AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
平成30年度春期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
受注変更時の統制と監査証拠の見方
この問題では、受注方法や承認手順の変更によって、従来の統制がどの場面で置き換わり、監査人がどの資料や処理記録の対応関係を確認すべきかに注目し、処理全体のつながりを追ってください。
この問題で問われていること
一つの受注処理を、取引条件の確認、システム処理、出荷への引継ぎ、結果の記録という流れで捉え、各段階の役割と監査証拠が対応しているかを考えることに集中してください。
視点
変更された処理では、担当者の判断だけでなく、事前に定めた条件、機械的な判定、例外時の扱い、後から追跡できる記録が統制の有効性に関係します。
確認ポイント
- 受注成立の根拠となる条件と、実際の処理記録が対応しているか確認する。
- 承認を省略する範囲と、例外や不適切処理を発見する仕組みを区別して考える。
- 自動入力された結果について、漏れを検出し後から追跡できる証跡が残るか確認する。
正解と解説を見る
解説
販売管理システムの更新に伴い、EDI受注、少額受注の承認省略、QRコードによる出荷完了入力が導入される。各設問は、変更によるリスク、代替コントロール、監査で確認すべき証拠を問う。
問題の全体像
S社は、受注業務の効率化と得意先からのEDI発注への対応のため、販売管理システムを更新する。更新後は、Q社のEDI受注が自動チェック・自動確定となり、Q社以外では10万円未満の受注について承認が省略される。また、出荷完了入力は手入力からQRコード読取りに変更される。出題の狙いは、比較的小規模なシステム変更でも新たな情報システムリスクが生じることを踏まえ、変更内容に対応したコントロールと監査手続を考えることです。
設問1
本文では、Q社のEDI受注について、受発注成立の条件を契約書で定め、その条件を満たしたデータは承認なしで受注確定としている。さらに、受注内容は新システムが自動チェックする。このため、公式解答例では「販売管理システムによるEDI受注内容のチェック」としている。人による承認を省略する代わりに、システムが受注内容を自動的に検査する点を押さえる。
設問2(1)(b)
本文には、EDIによる受発注成立の条件がQ社との「EDI取引契約書」に定められているとある。したがって、公式解答例の文書名は「EDI取引契約書」となる。監査では、EDI取引の成立条件を確認するための根拠文書として着目する。
設問2(1)(c)
予備調査で、内部監査部は要件定義書などの関係資料をレビューしている。また、EDI受注データは新システムで自動チェックされる。したがって、公式解答例のもう一つの照合対象は「要件定義書」であり、契約上の条件がシステム要件に反映されているかを確認する。
設問2(2)
契約書には受発注成立の条件が定められ、要件定義書にはシステムのチェック要件が定義される。そこで、両文書を照合し、公式解答例のとおり「受発注成立の条件の全てが受注データのチェック要件として定義されていること」を確認する。単に文書の存在を確かめるのではなく、契約条件が漏れなくシステム要件になっているかが重要です。
設問3(e)
10万円未満の受注は承認なしで確定するため、承認を避けたい者が、10万円以上の一つの受注を複数の少額受注に分けて入力するリスクがある。本文の「10万円以上の受注の承認を回避する」という記述に対応し、公式解答例では「1件当たり10万円以上の受注を10万円未満の受注に分割して入力する」としている。
設問3(f)
少額受注の承認を個別に行わない場合でも、後からまとめて確認する統制が必要になる。公式解答例では「定期的に10万円未満の受注の一覧表を出力し、受注責任者がチェックする」としている。答案では、少額受注を一覧化することと、受注責任者が定期的に確認することの両方を含める。
設問4(g)
QRコードの読取り漏れは、出荷完了入力の漏れを通じて売上計上の誤りにつながる。本文には、出荷指示リストと、当日に出力される出荷完了リストがあるため、両者を比較すれば、出荷すべきものが漏れなく完了処理されたかを確認できる。公式解答例では「出荷指示リストと出荷完了リストとの突合が行われるようになっていることを確認すること」としている。
学習のポイント
業務変更点からリスクとコントロールを導き、文書や一覧表などの監査証拠と照合方法まで具体的に書く力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度春期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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