STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和元年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
判断の対象範囲を意識して考える
業務とシステムに関する課題を考えるときは、判断の対象となる範囲に着目しましょう。同じ言葉でも、どこまでを含めて扱うかで受け取り方が変わるため、検討の途中で範囲が変わっていないか確かめます。
この問題で問われていること
考えている課題が、どの範囲について述べられているかを意識してください。一部についての話を全体へ広げたり、全体についての話を一部だけで捉えたりしていないか、与えられた情報に立ち戻って確認しましょう。
視点
対象範囲とは、いま考えている内容がどこまでを含むかという区切りです。検討の途中でこの区切りが動くと、同じ対象について考えているつもりでも、判断の意味が変わることがあります。
確認ポイント
- いま考えている対象の範囲を意識できているか
- 与えられた情報より広い範囲へ話を広げていないか
- 検討の途中で対象の範囲を狭めていないか
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解説
本問は、輸出入業務の正確性と即時性を高めるために、最も負荷の大きい手入力作業を自動化し、その後の連携処理も改善する考え方を問う。さらに、ロボットの稼働管理と修正の影響を捉え、業務の継続性を確保する統制が必要になる。
問題の全体像
A社は輸出入業務を海外のシェアードサービスセンタへ移管したが、作業量の増加と業務ノウハウの定着不足から、入力ミスや書類の入力待ちが懸念されている。そこで、ソフトウェアロボットとOCRを組み合わせた実証実験を行い、正確性と即時性の改善を検証した。一方、担当者が多種類のロボットを作成したことで、稼働管理や変更の影響に関する課題も生じた。公式の出題趣旨では、新しいITを活用した業務改革の実行とリスク分析を評価するとしており、現状分析から実証実験の評価、本格導入の統制までを一連の流れとして読むことが重要です。
設問1(1)
着目するのは、〔A社輸出入業務の現状と課題〕にある「入力ミスのない正確性と書類が滞留しない即時性を向上させる」という目的の記述です。入力ミスは正確性の問題、書類の入力待ちは即時性の問題に対応している。公式解答例では「入力ミスのない正確性と書類が滞留しない即時性」と示されている。30字以内の答案では、単に「業務品質の向上」とまとめず、正確性と即時性の二つを、それぞれの具体的な状態とともに押さえる。
設問1(2)
〔A社輸出入業務の課題〕で、作業量を測定した結果、負荷が最も大きいと判明した作業に着目する。該当するのは、契約書のイメージファイルや船積書類から、引渡条件や保険に関する情報を貿易システムに手入力する作業です。この作業では目視照合も必要で、入力ミスなどによって貨物が滞留することもある。公式解答例では、この情報の手入力作業を挙げている。採点講評でも、当該作業が最も負荷の大きい作業であることを理解していない解答が指摘されている。35字以内では、入力する情報、入力先、手入力という作業内容を明確にする。
設問2
〔IT活用の検討〕にある「識別ができなかった場合に担当者が行っている作業」を、前段の現状説明に戻って確認する。商品コードや出荷先住所などの文字がかすれて読みにくい場合、担当者はマスタを検索したり、過去の契約情報と照合したりして確認している。この補完作業をソフトウェアロボットで実行できるか検証したのです。公式解答例では「マスタを検索したり過去の契約情報と照合したりして確認する」と示されている。35字以内では、マスタ検索と過去の契約情報との照合による確認を押さえる。「OCRの識字率を上げる」だけでは、検証した具体的な作業を説明できない。
設問3
手入力作業のボトルネックが解消された後に残る、システム間の待ち時間に着目する。インターネットバンキングとの信用状データのダウンロード・アップロードは、操作に手間が掛かるため1日1回に限られていた。信用状通知の確認は船積書類の発行や受取りの前提なので、データ交換の待ち時間が後続業務を遅らせる。実証実験ではアップロード・ダウンロードを人の介在なく自動化できると評価されており、交換回数を増やす改善につながる。公式解答例では「インターネットバンキングとの間で行う日次でのデータ交換」と示されている。30字以内では、連携先と日次のデータ交換という対象を特定する。
設問4(1)
〔実証実験の評価〕で、担当者が思い思いに多種類のロボットを作成し、IT部門が「どこでどのようなソフトウェアロボットが稼働しているか」を把握しにくくなった点に着目する。問われているのは、その事実から分かる統制上の課題です。公式解答例では「ソフトウェアロボットの稼働に関する管理が十分でないこと」と示されている。採点講評では、単に「把握が難しい」と述べるだけの解答が多く、稼働状況を正確に把握することが、作業の的確な自動化と十分な管理につながる点への理解を求めている。40字以内では、稼働に関する管理の不十分さを明示する。
設問4(2)
複数のロボットが連携して作業する状況では、一つのロボットの修正が、他のロボットの誤作動や異常停止を引き起こすおそれがある。その結果、輸出入業務を継続できなくなる可能性があるため、本番稼働前のレビューで動作だけでなく、影響範囲や対応方法も確認する方針となった。公式解答例では、一つのロボットの修正によって業務の継続性が脅かされるリスクを挙げている。採点講評でも、レビューを受けずにリリースしたロボットの不具合が、他のロボットの誤動作の連鎖につながる場合があると説明されている。40字以内では、修正を契機とする影響と、業務の継続性へのリスクを結び付けて述べる。
学習のポイント
改善目標、ボトルネック、識別できない場合の補完作業、次の改善対象、統制上の課題とリスクを区別し、本文の根拠から具体的に説明する練習をする。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和元年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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