AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
平成23年度特別 システム監査技術者 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
要件定義から次工程への確認視点
要件定義段階の監査では、個々の記述を増やすことより、次工程で関係者が同じ前提を共有して設計へ進める状態かを見極める観点に注目します。契約や体制も、その共有状態を支える役割分担として捉えます。
この問題で問われていること
この問題では、要件の内容・粒度・確定状況が、発注側、利用部門、開発側、関連組織の間で整合しているかを一つの軸にして、次工程へ進む判断の根拠を丁寧に考えてください。
視点
監査の視点では、要件定義書を単なる成果物ではなく、設計・契約・レビューに共通して参照される基準として捉えます。誰が何を確認し、どの時点で合意済みと扱うかを整理すると、問題文中の懸念を分類しやすくなります。
確認ポイント
- 記述の意味と細かさが、関係者ごとに異なる理解になっていないか
- 未確定の事項を含む状態で、次工程の判断基準が共有されているか
- レビューや確認の役割が、契約上・体制上の責任と対応しているか
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解説
T社の生産管理システム再構築を題材に、要件定義段階での認識合わせ、契約上の責任、未確定要件の扱い、業務要件に対応した非機能要件を問う問題です。
問題の全体像
T社は特注品のリードタイム短縮を目的に生産管理システムを再構築し、要件定義をX社に委託しています。監査部は基本設計へ進む前に、T社とX社の用語・文書認識の相違、要件定義の責任分担、未確定要件の影響、業務停止を防ぐ可用性要件を確認しました。出題の狙いは、要件定義の不備が後工程の手戻りや遅延、品質低下につながることを踏まえ、契約と業務要件に即して監査上の着眼点を示すことです。
設問1(1)
X社は概念データモデルとしてE-R図を作成した一方、T社は論理データモデルの一部を含む独自形式を想定しており、記載内容やレベルの認識が一致していません。このままでは、用語やドキュメントの解釈が分かれて設計内容に誤解が生じる、というリスクを答案にまとめます。45字以内なので、認識相違と設計上の誤解を中心に書きます。
設問1(2)
リスクの原因は、T社とX社で使用する用語やデータモデルの記載内容・レベルの意味がそろっていないことです。したがって公式解答例では、基本設計に進む前に使用する用語の意味や定義が一致しているか確認する改善策を示しています。30字以内では、用語の意味・定義の一致確認に絞ります。
設問2(1)
要件定義段階は請負ではなく準委任契約で、X社が要件定義書を作成しています。準委任では作業を委託しても、発注者であるT社が要件を確定し、要件定義書に責任を持つ点が重要です。そのため、T社の責任において要件定義書が作成されているかを確認する内容になります。
設問2(2)
製造管理部はシステム基盤に依存する記述を判断できず、X社作成の内容をそのままレビューに提出しています。システム部も要件定義に直接関与していません。よって、基盤依存の記述について、誰がどのような方法でレビューしたのかを確認する答案になります。
設問3
子会社に開放する機能など、未確定の業務要件が残ったまま基本設計に進もうとしています。後で要件が確定した際、既に確定している要件や設計内容に影響する可能性があります。したがって、未確定要件が確定済み要件に影響した場合の対応方針を、基本設計開始前に定めることが前提条件です。40字以内では、未確定要件、影響、対応方針の三点を押さえます。
設問4
表1の業務要件③では、工場の稼働時間帯に特注品の製造指示書が出力されないと生産が停止し、業務に影響します。バックアップ頻度だけでは、この業務上必要な可用性を表せません。そこで、工場の稼働時間帯におけるシステムの稼働率を定義し、要件定義書に記載する内容になります。
学習のポイント
要件定義監査では、業務・契約・設計移行・非機能要件を関連付けて考える。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成23年度特別 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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