AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
平成25年度春期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
監査リスクと統制の対応を考える
この問題では、業務上起こり得るリスクを想定し、それを防止・発見する統制や監査手続が、どの情報や証跡に結び付くかを整理する視点が重要です。設問ごとの結論を急がず、流れの対応関係を見ます。
この問題で問われていること
各設問の対象となる業務プロセスについて、誰が何を入力・承認し、どの段階で不自然な状態を発見できる設計になっているかを一つの軸で確認してください。特定の答えではなく、監査上の着眼点を整理します。
視点
監査では、処理の流れを追いながら、想定されるリスク、対応する予防または発見の仕組み、監査人が確かめる証拠の関係を整理します。個別の機能名や結論を先に決めず、業務の責任分担と記録の信頼性に注目しましょう。
確認ポイント
- 入力内容を誰が作成・承認し、責任の所在が明確か確認する
- リスクが発生した場合に、どの統制や記録で気付けるか考える
- 監査手続が、対象リスクを確かめる証拠と対応しているか見る
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解説
プロジェクト会計では、正式受注、作業時間の正確性、承認、原価及び損益の早期把握が重要です。設問は、各場面の業務リスクに対応する統制や監査手続を問う。
問題の全体像
Z社は、受託開発プロジェクトごとに原価と工事進行基準による売上・損益を管理している。仮発番、作業時間の入力・承認、勤怠管理との関係、予定原価と実績原価に基づく損益管理が監査対象です。出題の狙いは、単に機能を列挙するのではなく、正式受注前の着手、業績評価に伴う入力のゆがみ、承認不足、損益悪化の発見遅れといった業務リスクを読み取り、それに対応する統制や監査手続を説明できるかを確認することにある。
設問1(1)
着目点は、正式な注文書がなくても発注内示書に基づく仮発番で作業を開始でき、仮プロジェクト番号の有効期間を過ぎても作業や原価が発生し得る点です。正式注文を受けられなければ、売上に結び付かない原価だけが発生して損益が悪化する。公式解答例では、この因果関係を「顧客から正式な注文が得られず、損益が悪化するリスク」と表している。
設問1(2)
設問1(1)のリスクを低減するには、仮発番がいつまでも有効な状態にならないよう、2週間という有効期間を管理する必要がある。したがって、機能一覧表では、仮発番から2週間を過ぎた場合に警告を表示する機能を確認したと考える。公式解答例も、この期限経過時の警告表示機能を示している。
設問2
作業時間は技術者が入力し、所属部署の上長が毎日確認・承認しているが、プロジェクトの作業時間を管理するプロジェクト管理者による承認は本文に示されていない。プロジェクト管理者は売上・損益や計画と実績の差異について責任を負うため、入力された作業時間を承認しないことは正当性を確保する統制の不足になる。公式解答例では、「プロジェクト管理者が入力された作業時間を承認していない」点を理由としている。
設問3(1)
プロジェクトの売上・損益の規模や計画と実績との差異が、プロジェクト管理者の業績評価項目になっている点に着目する。この評価を良くするため、プロジェクト管理者が技術者に実際より少ない作業時間を入力させれば、原価実績を少なく見せられる。公式解答例では、この業績評価上の動機から過少入力が起こり得ることを理由としている。
設問3(2)
技術者は作業実績管理サブシステムとは別に、就業規則に基づく実働時間を勤怠管理システムへ入力し、上長が在室時間を確認して承認している。そこで、作業実績管理サブシステムの作業時間と、勤怠管理システムの実働時間を突合すれば、実際の労働時間に比べて作業時間を過少に入力していないか確認できる。公式解答例では、この二つの時間を突合する手続を示している。
設問4
過去半年で、プロジェクト責任者が終了直前まで損益悪化を把握できなかった案件が8件あった点が根拠です。現行機能は、実績原価の累計が当初予定原価総額を超えた場合に、プロジェクト管理者と責任者へアラームを送るが、入力された内容の妥当性を上位者が確認する仕組みまでは示されていない。公式解答例では、プロジェクト管理者の入力内容をプロジェクト責任者が承認する機能を提言している。
学習のポイント
業務上の動機とシステム統制を結び付け、誰が何を承認・照合するかを答案化する力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成25年度春期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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