STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成26年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断の前提を丁寧に確かめる
方針や計画を考える際は、判断がどの前提に基づいているかという一点に注目しましょう。自分が補った想定と、与えられた情報を区別し、考えの根拠を短い言葉で整理してみてください。
この問題で問われていること
検討の途中で置いた前提が、与えられた情報に支えられているかを確かめてください。経験や印象から当然だと思ったことも、そのまま採用せず、どの情報を根拠にしたのかを振り返ることが手掛かりになります。
視点
前提は、考えを進めるために置いている条件です。その条件が与えられた情報から確認できるものか、自分で補ったものかを意識すると、判断の根拠を整理しやすくなります。
確認ポイント
- 考えの前提を言葉にできているか
- その前提の根拠を確認できるか
- 自分で補った想定を混ぜていないか
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解説
本問では、銀行の再建と売却という事業戦略からシステムの見直し方針を考えます。売却先の確保、既存顧客の維持、短期間での費用回収、店舗統合による投資の無駄の回避を整理し、改善すべき業務機能と現行事業者に依頼する見積り事項を特定することが要点です。
問題の全体像
企業再生ファンドのA社は、経営再建中のB銀行を約5年で再建し、他の銀行への売却で利益を得ようとしています。そのため、企業価値の向上と再建後の売却可能性の拡大を重視しています。システムの見直しには、運用費用の早期低減、再構築費用の短期回収、既存顧客の維持、再構築後の店舗統合という条件があります。公式の出題趣旨では、銀行内部の業務改善だけでなく、組織外部の視点も加えてシステムの選択が事業戦略に与える影響を検討する能力が問われています。各設問では、この経営上の目的と本文の具体的な条件を結び付けて考えます。
設問1(1)
着目するのは、A社が「売却先候補が多くなるほど、高額での売却が期待できる」と考えている点と、異なる共同利用システム間の移行には多額の費用や機能・サービスの見直しが必要となる点です。同じ共同利用システムの参加銀行同士は業務の親和性が高い一方、別の共同利用システムを利用する銀行への売却には移行上の障壁が生じます。公式解答例では、再建後の売却先が同じ共同利用システムの参加銀行に限定されることを挙げています。40字以内では「売却先が同じ共同利用システムの参加銀行に限定される。」と、売却可能性への影響を具体的に示します。採点講評では、カスタマイズ費用の指摘だけで売却可能性の観点が含まれない解答が見られたとされています。
設問1(2)
海外製パッケージについて、国内特有のサービス機能がないことと、それを補うカスタマイズが高額になることに着目します。本文では、商品・サービスの大幅な変更によって解約が増えるおそれがあり、顧客維持が不可欠とされています。また、再構築費用を短期間で回収する必要があります。公式解答例では、①国内特有のサービス機能がなく顧客を維持できない、②カスタマイズが高額になり費用回収に時間が掛かる、という二つの内容が示されています。40字以内の表現例は「国内特有のサービス機能がなく、顧客を維持できない。」又は「カスタマイズが高額となり、再構築費用の回収が遅れる。」です。いずれも阻害要因と経営上の影響を結び付けています。採点講評では、カスタマイズの必要性だけで止まり、事業戦略をどう阻害するかまで述べない解答が指摘されています。
設問2
設問には、機器・ソフトウェアの更新コストと再構築の優先度が低いことが既に示されているため、それ以外の理由を探します。着目するのは、再構築後も1~2年以内に店舗統合を進め、支店数を約1割削減し、余剰の支店内機器を処分する予定です。統合で廃止する支店の機器まで新規導入すると、短期間で不要になり、投資が無駄になります。公式解答例では、この店舗統合による新規導入機器の無駄を理由としています。40字以内では「店舗統合を予定しており、新規導入した支店内機器が無駄になるから。」とまとめられます。採点講評でも、設問に記載済みのコストや優先度と同趣旨の解答が見られたとされています。
設問3
情報系システムの役割として、リスク管理、融資先管理、顧客分析が示されています。その中で本文は「融資先管理機能が不十分であることは、B銀行の経営不振を招く一因になった」と明記しています。再建に向けて見直すべき業務機能は、経営不振の原因と直接結び付いた機能です。公式解答例では「融資先管理機能」とされています。設問は業務機能の名称を求めているので、運用費用の削減や汎用機の更新ではなく、この機能名を答えます。
設問4①
勘定系・情報系の新システムの構築計画はC社に依頼しますが、現行システムからのデータ移行には、現行システム構築事業者の協力も必要です。提案依頼の対象外だったことは、再構築全体への協力が不要であることを意味しません。公式解答例の一つ目は「各情報システムのデータ移行に関する費用」です。この表現は25字以内で、見積り対象を具体的に示しています。採点講評では、営業店系システムだけに着目した解答が見られ、現在の各システムからのデータ移行にも現行事業者の協力が必要であることに気付いてほしいとされています。
設問4②
営業店系システムには「現行システムの再利用」を採用します。本文で再利用は「現行システムの一部を改修し、できるだけ再利用すること」と定義されているため、既存システムを利用し続けるための対応費用も全体計画に含める必要があります。これは現行システム構築事業者に見積りを依頼する事項です。公式解答例の二つ目は「営業店系システムの対応費用」であり、25字以内で表せます。データ移行費用とは別に、再利用する営業店系システムへの対応費用を挙げることで、主要システム全体の計画に必要な見積り事項を押さえられます。
学習のポイント
方式の特徴を列挙するだけでなく、問題文の制約から経営戦略への影響まで因果関係をつなぎ、設問が求める範囲と字数に合わせて表現する練習が重要です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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