NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
平成21年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題









解き方のヒントを見る
検討の前提と適用範囲をそろえる
検討を始める前に、与えられた情報がどの範囲や状況を前提としているかを整理しましょう。同じ言葉でも前提が違えば判断の意味が変わるため、まずは考える範囲をそろえることに集中します。
この問題で問われていること
この分野では、情報の前提をそろえたうえで検討する姿勢が大切です。明示された条件と、自分で補っている仮定を分け、判断しようとしている内容が同じ範囲や状況に当てはまるかを確かめましょう。
視点
前提とは、検討の出発点となる条件です。情報を整理するときは、示された条件と自分の推測を区別し、どの範囲について考えているのかを意識しましょう。
確認ポイント
- 検討の前提となる条件を確認したか
- 明示された条件と自分の仮定を分けたか
- 判断の対象を同じ範囲にそろえたか
正解と解説を見る
解説
本問は、本社からデータセンタへのサーバ移設を題材に、電源の冗長化、移設工程の管理、ARPと経路選択、STP障害の波及、連絡体制と構成管理の改善を問います。本文の条件と図表を結び付け、技術面と運用面の両方から理由を説明することが要点です。
問題の全体像
D社はBCMの一環として、約200台のサーバを本社からE社のデータセンタへ段階的に移設します。IPアドレスを原則維持しながら、ネットワークと電源を冗長化し、最低限の運用をE社に委託する計画です。一方、構成文書の更新不足や障害時の連携不足があり、移設中には誤った経路設定、移設後にはSTPに関係する障害が発生します。添付JSONに示された出題趣旨では、既存環境の調査から設計、移行、運用、改善まで、ライフサイクル全体に通じる幅広いスキルを問うとされています。個々の技術知識を、作業手順や担当者の役割と結び付けて読むことが重要です。
設問1(ア)
「ITILをベースに開発された」「ISO/IEC 20000」「マネジメントシステムの国際規格」という記述に着目します。対象はITサービスの管理であり、公式解答例では「ITサービス」です。空欄の後ろに続く語と合わせて「ITサービスマネジメントシステム」となります。
設問1(イ)
リモートKVMスイッチの説明にある「一組のキーボード、【イ】及びマウス」に着目します。KVMはKeyboard、Video、Mouseに対応し、Videoはサーバの画面を表示する装置を指します。公式解答例では「ディスプレイ」です。
設問1(ウ)
「電源容量の超過で【ウ】が落ちて、システムが停止する」という因果関係を読み取ります。過大な電流が流れたときに回路を遮断する装置が該当し、公式解答例では「ブレーカ」です。ラックの配置設計では、機器を収容できるかだけでなく、供給電源の容量内に収まるかも確認します。
設問1(エ)
「片方が故障した場合」「システムの電源を落とさずに交換する」という説明が直接の手掛かりです。稼働を継続したまま部品を交換できる仕組みを指し、公式解答例では「ホットスワップ」です。電源ユニットの冗長化が稼働継続を支え、ホットスワップが停止を伴わない交換を可能にします。
設問1(オ)
移設作業手順書に、想定リスクの回避策・軽減策と、リスクが顕在化した場合の行動を含めるという記述に着目します。予定どおり進まない事態に備えた計画であり、公式解答例では「コンティンジェンシ」です。空欄の後ろの「プラン」と合わせて用います。
設問1(カ)
手順書を机上で検証した後、実施結果を使って手順書やタイムチャート、移設体制を修正しています。本番前に作業を試し、計画の実行可能性を確認する活動であり、公式解答例では「リハーサル」です。実施中に見つかった問題を本番の計画に反映する点まで捉えます。
設問1(キ)
リハーサルの目的として、作業手順と移設体制に加えて確認すべき事項を考えます。図3では各作業の実施順序と時間を計画しているため、実際に所要時間を確かめる必要があります。公式解答例では「作業時間」です。この確認結果がタイムチャートの修正につながります。
設問1(ク)
トラフィックモニタでサーバαの通信を調査しようとしたものの、L2SW-2に必要な機能がなかったという場面に着目します。調査対象ポートのフレームを監視用ポートへ複製する機能が該当し、公式解答例では「ミラーリング」です。その機能が利用できないため、本文ではサーバ上のソフトを使って情報を採取しています。
設問2(1)
本文では、Webブラウザでログインした後に、操作対象のサーバを画面上で選択すると説明されています。したがって、URLで接続する相手はリモートKVMスイッチです。公式解答例では「リモートKVMスイッチのIPアドレス」で、25字以内に収まります。図4のサーバβのIPアドレスをそのまま指定しない点がポイントです。
設問2(2)
表1の100V時の最大入力電流12Aと、100V・200Vで電源効率が同じという条件を使います。同じ消費電力を供給するための入力電力が等しいので、100×12=200×bとなり、b=6です。公式解答例も「6」です。最大消費電力1、080Wを200Vで直接割るのではなく、与えられた入力電流と電源効率の条件を使います。
設問2(3)
図2の既存電源は100V・30Aで、二つの電源タップはそれぞれ20Aまで使用できます。公式解答例では、別系統の100V・30A電源と二つの100V・20A電源タップを追加しています。既存系統の一方のタップをL3SW-1の電源ユニット#1に、もう一方をL3SW-2の#1に接続し、追加系統の二つのタップをそれぞれL3SW-1の#2、L3SW-2の#2に接続します。これにより、各L3SWの二つの電源ユニットが別系統から給電されます。一系統が停止しても、残る系統で各L3SWの最大入力電流12Aずつ、合計24Aを供給でき、電源の30Aと各タップの20Aの範囲内に収まります。
設問2(4)
cは「業務停止」の後、「電源オフ、取外し」の前に行う作業です。移設前の状態を保存する必要があり、公式解答例では「バックアップの取得」です。dはDCでSI業者が実施し、サーバ動作確認までに完了させる作業です。本文に、テスト用のIPアドレスを現行サーバのIPアドレスへ変更するとあるため、公式解答例では「サーバαのIPアドレス変更」です。いずれも15字以内に収まる作業項目です。
設問2(5)
〔システムの管理状況と移設方針〕の最後の箇条書きが直接の根拠です。サーバのIPアドレスを原則変更しないため、移設対象のサブネットを扱う場所を本社側からDC側へ移します。公式解答例では、本社側L3SWからサブネットを削除し、DC側L3SWに追加する作業とされています。40字以内の答案では「本社側L3SWからサブネットを削除し、DC側L3SWに追加する。」と、削除元・追加先・対象を押さえます。
設問2(6)
チェックポイントは、主要関係者が状況を確認し、次工程に進めるか判断する場です。項番⑧のネットワーク移行が未完了なら、後続の確認に必要なサーバ間接続が正しく行えません。公式解答例の要点を40字以内で示すと「ネットワーク移行が完了しないと、複数のサーバ間接続が正しく行えないから。」です。項番⑩は翌日の業務確認に進むための前提となります。こちらは「サーバ動作確認が完了しないと、翌日の利用者を含めた業務確認が行えないから。」と整理できます。工程名だけでなく、未完了時に後続工程へ及ぶ影響を書くことが重要です。
設問3(1)
図5の矢印と、既に示された①~③、⑤、⑩をつなげて考えます。公式解答例では、④は「ARP応答/あて先:サーバβ/送信元:サーバα」、⑥は「ICMP echo要求/あて先:サーバα/送信元:サーバβ」、⑦は「ARP要求/あて先:ブロードキャスト/送信元:サーバα」、⑧は「ARP応答/あて先:サーバα/送信元:L3SW」、⑨は「ICMP echo応答/あて先:L3SW/送信元:サーバα」です。④と⑥ではL3SWが同一VLANのフレームを中継するのでMACアドレスは変わりません。一方、サーバαからβへの返送では、表2の172.28.42.128/25の経路が使われ、ゲートウェイ172.28.42.254のMACアドレスをARPで取得してからL3SWへ送ります。IPパケットの相手と、フレームのあて先MACアドレスを区別することが要点です。
設問3(2)
図4ではサーバγは172.28.42.100、サーバαは172.28.42.201です。表2には同一サブネットを示す172.28.42.0/24に加え、172.28.42.0/25をゲートウェイ172.28.42.126へ送る経路があります。γへの応答では、最長一致によって/24より/25が優先され、誤ったゲートウェイへ送ろうとします。公式解答例では、サーバγに対するゲートウェイとして172.28.42.126が誤設定されていたことを原因としています。50字以内では「サーバαで、γへのゲートウェイに172.28.42.126が誤設定されていたから。」と、設定を持つ機器と具体的なIPアドレスを示します。
設問3(3)
原因の説明にある、SI業者の担当者が不足しているファイルを「独断でコピー」した点に着目します。誤った経路情報の除去は今回の復旧処置ですが、次回以降の改善では、予定外の変更を担当者の判断だけで行うことを防ぐ必要があります。公式解答例では「手順にないことを担当者だけの判断で実施しないことを徹底する。」です。35字以内で、手順外の作業と独断実施の禁止を押さえます。
設問4(1)
図4のブリッジプライオリティではL3SW-1の4096が最小なので、L3SW-1がルートブリッジです。そのポート①、②は代表ポートとなり、L3SW-2のポート③はルートポートです。公式解答例では、①ア、②ア、③エ、④ア、⑤エ、⑥ウです。したがって、L3SW-2の④は代表ポート、L2SW-1の⑤はルートポート、⑥はブロッキングポートとなります。通常時は⑥でフレームの転送を止めることで、冗長な接続がループになることを防いでいます。
設問4(2)
本文では、L2SW-1のポート障害によってCPU負荷が高まり、BPDUを処理できなくなったと説明されています。正常時にブロッキング状態だったポート⑥がフォワード状態になると、L2SW-1、L3SW-1、L3SW-2を通るループが成立します。公式解答例では、このフレームのループがL3SW-1の処理に影響したため、ほかのL2SW配下にも障害が波及したとされています。60字以内では「L2SW-1のポート⑥がフォワード状態になり、フレームのループでL3SW-1の処理に影響したから。」と、ポートの変化、ループ、影響先をつなげます。
設問4(3)
11:45の指示は、事象を特定した後、監視オペレータが実施する復旧処置です。ループを切るには、正常時にブロッキング状態だったL2SW-1のポート⑥につながる経路を物理的に切り離します。公式解答例では「L2SW-1のポート⑥のケーブルを抜く。」です。30字以内で機器名、ポート番号、具体的な操作を示します。後に行われたL2SWの交換とは、処置の段階を区別して読み取ります。
設問5(1)
図6の「それぞれの会社内での一元管理」と、F部長が運用SEにE社設置機器の保守業者・通信事業者への対応も求めた点を組み合わせます。公式解答例では、D社側の窓口担当者にF部長、S担、NW担、OPを接続し、S担にはSI業者、NW担には保守業者を接続します。窓口担当者とE社の運用SEを接続し、運用SEには監視オペレータ、通信事業者、保守業者を接続します。D社内の情報は窓口担当者、E社側の情報と関係事業者への対応は運用SEに集約する構成です。図を完成させる際は、保守業者がD社側とE社側のそれぞれに置かれる点も確認します。
設問5(2)
本文には、構成情報などの文書が導入時のままで変更が反映されていないことと、運用マニュアルが実際の構成と異なることが示されています。問題点は構成情報が最新になっていないことであり、継続して最新の状態を維持する仕組みが必要です。公式解答例では、構成情報の更新手順を明確にするとされています。50字以内では「構成情報が最新になっていないため、構成情報の更新手順を明確にする。」と、問題点と対応を対にして書きます。
学習のポイント
電源系統の分離、最長一致による経路選択、STPのループ防止、変更手順の遵守と構成情報の更新管理を重点的に学習しましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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