AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
平成21年度春期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
アクセス管理と復旧統制の確認視点
ERPパッケージの利用権限とバックアップ・復旧に関する記述を、役割分担と継続運用の観点から整理し、管理策同士の関係と確認の順序を丁寧に考え、見落としを防ぎましょう。
この問題で問われていること
一つの管理策だけで判断せず、平常時のアクセス制御と障害時の復旧準備が、責任者・手順・検証方法まで整合しているかという観点に集中し、全体のつながりを確認しましょう。
視点
アクセス管理とバックアップ・リカバリ統制は、個別の機能名や設定値ではなく、誰が何を管理し、異常時にどのように業務を再開するかという統制のつながりで整理します。
確認ポイント
- 利用者の権限付与・変更・削除を、責任と承認の流れで確認する
- 保全したデータを必要時に使える状態へ戻す準備を確認する
- 平常時の管理と障害時の対応が、手順・記録・検証で結び付いているか確認する
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解説
ERPパッケージの監査では、標準機能があることだけで安心せず、IDの共有、権限削除の遅れ、周辺システムとのデータ連携などによって生じる残存リスクを見抜くことが重要です。
問題の全体像
Z社は財務管理・購買管理・会計などをERPパッケージで統合し、販売管理システムや人事システムとも連携している。T氏はアクセス管理とバックアップリカバリを監査する。出題の狙いは、ERPの標準機能を表面的に評価するのではなく、管理者IDの利用制限、DBへの直接アクセス、異動後の権限残存、連携元データのバックアップ不足といった利用環境固有のリスクを把握し、適切な監査手続や追加コントロールを示すことです。
設問1
管理者用IDは1ライセンスで、同時には1ユーザしか使用できないため、3名の担当者がパスワードを共有している。したがって、契約違反の有無を確認するには、実際に複数人が同時利用できない設定になっているかを調べる必要がある。公式解答例では、ミドルウェア上で多重ログインが禁止されていることを設定画面で目視確認する手続を示している。単に担当者数やパスワード保管方法を確認するのではなく、ライセンス条件に対応する設定を確認する点が重要です。
設問2
DB用IDのパスワードを初期インストール後に変更していても、パスワードを知る人が多ければ、ERPを経由しないDBへの直接ログインによる改ざんや破壊を防げない。公式解答例では、DB用IDのパスワードを必要最小限の担当者しか知らないように管理していることを追加確認する。パスワード変更の実施だけでなく、秘密情報の知得者を限定する運用管理まで見るのがポイントです。
設問3(リスク)
人事異動データでは旧部署の権限が自動削除されず、引継ぎ完了後に異動者が申請して削除する運用になっている。申請を忘れたり遅らせたりすると、引継期間を過ぎても元の部署の権限を使い続けられる。公式解答例は、この削除申請漏れによって異動者の権限が残存し、継続利用されるリスクを示している。
設問3(コントロール)
申請を待つ方式では、本人の失念や手続遅延を防げない。そこで、異動者の旧所属部署の権限に有効期限を設定し、期限延長が必要な場合だけ申請させる仕組みにする。公式解答例も、旧権限に期限を設定し、延長には申請を必要とする手続を示している。自動的に失効させることで、申請漏れによる権限残存をより確実に抑えられる。
設問4
ERPのDBをバックアップしていても、販売管理システムから日次で受け渡される売上実績データの元データまで復旧できるとは限らない。災害時にはERPだけでなく、連携元の販売管理システムにある重要データも必要になる。公式解答例では、販売管理システムから受け渡される売上実績データを日次で外部保管するコントロールを追加する。バックアップ対象をERP内部のDBだけに限定せず、復旧に必要な周辺システムのデータまで確認することが要点です。
学習のポイント
問題文の運用事実から、既存コントロールでは抑えきれないリスクと追加対策を対応付ける。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度春期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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