NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ

平成21年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問2

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問2 サーバの移設に関する次の記述を読んで、設問1~5に答えよ。 D社は、東京に本社がある精密機械製造会社であり、全国10か所に支店と工場(以下、拠点という)がある。D社では、本社にあるサーバ室に設置されている約200台のサーバに、本社及び拠点のクライアントからTCP/IPで接続し、一部ではサーバ同士も接続する形態をとっている。サーバ室には、レイヤ3スイッチ(以下、L3SWという)と、サーバを接続するレイヤ2スイッチ(以下、L2SWという)が設置されている。D社ネットワークシステムの概要を図1に示す。 図1 D社ネットワークシステムの概要 このたびD社では、BCM(Business Continuity Management)の一環として、データセンタ事業者であるE社のデータセンタ(以下、DCという)に、サーバを移設することになった。予算の都合と早急な対策が必要であることから、情報システム部のF部長に対し、「年度内に移設作業を終了させるように」という指示があった。そこでF部長は、部内からメンバを集め、プロジェクトチームを発足させた。 〔システムの管理状況と移設方針〕 社内のシステムは、全体で50ほどあり、情報システム部以外の部署が管理するものが多く、構築したSI業者もまちまちだった。そこで、プロジェクトのメンバは、各システムの担当者(以下、S担という)から現状をヒアリングした。その結果、構成情報などの文書が導入時のままで、その後の変更が反映されていないことが分かった。現状を把握するのに時間がかかったが、概要がほぼ分かったところで、F部長は、1日ですべてのシステムを移設することは困難であると判断し、24ビットでマスクされたサブネットを基にグルーピングし、数回に分けて実施することにした。F部長は、次に示すネットワークの移行方針を立てた。 ・サーバのIPアドレスの変更は、原則として行わない。 ・DCにL3SWを2台導入し、冗長化構成とする。 ・第1回の移設作業日より前に、DCを広域イーサ網の1拠点として追加し、ネットワークの疎通確認とL3SWの動作確認を行う。 ・サーバを接続するL2SWは、原則として、使用中の機器を移設して使用する。 ・ネットワークの変更は、サーバを取り外した後、該当するサブネットを本社側L3SWから削除し、DC側L3SWに追加する手順とする。 〔システムの運用状況〕 サーバ室では、情報システム部に所属するオペレータ(以下、OPという)が、システム操作のほか、バックアップの取得や、監視サーバを用いた監視などの業務を行っている。監視サーバでは、サーバの稼働監視やジョブ監視などを行っており、障害を検知したときは、画面に障害状況を表示するとともに、該当するS担に電子メールを送信する。OPの勤務体制は、平日8時から22時までの2交代なので、勤務時間外となる深夜、早朝及び休日は無人運転となる。無人運転中でも、監視サーバが障害を検知したときはS担に電子メールが送信されるが、障害への対応は、OPやS担の出社後になってしまう。その影響で業務の開始が遅れてしまうことがあり、利用部門から運用体制の改善を求められている。 WANの障害検知については、通信事業者の監視サービスを利用している。通信事業者の監視センタからの連絡は、情報システム部のネットワーク担当者(以下、NW担という)が受けており、NW担とOP、S担との連携がうまくいかないこともあった。 OPが検知した障害は、OP自身がマニュアルに則して復旧作業を行っているが、マニュアルと実際の構成が異なっていることもあり、結果としてS担やNW担が対応することが多い。 なお、それぞれの担当者では解決できない場合は、ネットワーク部分についてはNW担が通信事業者又は保守業者に、それ以外はS担がSI業者に連絡して、対応してもらっている。 〔システムの運用委託方針〕 構成管理の不備と障害時の連携の不備については、D社内でも以前から問題とされていた。そこで、DCを利用する目的の一つには、単なるサーバ設置だけでなく、これらの問題を解決するための運用委託も見据えていた。しかし、期間が限られていたので、移設作業を優先し、当面は、サーバ設置に伴う最低限必要な運用だけをE社に委託することになった。その委託内容は次のとおりである。 ・バックアップの取得とバックアップ媒体の管理 ・サーバなどのLEDの目視確認 ・本社の監視サーバからの電子メール受信 ・異常状態を検知したときのS担への電話連絡 E社は、今後の運用範囲の拡大にも対応できるように、監視オペレータのほかにD社担当の運用SEを選任し、E社内部の情報を一元的にとりまとめる役割をもたせることにした。そして、移設作業完了後は、ITILをベースに開発された【ア】マネジメントシステムの国際規格であるISO/IEC 20000を適用して、課題を改善しながら、E社へ委託する運用範囲を順次拡大していくことも合意された。 また、S担が引き続き本社でサーバを操作できるように、リモートKVMスイッチを導入することも決定した。リモートKVMスイッチとは、IPネットワークなどを介して遠隔地にある複数台のサーバを、一組のキーボード、【イ】及びマウスで操作するものである。 D社が導入することにしたリモートKVMスイッチは、WebブラウザのURL入力域に、http://【a】/を指定してログインし、対象のサーバを画面上で選択し、操作するものである。 〔サーバの移設計画〕 ネットワークの移行方針とシステムの運用委託方針が決まったので、移設作業手順書の作成に取り掛かることになった。作成に当たっては、移設前と移設後の構成を把握することが重要である。移設後の構成については、現状の構成を整理しながら、物理的にどのように配置するかを決めていく。機器の配置が決まれば、ラックや電源、リモートKVMスイッチなどの数と構成、及び当日の作業手順も決定する。移設後の構成が出来上がった段階で、運用マニュアルにも反映させることにした。 機器の配置設計では、複数のラックに散らばっているサーバを、システム単位にまとめることを優先したが、必要となる電源容量も考慮しなければならない。ラックに供給される電源は、定められた範囲内で正しく利用しないと、電源容量の超過で【ウ】が落ちて、システムが停止してしまうことになる。 最初に、事前に導入するL3SWの配置を検討した。L3SWを2台導入して冗長化構成とし、さらにL3SWの電源ユニットも冗長化することにした。このL3SWの電源ユニットは、負荷分散が可能であり、保守性を高める【エ】対応のものを2台組み込むと、片方が故障した場合には、システムの電源を落とさずに交換することができる。表1にL3SWの電源仕様を示す。 表1 L3SWの電源仕様(抜粋) E社が提供するラックには、標準として、交流100Vで30Aの電源が用意されている。その電源には、20Aまで使用可能な電源タップが二つ接続される。したがって、L3SWの電源ユニットの冗長化を生かすには、電源ケーブルの接続の仕方を考慮しなければならないので、図2に示す接続構成をとることにした。このようにして、L3SWの配置設計を終えた後、そのほかのサーバやL2SWなどの配置設計を行った。 図2 冗長化構成時の電源ケーブル接続構成 第1回の移設作業では、8システムが対象となった。その中には、この移設プロジェクトの発足前に更改することが決定していたシステムがあったので、更改作業を移設作業と同時に行うことになった。そこで、新規サーバ(以下、サーバαという)を、移設日より前にDCに設置し、システムの構築を行うことにした。テスト実施時には、現行サーバとは別のIPアドレスを使用して、新規導入するL3SWに接続する。テスト終了後、ほかのシステムを移設する時点で、サーバαのIPアドレスを現行サーバのIPアドレスに変更するようにした。 以上を基に、F部長は、作業内容をまとめて、移設作業当日のタイムチャート(図3)と移設作業手順書を作成した。移設作業は、複数のシステムを並行して実施するので、タイムチャート上にチェックポイント(設問の関係上、省略している)を設定した。これは、主要関係者が集まり、そこまでの状況確認をした上で、次工程に進むか否かを判断するポイントである。 図3 移設作業当日のタイムチャート 移設作業手順書には、作業中に発生し得るリスクを想定し、その回避策や軽減策、リスクが顕在化した場合にとるべき行動をまとめた【オ】プランも含まれる。 移設作業手順書の完成後、机上で検証し、できる範囲内で【カ】を行った。その目的は、作業手順だけでなく、【キ】や移設体制の確認、発生したトラブルなどの回避策を整理することなどがある。この結果を受けて、手順書やタイムチャートの修正、移設体制の見直しなどを行い、移設作業開始の当日を迎えることになった。 〔障害事例1〕 第1回の移設作業は、図3中の項番⑩まで問題なく終了し、監視サーバがすべてのサーバを監視できることも確認した。しかし、日曜日に項番⑪を行ったところ、図4に示すサーバ接続構成において、特定のサーバからサーバαへの接続が失敗するという障害が発生した。この構成は、VRRPとSTPによる冗長化をとっており、図4中のLAN構成は、障害に関係する一つのVLANだけを図示している。 図4 サーバ接続構成(抜粋) F部長は、該当のS担と、当日の立会いを行っていた、サーバαのシステムを構築したSI業者を交えて、その障害状況を次のように整理した。 ・本社サーバ室にあるサーバからサーバαへのpingは、成功する。 ・DC内のサーバβからサーバαへのpingは、成功する。 ・DC内のサーバγからサーバαへのpingは、失敗する。 SI業者は、サーバαに原因があると推定し、更に情報を収集するためにトラフィックモニタを利用して調査しようと考えた。しかし、サーバαを接続するL2SW-2には、【ク】機能がなかったので、サーバのソフトを利用して調査した。サーバβ及びサーバγで、サーバαに対するpingコマンドを投入し、三つのサーバで情報を採取した。サーバβでコマンド投入したときの情報を基に作成したメッセージフローを、図5に示す。 なお、この図はL2SWが省略されており、サーバαにARPキャッシュが存在しない状態のものである。 図5 メッセージフロー 解析の結果、サーバαが保持する経路情報に誤りがあることが分かった。障害発生時の経路情報を、表2に示す。 表2 経路情報 原因を追究した結果、何らかの理由で現行サーバに追加されていた不要ファイルが、サーバαにコピーされていたことが判明した。システムを更改したことで、この不要ファイルが使用されてしまうという事象が発生してしまったらしい。更に詳しく調査してみると、変更作業中に、SI業者の担当者が新旧のサーバを比較したところ、このファイルがサーバαになかったので、独断でコピーしていたことが分かった。その後、SI業者が該当ファイルを削除し、サーバαを再起動して、問題がないことが確認できたので、移設作業は完了となった。F部長は、今回発生した障害の原因を分析し、その対策を次回以降の作業に反映させることにした。 〔障害事例2〕 E社による暫定運用が始まってからしばらくすると、本社及び拠点から、DCの一部のサーバに接続できなくなり、最終的にはすべてのサーバに接続できなくなるという障害が発生した。この障害対応では、検知から復旧までに時間がかかってしまった。その経緯を、表3に示す。 表3 障害対応の経緯 E社の監視オペレータは、用意された手順書どおりに対応しており、問題はなかった。しかし、サーバに問題がないと判断してからのD社の動きが従来と変わっていなかった。D社の社員が出社し、調査が始まったものの、関係者間での情報共有が遅れ、原因特定までに時間がかかってしまった。 最終的には、NW担からの連絡で、保守業者が調査した結果、図4のサーバ接続構成において、最初に接続できなくなったサーバが接続されているL2SW-1にポート障害が発生したことが原因であることが判明した。ポート障害によって、L2SW-1のCPU負荷が高くなり、BPDU(Bridge Protocol Data Unit)を処理できなくなったのである。L2SW-1に接続されているサーバの業務調整を行い、保守業者がL2SWを交換して、この障害は解決した。 〔連絡体制の整備〕 今回の障害対応によって、連絡体制の不備が明らかになった。そこで、E社は、関係する事業者を含めた連絡体制の整備を、F部長に提案した。E社が提案した障害時連絡体制を、図6に示す。ポイントは、それぞれの会社内での一元管理である。 図6 E社が提案した障害時連絡体制 F部長は、運用SEの役割に、E社設置機器の保守業者と通信事業者への対応も含めるよう要望した。その結果、F部長の要望を反映させた連絡体制が完成した。F部長は、今回新設される窓口担当者に、情報システム部のメンバを選任した。窓口担当者の役割は、D社内部の情報を一元管理することである。 D社側連絡体制の整備を待って、新体制での運用が始まった。その後、移設作業は大きな問題もなく完了し、両社は運用改善に向け、新たなプロジェクトチームを作り、検討を開始した。 設問1 本文中の【ア】~【ク】に入れる適切な字句を答えよ。 設問2 〔システムの運用委託方針〕及び〔サーバの移設計画〕について、(1)~(6)に答えよ。 設問3 〔障害事例1〕について、(1)~(3)に答えよ。 設問4 〔障害事例2〕について、(1)~(3)に答えよ。 設問5 〔連絡体制の整備〕について、(1)、(2)に答えよ。
図1 D社ネットワークシステムの概要。本社サーバ室のL3SW・L2SW・サーバと、広域イーサ網を介した拠点1~拠点10、PC群の接続概要。
図1 D社ネットワークシステムの概要。本社サーバ室のL3SW・L2SW・サーバと、広域イーサ網を介した拠点1~拠点10、PC群の接続概要。
表1 L3SWの電源仕様(抜粋)。L3SWの入力電圧、最大入力電流、最大消費電力を示す電源仕様表。
表1 L3SWの電源仕様(抜粋)。L3SWの入力電圧、最大入力電流、最大消費電力を示す電源仕様表。
図2 冗長化構成時の電源ケーブル接続構成。L3SW-1とL3SW-2の各電源ユニットを、電源タップと別系統の電源へ接続する構成図。
図2 冗長化構成時の電源ケーブル接続構成。L3SW-1とL3SW-2の各電源ユニットを、電源タップと別系統の電源へ接続する構成図。
図3 移設作業当日のタイムチャート。金曜日から日曜日にかけた移設作業項目、場所、担当、作業時間を示すタイムチャート。
図3 移設作業当日のタイムチャート。金曜日から日曜日にかけた移設作業項目、場所、担当、作業時間を示すタイムチャート。
図4 サーバ接続構成(抜粋)。広域イーサ網、2台のL3SW、2台のL2SW、サーバα・β・γによる冗長化接続構成。
図4 サーバ接続構成(抜粋)。広域イーサ網、2台のL3SW、2台のL2SW、サーバα・β・γによる冗長化接続構成。
図5 メッセージフロー。サーバβからサーバαへpingを実行した際のARP要求・応答とICMP echoの流れ。
図5 メッセージフロー。サーバβからサーバαへpingを実行した際のARP要求・応答とICMP echoの流れ。
表2 経路情報。サーバαが保持する宛先ネットワーク、ネットマスク、ゲートウェイ、インタフェースの経路表。
表2 経路情報。サーバαが保持する宛先ネットワーク、ネットマスク、ゲートウェイ、インタフェースの経路表。
表3 障害対応の経緯。監視メール受信から原因特定、復旧確認までの時刻別対応を示す表。
表3 障害対応の経緯。監視メール受信から原因特定、復旧確認までの時刻別対応を示す表。
図6 E社が提案した障害時連絡体制。D社側のS担・F部長と窓口担当者、E社側の監視オペレータ・運用SEの連絡関係図。
図6 E社が提案した障害時連絡体制。D社側のS担・F部長と窓口担当者、E社側の監視オペレータ・運用SEの連絡関係図。
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検討の前提と適用範囲をそろえる

検討を始める前に、与えられた情報がどの範囲や状況を前提としているかを整理しましょう。同じ言葉でも前提が違えば判断の意味が変わるため、まずは考える範囲をそろえることに集中します。

この問題で問われていること

この分野では、情報の前提をそろえたうえで検討する姿勢が大切です。明示された条件と、自分で補っている仮定を分け、判断しようとしている内容が同じ範囲や状況に当てはまるかを確かめましょう。

視点

前提とは、検討の出発点となる条件です。情報を整理するときは、示された条件と自分の推測を区別し、どの範囲について考えているのかを意識しましょう。

確認ポイント

  • 検討の前提となる条件を確認したか
  • 明示された条件と自分の仮定を分けたか
  • 判断の対象を同じ範囲にそろえたか
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解説

本問は、本社からデータセンタへのサーバ移設を題材に、電源の冗長化、移設工程の管理、ARPと経路選択、STP障害の波及、連絡体制と構成管理の改善を問います。本文の条件と図表を結び付け、技術面と運用面の両方から理由を説明することが要点です。

問題の全体像

D社はBCMの一環として、約200台のサーバを本社からE社のデータセンタへ段階的に移設します。IPアドレスを原則維持しながら、ネットワークと電源を冗長化し、最低限の運用をE社に委託する計画です。一方、構成文書の更新不足や障害時の連携不足があり、移設中には誤った経路設定、移設後にはSTPに関係する障害が発生します。添付JSONに示された出題趣旨では、既存環境の調査から設計、移行、運用、改善まで、ライフサイクル全体に通じる幅広いスキルを問うとされています。個々の技術知識を、作業手順や担当者の役割と結び付けて読むことが重要です。

設問1(ア)

「ITILをベースに開発された」「ISO/IEC 20000」「マネジメントシステムの国際規格」という記述に着目します。対象はITサービスの管理であり、公式解答例では「ITサービス」です。空欄の後ろに続く語と合わせて「ITサービスマネジメントシステム」となります。

設問1(イ)

リモートKVMスイッチの説明にある「一組のキーボード、【イ】及びマウス」に着目します。KVMはKeyboard、Video、Mouseに対応し、Videoはサーバの画面を表示する装置を指します。公式解答例では「ディスプレイ」です。

設問1(ウ)

「電源容量の超過で【ウ】が落ちて、システムが停止する」という因果関係を読み取ります。過大な電流が流れたときに回路を遮断する装置が該当し、公式解答例では「ブレーカ」です。ラックの配置設計では、機器を収容できるかだけでなく、供給電源の容量内に収まるかも確認します。

設問1(エ)

「片方が故障した場合」「システムの電源を落とさずに交換する」という説明が直接の手掛かりです。稼働を継続したまま部品を交換できる仕組みを指し、公式解答例では「ホットスワップ」です。電源ユニットの冗長化が稼働継続を支え、ホットスワップが停止を伴わない交換を可能にします。

設問1(オ)

移設作業手順書に、想定リスクの回避策・軽減策と、リスクが顕在化した場合の行動を含めるという記述に着目します。予定どおり進まない事態に備えた計画であり、公式解答例では「コンティンジェンシ」です。空欄の後ろの「プラン」と合わせて用います。

設問1(カ)

手順書を机上で検証した後、実施結果を使って手順書やタイムチャート、移設体制を修正しています。本番前に作業を試し、計画の実行可能性を確認する活動であり、公式解答例では「リハーサル」です。実施中に見つかった問題を本番の計画に反映する点まで捉えます。

設問1(キ)

リハーサルの目的として、作業手順と移設体制に加えて確認すべき事項を考えます。図3では各作業の実施順序と時間を計画しているため、実際に所要時間を確かめる必要があります。公式解答例では「作業時間」です。この確認結果がタイムチャートの修正につながります。

設問1(ク)

トラフィックモニタでサーバαの通信を調査しようとしたものの、L2SW-2に必要な機能がなかったという場面に着目します。調査対象ポートのフレームを監視用ポートへ複製する機能が該当し、公式解答例では「ミラーリング」です。その機能が利用できないため、本文ではサーバ上のソフトを使って情報を採取しています。

設問2(1)

本文では、Webブラウザでログインした後に、操作対象のサーバを画面上で選択すると説明されています。したがって、URLで接続する相手はリモートKVMスイッチです。公式解答例では「リモートKVMスイッチのIPアドレス」で、25字以内に収まります。図4のサーバβのIPアドレスをそのまま指定しない点がポイントです。

設問2(2)

表1の100V時の最大入力電流12Aと、100V・200Vで電源効率が同じという条件を使います。同じ消費電力を供給するための入力電力が等しいので、100×12=200×bとなり、b=6です。公式解答例も「6」です。最大消費電力1、080Wを200Vで直接割るのではなく、与えられた入力電流と電源効率の条件を使います。

設問2(3)

図2の既存電源は100V・30Aで、二つの電源タップはそれぞれ20Aまで使用できます。公式解答例では、別系統の100V・30A電源と二つの100V・20A電源タップを追加しています。既存系統の一方のタップをL3SW-1の電源ユニット#1に、もう一方をL3SW-2の#1に接続し、追加系統の二つのタップをそれぞれL3SW-1の#2、L3SW-2の#2に接続します。これにより、各L3SWの二つの電源ユニットが別系統から給電されます。一系統が停止しても、残る系統で各L3SWの最大入力電流12Aずつ、合計24Aを供給でき、電源の30Aと各タップの20Aの範囲内に収まります。

設問2(4)

cは「業務停止」の後、「電源オフ、取外し」の前に行う作業です。移設前の状態を保存する必要があり、公式解答例では「バックアップの取得」です。dはDCでSI業者が実施し、サーバ動作確認までに完了させる作業です。本文に、テスト用のIPアドレスを現行サーバのIPアドレスへ変更するとあるため、公式解答例では「サーバαのIPアドレス変更」です。いずれも15字以内に収まる作業項目です。

設問2(5)

〔システムの管理状況と移設方針〕の最後の箇条書きが直接の根拠です。サーバのIPアドレスを原則変更しないため、移設対象のサブネットを扱う場所を本社側からDC側へ移します。公式解答例では、本社側L3SWからサブネットを削除し、DC側L3SWに追加する作業とされています。40字以内の答案では「本社側L3SWからサブネットを削除し、DC側L3SWに追加する。」と、削除元・追加先・対象を押さえます。

設問2(6)

チェックポイントは、主要関係者が状況を確認し、次工程に進めるか判断する場です。項番⑧のネットワーク移行が未完了なら、後続の確認に必要なサーバ間接続が正しく行えません。公式解答例の要点を40字以内で示すと「ネットワーク移行が完了しないと、複数のサーバ間接続が正しく行えないから。」です。項番⑩は翌日の業務確認に進むための前提となります。こちらは「サーバ動作確認が完了しないと、翌日の利用者を含めた業務確認が行えないから。」と整理できます。工程名だけでなく、未完了時に後続工程へ及ぶ影響を書くことが重要です。

設問3(1)

図5の矢印と、既に示された①~③、⑤、⑩をつなげて考えます。公式解答例では、④は「ARP応答/あて先:サーバβ/送信元:サーバα」、⑥は「ICMP echo要求/あて先:サーバα/送信元:サーバβ」、⑦は「ARP要求/あて先:ブロードキャスト/送信元:サーバα」、⑧は「ARP応答/あて先:サーバα/送信元:L3SW」、⑨は「ICMP echo応答/あて先:L3SW/送信元:サーバα」です。④と⑥ではL3SWが同一VLANのフレームを中継するのでMACアドレスは変わりません。一方、サーバαからβへの返送では、表2の172.28.42.128/25の経路が使われ、ゲートウェイ172.28.42.254のMACアドレスをARPで取得してからL3SWへ送ります。IPパケットの相手と、フレームのあて先MACアドレスを区別することが要点です。

設問3(2)

図4ではサーバγは172.28.42.100、サーバαは172.28.42.201です。表2には同一サブネットを示す172.28.42.0/24に加え、172.28.42.0/25をゲートウェイ172.28.42.126へ送る経路があります。γへの応答では、最長一致によって/24より/25が優先され、誤ったゲートウェイへ送ろうとします。公式解答例では、サーバγに対するゲートウェイとして172.28.42.126が誤設定されていたことを原因としています。50字以内では「サーバαで、γへのゲートウェイに172.28.42.126が誤設定されていたから。」と、設定を持つ機器と具体的なIPアドレスを示します。

設問3(3)

原因の説明にある、SI業者の担当者が不足しているファイルを「独断でコピー」した点に着目します。誤った経路情報の除去は今回の復旧処置ですが、次回以降の改善では、予定外の変更を担当者の判断だけで行うことを防ぐ必要があります。公式解答例では「手順にないことを担当者だけの判断で実施しないことを徹底する。」です。35字以内で、手順外の作業と独断実施の禁止を押さえます。

設問4(1)

図4のブリッジプライオリティではL3SW-1の4096が最小なので、L3SW-1がルートブリッジです。そのポート①、②は代表ポートとなり、L3SW-2のポート③はルートポートです。公式解答例では、①ア、②ア、③エ、④ア、⑤エ、⑥ウです。したがって、L3SW-2の④は代表ポート、L2SW-1の⑤はルートポート、⑥はブロッキングポートとなります。通常時は⑥でフレームの転送を止めることで、冗長な接続がループになることを防いでいます。

設問4(2)

本文では、L2SW-1のポート障害によってCPU負荷が高まり、BPDUを処理できなくなったと説明されています。正常時にブロッキング状態だったポート⑥がフォワード状態になると、L2SW-1、L3SW-1、L3SW-2を通るループが成立します。公式解答例では、このフレームのループがL3SW-1の処理に影響したため、ほかのL2SW配下にも障害が波及したとされています。60字以内では「L2SW-1のポート⑥がフォワード状態になり、フレームのループでL3SW-1の処理に影響したから。」と、ポートの変化、ループ、影響先をつなげます。

設問4(3)

11:45の指示は、事象を特定した後、監視オペレータが実施する復旧処置です。ループを切るには、正常時にブロッキング状態だったL2SW-1のポート⑥につながる経路を物理的に切り離します。公式解答例では「L2SW-1のポート⑥のケーブルを抜く。」です。30字以内で機器名、ポート番号、具体的な操作を示します。後に行われたL2SWの交換とは、処置の段階を区別して読み取ります。

設問5(1)

図6の「それぞれの会社内での一元管理」と、F部長が運用SEにE社設置機器の保守業者・通信事業者への対応も求めた点を組み合わせます。公式解答例では、D社側の窓口担当者にF部長、S担、NW担、OPを接続し、S担にはSI業者、NW担には保守業者を接続します。窓口担当者とE社の運用SEを接続し、運用SEには監視オペレータ、通信事業者、保守業者を接続します。D社内の情報は窓口担当者、E社側の情報と関係事業者への対応は運用SEに集約する構成です。図を完成させる際は、保守業者がD社側とE社側のそれぞれに置かれる点も確認します。

設問5(2)

本文には、構成情報などの文書が導入時のままで変更が反映されていないことと、運用マニュアルが実際の構成と異なることが示されています。問題点は構成情報が最新になっていないことであり、継続して最新の状態を維持する仕組みが必要です。公式解答例では、構成情報の更新手順を明確にするとされています。50字以内では「構成情報が最新になっていないため、構成情報の更新手順を明確にする。」と、問題点と対応を対にして書きます。

学習のポイント

電源系統の分離、最長一致による経路選択、STPのループ防止、変更手順の遵守と構成情報の更新管理を重点的に学習しましょう。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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