AUシステム監査技術者試験 午後Ⅱ

平成22年度春期 システム監査技術者 午後Ⅱ 問3

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

IT保守・運用コスト削減計画の監査について 景気変動が激しく,国際競争が厳しい経営環境において,無駄なコストを減らして収益性を高めることは,組織にとって重要な経営課題の一つである。ITは,今日の経営に不可欠なものである一方で,そのコストは年々増加傾向にある。組織が全社的にコストを抑制していく中で,ITコストについても削減に向けた適切な取組が必要になっている。 ITコストは,ハードウェア,ネットワークなどのインフラ構築や業務システムの開発などの導入コストと,構築したシステムを維持するための保守・運用コストに分けられる。導入コストは当初だけ発生するのに対して,保守・運用コストはその情報システムが廃棄されるまで継続的に発生する。したがって,ITコストの削減においては,保守・運用コストをいかに削減するかが重要なポイントになる。 しかし,IT保守・運用コストの削減がシステム障害,情報漏えい,利用者の満足度低下,及びIT部門の技術力・管理能力の低下につながることがある。また,取組の結果,削減額や削減達成時期などの当初目標を達成できないこともある。 システム監査人は,IT保守・運用コスト削減計画の策定・実行プロセスについて監査するだけでなく,削減によって生じるリスク,将来的な影響,目標達成の可能性など,削減計画の内容の妥当性についても監査する必要がある。 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが関係した組織や業務におけるIT保守・運用コスト削減の取組の概要について,削減対象及び対象とされた理由を含め,800字以内で述べよ。 設問イ 設問アに関連して,削減計画の内容の妥当性を監査する場合の監査項目について,監査項目とした理由を含め,700字以上1、400字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イに関連して,監査で発見された問題点とその改善案について,700字以上1、400字以内で具体的に述べよ。
解き方のヒントを見る

IT保守・運用コスト削減計画の監査視点

この論述では、コストを下げること自体ではなく、削減計画が業務への影響や将来の負担を見通しながら妥当といえるかを検討する視点を整理します。監査の対象、理由、発見事項と改善を一貫させることが重要です。

この問題で問われていること

設問アからウまで、実際の取組を起点に、削減の狙いと影響を結び付け、計画の妥当性をどう確かめ、問題発見後にどう改善へつなげるかという一つの観点で整理してください。

視点

削減計画を評価するときは、短期的な費用の変化だけに注目せず、サービスの安定性、利用者や業務への影響、将来に残る負担、目標の実現可能性がどのように関係するかを捉えます。監査項目・理由・問題点・改善案が同じ論点からつながっているかを確認しましょう。

確認ポイント

  • 削減対象と、その対象を選んだ背景が具体的な業務状況と結び付いているか
  • 削減による効果だけでなく、業務継続や品質への影響を確認する観点が含まれているか
  • 発見した問題に対する改善案が、原因と目標達成の見通しに対応しているか
正解と解説を見る

解説

本問は、IT保守・運用コスト削減計画について、削減額だけでなく計画の実効性、セキュリティやサービスレベルへの影響、将来のリスクまで監査する力を問う。

問題の全体像

問題文は、ITコストを導入コストと保守・運用コストに分け、特に継続的に発生する保守・運用コストの削減が重要だと説明している。ただし、削減を優先し過ぎると、システム障害、情報漏えい、利用者満足度の低下、IT部門の技術力・管理能力の低下を招く可能性がある。したがって、設問アでは自分が関係した具体的な取組を設定し、設問イでは削減計画の実効性とリスクを監査する項目を示し、設問ウでは発見した問題点と改善案を、相互に矛盾しない事例として展開する。公式解答例の出題趣旨も、削減目標の達成可能性、削減対象範囲や手法の適切性、セキュリティやサービスレベル低下などのリスク評価を重視している。

設問ア

800字以内で、組織・業務の状況、実施した削減取組、削減対象、対象とした理由を簡潔に示す。例えば、サーバ運用、保守契約、監視業務、ヘルプデスク、ライセンス、データセンターなどから対象を選び、費用が大きい、重複がある、利用実態に比べて過剰である、標準化や自動化が可能である、といった理由を具体化する。単に「費用を削減した」とせず、削減額や時期の目標、業務への影響、維持すべきサービス水準にも触れると、後の監査項目と問題点につながる。

設問イ

700字以上1、400字以内で、設問アの計画を妥当性の観点から監査する。監査項目と、その項目を選んだ理由を対にして書く。主な観点は、削減目標・金額・達成時期の根拠と達成可能性、対象範囲の漏れや過度な削減の有無、選択した手法の費用対効果、移行・委託・自動化に必要な前提条件、障害対応や情報漏えい防止などのセキュリティリスク、サービスレベルや利用者満足度への影響、IT部門の技術力・管理能力への影響、削減後の効果測定と見直し体制です。公式解答例の出題趣旨が示す「実効性」と「削減に伴うリスク」を、計画書、試算、契約、SLA、リスク評価、責任分担などの証拠に結び付けて述べる。

設問ウ

700字以上1、400字以内で、設問イで挙げた監査項目に対応する問題点と改善案を書く。例えば、削減額を先に決めており根拠となる利用量や作業実績がない、重要システムの要員や監視を一律に削減している、委託先のSLAや障害時の責任分担が不明確、アクセス権やログ監視の見直しがない、サービスレベルや利用者影響を測定していない、といった問題を設定できる。改善案は、業務・システムを重要度で分類して削減対象を段階化する、費用とリスクを含む複数案を比較する、SLA・体制・権限・バックアップを再設計する、試行導入と効果測定を行う、目標未達や障害発生時の見直し基準を定める、など問題の原因に対応させる。問題点、リスク、改善策、期待効果の順に書くと、計画の実現に向けた提案としてまとまりやすい。

学習のポイント

コスト削減の効果と、障害・漏えい・品質低下を防ぐ統制を関連付けて論述する練習が重要です。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成22年度春期 システム監査技術者試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

関連する過去問一覧

IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針