NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
平成22年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
判断に用いる前提の範囲を確認する
ネットワークの安全性や運用について考える際は、判断に用いる前提の範囲を意識しましょう。記載された条件と、自分が経験や知識から補った条件を区別しておくと、条件の取り違えを防ぎながら検討を進められます。
この問題で問われていること
判断の根拠として使おうとしている条件が、今回扱う範囲に含まれているかに注目してください。普段は当然だと思っている前提もいったん分けて捉え、その条件をここで用いてよい理由があるかを確認しましょう。
視点
知っている一般論を当てはめる前に、その一般論が想定する条件を今回の検討にも置けるかを確かめます。検討の範囲に含まれる条件と、自分で追加した仮定を混同しないことが、この視点の中心です。
確認ポイント
- 判断に使う前提の範囲を意識できているか
- 与えられた条件と自分の仮定を区別しているか
- 追加した仮定を使う根拠を確認しているか
正解と解説を見る
解説
本問は、許可ポートへのDoS攻撃やWebへの攻撃を検知する仕組みと、FWの冗長化を扱います。ログの数値から攻撃を具体化し、通信継続に必要なアドレス・セッション情報と、切り戻し時の利用制限を整理することが要点です。
問題の全体像
F社では、社外から営業支援システムへアクセスした際の応答が悪化しています。調査により、不正と思われる大量アクセスでRPサーバの負荷が増大していることと、FWが単一構成であることが分かりました。そこで、IDS機能を備えたFWを2台導入し、検知能力と可用性を高めます。公式の出題趣旨では、防御と冗長化の実現方法の特徴・利点・構築上の留意事項を問うとしています。各設問では、攻撃の見分け方、検知対象、通信を継続するための情報、切り戻し時の運用を結び付けて考えます。
設問1(ア)
「監視対象のWebサーバなどにインストールする」という設置場所に着目します。ネットワークに設置するネットワーク型に対し、監視対象の機器に導入するものがホスト型IDSです。公式解答例では「ホスト」としています。空欄の直後に「型IDS」があるので、答案には「ホスト」と記します。
設問1(イ)
「不正なパケットに関する一定のルールやパターンを使う」という検知方法が手掛かりです。攻撃の特徴を表すパターンと照合する方式はシグネチャ型であり、平常時のしきい値を基準とするアノマリ型と区別します。公式解答例では「シグネチャ」としています。採点講評では、この空欄の正答率が低かったとされ、基本用語の習得が求められています。
設問1(ウ)
「Webサーバへのアクセスを通じて不正なSQLが実行される」という記述に着目します。入力などを通じてSQLの処理に不正な命令を混入させる攻撃を指しており、公式解答例では「SQLインジェクション」としています。ポート番号や通信量だけでは、SQLの内容が不正かどうかを識別できないという後続の説明にもつながります。
設問1(エ)
「Webフォームに不正なスクリプトを埋め込んで送る」という攻撃内容が手掛かりです。公式解答例では「クロスサイトスクリプティング」としています。不正なSQLを扱う直前の空欄と区別し、こちらはスクリプトの混入に着目します。この攻撃への対応でも、TCPヘッダやアクセス数だけでなく、送信されたデータの内容を調べる必要があります。
設問1(オ)
「TCPヘッダ」と「パケットの到着順序に矛盾がないか確認する」という二つの記述に着目します。TCPでデータの順序を表す情報はシーケンス番号です。公式解答例では「シーケンス番号」としています。本文では、この情報をセッションログとして保持し、過去の通信状態との整合性を確認するステートフルパケットインスペクションを説明しています。
設問2(1)
表では、TCPの80番ポートへの受信件数が30分間で8、976、340件と突出し、通過も許可されています。本文には、特定のグローバルIPアドレスから大量アクセスがあり、RPサーバの負荷が増大したとあります。これらを結び付け、公式解答例では「80番ポートに対するDoS攻撃」としています。20字以内の答案では、対象ポートと攻撃名を押さえます。採点講評でも、本文の抜き出しにとどまらず、表から攻撃のパターンを読み取ることが求められています。
設問2(2)
対象となる攻撃は、不正なSQLやスクリプトを含むWebへのアクセスです。TCPヘッダの情報や通信量を調べるだけでは、送られた内容の不正を識別できません。そのため、パケットが運ぶデータの内容に着目します。公式解答例では「データ部分の内容」としています。15字以内では、この表現で検査すべき部分と内容の両方を示せます。
設問2(3)
アノマリ型では、アクセスが設定したしきい値を超えると不正と見なします。しきい値を低くしすぎると、正常なアクセスでも基準を超え、異常と判定される場合があります。公式解答例では、適正な通信まで異常として検知される弊害を挙げています。40字以内なら「不正な通信だけでなく適正な通信も異常として検知されてしまう。」とまとめられます。採点講評では、しきい値の高低とアクセス数の多少の混同が指摘されています。
設問3(1)
設問は、引き継ぐ情報を「OSI基本参照モデルの第3層以下」に限定しています。公式解答例では、第3層の「仮想IPアドレス」と第2層の「仮想MACアドレス」を挙げています。切替え後も同じ接続先として通信を受けるため、これらの仮想アドレスを引き継ぎます。答案は各10字以内で、この二つを記します。TCPのシーケンス番号は第4層の情報なので、この設問の層の条件には合いません。
設問3(2)
下線②は、FWの切替えを意識せず、営業部員が利用を継続できるという効果です。社外のモバイル端末はFWを通ってRPサーバへ接続するため、FW2が処理を引き継ぐには、FW1が保持していた接続の状態も必要です。公式解答例では、モバイル端末との接続のセッションログ情報を挙げています。45字以内なら「切替え前のFW1が保持していたモバイル端末との接続のセッションログ情報」とまとめられます。アドレスの引継ぎに加え、通信途中の状態を保持する点が重要です。
設問3(3)
本文では、管理情報をFW1からFW2へ複製する一方、逆方向には自動複製せず、切り戻し時には利用を継続できないと明記しています。修理が完了しても、稼働中の通信状態をそのままFW1へ引き継げる条件ではありません。公式解答例では、営業支援システムの利用を一時制限して切り戻すとしています。40字以内なら「営業支援システムの利用を一時制限して、切り戻し作業を行う。」と記せます。採点講評でも、システム全体の運用まで含めて考えることの重要性が示されています。
学習のポイント
IDSの設置形態と検知方式、ヘッダ検査とデータ検査の違い、ステートフルフェールオーバの引継ぎ情報と運用条件を学習してください。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成22年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針