AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
令和3年度秋期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
AI開発監査で見る判断基準
この問題では、チャットボットの機能そのものより、企画から導入までの各段階で、目的に沿った判断基準が定められ、結果を誰がどのように確認する設計になっているかに注目します。
この問題で問われていること
特に、PoCや本番移行、利用者教育に関する記述を読むとき、計画・評価・承認・運用判断のつながりが文書上明確か、想定外の結果が出た場合にも判断を保留できる構造かを一つの視点で確認します。
視点
AIを含む開発監査では、目的、評価、承認、教育を別々の作業として見るのではなく、各工程の判断根拠が前工程の結果と結び付き、次工程へ進む条件が説明可能になっているかを確認します。個別の答えではなく、記述同士の整合性に着目してください。
確認ポイント
- 導入目的と、PoCで確認したい成果が同じ方向を向いているか
- 評価や本番移行の判断に必要な基準・責任者・記録が、計画上つながっているか
- AIの出力を利用する場面で、結果を確認し判断する人への準備が、単なる操作説明に偏っていないか
正解と解説を見る
解説
AIを利用したチャットボット開発について、企画、PoC、学習評価、本番移行、教育の各段階に潜むリスクと、それに対応する監査手続を問う問題です。
問題の全体像
A社はコールセンタの対応遅延や品質のばらつきを改善するため、AIを使って顧客発言を解析し、オペレータに回答候補を示すチャットボットを導入しようとしている。現在はPoCの途中であり、監査チームは、経営層の承認、PoCの計画と評価、学習データと教師データの扱い、本番移行、オペレータ教育が適切かを確認する。出題の狙いは、AI特有の不確実性を踏まえ、各リスクに対応する監査手続を選択することです。
設問1(ア)
表1の監査要点は、AIの導入目的や利用範囲を経営層が判断し承認しているかです。問題文でも、AI利用は経営や業務に影響するため、経営会議などの審議と経営層の承認が必要とされている。したがって、単に開発原則を確認するだけでなく、経営会議などの議事録を閲覧し、十分な審議と承認が行われたかを確かめる。
設問2(イ)
M氏は、PoCを継続する計画であり、評価が不明確だと開発遅延につながると指摘している。問題文のリスク説明では、PoC計画時に目的、結果の評価基準、終了基準を定める必要がある。よって、PoC計画書を閲覧し、これら三つの事項の記載を確認するという監査手続になる。45字以内なので、資料名と確認対象を簡潔に押さえる。
設問2(ウ)
PoCを実施した後は、計画に定めた評価基準と終了基準を満たしたかを明確に評価する必要がある。したがって、実施結果をまとめたPoC評価書を閲覧し、結果の評価やPoC終了の判断について記載されているかを確かめる。計画書の内容ではなく、実施後の評価記録に着目する点が重要です。
設問3
開発概要書では、本番移行前に学習データと教師データを6か月分に増やして学習だけを行い、評価せずに本番運用を開始するとされている。AIは学習後も結果が正しいかを評価する必要があるため、評価なしで本番移行することが問題です。30字以内では、学習後の結果評価を行わず本番移行する点を簡潔に示す。
設問4
オペレータ教育は、現行マニュアルの操作変更箇所の更新と教育時期しか定めていない。しかし、問題文は、AIの結果が常に正しいとは限らず、結果の正しさや利用可否を人が判断すべきだとしている。したがって、AIの特性や結果を人が判断する教育の予定がないことが、内容不十分と考えられた理由です。
学習のポイント
AIシステム監査では、開発工程ごとのリスクと具体的な証拠資料を結び付けて考える。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度秋期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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