AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
平成23年度特別 システム監査技術者 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
移転計画を監査視点で点検する
データセンタ移転では、計画の妥当性を判断する前に、業務影響、依存関係、移行時の統制、復旧可能性を同じ観点で整理し、リスクと監査手続の対応を落ち着いて確認しましょう。
この問題で問われていること
一つの観点として、移転に伴うリスクが事前に識別・評価され、その評価結果に応じた確認手続が計画へ結び付いているかを、問題文の記述同士の関係から丁寧に確認しましょう。
視点
移転計画を読むときは、想定される影響と、それを確かめるための統制・証跡・実施時期が対応しているかという見方に絞ると、記述の役割を整理しやすくなります。
確認ポイント
- リスクの発生要因と影響範囲が、計画上どの段階で扱われているか
- 監査手続が、確認対象・実施時期・証跡の観点で具体化されているか
- 移転後に問題が起きた場合の検知・報告・見直しのつながりが説明されているか
正解と解説を見る
解説
データセンタ移転では、移転作業中の障害だけでなく、互換性確認不足、調査漏れ、移転後の災害による業務中断まで考慮し、リスクに応じた対策と監査手続を選ぶ。
問題の全体像
A社は、DC-AとDC-Bのサーバを外部ベンダのDC-Nへ移転し、運用を統合しようとしている。実機移設、新規設置、ドメイン統合、バックアップ機の新設などにより、移転中や移転後にサービス停止、互換性不良、設定漏れ、災害による業務中断のリスクが生じる。設問では、発見されたリスクに対する具体的な作業手順、監査証拠に基づく検証、調査結果を確かめる監査手続、BCPを含む移転後対策を問う。公式解答例では、リスクの内容に対応した予防的なコントロールと、その有効性を確認する監査手続が重視されている。
設問1
4月第2週にDC-Aから移設する13台は、重要なシステムが導入されたにもかかわらず、当初はバックアップ機が存在しなかった。この状態で本番機を先に搬出すると、移転作業が失敗した際にサービスを再開できない。したがって、公式解答例のとおり、バックアップ機を先に設置して稼働確認を済ませ、その後に本番機を搬出する手順を書く。35字以内なので、「バックアップ機の設置・稼働確認」と「本番機の搬出」の順序を押さえる。
設問2(監査証拠)
表2では、各オーナ部門が互換性確認テスト計画を策定することになっている。監査人が導入完了期限とテスト量の妥当性を判断するには、実際に各オーナ部門が策定した互換性確認テスト計画を入手する。公式解答例もこの計画を監査証拠としている。
設問2(内容)
導入完了期限は移転1週間前であり、その後に互換性確認テストを行うため、テスト項目が1週間で完了できる量かを確認する。公式解答例では、全テスト項目を1週間で完了できる作業量かどうかを検証した内容としている。期限とテスト項目数・作業量の関係を簡潔に書く。
設問3(監査手続)
情報システム部は、IPアドレス変更の影響を受けるアプリケーションプログラムを調査するが、調査結果を確かめる手続がない。そこで、公式解答例のとおり、アプリケーションプログラム一覧と、調査済みの仕様書を突き合わせる。調査対象の全体と調査済み資料を比較する手続であることが重要です。
設問3(理由)
調査結果を検証しなければ、一覧にあるのに調査されていないアプリケーションプログラムを見落とすリスクが残る。公式解答例では、未調査のアプリケーションプログラムが存在するリスクを理由としている。単に「調査の正確性を確認するため」とせず、調査漏れのリスクまで具体化する。
設問4(理由)
切戻し計画は、サーバ移転作業が失敗した場合に移転前の状態へ戻す計画です。一方、各週末の移転終了後からBCP更新までに災害が発生すると、切戻し計画だけでは災害後の業務継続を確保できない。公式解答例では、サーバ移転後の災害などの発生を想定した計画ではないことを理由としている。
設問4(対策)
移転によりシステム構成が変わるため、旧構成を前提としたBCPでは移転後の災害に対応できない。公式解答例では、本番機移転の前に、システム構成の変更に合わせてBCPを更新する対策を示している。移転完了後に更新するのではなく、本番機移転前に更新する時期まで含めて書く。
学習のポイント
監査証拠、検証内容、監査手続、リスク対策を明確に対応付ける力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成23年度特別 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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