NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
平成24年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
前提条件と判断対象の対応を確かめる
モバイル端末を利用するシステムを検討するときは、判断の根拠となる前提条件に着目しましょう。扱う内容をすぐに結論へ結び付けず、その前提がどの範囲の判断を支えているかを確認することが出発点です。
この問題で問われていること
注目するのは、ある判断が成立する前提と、その判断を適用する範囲との対応です。与えられた情報を根拠に、明示された条件と自分が補った想定を区別し、想定を加えずにどこまで考えられるかを整理しましょう。
視点
前提条件は判断を支える土台です。ある条件の下で考えたことを別の範囲へ広げる際には、同じ前提が成り立つかを確かめる必要があります。まずは、根拠となる条件と考えている範囲の対応を整理しましょう。
確認ポイント
- 判断の根拠となる前提条件を把握したか
- 明示された条件と自分の想定を区別したか
- 判断を適用する範囲が前提条件に合っているか
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解説
IEEE 802.11nの高速化と共存の仕組みを理解し、カタログ配信の経路に沿って有線LANの改善箇所を判断する問題です。Web側では端末別の表示対応、RPサーバへのSSL処理の移行、非SSLで露出するSIDの見直しを、本文と図から導きます。
問題の全体像
F社は、社内PCで利用していた受発注システムを、ノートPCやモバイル端末で利用できるように変更します。社内ではIEEE 802.11nの無線LANを導入し、社外からはRPサーバを経由してWebサーバへアクセスします。出題趣旨では、IEEE 802.11nを使った無線LANとWebのセキュリティ技術について、基本的な知識と理解力を問うとされています。技術用語を答えるだけでなく、カタログデータの転送経路やSSL・非SSL間のSIDの扱いを図から読み取ることが重要です。採点講評でも、本文の条件を踏まえることと、図中の機器名を正確に記述することが求められています。
設問1(ア)
着目するのは「隣り合う帯域幅20MHzのチャネルを二つ束ねる」という説明です。複数のチャネルを束ねて利用帯域幅を広げる技術を指しており、公式解答例では「チャネルボンディング」です。複数のアンテナを使う技術とは区別し、ここでは20MHzから40MHzへ帯域幅を広げる仕組みに対応させます。
設問1(イ)
本文は、20MHzで理論値144Mビット/秒となる場合について、40MHzに広げたときの最大伝送速度を尋ねています。公式解答例では「300」です。空欄の後にMビット/秒があるため、答案には数値を記入します。「送信データ量を2倍以上に増やす」という説明なので、144を単純に2倍して288とするのではなく、この条件での理論上の最大値を押さえます。IEEE 802.11n全体の最大速度を尋ねているわけではありません。
設問1(ウ)
「送信側と受信側の双方で複数のアンテナを使い」「同時に異なるデータを送信」という記述に着目します。複数のアンテナを利用して並列にデータを伝送する技術に対応し、公式解答例では「MIMO」です。チャネルボンディングが帯域幅を広げる仕組みであるのに対し、この空欄は複数のアンテナを利用する仕組みを問うています。
設問1(エ)
空欄は、IEEE 802.11nのmixed modeで、フレームの先頭に付加して通信のタイミングをとるものです。公式解答例では「プリアンブル」です。本文ではIEEE 802.11gと同じものを付加することが、従来規格との同時利用につながると説明されています。先頭に置かれる同期用の情報という役割と、異なる規格の共存という目的を結び付けて理解します。
設問1(オ)
本文では、クッキーを受け入れないブラウザにも対応するため、ブラウザへ送るURLにSIDをパラメタとして埋め込んでいます。公式解答例では、この方法を「URLリライティング」としています。次の要求でURLに含まれるSIDをサーバへ返すことで、セッションを識別します。この問題では、SIDをURLへ埋め込むという具体的な説明に対応する用語を答えます。
設問2(1)
下線①は、送信待ち時間と確認応答の回数を減らす効果を示しています。その仕組みとして、公式解答例では「宛先が同じ複数のフレームを連結して送信する。」としています。フレームを個別に送る代わりにまとめて送ることで、各フレームに伴う送信待ちや確認応答の負担を減らせます。25字以内の答案では、「同じ宛先」「複数のフレーム」「連結して送信」の三つを押さえます。
設問2(2)
下線②は、フレームをまとめて送ることで生じる、他の通信への影響を問うています。公式解答例では、無線チャネルの占有時間が長くなり、その間は他の通信が待たされるとしています。まとめて送る側の効率が上がっても、同じチャネルを使う別の通信には待ち時間が生じます。40字以内では「無線チャネルの占有時間が長くなり、他の通信が待たされる。」と、原因と影響を対応させて記述できます。単に「通信が遅くなる」とするだけでは、影響の具体性が不足します。
設問2(3)
H氏の目的は、客先へ行く前に、ファイルサーバからモバイル端末へカタログデータをダウンロードすることです。図1でその経路を追うと、ファイルサーバから社内のSW、APを経由して端末へ届きます。公式解答例では、変更する有線区間は「ファイルサーバとSWとの間」と「SWとAPとの間」です。既存の有線LANは100 BASE-TXなので、無線側を高速化しても、この経路の有線区間が転送速度を制限する可能性があります。採点講評では図中の機器名の不正確な記述が指摘されており、「SW」「AP」などの表記を図に合わせます。
設問3(1)
下線③は、導入端末によって画面の大きさやブラウザの種類などが異なることを示しています。公式解答例では、モバイル端末の種類に対応した形式のページコンテンツを送るように改修し、参照するHTTPリクエストヘッダのフィールドを「User-Agent」としています。40字以内の改修内容は「端末の種類に応じた形式のページコンテンツを送信する。」とまとめられます。User-Agentによる端末やブラウザの識別と、それに応じたコンテンツの送信を結び付けます。クッキーを受け入れない問題への対処は別の記述であり、この設問では下線③の端末仕様の違いに対応します。
設問3(2)
本文には、社外のモバイル端末がRPサーバを経由してWebサーバへアクセスするとあります。H氏の指示は、Webサーバの負荷を軽減するため、SSL処理を別の機器へ移すことです。公式解答例では「RPサーバ」です。外部からのアクセスを受けてWebサーバへ中継するRPサーバにSSL処理を担当させれば、WebサーバのSSL処理負荷を軽減できます。図1の凡例ではRPはリバースプロキシであり、答案では図中の機器名をそのまま用います。
設問3(3)
図2では、ログイン完了後に割り当てられたSID=yyyが、非SSLのカタログページ要求・表示にも、SSLの注文処理にも使われています。さらにSIDはURLに埋め込まれるため、非SSLの通信では暗号化されずに送られます。公式解答例では「非SSLの通信時に、SIDが漏えいするおそれがある。」です。30字以内では、漏えいする対象をSID、漏えいが起こり得る条件を非SSL通信と明確に示します。ログインや発注時だけSSLを使っていても、図2では同じSIDが非SSL通信に現れる点が問題です。
設問3(4)
設問3(3)の問題を踏まえると、非SSL通信で使ったSIDを、そのままSSL通信へ引き継ぐ扱いを見直す必要があります。公式解答例では、非SSLの状態からSSLを利用する際にSIDを振り直すとしています。35字以内では「非SSLからSSLへの切替時にSIDを振り直す。」とまとめられます。図2ではログイン完了時にxxxからyyyへ変わっていますが、その後のカタログ閲覧でyyyが非SSL通信に現れ、次のSSL通信にも引き継がれます。したがって、ログイン時の変更だけに着目せず、非SSLからSSLへ切り替わる場面を追うことが重要です。
学習のポイント
高速化の利点と他の通信への影響を併せて理解し、構成図の経路とシーケンス図のSIDを正確に追う力を身に付けましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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