AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
平成24年度春期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
移行後データの整合性確認
この問題では、ERP導入による債権管理の変化を踏まえ、移行後データの信頼性と運用上の確認方法を切り分けて考える。個別の結論ではなく、監査で確かめる対象と証跡に注目する。
この問題で問われていること
中心に見るのは、旧環境から新環境へ引き継いだ情報と、その後の入力・修正・消込が、業務目的に沿って一貫して扱われているかです。原因、手続、権限を混同しないという視点。
視点
移行後の債権管理を評価するときは、データそのものの引継ぎ、処理が完了するまでの業務運用、修正を認める手続の統制を、同じ論点として整理する。どこで不一致や未処理が生じ得るかを、記録の連続性と担当間の確認という抽象的な観点から考える。
確認ポイント
- 旧システムから引き継いだ情報について、完全性や整合性を確認する観点があるか
- 導入後の処理量と担当者の手順が、未処理を生む可能性と結び付いていないか
- 修正や例外処理について、依頼・承認・実施・記録のつながりを確認できるか
正解と解説を見る
解説
K社は、営業部ごとの個別システムからERPへ移行し、債権を売上明細単位で一元管理する改革を行った。設問は、移行データの適合性、消込業務の実行体制、債権データ修正の正当性を監査する観点を問う。
問題の全体像
旧システムでは、営業部ごとに販売・請求を行い、会計システムでは顧客別に集計されたデータを扱っていた。新システムでは、受注出荷から財務会計までを統合し、売上明細単位の債権管理と請求書発行の一元化を目指している。一方、移行した残高の消込未完了、導入後の消込作業の滞留、修正依頼に対する承認確認の不足が判明した。公式解答例は、これらを移行データの粒度、消込業務の要員・手順、データ修正のアクセス制御という監査観点に整理している。
設問1(1)
着目点は、移行に利用した債権データが新システムの管理単位に合っているかです。新システムは売上明細単位で債権を管理するのに対し、移行元の会計システムは顧客別合計を管理していた。そのため、通常の手続では個々の売上に対応する入金を特定できず、詳細な債権管理や消込ができない。公式解答例も、移行残高が顧客別合計であり、通常の手続では詳細管理できない点を示している。40字以内では「顧客別合計」と「詳細な債権管理ができない」という二つの要素を押さえる。
設問1(2)
代替案は、各営業部の請求システムの請求データを移行に利用する案です。しかし本文では、営業部が請求直前の単価修正や売上取消などを独自に行い、会計システムの債権データと一致しないことがあった。このため、請求データを使うと既存の債権データとの調整が難しいと判断されたと考える。公式解答例の「請求データは独自に修正されており、債権データとの調整は困難」という要点を、40字以内でまとめる。
設問2(業務量)
本文では、顧客数・取引件数が増加し、請求額と入金額が一致しない場合には債権管理課が手作業で消込入力を行う。また、消込未完了の債権明細が多い。したがって業務量の監査要点は、増加した手作業を処理できる要員が十分に配置されているかです。公式解答例も「債権消込作業を実施できる要員が十分に配置されているか」としている。
設問2(業務手順)
大手顧客は請求書どおりではなく、自社の債務データに基づいて支払うため、正確な消込には営業部から対応情報を得る必要がある。したがって、業務手順の監査要点は、各営業部から消込情報を正確に入手する手順が確立しているかです。公式解答例も、営業部から消込情報を正確に入手する手順の有無を確認する内容としている。
設問3(1)
新システムでは、営業部が電話で修正を依頼し、債権管理課が入力するが、本文には正当な承認を確認する手続が示されていない。したがって問題点は、修正依頼が正当な承認に基づくものか確認せずにデータを修正していることです。アクセス権を債権管理課に限定している点とは別に、修正の正当性を証明する承認確認が不足している点を35字以内で示す。
設問3(2)
設問3(1)の承認確認の不足を除き、本文では債権管理課だけに追加・修正入力を許可し、営業部には参照だけを許可している。この記述から、監査要点は債権データへのアクセス制限が適切に設定されているかを確かめることになる。公式解答例も、データ修正に関する正当性のコントロールとしてアクセス制限の適切性を確認するとしている。
学習のポイント
業務改革後に変化したデータ粒度、役割分担、承認、アクセス制御を事例から具体化する力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度春期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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