STITストラテジスト試験 午後Ⅱ

平成28年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅱ 問3

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問3 IoT に対応する組込みシステムの製品企画戦略について 既存の組込みシステムは,特定の領域・環境などを前提としたスタンドアロン型が主流であった。しかし,近年はインターネットの普及に伴い,監視・制御などに Internet of Things (IoT)の活用が進むことによって,組込みシステムの利用が拡大してきている。このような潮流の中で,組込みシステムの IT ストラテジストには,IoT に対応する組込みシステムの製品企画が求められている。 既存システムを基にして,IoT を活用したシステムを企画する際には,IoT への対応によって外部との情報のやり取りが可能となるので,情報の利活用によるサービス,データ解析などによる新たな価値の創造などについて調査する。その調査結果を基に分析した後,関連部署と協議して,既存システムの中から IoT を活用すべきシステムを選択し,製品企画を立案する。 一方,新分野,新市場への参入を目指して,IoT を実現する統合システムを企画する際には,情報を利活用したソリューションに携わっている,エンタープライズ系の IT ストラテジストとの連携が考えられる。その際に必要なのは,組込みシステムの特徴が生かされた製品企画か否かを双方で十分に検討すること,技術的な内容を共有すること,及び役割分担を明確にすることである。さらに,要件によっては,新たな機能を追加して柔軟に対応しながら参入しやすい製品企画を立案する。 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが携わった,IoT に対応する組込みシステムの製品企画の概要と企画に至った経緯,及び既存システムの市場,新分野,新市場のそれぞれの内容と特徴を,800 字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた製品企画において,既存システムを基にして,IoT の活用によるシステムを企画した場合は,どのような観点・手順で選択し,新たな価値を付加したか。また,IoT を実現する統合システムを企画した場合は,組込み系・エンタープライズ系の双方で検討すべき役割分担・立案の内容,及び配慮すべきと考えた事柄とその理由は何か。そのいずれかについて 800 字以上 1、600 字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた既存システムの選択,又は統合システムの企画に対してどのように評価したか。また,そのシステムは,今後どのように改善又は,発展させるべきか。600 字以上 1、200 字以内で具体的に述べよ。
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目的と評価のつながりを確かめる

製品の企画や評価を考えるときは、目指す目的と判断の根拠がつながっているかに注目しましょう。個々の情報だけで結論を急がず、何を確かめるための情報なのかを意識して、考えを整理することが大切です。

この問題で問われていること

この問題では、企画や評価に関わる情報が、どの目的を判断する根拠として扱われているかを意識してください。目的と根拠の対応を自分の言葉で整理し、そのつながりを説明できるかという一点から考えてみましょう。

視点

目的は判断によって確かめたいこと、根拠はその判断を支える情報です。両者を結び付ける理由に注目すると、情報が企画や評価の中で持つ意味を整理しやすくなります。

確認ポイント

  • 判断によって確かめたい目的を意識しているか。
  • 着目した情報が、その目的とどう関わるか整理できるか。
  • 目的と根拠のつながりを、自分の言葉で説明できるか。
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解説

IoTに対応する組込みシステムの製品企画について、概要と市場の特徴、既存システムの選択又は統合システムの企画、その評価と今後の改善・発展を一貫して論述する問題です。出題趣旨と採点講評に沿い、IoTによる価値や企画上の判断を経験に基づいて具体化することが要点です。

問題の全体像

問題文は、特定の領域・環境を前提とするスタンドアロン型の組込みシステムから、外部との情報交換を通じてサービスや新たな価値を生み出すIoT対応製品への展開を扱っています。企画には、既存システムの中からIoTを活用すべきものを選ぶ場合と、新分野・新市場への参入を目指してエンタープライズ系と連携し、統合システムを企画する場合があります。添付の出題趣旨では、サービス及び新たな価値創造の分析、統合システムを立案する際の分担、技術的な内容の共有、新機能の追加などをどのように考えたかを具体的に論述することが求められています。添付資料には個別の模範答案は示されていません。採点講評では、IoTに関連しない製品企画や、既存システムと統合システムの内容を両方混在させただけの論述が指摘されています。設問アで対象を明確にし、設問イでは指定された二つの場合のいずれかを論じ、設問ウでその評価と改善・発展を述べる構成が必要です。

設問ア

「製品企画の概要と企画に至った経緯」及び「既存システムの市場、新分野、新市場のそれぞれの内容と特徴」という要求に着目します。800字以内で、自分が携わったIoT対応の組込みシステムについて、どのような製品を企画したのか、なぜ企画したのかを示し、既存システムの市場と新分野・新市場の内容及び特徴を整理します。概要では、外部との情報交換をどのように製品企画に取り込むのかが分かるようにし、設問イで詳述する企画との関係を明確にします。採点講評では、論述対象の製品又はシステムの概要が適切に記述されていない答案が目立ち、概要も評価の対象であるとされています。そのため、一般的なIoTの説明だけで字数を使わず、対象製品、企画の経緯、市場等の内容と特徴を、後続の論述を理解できる粒度で記述することが重要です。

設問イ

「そのいずれかについて」という指定に従い、設問アの製品企画に対応する一方を選び、800字以上1、600字以内で具体的に述べます。既存システムを基にした企画の場合は、問題文の「情報の利活用によるサービス、データ解析などによる新たな価値の創造」について調査し、結果を分析した後、関連部署と協議して対象を選択する流れに着目します。答案では、何を調査したか、どの観点で分析したか、関連部署と何を協議したか、その結果どのシステムを選び、どのような新たな価値を付加したかをつなげて説明します。統合システムの企画の場合は、組込みシステムの特徴が生かされているかを双方で検討すること、技術的な内容を共有すること、役割分担を明確にすることに着目します。答案では、双方で検討した役割分担と企画の内容、配慮した事柄及びその理由を具体化します。要件に応じて新機能を追加する企画であれば、その要件と追加する機能、参入しやすい企画との関係も説明します。これらは問題文と出題趣旨に示された論点です。採点講評が指摘する両方の内容を混在させただけの論述を避け、選んだ場合について判断の過程と結果が分かるように書きます。

設問ウ

「設問イで述べた既存システムの選択、又は統合システムの企画に対してどのように評価したか」と「今後どのように改善又は、発展させるべきか」の二点を、600字以上1、200字以内で具体的に述べます。評価の対象は設問イで論じた選択又は企画です。答案では、設問イで示した選択の観点や企画時の検討事項に照らして、何をどのように評価し、なぜその判断に至ったのかを自分の経験と考えに基づいて説明します。その上で、評価した内容に対応させて、今後改善又は発展させるべき内容を具体化すると、設問間のつながりを示せます。添付の公式資料には、設問ウに用いる特定の評価指標や改善策は示されていません。そのため、特定の指標や対策を必須要素として扱わず、自分の事例に即して記述します。採点講評では、問題及び設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は評価が低くなること、解答字数が不足した答案が目立ったことが指摘されています。抽象的な感想だけで終わらず、評価と改善・発展の両方を字数条件の範囲で説明することが重要です。

学習のポイント

既存システムを基にした企画と統合システムの企画を区別し、設問ごとの要求と字数条件を満たしながら、判断の内容と理由を具体的に書く練習が重要です。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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