NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
平成24年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題








解き方のヒントを見る
設計を考える前提条件をそろえる
ネットワークの設計や障害への対応を考える際は、判断の前提となる条件に注目しましょう。同じ内容でも、想定する状況や対象の範囲が変われば、その意味を捉え直す必要があります。まずは条件をそろえて整理することが大切です。
この問題で問われていること
考える内容が、どの状況と対象範囲を前提にしているかを確認しましょう。明示された条件と、自分が補っている想定を区別し、途中で前提が変わっていないかを確かめると、判断の根拠を整理しやすくなります。
視点
前提条件とは、検討の土台となる状況や対象範囲のことです。普段の経験から自然に補った想定も、与えられた条件とは分けて扱いましょう。何を前提に考えているかを言葉にすると、検討の途中で条件がずれることに気づきやすくなります。
確認ポイント
- 判断の前提として明示されている条件を把握しているか
- 自分で補った想定を、明示された条件と区別しているか
- 検討の途中で、想定する状況や対象範囲が変わっていないか
正解と解説を見る
解説
本問は、単一構成による業務停止を契機に、IPv6トランスレータとアクセス経路の冗長化を導入する事例です。通信経路を図から読み取り、IPv6アドレスの生成、STPとMSTPの動作、方式設計と詳細設計の役割を具体的に説明することが要点となる。
問題の全体像
A社は、業務サーバへの接続障害で業務が約3時間停止したことを受け、サーバの二つのLANポートとスイッチを使ったアクセス経路の冗長化を計画している。同時に、既存のIPv4 WebサーバをIPv6端末から利用できるよう、トランスレータを導入する。出題趣旨では、STPとIPv6の活用例を通じて、記述内容を理解し、要件に合う解決策を導く能力を問うとしている。図の物理接続だけでなく、VLAN、ポート状態、サーバのアクティブ側を重ねて通信経路を判断することが重要です。
設問1(ア)
本社PCのデフォルトゲートウェイはFWだが、営業所への適切な転送先はルータ1です。このように、ゲートウェイが端末に適切な転送先を通知するリダイレクトはICMPの機能なので、公式解答例では「ICMP」となる。採点講評でも、アは基本的なプロトコルの働きを問う問題とされている。
設問1(イ)
「NATは何を変換するか」と、IPv4・IPv6間でIPヘッダを変換するトランスレータとの違いに着目する。公式解答例では「IPアドレス」です。アドレスを変換するNATに対し、本問のトランスレータは異なるIPバージョン間のヘッダ形式の違いも処理する。
設問1(ウ)
本文に挙げられたフラグメントヘッダとルーティングヘッダは、IPv6の標準ヘッダに追加して必要な機能を担う拡張ヘッダです。したがって、公式解答例では「拡張」となる。標準ヘッダと、必要に応じて付加するヘッダを区別して押さえる。
設問1(エ)
図4では、SW5に管理PCが接続され、SW5からSW1・SW4への経路はVLAN20です。表3の項番3はSW1とSW5の接続を切断するテストなので、影響を受けるのは管理PCであり、公式解答例では「管理」となる。切断後もSW4のP2がブロックされるため、管理用VLANの通信がサーバのアクティブ側に届かない。
設問2(1)
図1で、全社員による業務システム利用に共通して必要な機器を探す。各業務サーバはSW1に接続されており、本文では各業務サーバへのアクセスに社内用DNSサーバを利用すると明記されている。公式解答例では「SW1、社内用DNSサーバ」です。SW2・SW3の故障は接続されたPCに影響するが全社員には及ばず、FWは社内の業務サーバへの通信で必ず通過する機器ではありません。
設問2(2)
本文の「パケットは、一旦、FWに送信されてしまう」という記述から、営業所宛ての通信だけを最初から適切なゲートウェイへ送る経路情報が必要だと分かる。公式解答例では、PCのルーティングテーブルに営業所LANへの経路情報が登録されているとしている。40字以内なら「ルーティングテーブルに営業所LANへの経路情報。」とまとめられる。この経路情報によってルータ1へ直接送信できる。
設問2(3)①
業務サーバ1のLANポートのリンクランプが消灯しているため、まずサーバとスイッチの間の接続を構成する箇所を切り分ける。公式解答例の一つ目は「業務サーバ1を接続するSW1のポート」です。スイッチ全体と漠然と書かず、当該サーバを接続しているポートまで特定する。
設問2(3)②
リンクランプの消灯は、サーバとSW1を結ぶケーブルの障害でも発生し得る。公式解答例の二つ目は「業務サーバ1を接続するケーブル」です。本文の「接続を順に変更した」という対処は、ケーブルを交換するなどして接続部分を切り分ける考え方に対応する。
設問2(3)③
スイッチ側のポートとケーブルに加え、サーバ側も障害候補となる。公式解答例の三つ目は「業務サーバ1」、又は「業務サーバ1のLANポート」です。リンク状態を確認しているので、サーバ側のLANポートを具体的に挙げると、切り分け対象が明確になる。
設問3(1)(a)
IPv6の標準ヘッダは固定長の40バイトであり、公式解答例では「40」となる。本文で別に述べられている拡張ヘッダの長さは含めない。IPv4の20バイトという記述と対比して、基本となるヘッダの長さを答える。
設問3(1)(b)
IPv6アドレスの長さは128ビットなので、公式解答例では「128」となる。IPv6アドレスは16ビットの区切りを八つ並べて表現でき、16×8=128ビットと確認できる。
設問3(1)(c)
IPv4のアドレス長は32ビット、IPv6は128ビットです。表現できるアドレス数の比は2の128乗÷2の32乗=2の96乗となるので、公式解答例では「96」です。ビット長そのものの比ではなく、アドレス数の比を求める点に注意する。
設問3(2)接続先
図2で、SWaはFWの外側、SWbはWebサーバと同じDMZ側にある。変換後のIPv4通信にも既存のFWを通過させる構成を選ぶので、公式解答例では接続先は「SWa」となる。SWaからWebサーバへの経路はFWを経由する。
設問3(2)理由
着目点は、トランスレータでIPv4に変換された通信にもFWによる制御を適用できることです。公式解答例では、Webサーバへの通信がFW経由となり、セキュリティを維持できるとしている。40字以内の答案例は「Webサーバへの通信がFW経由となり、セキュリティを維持できる。」です。接続先だけでなく、その選択が既存の防御にどう結び付くかを書く。
設問3(3)
図3の変換用プレフィックスは2001:db8:1:2:0:ffff::/96であり、残る下位32ビットにWebサーバのIPv4アドレス203.0.113.1を埋め込む。各オクテットを16進数にすると203=cb、0=00、113=71、1=01なので、下位32ビットはcb00:7101となる。公式解答例では「2001:db8:1:2:0:ffff:cb00:7101」、又はIPv4部分を併記した「2001:db8:1:2:0:ffff:203.0.113.1」です。採点講評でも、IPv4アドレスを埋め込む際の16進数変換の理解が求められている。
設問3(4)
図2では、要求元の端末はIPv6で接続する一方、A社の既存DNSサーバはIPv4側にある。キャッシュDNSサーバはIPv6端末から要求を受けるだけでなく、IPv4でA社のDNSサーバへ問い合わせられる必要がある。公式解答例では、IPv6とIPv4の両方に接続できる環境とされている。30字以内なら「IPv6とIPv4の両方に接続できる環境。」と書ける。AAAAレコードを扱うことと、問い合わせに使うIPバージョンを区別する。
設問4(1)
設問はPCのARPテーブルではなく、SW2が保持する情報に着目するよう求めている。公式解答例では「MACアドレステーブルがクリアされたから」です。ツリー再構成後、SW2はサーバのMACアドレスに対応する転送先を保持していないため、最初のフレームを未知ユニキャストとして転送する。SW1への接続は切断されているので、残るスイッチ間経路のP2から転送される。答案例は25字以内であり、採点講評でも未知ユニキャストの転送動作の理解が求められている。
設問4(2)
表3の項番3ではSW1とSW5を切断しても、SW4のP2がブロックされたままです。通常のSTPはVLANごとにツリーを構成しないため、SW4とSW1の間で転送可能な物理経路が残っていても、管理用VLAN20の経路は通らない。管理PCのパケットはSW4側のスタンバイLANポートには届くが、SW1側のアクティブLANポートには届かない。公式解答例に沿った50字以内の答案例は「パケットがSW4からSW1に転送されず、サーバのアクティブLANポートに到達しないから。」です。
設問4(3)①
VLAN10とVLAN20を別インスタンスにすると、各VLANの接続関係に応じてツリーを計算できる。VLAN10では、SW2はSW1に直接接続され、SW3はSW4経由でSW1へ接続される。SW2の方がルートへのパスコストが小さいため、SW2とSW3を結ぶリンクではSW3側がブロックされる。公式解答例の一つ目は「SW3のP2」です。
設問4(3)②
VLAN20ではSW4とSW5がそれぞれSW1に直接接続され、ルートへのパスコストは等しい。表2のブリッジIDはSW4<SW5なので、両者間のリンクではSW4側が指定ポートとなり、SW5側がブロックされる。公式解答例の二つ目は「SW5のP2」です。VLAN20ではSW4とSW1の接続を利用できるため、通常のSTPで生じた管理用経路の問題を解消できる。
設問4(4)
利用者PCのVLAN10と管理PCのVLAN20の両方から、同じ業務サーバへアクセスする必要がある。したがって、サーバのLANポートと接続先スイッチのポートは、一本の接続で複数VLANのフレームを識別して扱える必要がある。公式解答例では「IEEE 802.1Q」、又は「タグVLAN」「トランクポート」です。LANポートのアクティブスタンバイ構成に加え、VLANを識別する機能が必要になる。
設問5(1)
図3では、ISPから取得したIPv6プレフィックスの中から変換用プレフィックスを決めている。詳細設計を担当するB社は、IPv4側の情報だけではIPv6側の設定を決定できない。公式解答例では「ISPから取得したIPv6プレフィックスの情報」、又は「トランスレータに割り当てるIPv6プレフィックス」が挙げられている。30字以内の答案例は「ISPから取得したIPv6プレフィックスの情報。」です。
設問5(2)①
表1の詳細設計の記述項目にある「設置」と、本文の「SW4とSW5をラックの所定の場所に設置した」を対応させる。作業手順書には、設置先を具体的に確認できる情報が必要です。公式解答例にある内容から、一つ目として15字以内の「機器のラックへの設置構成」を挙げられる。
設問5(2)②
表1の「配線」と、本文のケーブル取り外し、スイッチ間の結線、PCの接続に着目する。どの機器のどの接続を変更するかを作業手順書で確認するため、配線の詳細が必要です。公式解答例にある内容から、二つ目として15字以内の「ラック収容機器の配線」を挙げられる。公式解答例では「フロア設置機器間の配線」も示されている。
設問5(2)③
表1の「設定情報」と、本文の各スイッチ、FW、ルータ1への設定作業を対応させる。作業手順書では、実際に入力する設定内容を参照する必要がある。公式解答例にある内容から、三つ目として15字以内の「機器への詳細な設定情報」を挙げられる。公式解答例には「動作確認テストの方法」もあり、作業後の確認に対応する。三つの回答では、同じ内容を重複させずに選ぶ。
設問5(3)①
表1の方式設計では、制御方式やバックアップ方法を明確にする。サーバがバックアップ経路へ切り替えるためには、まず現在の経路に障害があることを検出する方法を決める必要がある。公式解答例の一つ目は、アクティブLANポートで経路障害を検出する方法です。35字以内の答案例は「アクティブLANポートで経路障害を検出する方法。」となる。採点講評では、この設問で求められる内容を理解できていない解答が散見されたとしており、切替処理の設計内容に絞って書くことが重要です。
設問5(3)②
障害検出に続いて、アクティブ側が切り替わる際に必要な情報をどう引き継ぐかを方式として決める。図4の注記1には、切替時にスタンバイ側へMACアドレスを引き継ぐと示されている。公式解答例の二つ目は、アクティブLANポートが切り替わるときの情報の引継方法です。35字以内の答案例は「アクティブLANポート切替時の情報の引継方法。」となる。方式設計書には、切替後も通信を継続するための処理方法を記述する。
学習のポイント
IPv6アドレスの埋込み表記、未知ユニキャストの転送、VLANごとのツリー構成、障害検出と切替時の情報引継ぎを重点的に学習する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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