NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
平成22年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
比較に用いる条件をそろえる
通信や応答性能、構成の改善を考える際は、判断の前提となる条件がそろっているかに注目しましょう。条件の違いによる変化と、検討している対象の違いによる変化を混同しないように整理することが大切です。
この問題で問われていること
この問題に取り組むときは、判断に関係する前提条件が、検討の途中で変わっていないかを確認しましょう。示された情報を整理し、同じ条件として扱える範囲を意識することで、考え方のずれを防ぎやすくなります。
視点
明示されている条件と、自分で補っている想定を区別し、同じ前提の下で考えているかを確かめましょう。判断の根拠を整理するときも、その根拠がどの条件に基づくものかを意識してください。
確認ポイント
- 判断の前提となる条件を把握しているか
- 明示されていない条件を無意識に補っていないか
- 検討の途中で前提条件を変えていないか
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解説
TCPとHTTPの特性から応答時間を読み取り、先読みが引き起こすプロキシ2の過負荷を接続順序の変更で解消する問題です。機能上の役割を維持したまま設定を変更し、対策後の通信経路と新たなボトルネックを確認する。
問題の全体像
A社では、キャッシュとURLフィルタリングを行うプロキシ1、ウイルスチェックを行うプロキシ2の順にWebへアクセスしている。プロキシ1の先読みでプロキシ2への接続が大量に発生し、接続数の上限に達して応答が悪化した。先読みを維持しながらアクセス順序を変更するため、通信時間、設定変更、対策後の負荷を検討する。出題趣旨では、通信プロトコルの知識を生かし、利用者視点でサービスレベルを維持・向上する過程を問うとしている。
設問1(1)(ア)
本文の「比較的少量のデータを交互に転送する」という説明に着目する。相手の応答を受けて次の通信を行うため、パケットの往復時間が応答性能に影響する。公式解答例では「対話型データ転送」です。
設問1(1)(イ)
本文の「大量のデータを一方向に転送する」という説明に着目する。大量の転送では、往復時間に加えて経路の帯域幅や確認応答を待たずに送れるデータ量が転送速度を左右する。公式解答例では「バルクデータ転送」です。
設問1(1)(ウ)
空欄直前の「確認応答を待たずに送信できるデータ量」が用語の定義になっている。公式解答例では「ウィンドウサイズ(Window Size)」です。本文のモデルでは、ウィンドウサイズ分を送信して確認応答を待つため、実効転送速度はウィンドウサイズ÷ラウンドトリップ時間に抑えられる。
設問1(2)
図3で、①はSYN、サーバからのSYN・ACKを受けた直後の②は接続確立のためのACKです。その次に送信する③がWebページを要求するGETリクエストに当たる。公式解答例では「③」です。TCPの接続確立と、その後のHTTPの要求を区別して読む。
設問1(3)(エ)
HTTPクライアントの処理に着目するという条件から、URL入力完了後のt1に加え、SYNを送ってSYN・ACKを受け、②のACKを送るまでのt2を接続確立の区間とする。本文は「t1+[エ]」なので、公式解答例ではエは「t2」です。
設問1(3)(オ)
図3では、②のACK送信後に③のGETリクエストを送り、サーバからのデータ受信と確認応答を経て⑤の位置でダウンロードが完了する。この区間に含まれるのはt3、t4、t5です。公式解答例では「t3+t4+t5」です。採点講評では、オ~キの正答率が低かったとして、通信シーケンスを読み解く力を求めている。
設問1(3)(カ)
ダウンロード完了後は、サーバのFIN、それに対する⑥のACK、クライアントの⑦のFIN、サーバのACKという切断の流れを追う。この切断処理がt6、t7、t8に当たり、その後の表示完了までがt9です。本文は「[カ]+t9」なので、公式解答例ではカは「t6+t7+t8」です。
設問1(3)(キ)
本文では、キャッシュが最新ならサーバは「304 Not Modified」のレスポンスだけを返すとしている。更新の有無を問い合わせる通信は必要だが、Webページ本体の転送は不要になる。図3では、それによって省かれる区間がt4とt5であり、公式解答例では短縮時間は「t4+t5」です。接続確立や切断の時間まで省くとは考えない。
設問2(1)(①)
対策後はPC→プロキシ2→プロキシ1→Webサイトの順になる。プロキシ1はWebサイトへアクセスする側になるため、従来の接続先であるプロキシ2の定義を削除する。公式解答例では「プロキシ1上のプロキシサーバの定義を削除する」としている。30字以内の答案では「プロキシ1の接続先プロキシの定義を削除する」と、削除する設定を具体的に示す。
設問2(1)(②)
対策後、PCからの要求を受けたプロキシ2はプロキシ1へアクセスする。このため、公式解答例では「プロキシ2のプロキシサーバとしてプロキシ1を定義する」としている。変更するのはアクセス順序と接続先の設定であり、プロキシ1のキャッシュ・URLフィルタリングと、プロキシ2のウイルスチェックという機能上の役割は維持される。IPアドレスを入れ替えても装置名や機能が入れ替わるわけではありません。30字以内の答案では「プロキシ2の接続先にプロキシ1を定義する」と示す。
設問2(1)(③)
本文では、PCにproxy.pacのURLを登録し、そのファイルをプロキシ1に格納している。IPアドレスを交換してPC側の設定を維持すると、従来プロキシ1へ向いていたアクセス先はプロキシ2になるため、同じURLでファイルを取得できるよう格納先も移す必要がある。公式解答例では「proxy.pacをプロキシ1からプロキシ2に移す」であり、この答案は30字以内に収まる。ファイル内の従来のプロキシ1のIPアドレスも、交換後はプロキシ2を指します。採点講評では、変更不要なファイアウォール、DNS、PCに関する誤答が目立ったとしている。
設問2(2)
アクセス順序を変えると、プロキシ1の先読みで発生する多数のTCPコネクションはプロキシ2を経由せず、ファイアウォールを通ってWebサイトへ向かう。その結果、プロキシ2の過負荷を解消しても、ファイアウォールの処理が新たな制約になる可能性がある。公式解答例では「ファイアウォールの処理能力」であり、20字以内に収まる。採点講評では、環境変更によって通信特性がどう変わるかを理解する必要があるとしている。
設問3
図4の空欄の装置名は、PC側から「プロキシ2」「プロキシ1」とする。公式解答例では、CサイトへのアクセスによるTCPコネクションをPC↔プロキシ2、プロキシ2↔プロキシ1、プロキシ1↔ファイアウォールの各区間に描いている。先読みによる複数のTCPコネクションは、プロキシ1↔ファイアウォールに描く。ファイアウォールからCサイト及びほかのWebサイトへの接続は問題図に示されている。先読み機能を持つのは引き続きプロキシ1なので、先読みの接続はプロキシ2を通らず、その受付接続数の増加を抑えられる。採点講評では、本文の内容を正しく図示する必要があるとしている。
学習のポイント
TCPシーケンスの時間区分と、プロキシの機能・接続順序・IPアドレスを区別した設定変更を重点的に学ぶ。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成22年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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