NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
平成21年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
企業内の接続条件を捉える視点
企業内の接続に関する事項を整理するときは、条件が適用される範囲に着目しましょう。個々の用語から結論を急がず、与えられた条件が誰や何について述べているのかを確かめ、検討の土台をそろえることが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、扱われている条件の適用範囲を意識して考えてみましょう。ある対象について示された条件を、別の対象にもそのまま当てはめていないかを点検すると、情報を整理する際の思い込みに気づきやすくなります。
視点
条件の内容と、その条件が及ぶ範囲は分けて捉えます。検討中に対象の範囲が変わっていないかを意識し、明示されていない広がりを自分で補わないようにしましょう。
確認ポイント
- 条件が対象とする範囲を確認したか
- 検討の途中で対象の範囲を広げていないか
- 明示されていない範囲を思い込みで補っていないか
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解説
オフィス集約に伴う無線LAN化を題材に、EAP-TLSによる認証と鍵生成、証明書の安全な運用、規格混在時の衝突回避と通信時間、認証結果を利用したVLAN割当てを検討する問題です。利用者の認証と端末の認証を区別し、安全性と利便性を両立させる設計が要点です。
問題の全体像
A社はオフィス集約に合わせて無線LANとフリーアドレスを導入し、社員がどこからでも所属部門のLANを利用できる環境を目指しています。同時に、来訪者にはインターネット接続だけを提供し、社内ネットワークへの不正接続を防ぐ必要があります。出題趣旨では、電波という伝送媒体の特性を踏まえた構成設計、セキュリティへの配慮、運用上の注意を問うとされています。認証方式だけでなく、証明書の配布・保護、規格混在による性能低下、認証結果に応じたVLAN割当てまでを一連の設計として捉えます。
設問1(1)(a)
公式解答例では「⑫」です。本文の「認証方式が決定すると、電子証明書が送受信される」という説明と、図2の「認証方式の決定」の位置に着目します。その後、無線APからPCへの⑪のEAP要求に対して、PCが⑫のEAP応答でクライアント証明書を送ります。⑬は無線APがその内容を認証サーバへ中継する段階なので、PC自身の送出を問う本設問では⑫を選びます。
設問1(1)(b)
公式解答例では「クライアント署名」です。着目するのは、本文の「電子証明書を相互に送受信しただけでは、相互認証はできない」という説明です。証明書を提示するだけでは、そのPCが対応する秘密鍵を持っていることを確認できません。クライアント署名を検証することで秘密鍵の保有を確認します。10字以内の答案では「クライアント署名」と端的に示します。
設問1(2)
公式解答例では、送り合った乱数を使ってミキシングし、ランダム性を実現する点を挙げています。本文の、TKが「4ウェイハンドシェイクで送受される情報とPMKを基に生成される」という記述に着目します。答案では暗号鍵の長さだけを説明せず、予測を困難にする生成方法を示します。40字以内なら「互いに送った乱数をミキシングし、鍵のランダム性を高める。」とまとめられます。
設問1(3)
公式解答例では「アソシエーション」です。空欄の直前にある「PCと無線APとの論理的接続」が用語の定義になっています。図2の①にも「アソシエーションの確立処理」とあり、本文と図が対応しています。IEEE 802.1Xでは、この端末ごとの論理的接続をポート接続として扱い、認証に応じた通信制御を行います。
設問1(4)
公式解答例では、認証が端末と無線APの1対1の関係で行われるからとしています。有線LANでは、スイッチの同じ物理ポートの配下にHUBを介して複数のPCを接続できるため、ポート単位の制御だけでは未認証PCの通信が問題になります。無線LANでは端末ごとのアソシエーションを制御できます。30字以内なら「端末と無線APの一対一の関係で認証するから。」とまとめます。
設問2(1)(a)
公式解答例では「PKI」又は「公開鍵基盤」です。空欄に続く、認証局の設置、電子証明書の発行・配布、有効期限や異動に伴うメンテナンスという説明に着目します。これらは公開鍵とその所有者の対応を証明し、証明書の信頼性を管理する基盤の機能です。認証局は基盤を構成する要素であり、空欄では基盤全体を表すPKIを答えます。
設問2(1)(b)
公式解答例では「秘密鍵」です。クライアント証明書と認証局証明書に加え、PCがクライアント署名を作成するために必要なものを考えます。証明書に含まれる公開鍵だけでは署名を作成できず、それと対になる秘密鍵が必要です。本問では認証サーバ側で用意した証明書類を配布する運用なので、ダウンロード対象にクライアントの秘密鍵が含まれます。
設問2(1)(c)
公式解答例では「失効リスト」又は「CRL」です。着目するのは、有効期限内の証明書でも、異動などにより接続を禁止する必要があるという条件です。期限切れを待つのではなく、失効した証明書の情報をリストとして管理し、認証時に確認することで利用を拒否します。有効期限の管理と、期限内の失効処理を区別することがポイントです。
設問2(2)
公式解答例では、許可されていない利用者でも当該PCを使えばネットワークに接続できる点を問題としています。証明書類をPCにセットするだけでは、そのPCを操作している人物が許可された利用者かを確認できません。端末に認証情報があることと、利用者本人の確認は別です。40字以内なら「許可されていない利用者も、そのPCで社内ネットワークに接続できる。」とまとめます。
設問2(3)
公式解答例では「PCへの利用者パスワードの設定を徹底する。」です。前問の問題は、証明書類が入ったPCを他人が使えてしまうことなので、PCを利用する段階で本人確認を行う運用に改善します。25字以内の答案では、利用者パスワードの設定を徹底することを示します。後段のトークン導入の説明と混同せず、ここではPCの運用方法への対策を答えます。
設問2(4)
公式解答例では、秘密鍵を読み出すことなく処理できるので秘匿性が増すとしています。本文では、トークンにパスワードによる保護と内部での暗号処理という二つの機能が示されています。本設問が問うのは後者の利点です。秘密鍵をPC側へ取り出さずに処理できる点を説明し、30字以内なら「秘密鍵をトークン外へ読み出さずに処理できる。」とまとめます。
設問3(1)(a)
公式解答例では「CSMA/CA」です。本文の「通信を開始する無線端末が、ほかの端末が電波を出していないかを事前に確認する」という説明に着目します。無線LANでは、媒体が使用中かを確認し、待機時間などによって衝突を回避します。衝突を検出する方式との違いは、後のACKが必要な理由にもつながります。
設問3(1)(b)
公式解答例では「802.11n」です。空欄の前後には、IEEE 802.11gより高速で、標準化が進められている新規格という条件があります。問題の時代設定に沿って、無線LAN高速化の規格を特定します。IEEE 802.11iは本文でセキュリティ強化の規格として登場しているため、高速化を問うこの空欄と区別します。
設問3(2)
公式解答例では、端末間で電波が直接届かない位置関係にある場合です。RTS/CTS方式では無線APがCTSを送るため、送信端末の電波が届かない端末にも送信抑止時間を知らせられます。自己CTS方式では送信端末自身がCTSを送るので、その電波が届かない端末には通知できません。25字以内なら「端末間で電波が直接届かない場合。」とまとめます。
設問3(3)
公式解答例では「CTS」です。図3で、無線APから送られ、ほかの無線端末へ送信抑止時間を通知するフレームに着目します。RTSは送信端末が送るため、端末間の位置関係によって受信できない端末があり得ます。無線APからのCTSを各端末が受信することで、データ転送中の送信を控え、衝突を回避します。
設問3(4)
公式解答例では、無線LANでは衝突の検出ができないので、確実に届いたことを通知する必要があるからとしています。単に「受信確認のため」とせず、送信側が衝突を検出できないという技術的特性を理由に含めます。図3のACKは、無線APがデータフレームを受信した後に送っています。50字以内なら「無線LANでは衝突を検出できず、データが確実に届いたことを通知する必要があるから。」とまとめます。
設問3(5)
公式解答例では「203」です。本文で指定された速度を部分ごとに使います。プリアンブルと物理ヘッダは合計144+48=192ビットなので、1Mビット/秒では192μ秒です。CTSのMACフレームは14×8=112ビットなので、11Mビット/秒では112÷11≒10.18μ秒です。合計は約202.18μ秒となり、小数点以下を切り上げて203μ秒です。フレーム間隔やバックオフ時間は、この送信時間の計算には加えません。
設問4(1)
公式解答例では「⑱」です。図2の⑱は、認証サーバから無線APへのRADIUS Acceptです。認証サーバが認証成功とともに所属部門に対応するVLAN IDを無線APへ通知するため、この応答がVLAN割当ての契機になります。⑲はPCへのEAP成功通知であり、本設問では無線APが認証結果を受け取る⑱を答えます。
設問4(2)
公式解答例では、ESS-IDに同一のIDを設定し、認証サーバから通知されたVLAN IDを無線APにセットする方式です。本文の「どの無線APでも所属部門のLANに接続」「PC側の操作を不要にしたい」という要件に対応します。接続先の識別情報を共通にし、認証した利用者に応じてVLANを割り当てます。55字以内なら「社員用ESS-IDを共通にし、認証サーバが通知する所属部門のVLAN IDを無線APに設定する。」とまとめます。
設問4(3)
公式解答例では、無線APが認証失敗時に割り当てるVLANに配布サーバを設置する方式です。初回は証明書類を持っていないため、EAP-TLS認証を成功させてから証明書を取得する手順では行き詰まります。そこで、認証に失敗した端末にも配布サーバへの経路を用意します。40字以内なら「認証失敗時に無線APが割り当てるVLANに配布サーバを設置する。」とまとめます。
設問4(4)
公式解答例では、ダウンロードされた証明書を削除し、それ以降ダウンロードできないようにする方法です。本文ではユーザIDとパスワードによる保護は既に採用しているため、それに加える管理方法を答えます。取得後も配布サーバに残しておくと再取得される余地があるので、配布済みのファイルを削除します。40字以内なら「ダウンロード済みの証明書類を削除し、再ダウンロードを防ぐ。」とまとめます。
設問4(5)
公式解答例では、認証サーバ内の該当社員に付与するVLAN IDの設定を変更するだけで済む点です。所属部門の情報を認証サーバで管理すれば、異動のたびに無線APごとの設定を変更する負担を抑えられます。答案では「管理が容易」と抽象的に書かず、変更対象を明示します。45字以内なら「認証サーバで該当社員に割り当てるVLAN IDを変更するだけで済む。」とまとめます。
学習のポイント
図の通信順序を本文と対応付け、秘密鍵の保護、隠れ端末への対処、動的VLANと証明書初期配布の関係を理解しましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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