AUシステム監査技術者試験 午前Ⅱ

令和2年度10月 システム監査技術者 午前Ⅱ 問1

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

システム監査で用いる統計的サンプリングに関する記述のうち、適切なものはどれか。

選択肢

  1. ア
    開発プロセスにおけるコントロールを評価する際には、開発規模及び影響度が大きい案件を選定することによって、開発案件全てに対する評価を導き出すことができる。
  2. イ
    コントロールが有効であると判断するために必要なサンプル件数を事前に決めることができる。
  3. ウ
    正しいサンプリング手順を踏むことによって、母集団全体に対して検証を行う場合と同じ結果を常に導き出すことができる。
  4. エ
    母集団からエラー対応が行われたデータを選定することによって、母集団全体に対してコントロールが適切に行われていることを確認できる。
解き方のヒントを見る

統計的サンプリングの検討視点

統計的サンプリングを考えるときは、対象全体と一部を調べる目的を分け、信頼性や偏りへの配慮がどのように関係するかという観点で、設問の条件を順に整理しましょう。

この問題で問われていること

一つの観点として、抽出した一部の情報から全体について判断しようとする際、その判断がどの条件に左右されるかを問題文の記述と照らして確認してください。

視点

サンプリングでは、調査対象の範囲、抽出の考え方、得られた結果を全体へ結び付ける際の前提を切り分けて整理します。用語だけで判断せず、設問の目的と制約の関係に注目しましょう。

確認ポイント

  • 調査対象の全体と確認する一部を区別する
  • 抽出結果を解釈する前提や制約を確認する
  • 信頼性と偏りに関わる記述を問題文から探す
正解と解説を見る

正解

イ

解説

統計的サンプリングでは、母集団から適切にサンプルを抽出し、あらかじめ定めた基準に基づいてコントロールの有効性を判断します。サンプル件数は事前に計画できますが、特定の案件やエラー対応済みデータだけを選ぶ方法では母集団全体を適切に評価できません。

理由

監査でサンプリングを行う場合は、監査目的、求める信頼性、許容できる誤りの程度などを考慮して、必要なサンプル件数をあらかじめ計画します。その結果から、一定の根拠をもって母集団の状態を推定します。

比較

規模や影響度の大きい案件だけを選ぶ方法は、他の案件を代表するとは限りません。また、正しい手順でもサンプル調査が全数調査と常に同じ結果になるわけではなく、エラー対応済みデータだけの確認も偏りを生じさせます。

選択肢ア

これは不正解だよ。規模や影響度が大きい案件だけを選定すると、母集団の他の案件が十分に反映されない可能性があります。そのため、選定した案件の評価から、開発案件全てについて同じ状態だと導くことはできません。

選択肢イ(正解)

これは正解だよ。コントロールの有効性を判断するためのサンプル件数は、監査の目的や必要な信頼性などを考慮して、サンプリング計画の段階で事前に決めることができます。これは統計的サンプリングの基本的な考え方です。

選択肢ウ

これは不正解だよ。正しいサンプリング手順を踏んでも、調査対象は母集団の一部に限られます。したがって、サンプル調査の結果が、母集団全体を検証した場合と常に同じ結果になるとはいえず、推定には一定の不確実性が残ります。

選択肢エ

これは不正解だよ。エラー対応が行われたデータだけを母集団から選ぶと、エラーが確認された特定のデータに対象が偏ります。その結果、エラーのないデータを含む母集団全体でコントロールが適切だったかどうかを、十分に確認することはできません。

学習のポイント

サンプリング計画と母集団への推論の限界を理解する。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和2年度10月 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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