NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
平成21年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
検討に使う前提条件をそろえる
検討を始める前に、与えられた条件がどの範囲に当てはまるかを整理しましょう。途中で条件の適用範囲を広げたり狭めたりしていないかを確かめ、同じ前提を保ちながら考えることが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、判断の根拠にする条件の適用範囲に注目してください。与えられた条件と自分で補った仮定を混同せず、考えを進める途中でも、最初に確認した範囲を保てているかを振り返りましょう。
視点
前提条件は、適用される範囲と合わせて捉えます。条件の意味を整理するときは、自分の推測によってその範囲を変えていないかに注意しましょう。
確認ポイント
- 条件が当てはまる範囲を確認したか
- 条件の範囲を推測で補っていないか
- 検討の途中で条件の範囲を変えていないか
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解説
本問は、負荷分散装置によるセッション維持と稼働監視、DNSによる障害時の切替え、アドレス変換と返送経路の関係を扱います。観測したLANのMACアドレスと通信相手のIPアドレスを区別し、障害原因とDSRによる改善を説明することが要点です。
問題の全体像
H社はeラーニングシステムを全社に展開するため、サーバを3台に増設し、LBで負荷を分散します。導入時には応答がLBを経由せずに返ることで接続障害が生じ、運用時にはLBでの転送遅延が問題になります。公式資料の出題趣旨では、TCP/IP通信の基本技術の理解と、障害原因を特定して解決策を考える能力を問うとされています。要求と応答の経路を追い、各地点のMACアドレスとIPアドレスを区別することが解答の軸です。
設問1(1)(ア)
リクエスト元のIPアドレスやセッションIDを基に、継続する通信を同じeSVRへ振り分ける機能に着目します。公式解答例では「セッション」です。一連の処理の途中で振分け先が変わることを防ぐ機能なので、本文の「セッション維持機能」につながります。
設問1(1)(イ)
「Webページにアクセスしたユーザに関する情報を保持する」と、そこに埋め込まれたセッションIDを利用するという説明に着目します。公式解答例では「Cookie」です。Cookieに含まれるセッションIDをLBが参照し、同じセッションの要求を同じeSVRへ振り分けます。
設問1(2)
本文は、サービスポートの稼働状況を監視するためにレイヤ4方式を利用するとしています。公式解答例では、監視対象のポートに対してコネクションの確立を試みます。30字以内では「監視対象ポートにTCPコネクションの確立を試みる。」と要点をまとめられます。採点講評では、pingはレイヤ3の監視であり、レイヤ4ではTCPの接続確立を確認するという区別が示されています。
設問1(3)
通常は三つのホスト名が同じVIPに対応し、PCはLBへ接続します。LB故障時には、各ホスト名が別々のeSVRを指すようにDNSを変更すれば、三つのPCブロックを各サーバへ振り分けられます。公式解答例では、三つのホスト名にそれぞれ3台のサーバのIPアドレスを設定します。35字以内では「三つのホスト名に各eSVRのIPアドレスを対応付ける。」とまとめられます。
設問1(4)
ソースNATは、要求パケットの送信元IPアドレスをPCのアドレスからLBの実アドレスへ変換します。eSVRのログにはLBのアドレスが記録され、元のPCのIPアドレスを取得できなくなります。公式解答例では「サーバに接続したPCのIPアドレス」です。20字以内の答案では、取得できない情報が接続元PCのIPアドレスであることを示します。
設問2(1)(a)
通信データを収集した場所が「本社のLAN」であることに着目します。PC-y1の要求は、営業所のルータ2からIP-VPNを通り、本社のルータ1に到達します。表1の項番1は、そのルータ1が本社LAN上のLBへ送ったフレームなので、公式解答例の送信元MACアドレスは「HRTMAC」です。ルータ2のERTMACやPC-y1のPCy1MACは、この本社LAN上のフレームの送信元にはなりません。
設問2(1)(b)
表1の項番1のあて先IPアドレス10.10.0.1は、図に示されたLBのVIPです。本社LAN上では、ルータ1がこのVIPをもつLBへフレームを送るため、あて先MACアドレスはLBのものになります。公式解答例では「LBMAC」です。VIPはIPアドレスであり、MACアドレス欄には図のLBMACを記入します。
設問2(1)(c)
項番2は、LBが要求をeSVR1へ転送したフレームです。あて先IPアドレス10.10.10.1がeSVR1の実アドレスなので、あて先MACアドレスもeSVR1のものになります。公式解答例では「SVR1MAC」です。LBがあて先IPアドレスを変換しても、実際に転送する相手がeSVR1であることを追います。
設問2(1)(d)
本文の「ソースNAT機能は利用しない」という条件に着目します。LBは要求のあて先IPアドレスをeSVR1の実アドレスへ変換しますが、送信元IPアドレスはPC-y1のものを保持します。公式解答例では「172.16.0.1」です。フレームの送信元MACアドレスがLBMACに変わることと、パケットの送信元IPアドレスが保持されることを区別します。
設問2(2)
PC-y1が接続した相手はVIPの10.10.0.1ですが、表1の項番3の応答はeSVR1の実アドレス10.10.10.1を送信元としています。応答がLBを経由せず、PCが通信相手としているIPアドレスと異なる送信元で届くため、処理が継続しません。公式解答例では「通信相手でないサーバからのパケットを受信したこと」です。これは30字以内で、受信パケットに着目した原因を示しています。
設問2(3)
表2では、eSVR1が応答をPC-x1のMACアドレスへ直接送っています。本社は10.0.0.0/8なので、eSVR1は10.128.1.1のPC-x1を同じネットワークと判断し、ゲートウェイを経由せずに返送します。営業所向けの返送経路だけを変更しても、この直接返送は防げません。公式解答例では「サブネットマスク」です。PC-x1を別ネットワークと判断してLBへ返送するようにするための変更であり、10字以内で情報名を答えます。
設問3(1)
eSVRの性能とLAN・WANの帯域には問題がなく、DSRで返送パケットがLBを通らなくなると改善する点に着目します。問題はLBでの返送パケットの転送遅延です。公式解答例では、LBでのPCあてパケットのロスと再送などによる遅延、又はLBの負荷による返送パケットの転送遅延が示されています。35字以内では「LBの負荷によるPCあての返送パケットの転送遅延」とまとめられます。
設問3(2)
DSRでは、要求パケットのあて先IPアドレスであるVIPを変更せずにeSVRへ転送します。eSVRはループバックインタフェースに設定したVIPを自身のアドレスとして扱い、応答の送信元に使います。公式解答例では、表2の送信元IPアドレスが仮想IPアドレスに変わります。30字以内では「送信元IPアドレスが仮想IPアドレスに変わる。」と答えられます。具体的には10.10.10.1から10.10.0.1へ変わり、表2のほかのアドレスはそのままです。
学習のポイント
ルータ通過時のMACアドレスの変化、LBのアドレス変換、サブネットマスクによる経路選択、DSRの仕組みを重点的に学習します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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