NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
平成23年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
検討の前提条件をそろえる
構成や方式を検討するときは、判断の前提となる条件に注目しましょう。与えられた条件と、自分で補った想定を分けて整理し、検討の途中で前提が変わっていないかを確かめることが大切です。
この問題で問われていること
検討する内容が変わっても、同じ条件を前提として考えているかに着目してください。明示された情報と、経験や印象で付け加えた想定を区別し、判断の根拠がどこにあるかを整理しましょう。
視点
前提条件とは、検討の出発点として扱う情報です。明示された条件と自分の想定を区別しておくと、途中で別の条件を持ち込んでいないかを振り返れます。
確認ポイント
- 前提にした条件の根拠を確認したか
- 明示された条件と自分の想定を分けたか
- 検討の途中で前提条件を変えていないか
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解説
既存の電力線・同軸ケーブル・電話配線を使う製品を、通信品質と配線工事の制約から比較する問題です。電話配線を用いる製品Vの仕様を読み取り、VODの優先通信、VLANごとの接続、子機間の通信遮断、フロー単位の帯域配分を設計に反映することが要点です。
問題の全体像
Xホテルは、客室にVODとインターネットアクセスを提供したい一方、新たな配線や客室・設備室以外での配線工事を極力避ける必要があります。また、VODには十分な帯域と通信遅延のゆらぎの抑制が求められます。そこで、既存の電力線、テレビアンテナ用同軸ケーブル、電話配線を使う製品を比較し、設備室内の配線で導入できる製品Vを選定します。公式の出題趣旨では、特殊な環境向けの機器仕様を理解し、適用性の比較、機器構成、通信制御を検討する力が問われています。採点講評では、特にVOD配信サーバの二つのポートを含む接続の完成と、フロー数からPC当たりの帯域を考える点が指摘されています。
設問1(ア)
「搬送波の変調及び復調によってデータ伝送を行う」という説明に着目します。搬送波を用いる方式はブロードバンド伝送方式なので、公式解答例では「ブロード」です。空欄の直後に「バンド」があるため、答案には「ブロード」だけを記入します。採点講評では、この空欄の正答率が低かったとして、通信概論の理解を求めています。
設問1(イ)
本文の「波長850nm」と「マルチモード光ファイバ」が規格を特定する手掛かりです。この条件に対応するのは1000BASE-SXなので、公式解答例では「SX」です。親機のLANポート自体は1000BASE-Tですが、電磁環境を考慮する区間を光ファイバで中継するため、メディアコンバータが必要になるという構成も合わせて理解します。
設問1(ウ)
ルータは、TCP又はUDPの種別、送信元・宛先のIPアドレスと番号を組み合わせてフローを識別します。TCPやUDPで通信の端点を区別する番号はポート番号なので、公式解答例では「ポート」です。機器の物理的なLANポートと、TCP・UDPヘッダのポート番号を区別して読むことが大切です。
設問1(エ)
「リンク状態の変化に伴ってV子機から送信される」という記述に着目します。監視端末がMIBを取得する処理とは別に、機器側から状態変化を通知するSNMPの仕組みが必要です。公式解答例では「Trap」です。MIBの取得による状態・通信量の確認と、Trapによる変化の通知を組み合わせて監視します。
設問1(オ)
本文では、ディジタルデータの著作権を保護し、利用や複製を制御・制限する技術と説明されています。公式解答例では「ディジタル著作権管理」「DRM」「Digital Rights Management」が示されています。通信フレームを取得できても、保護されたコンテンツをそのまま再生することは極めて困難という説明につながります。ただし、本文はキャプチャリング自体を防止できるとは述べていません。
設問2(1)
求められているのは、1000BASE-T規格の最大セグメント長です。公式解答例では「100」であり、本文の単位と合わせて100mとなります。距離が規格の範囲内でも、本文では配線経路の電磁環境を理由に光ファイバによる中継を望ましいとしています。距離の条件と電磁環境の条件を分けて判断します。
設問2(2)
共通仕様の「親機は伝送路の集線箇所に接続する」を図1に当てはめます。電力線を使う製品Pは、各階の分電盤につながる配線の集線箇所である「主分電盤」に接続します。同軸ケーブルを使う製品Cは、各客室へ分かれる箇所である「分配器」に接続します。公式解答例では、製品Pは「主分電盤」、製品Cは「分配器」又は「増幅器と分配器の間」です。製品名だけから推測せず、図の配線の分岐関係と集線箇所を対応させます。
設問2(3)
本文は、製品Pと製品Cが同じ通信技術を使うとした上で、通信媒体の優位性を比較しています。したがって、変調方式や機器性能の違いではなく、製品Cの伝送路が同軸ケーブルであることを説明します。公式解答例は「伝送路が通信特性に優れている同軸ケーブルであること」です。30字以内の答案では、媒体が同軸ケーブルであることと、その通信特性が優れていることを押さえます。
設問2(4)
V親機は、電話交換機と主配線盤の間の電話配線を中継する形で接続されます。そのため、親機の故障によって電話信号まで途切れることを避ける必要があります。公式解答例は「製品Vの故障時に電話信号を素通しする機能」です。25字以内では、故障時にも電話信号を素通しして通話を維持する点を示します。故障を検知するだけでは、設問が求める通話への影響の回避を説明できません。
設問3(1)
V親機1台に収容できるV子機は25台で、必要なV子機は81台です。3台では25×3=75台までしか収容できないため、81÷25=3.24を切り上げて4台必要になります。公式解答例では「4」です。収容台数を満たす最少台数なので、割り算の結果を四捨五入せずに切り上げます。
設問3(2)
ポートBの通信が優先され、ポートAとポートBには別々のVLANが割り当てられている点を、VODとインターネットの用途に対応させます。公式解答例の図では、客室201のSTBをV子機のポートBに、PCをポートAに接続しています。設備室では、図示された各V親機のポートBをL2SWの左側のVLANに、ポートAを右側のVLANに接続します。VOD配信サーバの二つのポートは、一方を左側のVLANに、他方を右側のVLANに接続します。ルータは図に示されているとおり右側のVLANに接続されます。これにより、VOD配信サーバからSTBへの配信は優先されるB側を通り、PCのインターネット通信とサーバへのコンテンツ蓄積はルータにつながるA側を通ります。また、異なる親機に収容された子機同士がL2SW経由で通信できる問題は、本文の指示どおりL2SWの機能で遮断する必要があります。採点講評では、サーバに二つのポートが必要な理由を見抜けていない答案や、未接続のポートを残した答案が指摘されています。
設問3(3)
ルータが均等に配分する単位はPCではなくフローです。混雑時のPC1台当たりの帯域は、おおむね「1フロー当たりの帯域×そのPCの同時フロー数」で考えられます。そのため、ブラウザが使う同時フロー数に差があると、フロー単位の帯域が同じでもPC単位の帯域に差が生じます。公式解答例は「最大同時フロー数が同じであること」です。25字以内の答案では、各PCのブラウザの最大同時フロー数が同じという条件を押さえます。採点講評では、フロー数を1にする答案が見られたものの、ブラウザの実装として一般的ではないと指摘されています。
設問4(機器配置)
提案された無線LAN構成は、各階の廊下にアクセスポイントを配置するものです。アクセスポイントをネットワークへ接続するための配線工事が発生し、客室内及び設備室内以外の配線工事を極力避けるという要件に合いません。公式解答例は「無線アクセスポイントの設置に配線工事が発生する。」です。30字以内では、アクセスポイントの設置に配線工事が必要になる点を具体的に示します。
設問4(通信特性)
VOD配信サーバとSTBの間では、十分な通信帯域と通信遅延のゆらぎの抑制が求められます。無線LANでは、通信帯域や遅延が利用状況や電波状態の影響を受けるため、この条件を満たせないことがあります。公式解答例は「通信帯域又は通信遅延の条件を満足できないことがある。」です。30字以内では、帯域又は遅延の要件を満たせない可能性を示します。無線LANでは常にVODを提供できないと断定せず、この事例の要求条件との適合性を説明します。
学習のポイント
機器仕様を具体的な接続構成に落とし込む力と、媒体の特性、故障時の通話維持、VLAN、SNMP、フロー数と通信帯域の関係を重点的に学習します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成23年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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