AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
平成23年度特別 システム監査技術者 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
監査手続を考える一つの視点
この問題では、各処理が誰の権限で行われ、どの時点で承認や記録が残り、後続の確認とどう結び付くかを一つの流れとして捉え、設計面と実際の運用面を分けて考えることが重要です。
この問題で問われていること
設問ごとの細かな結論を先に決めず、権限付与から申請、承認、実績反映、会計連携までの流れを追い、想定された統制が実際に機能したと判断できる根拠をどこで確認するかに集中してください。
視点
コントロールの有効性は、仕組みが存在することだけでなく、担当者の役割分担、承認の根拠、操作記録、後続確認の関係を一連の証拠として見られるかという観点で整理します。個別の結論ではなく、統制目的と証跡の対応を考えてください。
確認ポイント
- 権限や承認の流れを、担当者・入力・確認の関係として整理する
- 処理結果だけでなく、承認の根拠と操作記録が残るかを確認する
- 設計された統制と実際の運用を区別し、証拠の十分性を考える
正解と解説を見る
解説
本問は、予算管理システムにおけるアクセス権限、職務分離、予算超過防止、ログ確認、検収後の照合を関連付け、複数のコントロールが全体として有効に機能するかを評価する問題です。
問題の全体像
D社では研究開発費の予算管理システムを使い、発注申請、承認、特別承認、検収、購買実績の会計連携までを管理している。設問では、派遣用IDの共有による職務分離上の問題、管理者アクセスログの監査、予算残高の更新時点による予算超過リスク、検収後の照合の網羅性を問う。出題趣旨のとおり、各コントロールを単独で見るのではなく、システムの目的である適切な予算実績管理との関係で総合的に評価することが重要です。
設問1(1)
表2項番①では、各課の派遣用IDを複数の派遣社員が共有している。システムオーナは、派遣用IDが「一般」権限であり、承認入力を行えない点を根拠に、単独で発注確定データを作成できないためリスクは非常に低いと考えている。したがって、答案では、一般権限の派遣用IDだけでは承認入力ができず、発注確定データを作成できないという、権限の組合せに基づく理由を40字以内で示す。
設問1(2)
監査室は、共有IDによって職務分離が実質的に損なわれる可能性を指摘している。表1では発注入力は一般権限で可能であり、承認入力はリーダ権限で可能です。リーダである課長が派遣用IDも利用すれば、同一人物が発注入力と承認入力を行い、1人で発注確定データを作成できる。答案では、この具体的な権限の組合せを40字以内で示す。
設問2
表2項番②では、部長の口頭指示により管理者が特別承認入力を行うことが多い。システムオーナは他のコントロールがあると考えているが、監査室はその運用の有効性も確かめるべきだとしている。問題文には、管理者権限のアクセスログを保存し、週次で詳細ログレポートを出力して部長が確認する仕組みがある。したがって、答案では、部長が詳細ログレポートを漏れなく確認しているかを確かめる監査手続を35字以内で述べる。
設問3
表2項番③のポイントは、予算超過の判定時点と予算残高の更新時点のずれです。承認入力時にはPJ基礎情報の予算残高と比較するが、購買実績を加算して予算残高を減額するのは検収入力時です。そのため、検収前の発注が複数ある場合、それらを反映しない残高に基づいて発注でき、予算超過を防げない。答案では、この理由を40字以内で示す。
設問4(1)
検収後は、申請者が納品書に検収番号を記入して庶務担当へ回付し、庶務担当が検収番号を基に購買実績データの品名と金額を照合する。しかし、回付された納品書を基に確認するだけでは、すべての購買実績データが照合されたかを確認できない。答案では、照合の網羅性を確認できない点を35字以内で述べる。
設問4(2)
監査室の「新しくレポートを追加することによる対応」とは、照合対象を一覧化し、未照合の取引を把握できるようにすることです。公式解答例では、購買実績データを日次で出力し、照合が完了した取引を消し込む方法を示している。答案では、日次レポートと照合済み取引の消込みによって、未照合データを識別できる仕組みを35字以内で示す。
学習のポイント
個々のコントロールだけでなく、処理の順序と相互補完関係を読む力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成23年度特別 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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