AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
令和2年度10月 システム監査技術者 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
リスク対応と監査視点の整理
DX推進では、想定される不確実性を洗い出し、影響と発生可能性、対応責任、監査で確かめる証拠の関係を分けて整理すると、論点の混同を避けやすくなります。さらに、実施時期や記録の残り方も同じ軸で確認します。
この問題で問われていること
一つの観点として、各リスクへの対応方針と、監査手続で確認しようとしている事実が、同じ目的に向かって対応しているかを見比べ、役割や証拠の扱いに飛躍がないかを確認してください。
視点
リスク管理と監査は、目的・責任・時点・根拠を切り分けて考えます。評価から対応を決める段階と、対応や統制の状況を確かめる段階を混同せず、記録の一貫性や追跡可能性に注目します。
確認ポイント
- リスク評価の基準と対象が整理されているか
- 対応を担う主体と確認する主体が区別されているか
- 判断を支える記録や証跡を後から追えるか
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解説
P社のDX推進について、既存システム、人材、データ活用、PoC、進捗管理に関するリスクへの対応状況を監査する問題です。
問題の全体像
P社は中期経営計画に基づき、AIなどのデジタル技術を用いた業務改革と製品・サービスの価値向上を目指している。DX-PJでは各部門がPoCやデータ分析を進めているが、基幹システムの老朽化、人材不足、データの責任・権限の不明確さ、進捗管理の曖昧さなどが課題になっている。T氏は、これらの課題がDXの成果を妨げるリスクに対し、計画や定義書、ルール、議事録などを証拠として確認する監査手続を考える。
設問1
品質管理部門では詳細な品質データを保持せず、保守サービス部門でも老朽化したシステムがデータベース更新を制約している。したがって、単に再構築を続けているかではなく、DXの分析に必要なデータを取得できるよう、こうした制約を踏まえて現行システムを再評価し、システム再構築計画を見直しているかを確認する。公式解答例も、分析に必要なデータを取得できるよう計画を見直していることを示している。
設問2
製品部門はAI利用の2回目のPoCを予定しているため、技術を使うこと自体が目的化していないかがリスクになる。表1では、活動テーマに即した仮説を設定し、その仮説を基にPoCを実施する流れが示されている。そこでPoC報告書を閲覧し、活動テーマに即した仮説が設定されているかを確認する。
設問3
各部門がDX推進人材の不足を課題としている。採用、異動、育成のいずれの施策でも、まず必要な人材像が明確でなければ確保策を適切に実施できない。人事部門が作成し毎年見直す人材類型定義書を閲覧し、DXに必要な人材が明確になっていることを確認する。
設問4
各部門は他部門のデータを活用したい一方、データ提供の可否判断や正確性・網羅性の確保について、責任や権限が不明確なため活用できていない。したがって、データの収集・蓄積・活用に関するルールを整備し、責任や権限を明確にする必要がある。
設問5
DX-PJは月次の定例会で進捗状況を確認しているが、活動目標の達成度を把握する指標が不明確だと、進捗を適切に評価できない。重要プロジェクトでは進捗管理指標を設定する運用であるため、DX-PJ定例会の議事録を閲覧し、進捗管理指標が明確かどうかを確認する。公式解答例もこの手続を示している。
学習のポイント
DXの課題を監査リスクと捉え、証拠資料に結び付けて監査手続を記述する力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和2年度10月 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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