AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
令和3年度秋期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
企画段階の前提条件と検討根拠
再構築計画を読むときは、現行理解の不足、業務要求の表現、方式選択の根拠、経営目標や承認との関係を、後工程で問題になり得る前提として捉えます。個別の答えではなく、検討の抜けを探す視点に絞りましょう。
この問題で問われていること
この問題では、企画段階で置かれた前提や検討手続が、設計・テスト・稼働後の実現可能性に影響するかを一つの軸にして、計画書の記載と実際の確認方法の対応を見比べることに集中してください。
視点
企画段階の監査では、要求・現行資産・方式・基盤・意思決定の各情報が、誰によってどの根拠で確認されたかを整理します。記載の有無だけでなく、曖昧な表現や未確認の前提が後続工程へ持ち越される構造に注目します。
確認ポイント
- 計画書の各記述が、確認可能な根拠に結び付いているか
- 現行情報や要求の曖昧さが、後続工程の判断に影響しないか
- 方式・基盤・承認の検討が、目的と整合して説明できるか
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解説
老朽化した営業支援システムの再構築計画を対象に、意思決定体制、方式選定、要件定義、基盤依存の非機能要件を監査する問題です。
問題の全体像
B社では、老朽化とハードウェアのサポート切れを契機に営業支援システムを再構築しようとしている。過去に再構築の長期化や予算超過があったため、監査部は企画段階の計画の適切性を確認する。事例では、現行システムを全体的に理解する人材や文書が不足し、業務要求にも「現行どおり」という曖昧な記載がある。また、再構築方式の選定ではコストだけでなく、経営陣が示した戦略的なビジネス目標を考慮する必要がある。設問は、これらの事実を表2のリスクと結び付け、監査部が何を確認すべきかを問う。
設問1
〔本調査の計画〕(1)は、表2項番①の「IT投資の意思決定に必要な情報が、意思決定権限を持つ者に集約されない」リスクに対応する確認です。したがって、単に委員会の構成を確認するのではなく、システム投資規程で予算額に応じて定められたIT投資の責任者が、プロジェクト運営委員会のメンバとして参画しているかを確認する。公式解答例も、予算規模に応じたIT投資の責任者と委員会メンバとの対応を押さえている。
設問2
方式選定では、計画書がコスト中心であり、営業支援システムが今後の重要な戦略を担い、対面販売を代替するというビジネス目標が示されている点に着目する。監査部は、リホスト、リライト、リビルドを比較する際の評価項目に、コスト以外にビジネス目標の視点が含まれているかを確認する。公式解答例も、再構築方式の比較検討にビジネス目標の観点があることを要点としている。
設問3(i)
設計工程のリスクは、現行システムの全体を把握している担当者が利用部門にもシステム部にもおらず、保守用文書も不足しているという予備調査結果から導く。業務要求一覧の「現行どおり」という記載だけでは現行仕様を具体化できないため、現行システムの要件を熟知する者がいないことで、仕様を適切に確定できないという内容になる。公式解答例も、この人材不足と仕様確定の困難さを示している。
設問3(ii)
テスト工程で確認すべきなのは、システムが業務要件を満たしているかどうかです。しかし、変更不要な機能を「現行どおり」とだけ記載する計画では、満たすべき業務要件が具体化されない。そのため、業務要件が明確でなく、要件を充足しているかどうかのテストができないことがリスクを引き起こす要因となる。公式解答例も、要件の不明確さによって充足性をテストできない点を挙げている。
設問4
リライト方式ではCOBOLからJavaへの変換ツールによるソース変換だけに目を向けると、クラウドサービス上で稼働させるための条件を見落とす。したがって、クラウド基盤に依存するセキュリティや障害設計などの非機能要件について、実現性が検討されているかを確認する。公式解答例も、セキュリティ、障害設計などの非機能要件の実現性を確認する内容としている。
学習のポイント
リスクの原因を事例中の事実から特定し、監査で確認する具体的内容に落とし込む力を身に付ける。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度秋期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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