AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
令和7年度秋期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問3 IT投資計画の監査
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
評価軸をそろえて整理する
投資の良し悪しと監査で確かめる内容を混同せず、まず判断の目的、対象となる情報、確認の時点を分けて整理しましょう。個別の結論ではなく、比較可能な観点がそろっているかに注目します。
この問題で問われていること
一つの観点として、評価や監査で使う情報が、同じ前提・対象・時点にそろっているかを確認してください。数字や手続の名称を暗記するより、何を判断するための情報なのかを対応づけて考えることが重要です。
視点
判断の目的を先に定め、対象・前提・時点・根拠の対応関係を整理すると、異なる情報を同列に扱うことを避けられます。評価結果と確認手続は役割が異なるため、同じ問いへの答えかどうかを見比べましょう。
確認ポイント
- 判断の目的と対象が一致しているか
- 使う情報の前提と時点がそろっているか
- 結論を支える根拠と確認範囲が対応しているか
正解と解説を見る
解説
ECシステム導入計画を題材に、投資額の過小見積り、利益増加見込みの妥当性、委託先との責任範囲、稼働後評価を監査する問題です。
問題の全体像
R社は、販売チャネル拡大と新商品開発の迅速化を目的に、S社のECパッケージをIaaS上へ導入し、オンプレミスの基幹システムとデータ連携する計画です。監査部は、経営陣が適切な判断をできるだけの投資計画になっているかを確認します。したがって、表1の初期投資額や利益増加見込みだけでなく、パッケージ保守、基幹システム改修、情報セキュリティ対策、効果検証の継続性まで、計画に漏れや過小計上がないかを見ることが出題の中心です。
設問1
システム概要では、ECパッケージの定期的なバージョンアップが提供され、商品カテゴリ変更などのカスタマイズも予定されています。一方、保守契約の対象は問合せ対応と問題発生時の調査・対応だけとされています。そのため、保守契約費用に、ECパッケージのバージョンアップ費用とカスタマイズ部分の改修費用が含まれているかを確認します。45字以内なので、二つの費用項目を明確に押さえます。公式解答例もこの点を挙げています。
設問2
データ連携機能の開発は投資額に含まれますが、基幹システム側の改修は情報システム部が担当し、改修範囲は要件定義段階で特定する計画です。このため、開発導入投資額の見積り資料を査閲し、基幹システムの改修に係る投資額が考慮されているかを確かめます。公式解答例は、見積り資料の査閲と基幹システム改修費の確認を監査手続として示しています。
設問3
ECシステムはR社で初めてIaaS上に構築され、S社がパッケージ導入・カスタマイズやデータ連携機能の開発を担います。S社に任せる対策とR社が担う対策の境界が曖昧だと、R社側で必要なセキュリティ対策費が計画から漏れるおそれがあります。したがって、S社との関係では、R社の情報セキュリティ対策の責任範囲が明確になっていることに留意します。
設問4
利益増加見込みは、DX推進室が過去の販売実績やS社の他社事例を基に独自に試算しています。しかし、実際の販売を担う営業本部が、販路拡大による売上増大や新商品開発による利益率向上の実現可能性を確認した事実は本文上明確ではありません。本調査では営業本部にインタビューし、試算結果の妥当性を確認していることを確かめます。公式解答例もこの確認手続を示しています。
設問5
投資回収見込みは3年間で算定され、本番稼働1年後に一度だけ投資評価を行う予定です。1年後だけでは、2年目以降の売上増大、利益率向上、ランニングコストを十分に評価できません。そのため、本番稼働した2年後以降についても投資対効果の評価を行うことが必要です。公式解答例は、1年後だけで終わらせず、2年後以降も評価する点を挙げています。
学習のポイント
システム概要の事実からリスクを特定し、具体的な監査証拠と確認手続に落とし込む力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和7年度秋期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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