STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成29年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
検討の前提と根拠を確かめる
業務の改善やサービスの構想を考える際は、検討に使う前提の根拠に注目しましょう。与えられた情報から分かることと、自分が補っている仮定を区別し、経験や一般論をそのまま当てはめていないか確かめます。
この問題で問われていること
着目するのは、考えの出発点となる前提が、与えられた情報に支えられているかという一点です。具体的な方法の良し悪しを急いで判断せず、読み取った内容と自分の解釈の間に飛躍がないかを確認しましょう。
視点
前提には、与えられた情報に明示されたものと、考える途中で補ったものがあります。検討の土台として置いた内容について、どの情報を根拠にしたのか振り返ると、事実と仮定を整理できます。
確認ポイント
- 検討に使っている前提の根拠を確認したか。
- 明示された情報と、自分が補った仮定を区別したか。
- 経験や一般論だけで前提を付け加えていないか。
正解と解説を見る
解説
部品の標準化・共通化、部門横断の設計レビュー、工数に基づく納期の検討によって業務を改善し、ES部の整備能力とIoTによる情報活用を顧客の課題に結び付ける問題です。
問題の全体像
A社は個別受注生産で大型機器・車両を製造していますが、売上げと利益が低迷し、サービス事業の拡大と業務プロセスの見直しに取り組んでいます。社内では部品の重複設計や納期遅延が課題となり、顧客のP社では整備要員の不足と車両の安定運用が課題となっています。出題趣旨では、各部門の課題を統合して解決する力、業務プロセスの分析・設計能力、顧客の課題に対応した提案能力を問うとしています。設問1は設計・製造・営業の連携、設問2はES部の強みとIoTの活用を、具体的な施策へ落とし込むことが中心です。
設問1(1)
〔A社の課題〕の設計部にある、型式間で部品の標準化・共通化が進まず、似た部品を重複して設計しているという記述に着目します。製品DBには過去の製品の仕様や部品構成が整理されているので、DRでは既存の部品を生かした設計になっているかを確認することが原価低減につながります。公式解答例では「部品の標準化や共通化の取組みが徹底されていること」としています。30字以内の答案では、一般的なコスト削減策を列挙せず、「部品の標準化・共通化」と「その徹底の確認」を押さえます。
設問1(2)
営業部と研究部について、それぞれの課題・方針を設計完了段階のDRに結び付けます。営業部は顧客の新機能・機能改善の要求を受けているため、完成した設計がその要求を満たすかを確認します。研究部は開発したユニットを適用できる製品を見極める方針なので、対象製品への適用可否を確認します。公式解答例では、営業部は「顧客からの新機能や機能改善の要求を満たしているかを確認すること」、研究部は「製品にユニットが適用可能かどうかを見極めること」としています。各35字以内で、確認対象と役割を明確にします。採点講評では、営業部について「顧客の要求を設計部に伝える」という解答が多かったと指摘し、事前の協議・調整事項が設計に適切に反映されていることの確認が目的だと説明しています。
設問1(3)
製造部の課題にある、ある工程の累積工数が稼働可能な要員の総工数を超えると、ボトルネック工程が発生するという記述に着目します。製品の組合せによって負荷の高い工程が変わるため、製品ごとの工数だけでは全体の負荷を把握できません。受注した複数製品の工数を工程別に累積することで、能力を超える工程を事前に把握できます。公式解答例では「ボトルネック工程を予測するため」としています。20字以内の答案では、算出の直接の狙いである「ボトルネック工程の予測」に絞ります。
設問1(4)
営業部が、顧客からの引き合い時に対応可能な納期を提示したいと考えている点に着目します。製造部では要員の配置計画と納品までの日程計画を対比できるようになるため、その情報を基に、営業部が顧客へ提示できる納期を協議できます。公式解答例では「顧客に対して提示できる対応可能な納期」としています。25字以内の答案では、「顧客に提示する納期」と「実際に対応可能であること」を押さえます。単に製造計画の共有と書くより、共有した情報から何を協議するのかまで示すことが大切です。
設問2(1)
下線⑤はP社の緊急課題への対応なので、整備要員の採用難、高齢化、熟練社員の退職によって、整備部門を縮小しつつ車両の運用を継続したいという要求に着目します。A社のES部は全国のMROを担当し、高品質なサービスと豊富な事例をもち、他社製品にも対応しています。この強みを生かす提案は、P社の整備業務をES部が受託することです。公式解答例では「P社の整備部門の業務をA社のES部が受託する提案」としています。30字以内で、委託対象の業務と受託する部門を示します。採点講評では「予防的なMROを可能にする提案」という解答が多かったと指摘し、この設問では整備部門の要員不足への対応を読み取る必要があると説明しています。
設問2(2)
下線⑥はP社の長期的な課題である、車両の障害による業務停止の防止と、効率的で安定した運用への対応です。ES部の記述では、顧客が記録してきた運転・整備の履歴をナレッジシステムの情報と組み合わせて分析し、さらにユニットから継続的に得る機器情報に障害のノウハウを適用することで、予防的なMROを提案できるとしています。そのため、P社にはユニットの組込みと履歴情報の提供の両方を依頼します。公式解答例では「P社の製品へのユニットの組込みと、運転や整備の履歴情報の提供」としています。40字以内の答案では、この二つの協力内容を具体的に示します。
学習のポイント
施策の目的を本文の課題から読み取り、確認事項・狙い・提案・協力依頼を設問に応じて具体化する力を身に付けましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針