目する。RB4への直接経路が使えなくなっても、RB3とRB2を経由する3ホップの経路を利用できれば転送を継続できる。公式解答例では、最小ホップ数以外の経路を障害時の代替経路として使えるようにすることを目的としている。45字以内の答案では「RB4への最小ホップ数以外の経路を障害時の代替経路として使うため」のように、対象経路と障害時の用途を押さえる。

設問2(3)(ポートの種類)

本文では、ファブリックポートはRB間の接続用、エッジポートはデバイスとの接続用と定義されている。共通のMACアドレステーブルに必要なのは、デバイスがどのRBのどのポートに接続されているかという情報です。そのため、デバイスから入るフレームの送信元MACアドレスを学習する接続用ポートに着目する。公式解答例では「エッジポート」としている。

設問2(3)(ポート規格)

図3のMACアドレステーブルには、MACアドレスだけでなくVLAN IDも登録されている。また、図4の入力フレームには「外部のVLANタグ」がある。このタグに含まれるVLAN IDを識別する規格を答える。公式解答例では「IEEE 802.1Q」としており、答案では規格名を示します。

設問2(4)

図3で各デバイスに付されたVLAN ID、接続先RB、黒丸で示されたエッジポートの番号を対応させる。MA2はVLAN ID 20でRB2のポート3、MA3はVLAN ID 20でRB3のポート4、MA4はVLAN ID 10でRB4のポート3に接続されている。公式解答例の登録内容も「MA2:20、RB2、3」「MA3:20、RB3、4」「MA4:10、RB4、3」です。ここで登録するポート番号は、デバイスにつながるエッジポートの番号です。

設問2(5)

HCには、代替経路の転送を許すことと、ループしたフレームを有限回の転送で廃棄することの両方が求められる。最短経路のホップ数だけでは長い代替経路を利用できず、必要以上に大きな値ではループ時の転送が長く続く。公式解答例では「全ての経路の中での最大ホップ数とする。」としている。25字以内では、この設定基準をそのまま簡潔に示す。ここでいう経路は、代替経路を含む宛先までの経路として捉える。

設問2(6)

本文には、入力フレームの宛先デバイスのMACアドレスで共通のMACアドレステーブルを参照し、出口RBを決めると明記されている。図4のTRヘッダ内で、この結果を格納するフィールドが「ファブリックの出口RB名」であり、公式解答例もこの名称を示している。その出口RBまでの次の転送先は、別途、経路制御テーブルを参照して決定する。

設問3(1)

〔【3】の「ホストはFIPを用いてFCFにログインする」と「FCoEフレームはFCFを経由して転送される」を結び付ける。ストレージに向かうデータであっても、FCファブリックに入力されるFCoEフレームは、まずホストがログインしたFCFへ渡される。公式解答例では「ログインしたFCF」としている。最終的なストレージへの転送と、入力時のFCoEフレームの宛先を区別する。

設問3(2)(a)

図5のaは、FCoE-SWから次のFCoE-SWのFCoE制御部へ転送する区間です。本文では、拡張イーサネット上でFCフレームをカプセル化して転送するフレームをFCoEフレームと呼んでいる。この区間はFCoEによる転送を続けているため、公式解答例では「FCoEフレーム」としている。

設問3(2)(b)

図5のbは、FC接続機能付きFCoE-SWのFCoE制御部に入る区間です。接続先のストレージはFC対応だが、この区間ではまだFCoE制御部へ拡張イーサネットで転送している。公式解答例では「FCoEフレーム」としている。フレーム名は最終的な接続先だけで判断せず、図で示された区間の接続機能から判断する。

設問3(2)(c)

図5のcは、FC接続機能付きFCoE-SWのFC接続部からFC対応ストレージへ向かう区間です。この区間ではFC接続を使うため、FCoEのカプセル化が解除されたFCフレームを転送する。公式解答例では「FCフレーム」としている。bとcの違いは、同じスイッチの前後でも使用する接続機能が変わる点にある。

設問4(1)

図6の案1では、ホストとストレージ1の近くにFCFがなく、FCFは右側の1か所だけにある。本文の「FCoEフレームはFCFを経由して転送される」に従うと、ホストからストレージ1への通信も、右側のFCFまで進んでから戻る必要がある。この迂回でホップ数が増え、性能上の問題が生じる。公式解答例も、両者間のホップ数増大と性能の問題を挙げている。40字以内では「ホストとストレージ1間のホップ数が増大し、性能の問題が発生する。」と因果関係を示します。

設問4(2)(転送先RB名)

図7では、RB1上のFCF1からRB2上のFCF2へ向けたFCoEフレームを、RB1→RB3→RB2の経路で転送している。(E)はTRヘッダであり、その転送先RB名は、今回のカプセル化された転送の到達先を示します。公式解答例では「RB2」としている。途中のRB3は隣接転送先になり得るが、TRヘッダに記録する到達先はRB2です。

設問4(2)(転送元RB名)

図7で、FCF1の処理後にFCF2宛てのFCoEフレームを送り出すRBはRB1です。(E)の転送元RB名は、このカプセル化された転送の出発点を示します。公式解答例では「RB1」としている。途中でRB3を通過しても、転送元RB名はRB1のままであり、各リンクの送信元を示す外側のMACアドレスとは役割が異なる。

設問4(2)(カプセル化とカプセル化の解除)

図7では、FCF1からFCF2へ転送するFCoEフレームにTRヘッダを付け、FCF2のあるRB2に到達するとTRヘッダを外す。このように、TRヘッダはFCF間をRBファブリックで転送する区間ごとに付加・除去される。公式解答例では「FCF間を転送されるごとに行われる。」としており、25字以内でこの単位を示します。採点講評でも、FCF間をルーティングブリッジで接続する論理的な構成の理解が課題だったと指摘している。

設問4(3)

図7のDは「FCoEでカプセル化されたFCフレーム」を示します。FCFはFCSWに相当する機能を持ち、このFCフレームを対象に転送処理を行う。一方、C1~C3はFCoEのイーサネットヘッダ部分、EはRB間転送に使うTRヘッダです。公式解答例では「D」としている。FCFによるFCの転送処理と、RBによるTRヘッダを使った転送処理を分けて捉えることが要点となる。

設問5(1)

図8では、HBA1はFCSW1に、HBA2はFCSW2に接続され、各FCSWからSC1とSC2の両方へ接続できる。さらに両SCから同じLUへアクセスできるので、HBAの2通りとSCの2通りを組み合わせた4経路となる。公式解答例では「HBA1→SC1→LU、HBA1→SC2→LU、HBA2→SC1→LU、HBA2→SC2→LU」を挙げている。設問はHBA→SC→LUの形式を指定しているため、答案ではこの形式で全組合せを示します。

設問5(2)

下線④は、単一のリンクやスイッチだけでなく、一つのFCファブリック全体が機能しなくなる障害を想定している。図8では、HBA1とHBA2が互いに独立したFCファブリックを経由し、それぞれからストレージに接続できる。これにより、一方のファブリックが使えなくなっても、他方の経路を利用できる。公式解答例では、各HBAから独立したFCファブリック経由でストレージへの経路を確保するとしている。45字以内では「各HBAから独立したFCファブリック経由でストレージへの経路を確保する。」と示す。採点講評でも、この設問の正答率が低く、SANに求められる信頼性の理解を重視している。

学習のポイント

図から経路とホップ数を数える力、MACアドレスとTRヘッダの役割の区別、FCF間の論理的な接続、単一障害点を避けるSAN構成を重点的に学ぶ。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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