AUシステム監査技術者試験 午後Ⅱ

平成22年度春期 システム監査技術者 午後Ⅱ 問1

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

情報システム又は組込みシステムに対するシステムテストの監査について ITの進展に伴い、情報システムの役割はますます大きくなり、影響範囲も広がっている。例えば、生産システム、受発注システムなどの基幹系情報システムに不具合があると、自組織だけではなく、取引先などの業務にも影響が及ぶおそれがある。 また、産業機器、家電製品などは、機器や製品を制御するための組込みシステムが搭載されており、高機能化している。このような状況で、例えば、自動車やエレベータなどの機器の組込みシステムに不具合が発生すると、社会生活に影響が及ぶだけでなく、人命を脅かすような深刻な事態を招くおそれもある。 したがって、情報システム又は組込みシステムの稼働前に、システムが要件どおりに機能するか十分に検証し、品質や性能を確保しなければならない。特に、稼働時、利用時の様々な状況を想定し、不具合を事前に見つけ出すテスト工程(以下、システムテストという)は、システムの安全性を確保する上で重要な位置付けとなる。 システム監査人は、このような点を踏まえて、情報システム又は組込みシステムについてシステムテストが適切に行われ、品質や性能が確保されていることを確かめなければならない。また、既に稼働している情報システム又は利用している組込みシステムについても、十分な品質や性能が確保されていることを確かめるために、開発段階で実施したシステムテストの内容をさかのぼって確認する場合もある。 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア〜ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが関係した情報システム又は組込みシステムの概要と、そのシステムの不具合が業務・社会に及ぼす影響について、800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた情報システム又は組込みシステムに対するシステムテストの内容について、700字以上1、400字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べたシステムテストの適切性を確かめるために必要な監査手続について、700字以上1、400字以内で具体的に述べよ。
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監査手続と影響の結び付け方

システムテストの適切性を確かめる監査手続を論じる際は、手続の列挙に終わらせず、確認不足が業務や社会にどのような影響を及ぼし得るかという視点と、手続を選ぶ理由とを一貫して結び付けて検討することが大切です。

この問題で問われていること

設問の要求に沿って、想定する対象システムの特徴から生じ得る影響を自分の言葉で整理し、その影響の大きさに応じて監査で何を確かめるべきかを根拠付きで説明できるかを意識して取り組みましょう。

視点

監査手続は、監査人が何を確かめるかと、そのためにどのような証拠を入手するかの組合せとして表現されます。論述では、対象の特徴、想定されるリスクや影響、確かめる事項、入手する証拠と方法という筋道が途中で途切れていないかを意識すると、説得力が生まれます。具体的な手続の中身は、自分が想定した状況に合わせて考えてください。

確認ポイント

  • 想定した業務や社会への影響が、論述する監査手続を選んだ理由として明示されているか
  • 各監査手続について、確かめる事項と入手する証拠の対応が読み手に伝わる書き方になっているか
  • 一般論の羅列ではなく、自分が想定した対象の特徴に即した記述になっているか
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解説

本問は、情報システム又は組込みシステムの不具合が業務・社会に及ぼす影響を示し、それを踏まえたシステムテストの内容と、その適切性を確かめる監査手続を論述させる問題です。出題趣旨では、システムの役割や影響を踏まえたうえで、品質や性能の確保に必要なシステムテストの内容を理解しているか、その適切性を監査する見識や技能があるかを評価すると示されています。ア→イ→ウが一貫していることが重要です。

問題の全体像

問題文は、ITの進展で情報システムの役割と影響範囲が広がっていることを指摘しています。基幹系情報システムの不具合は取引先の業務にまで及び、自動車やエレベータなどの組込みシステムの不具合は社会生活や人命に関わるおそれがあります。そのため、稼働前に要件どおり機能するかを十分に検証し、品質や性能を確保する必要があります。中でも、稼働時・利用時の様々な状況を想定して不具合を事前に見つけ出すシステムテストが重要だと位置付けています。システム監査人は、システムテストが適切に行われ、品質や性能が確保されていることを確かめる立場です。稼働済みのシステムについて、開発段階のシステムテストをさかのぼって確認する場合もあるとされています。公式解答例では、出題趣旨として、システムの役割や影響を踏まえたうえで、品質や性能の確保に必要なシステムテストの内容を理解しているか、その適切性を監査するための見識や技能を評価すると示されています。なお、添付の解答例・採点講評の画像は本文の日本語部分が判読できません。そのため本解説は、問題文と出題趣旨の文言だけを根拠にしています。設問イ・ウの記述内容について、公式に正答相当とされた具体例は示せません。

設問ア

800字以内で、(1)自分が関係した情報システム又は組込みシステムの概要と、(2)その不具合が業務・社会に及ぼす影響の二つを書きます。問題文は、影響の例として、基幹系システムなら自組織だけでなく取引先の業務にも及ぶこと、組込みシステムなら社会生活への影響や人命を脅かす事態があり得ることを挙げています。出題趣旨でも「組織内業務にとどまらず、社会生活にまで影響を及ぼす場合もある」と述べ、「システムの役割や影響を踏まえた上で」と前提を置いています。このため、概要の説明だけで終わらせず、不具合が起きた場合に誰に、どの範囲に、どの程度の影響が及ぶかを具体的に示すことが大切です。ここで示した影響の内容は、設問イで述べるテストの重点や、設問ウで述べる監査の着眼点の根拠になります。後続の設問と対応が取れるよう、影響を具体的に書いておくのがポイントです。

設問イ

700字以上1、400字以内で、設問アのシステムに対するシステムテストの内容を具体的に書きます。問題文はシステムテストを「稼働時、利用時の様々な状況を想定し、不具合を事前に見つけ出すテスト工程」と定義しています。また、「要件どおりに機能するか十分に検証し、品質や性能を確保」することを求めています。出題趣旨でも、品質や性能の確保に必要なシステムテストの内容を理解しているかが評価対象とされています。したがって答案では、要件どおりに機能するかの検証と、品質・性能の確保という観点を押さえます。そのうえで、稼働時・利用時のどのような状況を想定してテストしたのかを、設問アで述べた影響と結び付けて説明することが求められます。一般論を並べるのではなく、「このシステムはこういう影響があるから、この状況を想定したテストが必要だった」という因果関係が読み取れる書き方が、出題趣旨に沿った答案になります。具体的なテスト項目や手法について、公式資料が正答例として示したものは判読できる範囲にありません。答案の題材は、自分の経験に基づいて選んでください。

設問ウ

700字以上1、400字以内で、設問イで述べたシステムテストの適切性を確かめるために必要な監査手続を具体的に書きます。問題文では、システム監査人は、システムテストが適切に行われ、品質や性能が確保されていることを確かめなければならないとされています。出題趣旨でも、システムテストの適切性を監査するための見識や技能を評価すると示されています。答案で押さえるべき点は次の三つです。(1)設問イで述べたテスト内容の一つ一つに対応させて、何を確かめるのか(監査の着眼点)を示すこと。(2)その着眼点を、監査人としてどのような手続で確かめるのかを具体的に書くこと。(3)それが品質や性能の確保の確認、ひいては設問アで述べた影響への対処につながっていることが分かるように書くこと。問題文にあるとおり、稼働済みのシステムを対象に、開発段階のシステムテストをさかのぼって確認する立場で論じることもできます。一方、具体的にどの資料をどの方法で確かめれば正答相当かを示す公式の解答例や採点講評は、添付資料からは判読できません。そのため本解説では、特定の監査手続を正答として断定しません。設問イで挙げたテストとの対応関係を崩さず、監査人の立場で「確かめる」行為を具体的に記述することが、出題趣旨から読み取れる評価ポイントです。

学習のポイント

不具合の影響、影響に見合うテストの内容、テストの適切性を確かめる監査手続の三つを、一本の筋でつなげて論述する練習が重要です。添付の公式資料で判読できる根拠は問題文と出題趣旨に限られるため、それらの表現を軸に論点を整理してください。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成22年度春期 システム監査技術者試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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